Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

GISELLE - ABT (Mon, Jun 8, 2009)

2009-06-08 | バレエ
ABTの公演、それから昨年のマリインスキーのNY公演、、
(なにげにニューヨークシティバレエの『ロミ・ジュリ』は除外。)
友人yol嬢の導きにより数年前にやっとバレエ鑑賞の戸口に立ったばかりの人間にしては、
ほとんど身の程知らずといってもよいような素晴らしいものばかりに触れる機会を与えられている私は
考えてみると本当にラッキーです。

フェリの全幕さよなら公演コレーラとヴィシニョーワの『ロミ・ジュリ』
ロパートキナの瀕死の白鳥など、今まで鑑賞した思い出深い公演・演目の中で、
しかし、もう一度だけ同じ公演をタイム・スリップして見せてあげよう、と言われたら、
迷わず私が選ぶであろう公演は昨シーズンの、
ニーナ・アナニアシヴィリとホセ・マヌエル・カレーニョのコンビの『ジゼル』です。



私はそもそもこの作品が大好きなんだと思います。というのも、個人的に、一番オペラの、
いや、”オペラの優れた公演”を観ているときの感覚に近くなるバレエ作品がこの『ジゼル』なのです。

『白鳥の湖』を作曲したチャイコフスキーが『オネーギン』や『スペードの女王』、
バレエの『ロミオとジュリエット』を作曲したプロコフィエフは『戦争と平和』という、
オペラのレパートリーでも優れた作品を残しているのに比べ、
この『ジゼル』を作曲したアダンのオペラの作品の名前を挙げられる人って、
ヘッズの中にもそうたくさんはいないんじゃないでしょうか?
実は40近い数のオペラ作品を残しているそうなんですが、代表作が、
『我もし王なりせば Si j'etais roi』、、、、って、そんな作品知らん。

なのに、なぜそのアダンの『ジゼル』から私が最もオペラっぽさを感じるのか。
多くの人がバレエ作品におけるチャイコフスキーの音楽を褒め讃え、
私の連れもその一人で、『白鳥の湖』を観るといつも泣いてますが、
その感じは私には少し、ヴェルディとかワーグナーの、歌手がイマイチでも、
音楽そのものがある程度公演をひっぱって行ってくれるあの感じに似ているように思えます。
その点、アダンの作品は、オペラで言うとベル・カント。
音楽だけで観客をひっぱることはできないかもしれませんが、
素晴らしい踊りと一緒になったときの、その効果は絶大で、
それはヴェルディやワーグナーを崇拝する一部のオペラヘッドや批評家に、
ドニゼッティやベッリーニの音楽は小馬鹿にされながらも(かつてのカプテイニス氏も含む!)、
素晴らしい歌唱とコンビを組むと無限大の感動を与えてくれるのと似ています。
そしてそのことを痛感したのが前述のニーナとホセの『ジゼル』で、
ミルタ役のマーフィーを含めた3人の踊りが音楽を引き上げ、
至高のドラマを生み出す様は本当に圧巻でした。

以前の記事で書いた時代背景とか設定や雰囲気の類似以外にも、このような共通点から、
ますます、『ジゼル』はバレエのベル・カント作品である!という思い込みは強くなり、
もともとベル・カント的なオペラのあり方が大好きである私は、この『ジゼル』を偏愛しつつあるのです。

で、今年は、その大好きな『ジゼル』がABTメト・シーズンで私が初鑑賞する作品。
(注:メトと言えばオペラ!と思っているオペラファンにはややこしい呼称ですが、
オペラのシーズンの後、ABTはメトのオペラハウスで定期公演を行います。
これをABTのメト・シーズンと呼んでいます。ちなみにオケはABTオケで、
チケットの販売ルートや会場が共有される以外は、メトロポリタン・オペラとは関係がありません。)
ニーナのジゼル、ジリアン・マーフィーのミルタを初め、
多くのキャストが前述の昨シーズンからの公演とかぶっているのに加え、
アルブレヒトが今回は、マルセロ・ゴメス!!!!!!

バレエの鑑賞で泣かされるのは、怪我などの理由でキャストが変更になる場合が多く、
それは、オペラの公演で歌手が降板する頻度の比ではありません。
また単純に一人だけ交代するだけではなく、パートナーとの関係などから、
玉突き的に全スケジュールに渡ってキャスティングが影響を受けることが少なくなく、
あらかじめあるダンサーを目当てに購入していたチケットが当て外れになることもままあります。
そんななかで、一度も当てが外れたことがないばかりか、
チケットを購入後にキャストが発表された場合や、キャストに変更があった場合でも、
ゴメスに当たることが多いのは、これは彼が極端にキャンセルや怪我の少ないダンサーだからなのか、
はたまたダックスフントつながりがなせる縁の技なのか?

ああ、ゴメスもルアちゃんも素敵 私もそこに混ぜてー!




オペラやバレエ鑑賞を頻繁にしていると、ある歌手との縁、また縁のなさ、というのを感じることがあって、
振られる人には毎回振られ、そうかと思うとまたあんたか!と思うほど同じ人に当たってしまうことがあります。
さらに、またあんたか、、のその相手があまり好きな歌手でない場合、悲惨です。
私の場合のアラーニャのような、、、。
その点、いい意味で”またあなたなのね!”と思わされるパターンがこのゴメスで、
私がバレエを観始めて以来、ダントツで生で観た回数が多い男性ダンサーが彼です。

また、彼に関しては、本当に幸せなことなんですが、
彼のキャリアの一番面白い時期に私の鑑賞歴がはまったような気もしていて、
毎回観る度に激しく進歩している彼を観るのは本当にエキサイティング。
ABTは実力のあるプリンシパルを抱えていて、すでに成長の曲線の勾配がゆるやかになった、
ベテランのダンサーたちの、完成に近い技を見るのも素晴らしい体験ではあるのですが、
彼のように、非ベテラン・ダンサーで、その成長を見守らせてもらえるという、この楽しみはまた格別です。
というわけで、彼は私が最も応援しているABTのダンサーである、と言ってもよいかもしれません。

そして、今日の公演は、その期待通りの、いえ、期待以上のゴメスの進歩にまたも驚かされる公演となりました。
というか、毎年パワーアップするその幅が大きくなっているような気すらします。

彼の踊りは、例えばマリインスキーのNY公演の際に多くの男性ダンサーから感じた軽やかさのようなものは希薄で、
その重量感(鈍重という意味ではなく、踊りに備わった男性的と言ってもいい重さ。)をどう捉えるか、が、
彼を魅力的なダンサーと感じるかどうかの分かれ目になるかもしれません。

彼の踊りの長所である、端々にまで神経が通った美しさ、男性的でダイナミックでありながら備わったエレガントさ。
それらの方向性は全く変わっておらず、長所がそのままパワーアップしていたのはとても嬉しかったです。



またその一方で、彼の決意というか、”彼らしさ”をこれまででも最も強く感じたのが今日の公演でもありました。
彼がコンテものでも素晴らしい実力の持ち主であることは以前のレポの通りですが、
そういったコンテンポラリーの新作を踊ることで得たものが、血肉となっている、という感じで、
今日の彼の踊りからは、古典レパートリーなのにもかかわらず、
良い意味でのコンテものの影響を感じました。
古典は古典らしく!という考えの方もいらっしゃるでしょうが、
古典の中にすっと一瞬吹き込む現代っぽさというか、は、私はとても新鮮だと感じました。

また、もともと演技力に関して評価が高い彼ですが、完全に次の圏に突き抜けた感じがします。
彼が特に今回の公演で素晴らしかったと私が感じたのは、
もはや、彼が美しくないことを恐れていない、ということです。
ジゼルを死に追い込み、ヒラリオンらに責められる場面でよろよろよろめくその格好悪さ、
その場から全速力で逃げ出してしまうことしか出来ないアルブレヒトのだささ、、。
美しく踊ることは彼のようなダンサーなら簡単なことでしょうが、
そこを越えて、何かを表現するという強烈な意思。
これがあるからこそ、第二幕でのウィリに半殺しにされるまで踊り続けなければならない凄惨さの表現が可能なのです。
ヒラリオン役のサヴェリエフがその少し前に、似た状況でそのまま死に至りますが、
そのサヴェリエフの踊りと比べても、緊迫した感じと凄惨さの違いが明らかです。
こういった、同じ、または似た振付の個所で、ダンサーの力量がおのずと明らかになるのが、
バレエのベル・カントならではのこの作品の面白いところです。

また、さらにすごいのは、凄惨さの向こう、つまりウィリに課された肉体的な辛さを越えたところに、
本当にアルブレヒトを苦しめていること=ジゼルを死に追いやってしまったことへの
激しい後悔と彼女への思慕の情という、精神的な苦しみをゴメスが見事に表現している点です。
彼の踊りを見ていると、この場面で、この肉体的な苦痛から逃れ抗う、というよりは、
このままジゼルがいる場所に行ってしまいたい、
つまり、死んでしまいたい、とアルブレヒトが思っているようにさえ感じられるほどです。




だから、ジゼルが彼を身を呈して助けた後、彼が彼女の墓(木で作った十字架)の前から身を起こし、
花を撒きながら一歩、二歩と立ち去るラストの場面には、
その彼女の優しさの記憶だけが、その後の彼の生きるたった一つの理由になっていくような、
独特のせつなさが溢れます。

ゴメスのこの表現力の進化を可能にしているのが、まさに先に触れた、
① 格好悪さを恐れない
② 手段を選ばない (古典レパートリーにコンテらしい振りのテンポやシャープさを取り込むことを厭わない)
ということの二点で、その結果、今や、他のどのダンサーとも違う、
”ゴメス・スタイル”を感じ、彼は本当に今後も要注目である!との思いを強くしました。

一方、昨年の公演で、氷のように冷ややかなミルタを演じて私を魅了したジリアン・マーフィーですが、
今日の公演ではどこか人間らしさを感じる表現に変わっていたのが興味深かったです。
ミルタにもジゼルのような悲しい過去があったのかな?と思わせるような、、。



テクニックも安定していて、彼女のこの役はいつも一定以上の、
それも高いレベルのパフォーマンスが期待できるように感じますが、
私個人的には、彼女には昨シーズンのような、徹底的に体温の低そうな、
”バッタの足ををむしって喜ぶ女”系のミルタの方が彼女の個性に合っていると思います。
”去年のあたしはちょっと怖すぎたかしら?”などという邪念を抱くことなく、
せっかくの意地悪に見える美人顔を生かし、怖いミルタを追究して頂きたい!

リッチェットとマシューズのペザント組は昨シーズンに続いて健闘。
サヴェリエフのヒラリオンは昨年よりも踊りにキレ感が増し、
ソロで踊る個所はそれなりに見せてくれたのですが、
先ほども書いたとおり、ウィリに踊り狂わされる部分のうち、
ゴメスがつい数分前にサヴェリエフが踊ったのと似た振付部分を踊る個所は、
”ああ、やっぱりゴメスとサヴェリエフの間には何か決定的な差がある!”と
観客がはっきりと思い知るという、芸術というものの残酷さを垣間見る瞬間になっています。
このたった少しの、しかし、決定的なギャップ、というものをどれだけ埋めていけるかが、
今後の彼の頑張りどころだと思います。

ミルタの直属の部下、モイナとズルマのうち、ズルマ役を踊ったのが加治屋さん。
あの回転時に独特のためのある”加治屋ターン”と、上半身の美しさが私は好きなのですが、
今日はコンディションが良くなかったのか、いつもの彼女の良さが出切っていませんでした。
モイナ役のボイルストンと舞台上で交差する時には、
加治屋さん側のミスでボイルストンとほとんど接触寸前になり、その動揺が若干後を引き摺っていたように思います。
しかし、その後に続くコール・ドと一緒に踊る場面までには持ち直し、
そのコール・ドとの群舞は、”ABTのコール・ドはなあ、、”とよく言われる中にあっては、
非常に良い出来で、大変良く揃っていたと思います。
ここは音楽と振付のおかげもあって、こうして上手く決まると、すごくわくわくさせられるシーンであることも発見。
ここらあたりも、合唱が時にぴりりとスパイスを利かすベル・カント・オペラとそっくりです。
ABTの群舞の場面で、これほど拍手が多かったのを聞いたことがないくらいの盛り上がりようでした。



ニーナのジゼルは、もう今さら何を言うこともないのかもしれません。
彼女の年齢を考えると、当然肉体的にキャリアのプライムにいる
20代から30代のダンサーのような技の精緻さやキレを求めるのは無理な話で、
特に今回は相手役がまさに自らのプライム・タイムにさしかかりつつあるゴメスであったため、
必要以上にそれが強調されてしまった結果になっていた部分はあります。

しかし、そんなことが些細なことに思えるような、何か特別なものが彼女の踊りにはあって、
彼女の動きの一つ一つから、私達はジゼルの気持ちを痛いほど感じ取れる。
もはや”役を踊って”いるのではなく、”役を生きて”いる、
それがニーナのジゼルです。



バレエ版”狂乱の場”と私が名づけた一幕最後で、
アルブレヒトとの数少ない幸せな思い出の一つである冒頭の花占いを思い出しながら、
一枚ずつ花びらを抜いていく場面では、その仕草から、
彼女の”どうして?どうして?”という叫びが聞えて来ますし、
混乱したまま息絶えてしまう場面の、本当に一瞬でありながら、
なお、体の足元側から徐々に上に向かって力が抜けて行くのがはっきりと
観客側に感じられるあのリアルさは息を呑みます。

昨年の『白鳥の湖』の時にもそうだったのですが、
ニーナが踊る白系の作品での女性たちからは、聖母のような優しさを感じます。
ラストの、十字架でバランスをとりながら、アルブレヒトに最後の別れを告げるシーンでの彼女はあまりに優しく、
それが一層、アルブレヒトを後悔させることになるのです。
全く状況は違っているのですが、自分の過ちのために愛する人を失い、
罪と後悔の意識に苦しめられながら、残りの人生を過ごさなければならないというこのアルブレヒトの状況は、
『アイーダ』のアムネリスと通じるところがあり、
実際、『ジゼル』を見終わった後の切なさは、『アイーダ』の鑑賞後感にも少し似ています。
ベル・カントでありながら、最後にヴェルディに変態、とは、『ジゼル』、全く侮れない作品です。



ニーナという人は、共演するダンサーたちから最高の力や潜在能力を引き出す力があると昨年も感じましたが、
ゴメスとのコンビは、彼にものすごく大きなインスピレーションを与える結果になっているように感じます。
もともと演技の素養に恵まれていた彼が、同じく表現に秀でたニーナと共演することで得たものは
計り知れなかったはずです。
ということは、今日のゴメスの大熱演も、ニーナの貢献があってこそ、なわけで、
彼のこの一年の大成長ぶりは、今シーズンでABTを引退するニーナがたくさん残して行ってくれる
ABTの観客へのプレゼントの一つといえます。

そんな彼女が今年でABTを去るとは本当に本当に残念。
ニーナのABTでのさよなら公演『白鳥の湖』はコレーラとの共演で、
彼女の聖母のようなオデットを私もしっかりとこの目に焼き付けて来たいと思います。

(公演の写真はNYタイムズからで、全てこの日の公演のもの。
レポートの内容と呼応するよう、実際の順番とは少し組み替えています。)


Nina Ananiashvili (Giselle)
Marcelo Gomes (Count Albrecht)
Gennadi Saveliev (Hilarion)
Carlos Lopez (Wilfred)
Susan Jones (Berthe)
Victor Barbee (The Prince of Courland)
Maria Bystrova (Bathilde)
Maria Riccetto, Jared Matthews (Peasant Pas de Deux)
Gillian Murphy (Myrta)
Isabella Boylston (Moyna)
Yuriko Kajiya (Zulma)

Music: Adolphe Adam
Choreography: after Jean Coralli, Jules Perrot, and Marius Petipa
Staging: Kevin McKenzie
Costume: Anna Anni
Lighting: Jennifer Tipton
Conductor: Ormsby Wilkins
American Ballet Theatre Orchestra

Metropolitan Opera House
Grand Tier C Even

*** ジゼル Giselle ***

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42 コメント

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いよいよ。。。 (yol)
2009-06-09 23:17:16
いよいよバレエのシーズン。
早速の『ジゼル』、感想を楽しみにしています。

待ってるわー
返信する
待ち受け画面はこれ! (Madokakip)
2009-06-10 12:26:43
 yol嬢、

オペラは少なくとも数回は同じキャストで公演があるので、
写真が見つけやすいのだけど、
バレエの場合はキャストが日替わりに近いため、
下手をすると私が観たのと同じキャストの写真はない!という場合があって、困ってます。
その上、この日の公演は『ジゼル』の初日だったので、
仮に二人の写真が出始めるとしても、何日か待たなければなりません。

というわけで、強引だけど、今後、
ゴメスが出演するバレエの作品で
写真が未出のものは、このルアちゃん(だったわよね、確か?)との写真が
デフォルトの待ち受け画面になります。
そこのところ、よろしく。
返信する
気があってます。 (ゆみゆみ)
2009-06-10 22:19:27
私も「ジゼル」が大好きです。これを見て何度泣いたことか・・・。
ニーナさんのジゼルを見てから、他の人のジゼルがナカナカ見れず困りました。
ニーナさんABTを去るのですか?私の追いかけの走りの方です。流石に海外へは行けませんでしたが、日本に来たものは全てお休みを取って出かけました。バレリーナは、引退が早いですね。本当に寂しくなります。
返信する
ジゼル後援会 (Madokakip)
2009-06-11 11:01:45
 ゆみゆみさん、

おお!!!
ここにもう一人、『ジゼル』を好きなヘッズの方がいらっしゃるとは!!!

>これを見て何度泣いたことか・・・

わかります!!
私はジゼルがウィリになってしまう二幕の幻想的な感じは、
『ルチア』なんかの狂乱の場に通じるところがあると勝手に思っていて、
あと何となく全体の作品の雰囲気から、
『ジゼル』をバレエのベル・カント呼ばわりしているのですが、
また一方で、ラストのアルブレヒトがジゼルに助けられ、
彼女はあちらの世界に、彼は現世に残る場面のあの余韻は、
全然プロットのシチュエーションは違うのですが、
『アイーダ』のラストの、アムネリスが後悔の念を持ったまま
残りの人生を生きていかなければならない、という、
あの余韻と似ていると思うのは私だけでしょうか?

ニーナは、そうなんですよ、今シーズンでABTからは引退です。
自国のバレエ団を中心に踊り続けるようですが、
ABTを引退してしまうと、これまでのように頻繁に見れるわけではないでしょうから、
しっかり今シーズンの彼女を目に焼き付けたいと思います。
昨年の彼女のジゼルは最高でした。

http://blog.goo.ne.jp/madokakip/e/dff791b108bd14ed2f501d398b0cb9be

今回のレポ、数日中にあげる予定ですので、
お待ちくださいね。
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パチパチ。 (ゆみゆみ)
2009-06-12 15:05:02
2008年の感想を拝見しました。私の感動と同じです。私はニーナさんの「ドンキ」をTVで観て、生を見たいと思っていました。来日した彼女の公演は「ジゼル」で、全く知ら無い演目。初めて見て「何て素敵な舞台」かと感動しました。王子をかばう為に踊るニーナさん・鐘と供に分かれのシーンが始まるのですが、私は音楽と彼女の舞に「もう会えなくなるんだ、可愛そうに」と思うと涙が止まらず、鼻水はズルズル。一緒に行った娘から「恥ずかしい」と言われるほどでした。
その時のニーナさんが素晴らしいのは言うまでも有りませんが、愚かにも誰が踊っても同じなのだと思ってしまいました。その後色々な方の舞台に行きましたが、今では余程の事が無いと行かない事にしています。それは、あんな感動が得られず、不満のまま帰途に着くからです。
そうだったのですね・・・。ニーナさんはあの表現より更に磨かれていらっしゃることでしょう。見たいな~~。
「グルジア」との来日で久々「白鳥」を見ました。今まで本当に彼女は“鳥なのでは”と思いましたが、今回は「人間」を垣間見ました。監督は大変なのだろうな~。と思ってしまいました。最後のABT、まだニーナさん出るのでしょうか?頑張れ!!
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フェアウェルは白鳥! (Madokakip)
2009-06-14 16:30:40
ゆみゆみさん、

そうなんですよね、あの朝日が差し込みはじめて、
ジゼルがアルブレヒトに別れを告げる場面は、
二度と二人とも会えないということを知っている、
最後の別れなんですよね。泣けます。
一幕の最後の”狂乱の場”もニーナのように
力がある人が踊ると素晴らしい場面になって、
この作品は、すぐれたダンサーを得ると光り輝きます。

>愚かにも誰が踊っても同じなのだと思ってしまいました

最初にすごい人にあたると、その危険がありますよね。
私はおかげさまで、最初にレイエスとコルネホ組を観、
そのおかげでニーナの公演がいかにすごいか、実感しました。
レイエスとコルネホ組が悪くなかったのでなおさらです。

>最後のABT、まだニーナさん出るのでしょうか?

ABTでの最後の公演は、
つい先ほどアップした記事の本文にも書いたとおり、
アンヘル・コレーラとの『白鳥の湖』です。
私も彼女の昨年の白鳥からは人間を感じました。
フェアウェルは私も観に行きますので、
こちらで感想をご紹介しますね。
返信する
ゴメスのつま先が美しい!! ( F)
2009-06-14 22:31:00
こんばんわ。
レポ楽しく拝見しました。
私もミルタは「液体窒素かッ!」というほど、キンキンに冷えたタイプが好みです。
おそらく悲しい過去を背負っているだろう事を微塵も感じさせない氷の女王。
それでこそ男連中をなぶり殺しにできるのですから。
ミルタといいガムザといい、なんてサブキャラ好きなのでしょう(笑)

ニーナの共演者に対するケミストリーはよくいわれるところですね。
本当に稀有な資質を持ったダンサーだと思います。
ABTでのラストシーズン。怪我の無いように頑張ってほしいです。
最後の「白鳥の湖」もものすごく楽しみにレポを待っています。

返信する
バレエも盛況 (みやび)
2009-06-14 23:24:25
「ジゼル」=ベル・カント論…興味深く拝見しました。『バレエ作品におけるチャイコフスキーの音楽…ヴェルディとかワーグナーの、歌手がイマイチでも、音楽そのものがある程度公演をひっぱって行ってくれる』という感じ、わかるような気がします。ただ、バレエ公演で音楽に満足できることは結構少ないような気が…なぜならオケがイマイチなので。
一方、私のイメージでは、ベル・カントには美しいメロディがつきもので…やはり、希代のメロディー・メーカー(と私は思うのです)ベッリーニ、ドニゼッティとアダンの間には越えられない壁を感じてしまいます(アダンに申し訳ないですが)。

と、これは私の個人的見解でして、「ジゼル」が素晴らしいバレエ作品であることには心から賛同いたします!
しかし、私が「ジゼル」を観たのは10年以上前が最後。パトリック・デュポン(アルブレヒト)、モニク・ルディエール(ジゼル)、ゲジミナス・タランダ(ヒラリオン)、リューボフ・クナコワ(ミルタ)の公演が心に焼き付いてしまい、しばらくは他のメンバーで観る気がしなくなってしまったので。その後はオペラに予算を吸い取られてやはり観る機会がなく(爆)。パトリック・デュポンのアルブレヒトは賛否両論(否の方が多かったかも)でしたが、私はすっかり嵌ってしまったのでした。ルディエールのジゼルは、彼女のイメージに合っているので賛同してくれる人も多いかもしれません。
ということで、ニーナの「ジゼル」は、もしかして日本でも踊ってくれたのかもしれませんが、私は観ていません。今となっては残念ですが、「ドン・キホーテ」のキトリなどを観ることが出来たのですから、我慢しなくては。
ニーナは私のイメージしていたプリマ・バレリーナそのもので、漫画から抜け出てきたみたい、と思ったものでした。

アンヘル・コレーラは、これも何年前になるのか忘れましたが、ABT来日公演のガラ・コンサートで初来日した時(←だと思いますが、ちょっと不安)に観ました。とにかく、若くて溌剌としてべらぼうにスピードがあってびっくりしたのを覚えています。会場も物凄く盛り上がりました。その彼が、ニーナのフェアウェルで踊るというのも、感慨深いものがあります。こちらの感想も楽しみにお待ちしています。
返信する
ケミストリー (ゆみゆみ)
2009-06-15 14:37:12
ケミストリー。バレエにもあるのですね。オペラでは「オネーギン」で強く思いました。
そのように見ると「バレエ」も違ったものが見えたのかもしれません。今となっては残念です。こちらを拝見するようになり、色んなことで疑問だったことが、「私だけでなかったのか」と安心したり、「そういうことなのね」と感心したり。ほぼ1年本当に楽しかったです。ありがとうございました。
バレエが終われば、メトは完全に休養に入るのでしょうか?
寂しくもあり・来年度が楽しみでもあります。
返信する
つま先のみならず/アダン撃沈!/来シーズンまでお休み (Madokakip)
2009-06-16 13:39:09
頂いた順です。

 Fさん、

美しいのはつま先のみならず、全てですー。
というか、私はオペラ自体は熱く愛しているものの、
個々の歌手については、それが自分の好きな歌手であっても、
どこか冷静に見ている部分もあるのですが、
なぜだかそれがバレエでは正反対でたがが外れまくり。
ゴメス溺愛状態!です

ミルタ、同じです!!
私も液体窒素系が好きです!
去年のマーフィーはまさに!だったんですが、
今年はどうしちゃったんでしょうか?
彼氏に、”あんな君、ボクちょっと怖いよ。”とでも言われてしまったのか、、?
迷わないでほしい!
あんなに冷たい感じを出せる人は、
そうごろごろいるわけではないんですから!

最後の『白鳥の湖』は、
いつもアダージョのところで涙してしまうという、連れとの鑑賞です。
(一昨年のABTの公演で確かに泣いていた、、。)
彼には初ニーナ(そして多分、最後のニーナ)になると思うので、
彼がニーナの最後の舞台をどう感じるかも興味深いところです。
感想の中で彼の意見もご紹介したいと思っています。

 みやびさん、

>なぜならオケがイマイチなので。

ああ、私が普段から不満に思っていることを言葉にしてくださって、
ありがとうございます。
(としらじらしく言ってみたところで、
今までのレポで、何度もオケへの不満を噴出させているのはばればれ!)

そう!もうですね、こういっちゃなんですが、
ABTのダンサーにあのオケは犯罪ですよ!
というか、一度、オケの非番メンバーを日替わりで、
舞台鑑賞させた方がいいと思う。
多分、ピットにいるから、舞台でどんな素晴らしいパフォーマンスが行われているのか
わからないのでしょう。
わかっていたら、恥ずかしくて生きていけないはずです。

とはいえ、そんなABTオケの中ではこの『ジゼル』、
比較的いつもオケが安定している方なんですよ。
『白鳥の湖』なんかと違って、明らかな失敗に陥りやすい個所もあまりないですしね。
そのせいなのか何なのか、アダンのこの曲は悪くないな、と思っている私です。

アンヘルといえば、

>とにかく、若くて溌剌としてべらぼうにスピードがあって

同感です!!
私が彼を始めて見たのは実はメトのオペラの公演の方でして、
なんと、『ジョコンダ』の時の踊りのソロが彼でした。
メト・オケの生き生きした演奏に、
アンヘルのはじけるような踊り。
それはもう至福の時でした。
バレエにだって絶対いい音楽(演奏)が必要だ!と思います!

私はバレエは本当に鑑賞しはじめて日が浅いので、
デュポンもルディエールも、DVDですら観たことがありません。
昨年はマリインスキーがNYまで来てくれましたが、
ABTとは思っていた以上にコール・ドの力と雰囲気が違っていてびっくりしました。

パリ・オペラ座、ロイヤル、ボリショイ、、
これから見て観たいカンパニーがいっぱいです。

 ゆみゆみさん、

『オネーギン』とは、フレミングとホロストフスキーのことですね、きっと。
ABTのシーズンのおかげで、観ようと思えば、
一週間通しで同演目、違ったキャストの日替わりで観れるので、
ケミストリーの違いというのがすごく感じられて面白いです。

こちらこそ、今シーズンはたくさんコメントを頂き、本当にありがとうございました。
来シーズンも燃えますのでお付き合いくださいね!
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