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磐梯東都バス・森のくまさん号~BDFを用いる環境に考慮したボンネットバス

2008-06-10 | バス[東北]

   
 

先月会津方面を訪問した際は、会津ぐるっとカードと呼ばれる、会津エリアの鉄道・路線バスが乗り放題になる乗車券を用いて動き回っていたのですが、その際には裏磐梯を走るボンネットバス・森のくまさん号に乗車する機会もあり、今日はこのバスに関して取り上げたいと思います。

森のくまさん号は、北塩原村がこのエリアで現在路線バスを運行する東都観光系列の磐梯東都バスに運行委託しているバスで、可愛らしいくまさんのマークが描かれたこのバスは、冬場と火・水曜日以外の日に運行しています。
(ただ車両整備の関係などで、時折一般車両が代走する事もある様です)

車両は他でも幾つかのボンネットバスで使われているいすゞ製のBXD30型で、森のくまさん号で現在使用している車両も、元は滋賀県の江若(こうじゃく)交通が昭和42年(1967年)に導入した車両です。

板張りの床となっている車内をはじめ、跳ね上げ式のウインカーなどを見ると、相当な年代者の車両である事を実感させられ、ギアが1速~4速までしかないのも大きな特徴(今の路線バスは、通常1~5速まで、車両によっては更に6速まであります)で、乗り心地も今のバスとは大きく異なるものなっていますが、それでも中国で走っているボロバスなどに比べれば、これでも意外と快適なのでは…と感じるものでした。
(彼の地を走る路線バスは座席が硬いプラスチックや板で、道路状況に加えて大気の悪さや、燃料の揮発する様な異臭を放っている事も大きいかと思います)

路線は高原周遊コース(3本)と桧原湖周遊コースの1種類があり、どちらも裏磐梯高原駅を起終点とする循環運行となっていますが、高原周遊コースは実質的に桧原湖周遊コースの途中で折り返して運行する路線と言っても良い状況になっています。

その事もあってか高原周遊コースは所要30分程度となっているのに対し、桧原湖周遊コースでは乗り通すと所要約1時間半を要しますが、後者は桧原湖畔の狭路も存在するかなり景色の良い箇所(ボンネットバスは元々悪路走行を想定した車両ですので、その点でもこの車両の充当は妥当と言えます)を走り、乗車しているだけでも充分楽しめますので、時間に余裕があるならこちらがおススメですが、高原周遊コースは手頃にボンネットバス乗車が楽しめますので、時間が限られる状況で希少なボンネットバスに少しでも…というならば、こちらへ乗車するのも良いかと思います。

運賃も一応対キロ運賃(初乗り160円)となっており、現金乗車であれば一般路線バスとの並行区間に関しては、一般路線と同額での乗車も可能ですが、森のくまさん号にのみ乗車可能な桧原湖フリー周遊券(森のくまさん号全線に乗車可能・大人1000円)と高原フリー乗車券(高原周遊コースが走る裏磐梯高原駅~休暇村裏磐梯間で利用可能・大人500円)も用意されていますので、裏磐梯エリアへ自家用車などでアクセスし、森のくまさん号に乗車して桧原湖周遊を楽しむ場合などは、フリー乗車券も利用価値はありそうです。

あと森のくまさん号ではワンマン運転を行っておらず、車掌乗務となっている点も、レトロバスの雰囲気を更に盛り上げるものとなっていますが、その一方で近隣のホテルなどで発生した天ぷら油を精製したバイオディーゼル燃料(BDF)を用いているのも大きな特徴で、古い車両というと黒煙をモクモク・環境面でも…という印象をお持ちの方も居られるかと思いますが、この車両はレトロ調の新型車ではなく本物のレトロバスを用いていながらも、周囲の環境保全に考慮している事も、大いに評価できる点であると言えます。

またMAKIKYUはぐるっとカードを利用して森のくまさん号に乗車したのですが、猪苗代や喜多方から磐梯東都バスの路線バスで裏磐梯高原駅などへアクセスし、森のくまさん号に乗車した後でまた猪苗代や喜多方へ抜ける路線バスに乗車する行程を組んだ場合は、会津ぐるっとカードの利用がおススメで、ぐるっとカードを使うと思いのほか手頃にレトロバスを楽しむ事が出来ますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も会津を訪れる機会がありましたら、是非森のくまさん号にも乗車されてみては如何でしょうか?

写真は森のくまさん号使用車両とその車内、運転席の様子と今のバスには見られない特徴的なウインカー、桧原湖畔の狭路を走行中のワンシーンです。