ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

2022年ワールドカップ招致:3D技術は「金」と「欲」に勝てるか

2010年12月02日 | Weblog
22年Wカップの招致合戦が佳境をむかえている。報道ステーションをを見ていると、ここにきて劣勢の日本が急上昇とのこと。ライバルはオーストラリア、カタール、韓国、アメリカの4ヶ国。

日本の評価は決して芳しいものではない。国内でも特に盛り上がっている感はないし、FIFAの調査報告書でも必ずしも高い評価ではない。16項目の評価ポイントのうち12項目はリスクが「低い」だったが、4項目で「中程度」と判断されており、アメリカやオーストラリア、韓国が3項目だったことを考えると差をつけられているといえる。

【W杯招致】日本は4項目で「難あり」 FIFA調査報告書 (1/2ページ) - MSN産経ニュース

しかしここに来て情勢が変わりつつあるという。1つはオーストラリアが所属するオセアニア・サッカー連盟のテマリー氏に買収疑惑がかけられたこと。これでは買収を受けた人もそうでない人も躊躇してしまう。また韓国も北朝鮮問題がここに来てマイナス要素。「ワン・コリア」的な理念は共感を呼ぶかもしれないが、それ以前にこの状況では不安にしか思えない。

そもそも商業スポーツの現場で「正々堂々」的な倫理観はありえないのだろう。

ちょうど先日、日韓ワールドカップ決定の裏側を描いた「W杯(ワールドカップ)に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇」を読んだ。

W杯(ワールドカップ)に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇 /田崎健太


この本を読んでいる限り、日韓合同開催になった背景には「公正」な評価というよりは、FIFA内部でのアベランジェ vs UEFAの権力闘争や、韓国側の「大会スポンサー」「広告」を武器にしたバラマキ戦略、FIFAメンバーに対する接待攻撃などの結果だと言っていい。

当事国の日本国内では、歴史的に因縁のある日本と韓国が共同でワールドカップを実施するという「美談」としての取り上げられ方が多かったかもしれないが、客観的に考えて見ればこれはひどい話だ。それまではワールドカップは1国での開催が原則。そのために各国の招致委員会はその国の特性を活かしたワールドカップのプランを考えているのであり、そうすることで大会が終わった後のその国のサッカー人気を拡大していくことにつながる。

しかも日韓とは支配した国とされた国だ。そう簡単に両国の溝が埋まるわけはないし、国民そのものも自発的に望んだわけではないだろう。

つまり熾烈を極めた招致合戦の結果、どちらかの勝利とするわけにいかなかったというのが本音なのだろう。この本を読む限り、日本の客観的評価は高かったのだから。

前回の招致合戦の際も、日本は「情報通信技術」を駆使したプランを提案している。それが「バーチャルスタジアム」という構想だ。これは試合に使用されていないスタジアムに3Dの立体映像を上映し、実際に試合会場に来ることのできないお客さんにも試合を「体感」してもらおうというもので、一種のパブリックビューイングだ。

結局この計画は、大画面であれば立体映像でなくてもいいという判断で100m×30mのメガビジョンでの検討となり、予算の壁や権利問題などに振り回されながら、ブラジルvsトルコの1戦だけが山下公園で上映された。雨の中、僅か150人程度の観客だったという…

今回の日本の提案の中には「Full Court 3D Vision」というものがうたわれている。これは世界中のスタジアムに平置きのディスプレイを設置し、そこに選手たちの立体映像が浮かび上がるというもの。バーチャルスタジアム構想を更に推し進めたものといえるだろう。

日本の提案する2022年次世代ワールドカップ(招致コンセプトビデオ)


ねとらぼ:まるでSF! 2022年サッカーW杯の日本招致ビデオ - ITmedia News


結果はどうなるかはわからない。

ただ残念なことに、裏側では「金」と「欲」が飛び交う世界であり、目的達成のためなら「清濁併せ呑む」「OUTでなればOK」くらいの覚悟で臨まないと単独開催は難しいかもしれない。


W杯(ワールドカップ)に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇 /田崎健太

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