ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

アマゾンの映画ダウンロード販売はレンタルビデオを超えれるのか

2006年09月10日 | コンテンツビジネス
amazonが映画ダウンロードサービスの提供を開始するとのこと。日本ではPC向けにしろ、STB向けにしろ、レンタル型のストリーミング配信が主流なわけだけれど、果たしてこの買い切り型ダウンロード配信は、レンタルビデオが普及している日本でもうまくいくのだろうか。

アマゾンドットコム、動画配信サービス「Amazon Unbox」を発表 - CNET Japan

ITmedia News:米Amazon、映画ダウンロード販売に参入

まず大きな流れとしては、ダウンロードベースのサービスに向かっているのは確かなのだろうが、現実にはまだまだ課題も抱えている

まず画期的な点として、PC向けのダウンロード販売とセットでモバイル端末向けの映像ファイルのダウンロードも行っているところ。

これは、例えばこれまでであれば、「VHS」で「STARWARS」の映像を持っている人が「STARWARS」をDVDで見たい場合、新たにDVDのパッケージをを購入しなければならないという具合に、基本的に「コンテンツ」は「メディア」別に販売するということが一般的であった。しかしデジタル化の進展と技術革新のスピード感を考えた場合、どうせ同じデジタルデータなのだし、「コンテンツ」そのものを利用する「権利」を販売し、メディアは購入者が利用したい形態で利用すべきだという考え方が根底にある。しかし言うが易し行なうは難しというわけで、実際にはこれまでの商慣習・メディア別の販売チャネルや販売権の問題、技術的な課題、ユーザー管理やサポートの問題などなかなか現実化できずにいた。

まぁ、今回にしてもあくまでPC向けとDAP向けの(おそらく)ビットレートの異なる映像ファイルをセットで販売しているというところで、まだまだ不十分ではあるのだけれど、まぁ、ユーザーからすれば、PCの前だけではなくDAPや携帯電話に持ち運んで見ることができるという点で一歩前進というところだろう。

では課題はというと、まずはそもそもPCで映画を見るのか、という問題。日本とアメリカではライフスタイルが違うとはいえ、日本でPC向け映画配信が成功したという話は聞いたことがない。少なくとも50cmメディアであるPCで長時間集中しながらみるようなコンテンツは向いているのだろうか。

次はダウンロードに要する時間の問題。ストリーミング映像に特有の「バッファリング」という問題がある以上、ストリーミング配信にはやはり限界があるのだろうとは思いつつも、1.2GB/時間もする映像ファイルをダウンロードしようと思った場合、ADSLやCATVクラスのブロードバンド環境では結構つらいだろう。2時間の映画をダウンロードするのに2時間かかるというのではやはりインターネットのメリットを享受できないだろう。

また価格設定も難しい問題だ。メインの価格帯は14.99ドル(約1800円前後)ということなのだけれど、DVDなどのパッケージ販売と比べれば、まぁ、妥当な価格帯なのかもしれないが、iTMSが実現したような「お得感」のある価格設定ではない。amazonでDVDを購入して送られれくるまで待てないユーザーにとっては…という感じだろう。

これが日本を前提に考えると、競合はDVDのパッケージ販売ではなく、レンタルビデオということになるだろう。レンタルビデオであれば180円~330円/8日間という価格がなされている。またSTBにしろ、PC向け配信にしろ、このレンタルビデオを意識した価格設定がなされている。

果たして買い切り型だからといってこの価格設定は通じるのであろうか。どうしても欲しい商品であれば「パッケージ」が欲しくなり、逆に手軽に見てみたいというには価格が高すぎるだろう。

まもなくiTMSでも映画のダウンロード販売がスタートするといわれており、国内の配信サイトも検討を進めていくのであろうが、果たして日本ではこのモデルは普及するのだろうか。

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