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音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

Sirius: UN BALLO IN MASCHERA (Wed, Apr 23, 2008)

2008-04-23 | メト on Sirius
今シーズン、風邪でダウンしそうになりながらも、なんとかグスタヴォ三世(リッカルド)役を
歌い続けてきたリチトラですが、4/21の『連隊の娘』のシリウスの放送時にゲストで出演した際に、
体調が芳しくない、という言葉を吐いたそうで、それが理由か、
なんと、今日4/23、最後の『仮面』の公演は、同役をラモン・ヴァルガスが歌うことに変更になりました。

年齢的にも、性格的にも、もはや、全くナイーブなところがない私なので、
実は、売れ残っていたチケットをさばくためのゲルプ氏の方策ではないのか?とも見ているのですが、
実際、この日の公演は彼が歌うと決まった途端、ソールド・アウト状態に。
リチトラが悪いわけではありませんが、オペラヘッドというのは、
いつも同じ役を色んなキャストで聴いてみたい、と思っている贅沢な人種ゆえ、、。

ましてや、ヴァルガスは、ヒューストンなどで同役を歌っていて、
線は細いが非常に音楽的な歌唱、と言われているので、多くの人が聴きたい!と思っても
誰も責められますまい。

実際、私もオペラハウスに行きたい、、と思い、ほとんど前日はチケットを購入する気でいたのですが、
何かが私を引き止めるのでした。”買ってはいけないよ、、”と。

そしてそんな予感が当日になって見事に的中。
会社で急用発生!家に帰って服を着替えてオペラハウスに向かう時間どころか、
シリウスの放送開始にも間に合わない始末。いや、間に合わないどころか、帰宅したのは夜10時15分。
大幅にミスってしまいました。

三幕途中、アメリアのアリアから参加。

今日のブラウンはどうしたの?というくらい、ヴィブラートの嵐で、音程も不安定。
少しいつもの彼女らしくありません。

またオケがどうしたことか、足に鉛がついているような重々しさ。
今日はテンポというよりも、なぜかみんなの気が乗っていないかのような重苦しさがありました。
決して悪くはないのに、何かみんな無理矢理がんばらされているような、、。
もっとヴェルディの作品は自分で転がっていくような自発的な感じが演奏の中に欲しいところです。

と、そんな鉛足をバックにホロストフスキーは今日もがんばる。
”お前こそ心を汚すもの Eri tu che macchiavi quell'anima  ”。
一生懸命、丁寧に歌っているのですが、その歌の下でオケが沈没しそうになっています。
下手という意味ではなく、なんか水面に出しても、ぶくぶくぶく、、と、
海底に沈んでいくような感じ。
これは何なのでしょう?
ヴァルガス出演!で熱くなっているかと思ったのに、なんだかそうでもないようです。

結局、ホロストフスキーのレナートに関しては、私が聴いたなかでは、初日(去年の12/17)が、
気合といい、声のコンディションといい、一番良かったのではないかと思います。

さて、いよいよ登場のヴァルガス。
実は”線が細い”という意見を聞いたときに、そうだろうなあ、という思いが強く、
聴いてみたいとは思ったものの、実はそんなには期待していなかったのですが、
いやいや、これはなかなか良いではないですか!

このヴァルガスの歌を聴くと、リチトラの歌が雑だったんではないか?と思えてきます。
声ももっと役にそぐわないかと思いましたが、そうでもなく、
ラジオで聴く限りでは、聴けた三幕以降については問題がないように感じました。
特に中音域での甘い響きは彼の声の一番の強みではないかと思います。
なんともリリカルな響きがあって、旋律のまわし方も巧み。
彼は歌が本当に上手だな、と、再確認しました。
(それは歌手の方はみんな上手いんですが、その中でも非常に高いレベルで。)

うーむ。この役あたりも歌えるとなると、彼の芸域はさらに広まりそうです。

Ramon Vargas (Gustavo III/Riccardo)
Angela M. Brown (Amelia)
Dmitri Hvorostovsky (Captain Anckarstrom/Renato)
Ofelia Sala (Oscar)
Conductor: Gianandrea Noseda
Production: Piero Faggioni
OFF

***ヴェルディ 仮面舞踏会 Verdi Un Ballo in Maschera***

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2 コメント

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残念! (娑羅)
2008-04-26 22:56:18
Madokakipさんも、全部お聴きになることはできませんでしたか~。
NYの友達も仕事が入ってしまい、3幕までにはなんとか!と言っていましたが、結局行くことができなかったそうです・・・。

ヴァルガスはMETで人気がありますね!
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悔しい~! (Madokakip)
2008-04-29 10:21:44
娑羅さん、

お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。
そうなんですよ~。
なぜ、こうもチケットを買ってはいけない気がするのか、不思議だったんですが、第六感というものですね。

刻々と過ぎていく時間に、こっそりと帰ってやろうかしら、、なんて思ったりもしたのですが、
さすがにそういうわけにも行かず、、。
残念ながら、頭の方の見せ場も全部聞き逃してしまいました。

ヴァルガスがものすごく丁寧なフレージングで、
リッカルド役を、リチトラとは全く違ったアプローチで魅力的に歌っていたのが印象的でした。
ヴァルガスは結構器用な人だな、と最近思い始めています。
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