Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

RUSALKA (Thurs, Mar 12, 2009)

2009-03-12 | メトロポリタン・オペラ
しかし、ルネ・フレミングという人は録音しているCDの数が多い。
おかげさまで上演されることが少ない演目でも予習マテリアルの入手が簡単に済み、ありがたいことです。
『タイス』しかり、『ルサルカ』しかり。

我が家にある全幕盤の『ルサルカ』の一つは、フレミングが表題役を歌っているもの。
もうかれこれ10年ほど前に購入したセットで、月に寄せる歌
(”ヴェルヴェットのような空にかかる月よ Mesicku na nebi hlubokem ")以外は、
何度かさらりと聴き流しただけで、多分、実演予習に使われることは絶対にないであろうと
ずっと我が家の棚で冬眠生活を送っていたのですが、
ここ最近は一転、今日の公演のために俄然フル回転(まさにCDのターン・テーブルの上で)の日々でした。
あまりにも長い間聴いていなかったので、それまではすっかり忘れていたのですが、
この盤で王子を歌っているのはベン・ヘップナー、そして、イェジババがドローラ・ザジック(!)です。
実は私がはじめてルネ・フレミングの全幕の歌唱にふれたのは、メトの舞台ではなく、
この『ルサルカ』のCDなのですが、
この盤が録音された頃の彼女の歌唱は、”ルネ節”とでも呼びたくなる最近の
あの独特かつエキセントリックな歌い方がまだそれほど目立つものにはなっていなくて、
端正な歌を歌っており、私の中では比較的印象が良くて、そのために、
フレミングは『ルサルカ』のような演目では良い歌唱を聴かせる、という思い込みになっていたのですが、
その印象は久々にCDを取り出した今回も変わりませんでした。
マッケラス率いるチェコ・フィルも瑞々しい演奏を聴かせていますし、
もちろんイェジババのザジックは、役の方が彼女の偉大さに追いついていないような印象があるものの、
もちろん安定した歌を聴かせています。
こうして聴くと、彼女の特に高音で顕著な、クリスタルっぽい硬質な響きは、
こういったスラヴ系の音楽や言葉に相性が良いように思います。
ただし、王子役のヘップナー、彼に関しては非常に複雑な気持ちです。
というのも、彼は昨シーズンの『トリスタンとイゾルデ』もウィルスを理由に、
ほとんどの公演をキャンセルしてしまいましたし、
また、今シーズンの『スペードの女王』でも、声が腰砕け状態になって、
深刻な喉の障害を疑っているオペラヘッドが少なくありませんが、
その中に、”彼の声には(『スペードの女王』でそんなことになるずっと前から)
不自然な、無理矢理ものをこじ開けるような響きがあるとずっと感じていた。”という意見の人がいます。
そして、この『ルサルカ』CDの王子役での歌唱を聴くと、私もその意見に頷かざるをえません。
まさに、発声に関して”不自然”という言葉がぴったりで、
それが聴いているこちらを落ち着かせない、というのか、
段々と座り心地の悪い椅子に座っているときのような、妙な疲れと違和感を感じます。




このオペラは、簡単にかつ強引に説明すれば、スラヴ神話のルサルカ
(水の精のこと。なので、ルサルカというのは、人の名前ではなく、このオペラに出てくる
主人公のルサルカの姉妹たちもまたルサルカ、複数形はルサルキです。)に、
人魚姫の物語のプロットを持ってきたような作品で、細かい部分の違いはもちろんありますが、
大筋では、ほとんどアンデルセンの書いたそれにそっくりです。

CDについてきた解説によると、ドヴォルザークという作曲家は異様なまでに
オペラ作品で成功することに執念を燃やしていた、といわれ、
同じ台本に全く違う曲をつけて、二本のオペラ作品として完成させたり、といったことまでしているのですが、
ずっと、オペラの作曲にはそれほど優れていない、というレッテルが貼られていた、といいます。
そして、まあ、残念ですけど、そう思われても仕方なし。
彼にはオペラの作曲家としての資質がないように私も感じます。
こんなことを書いて、またクラシック音楽のファンの方に銃殺されそうですが、
誤解のないように注釈しておくと、彼は優れた音楽家、オーケストレーターではあると思います。
でも、オペラという枠の中で音楽をどう鳴らせばドラマを伝達できるか、というセンスがとことん欠けている。
マ○ネなどのぷよぷよ音楽と違って、オーケストレーションの技術もしっかりしているし、
聴いていて、”なんだあ?このすかしっ屁のような曲は?!”といらいらさせられることもないし、
むしろ、音楽の肉付けはすごく達者で、その安定した技術はこちらに一切の不安を与えないほどです。
なのに、なんだろう、、?それ以上の何物でもない。
オケの演奏に関して言えば、CDのチェコ・フィルの演奏は、かなりいい方の部類に入ると思うし、
それなりに美しい個所もあるのですが、ドラマとしてのオペラとしてみたときに、
これほど退屈でつまらないオペラも少ない。
しかも長い。というか、とてつも長く感じる。
(同じCDの解説書によれば、彼の作品の中には、”厚顔なまでにワーグナー作品とそっくり”な
ものがあるそうですが、ワーグナーが実際に演奏時間が長いのにそう感じさせないのに対し、
この『ルサルカ』は実際はそう演奏時間が特別長いわけでもないのに、激長に感じる。)



おそらく、このオペラを有名にしているのは、あの美しいアリア、”月に寄せる歌”なんでしょうが、
第一幕の前半に登場してしまいますから、後は楽しみにするものがほとんどありません。

作品としてかように限界のあるこの作品で、それなりに劇場で観客が楽しめる公演となるには、
歌手の歌が優れていることももちろんなのですが、それ以外に、
① オケの演奏が優れていること
(ドラマが欠如しているのだから、後はオーケストレーションの妙を楽しむしかない!)
② この作品のスラヴ的雰囲気が上手く伝わる演出であること
といったことが重要です。

そして、今日の公演は、歌手と①の点に関しては、底辺を行く演奏でした。
オケが本当に疲れた音を出していて、聴いているだけで、こちらまで一層疲れたき分に。
日曜に迫った125周年記念ガラのリハーサルでこき使われて、疲労困憊しているのかもしれません。
オーケストレーションの妙なんていう話は今日はよしておくことにします。
時に”おや?”とちょっと耳をひかれる美しい部分もあったのですが、
まあ、全体的には、今日はとても悪い日に当たってしまいました。
それから、これは、疲れとか運には関係のないことだと思うのですが、
スラヴ音楽の独特の雰囲気がオケに染み渡っていない気がしました。
何やってんでしょうね、指揮者のベロラベクは?
わざわざチェコ人の指揮者を連れてきた意味ないし。
特に舞踊音楽的なエッセンスを感じさせる旋律に、どうしようもないアメリカらしさが漂っていて、
こういう微妙なニュアンスというのは簡単に再現することが出来ないものなのだな、と感じます。

一方、歌の方はといえば、こちらもまた温度の低い日に当たってしまいました。
非常に珍しいスケジュールの組み方なのですが、
この日からたった中一日をはさんで、また土曜日には『ルサルカ』がマチネの公演にかかることになっており、
さらに悪いことにはそのマチネが、全国ネットのラジオ放送の日にあたっています。
ということで、今日のフレミングは土曜に備えて終始省エネ節約モード。
これってちょっと本末転倒だ、と感じている人は私以外にもきっといると思うのですが、
最近ではHDとかラジオの放送の存在があまりに大きく、かつ、昔以上にそういった機会の頻度があがっているので、
歌手も人間、ラジオの放送などが全くない今日のような公演と、全国・全世界に歌声が
伝わってしまう日の公演と、どちらに力を入れるかは自明のことです。

彼女は普段は決して声量がない方ではないのですが、
今日の公演では音楽の盛り上がる部分だけを思いきった声量で歌い、
後は軽く流しているだけな感じがしたほどです。
コンディションの配分もあるからでしょうが、特に一幕での声量の不足は
フラストレーションを感じるほど。
一幕の前半は、写真にあるような木(リブレットでは柳)に座っているのですが、
あまりに声がか細いので、もしや、高所恐怖症なのかと思ったほどです。



それに加えて、最も恐ろしいのは10年の歳月。
ナショナル・カウンシルでまさにこのオペラの”月に寄せる歌”を歌い、
グランド・ファイナリストに選ばれたという経緯もあって、
フレミングにとっては特別思い入れの多いはずである『ルサルカ』なのですが、
たった10年で、これほどまでにこの作品にまでルネ節を炸裂させるようになっているとは、、。
もったりとした発声、はっきりしない発音、
どれをとってもこの役の、あの美しいけれど冷たそうな雰囲気とは全く相容れないと思いました。
10年前の歌唱の方が数千倍いいです、これでは。
月に寄せる歌に至っては、あまりに彼女が”ルネ”するもので、
もはや、月に寄せる歌ではない、何か彼女のオリジナル・ソングのような気すらしてくるほどです。
今の彼女のこの役の歌唱では、”彼女のルサルカはいい”とは私ももはや言えません。
彼女は年齢を経た方が綺麗になってきた、というラッキーな人なので、
見た目とか雰囲気はむしろ今の方がいいんですが、、、残念なことです。

彼女は演技の方が歌唱よりも説得力のあることがしばしばあるのですが、
ニ幕は、言葉を失ってしまっている(それを条件に、イェジババに
人間の姿にしてもらったから)ので、歌えないですし、演技が全て。
彼女の勝負のしどころです。

フレミングのルサルカの良かった点は、
”水の世界を捨てきれない”思い、これがよく表現できていたこと。
音だけで聴いていると、王子に愛されるために人間になりたいと言ったかと思えば、
今度は王子に捨てられたから元に戻してくれ、とイェジババに頼む、ということで、
すごくストーリーが唐突な感じがする個所が多い当作品ですが、
今日の公演のニ幕でのフレミングを見ると、王子を愛しながらも、捨てられる前から
すでにルサルカの心は水の世界を恋しがっていて、アンニュイな雰囲気すら漂っていました。
CDからは、王子にぞっこんで、そのためなら何を失っても怖くない、というような感じだと思っていたので、
今日のこの演技は新鮮で面白かったです。



歌で私が最も印象深く感じたのは、イェジババを歌ったブライス。
『オルフェオとエウリディーチェ』で格調高い歌を歌っていた彼女が、
一転、素もわからないほどの怪しげなメークで、魔法使いの老婆になりきってます。
彼女のすごさは、この間口の広さとそのどれをも非常に高いレベルで歌える実力、だと思います。
実際、彼女は少しコミカルな役の方が持ち味が出る部分があるのですが、
特にこのプロダクションでは、イェジババ役をかなりコミカルな路線で演出しているので、
彼女の本領発揮といったところです。



このかぶりもののネズミや蛙、ばった(?)らに混じって、クリ、ムリ、フック! Cury mury fuk
(日本語の、ちちんぷいぷいにあたる魔法を引き出す言葉)と歌う部分は、
あまりにインパクトが強くて、夢に出て来そうな気がしたほどです。
こうして、同じ役でブライスとザジックの歌を比べると、かなり声そのものの個性が
違っていることがわかり、ブライスは近々メトでアムネリスを歌う日が来るでしょうが、
ザジックとは全く違ったものを提示してくれそうで、とても楽しみです。
ブライスの声の魅力は、まるでぶら下がっているように聴こえて、それでいて外れていない音、というのか、
そのぶら下がる一歩手前の音色が何ともいえない彼女の個性になっているように思います。
ザジックがぴーんと突き刺すような、上に上がっていくような感じのする音とすれば、
ブライスは、声量はザジックに若干ひけを取るかもしれませんが、
その声の温かさが魅力となっていくでしょう。



『ルサルカ』初日の公演についてのNYタイムズの批評で、非常に高い評価を受けていた
アントネンコの王子は、私は全く評価しません。
それは、全く先に書いたヘップナーの歌唱を評価しないのと同じ理由です。
実際、声の出し方があまりにそっくりなので、ヘップナーが代役で上がっているのかと思うほどです。
今は若いですから、この強引な発声でもやっていけるかもしれませんが、
非常に危険な匂いを感じます。
というか、強引な発声でキャリアが短くなることは歌手本人の選択することですし、
それは観客がどうこう言えることではないですが、
しかし、また一方で、強引な発声というのは、聴いていて観客にとって心地よくないのであって、
この点において、観客が、もっと心地よいものを!と思う気持ちは当然のことだと思うのです。
ちなみに、声のカラーとか質感も、アントネンコの声はヘップナーにかなり似ていると感じました。
日曜の125周年記念ガラでは、”星は光りぬ”を歌うんですね、、
割と舞台で映えるルックスでは確かにあるのですが、、。

水の精たちの父親的存在であるノーム(CDの解説書ではゴブリンとなっていますが、似たようなものです。)
を歌ったジグムントソン。
昨シーズンの『ロミオとジュリエット』のローレンス神父など、脇役での出演が多い歌手ですが、
このノームの役はちょっと彼の手に負えていない感じがします。
ノーム役はそんなに脇といえるほど軽い役ではないので、もう少し力のある人を連れてきた方がよかったのでは、?
特にルサルカの身を最も心配し、最後に呪いを王子に落としたのは、
実はイェジババの魔法という鎧を借りた彼の親心でもあるはずなので、すごく重要な役だと思います。
その重要な役が力不足なので、なんともしまりのない舞台になってしまった、という一面もあったかもしれません。

それをいえば、外国の王女役のゲルケも、力不足。
パワフルな旋律でもって、人間の女性が持つ、”熱さ”、パッションを表現するのがこの役の最大の使命で、
人間と自分との強烈なギャップと敗北感をその結果ルサルカが痛感するという、
大事な場面を担っている役なのですが、ゲルケの奥行きのない声ではその使命が十分に果たせていません。



主役と準主役級に比べると、むしろ面白かったのは脇役のキャストたち。
まず、王子の台所を預かる少年として登場するズボン役のケイト・リンゼー。
以前、今”観て”聴いておきたいオペラ歌手の女性編で、ビジュアルの良い女性歌手の
若手のホープとして紹介した彼女ですが、最大のライバル、レナードが、
今年は『ドン・ジョヴァンニ』のツェルリーナを歌っているのに比べると、
リンゼーは『魔笛』の第二の侍女、そして今日のこの役、と、ほんのちょっぴり後を行っている感じがありますが、
私はやっぱりこのリンゼー、とてもいいものをもった歌手だと思います。
特に今日のこの演目では、彼女のパートはオケが割と厚い音で鳴っている上を歌わなければならない個所もあるのですが、
全く声量的に不足なく、しかも全く無理をせず綺麗な声を保ったまま鳴らせているので、
意外と歌えるレパートリーはレナードよりも広いかもしれないという気がしました。
声質も耳に心地よい響きがあって、少しずつステップアップして、いつか大きな役で聴いてみたい歌手です。

『蝶々夫人』のヤマドリや『つばめ』のぺリショーなど、
脇役専門で歌っているバリトンのデイヴィッド・ウォンが、狩人の役で舞台袖から聴かせた旋律も、
非常に美しく歌われていたと思います。



しかし、今日最大のびっくりは、第一の水の精のソプラノ、キャスリーン・キム。
ウォンと同じく韓国出身ということで、韓国は次々と力のある歌手を送り込んできます。
韓国のソプラノといえば、私は実演を観た回数が多いこともあって、
ヘイ・キョン・ホンを真っ先に思い浮かべるのですが、
そのホンさんを彷彿とさせる美しい声で、魅了されました。
水の精3人が全員で歌っていても、そのあまりに伸びのある美しい声でつい彼女だけが目だってしまうほどです。
退屈な『ルサルカ』で、唯一、ああ、この場面がもっと続いてほしい、と思ったのは、
彼女を含む3人の精のアンサンブルが聴ける第三幕のみとはなんと皮肉な、、。

最後に最も忘れてならないのは、②についての、オットー・シェンクの演出。
テクノロジーが発達した現在では、なんだかあまりにレトロな感じのするプロダクションでもありますが、
森の緑のまばゆいまでの美しさを表現した第一幕では思わず観客から歓声があがりました。
被り物の動物たちを登場させたり、ノームが河童のような化け物ちっくだったり、と、
ややユーモアに流れた部分をどう評価するかは、観る側に委ねられているかもしれません。
作品の持つ雰囲気を大事にしたこのセットは、
私はまさにそのレトロさゆえに孤高の場所を占めていると思いました。


Renee Fleming (Rusalka)
Aleksandrs Antonenko (Prince)
Stephanie Blythe (Jezibaba)
Kristinn Sigmundsson (Water Gnome)
Christine Goerke (Foreign Princess)
Kathleen Kim / Brenda Patterson / Edyta Kulczak (First/Second/Third Wood Sprite)
James Courtney (Gamekeeper)
Kate Lindsey (Kitchen Boy)
David Won (Hunter)
Conductor: Jiri Belohlavek
Production: Otto Schenk
Set design: Gunther Schneider-Siemssen
Costume design: Sylvia Strahammer
Lighting design: Gil Wechsler
Choreography: Carmen De Lavallade
Stage direction: Laurie Feldman
Grand Tier C Odd
ON

*** ドヴォルザーク ルサルカ Dvorak Rusalka ***

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11 コメント

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またまた同じ日に行ってました! (brunnhilde)
2009-03-15 17:38:26
こんばんは。
夢遊病の女に続き、私もmadokakipさんと同じ3/12に観に行ってました。フレミングに関しては、全く同感です。というか、ルサルカが十八番のはずのフレミングが、そこまで良くなく、期待外れだったので、madokakipさんのブログを拝見して納得したところでした。私は、「月に寄せる歌」では、高い所でバランスを取るのが大変なのかしら??と思ったり、全幕通して盛り上がりにかけるルサルカだったので、てっきり体調が悪いのかと思っていたのですが・・。風邪でもひいてない限り、あの省エネモードは、この日にわざわざ来た客に対して失礼ですよね。こういうスケジューリングは、ジョルダーニぐらいにしかこなせませんよ。これからチケットを買う時は、ラジオやHDがすぐに控えた回は避けるべき。参考になりました。。。あと、私も、ルサルカは98年のフレミングのCDで予習をしてたので、迫力感がない以上に歌い方の違いも疑問に思っていたところでした。10年の年月で、彼女のルサルカは、こんな風に解釈されたのですね。思い入れがあったり、歌う機会が多い作品では、フレミングほどになると、自分の解釈した歌い方をしてしまうのでしょうか?そう言えば、以前聴きに行った彼女のヴィオレッタでも、sempre liberaの出だしで思いっきりリキんで、殆ど都はるみの「あんこ~~」を彷彿とさせる歌い方だったので、一人でぷっと笑ってしてしまった事を思い出しました。(すみません、フレミング・ファンの方には怒られそうです)。そういう意味では、常に何かを模索するフレミングは、なかなかチャレンジングなんですね。
あと、water gnomeのジグムントソンに関しても全く同感です。いいアリアがあるのに、役不足な感じで残念でした。これをルネ・パペで聞いてみたかった。。。
ステファニー・ブライスに関しても同感、最高でしたね。以外と出番が少ないので、もっと聞きたかったです。
ただ、私はテノールのアントネンコは良かったと思いましたよ。たぶん声のタイプが好きなんだとは思いますが、プリンスの単純で高貴な感じもよく歌えていたと思いました。彼は昨年のザルツブルグでオテロを歌っているんですね。もう少し、じっくり聴いてみたいです。
madokakipさんの次は、日曜日のGalaですよね。羨ましいです。。。ここ2作品同じ日に観に行っていたようですが、Galaは手が出ませんでした。感想お待ちしてます。
返信する
オットー・シェンク (チャッピー)
2009-03-15 20:25:49
数枚の写真を見ただけで、その素晴らしさは容易に想像出来ます!
この人の指環、特にジークフリートの第二幕が大好きなんです。あの名プロダクションも今回で最後なんて本当に残念です。

フレミングのルサルカ、パリ・オペラ座のDVDで見ましたが、整形とまではいかなくとも、ホルモン注射くらいはやってますね。今の方が全然キレイ。一方、ゲオルギューはごく自然に劣化している印象。舞台で見る分には全く問題ないですけどね。
返信する
ルサルカ知りませんが。 (sora)
2009-03-16 15:47:04
>ドヴォルザーク~彼にはオペラの作曲家としての資質がないように私も感じます。
>ドラマとしてのオペラとしてみたときに、
これほど退屈でつまらないオペラも少ない。

クラオタではないので、ドヴォルザークといったら交響曲第9番『新世界より』しか思い浮かびません。そして大好きです。なんといったらいいか、ロマンを感じちゃいます(恥ずかしい
オペラ、ダメなんですね。残念。
盛り上がりに欠けるんですか?
CDとして聴く分にはいかがですか?

写真のフレミング素敵ですね。妖精みたい。人魚でしたっけ。
それにしても、気になるには2枚目。
なんですか、あれ?恐いです。
半魚人?あれがノームなんですか?


返信する
椿違い/惜しまれて引退/ドラマできないんです (Madokakip)
2009-03-17 11:25:38
頂いた順です。

 brunnhildeさん、

やはり一日として他と同じ公演というのはないので、
同じ演目でも、書いている内容が他の公演日ではあてはまらなかったり、というのはよくあるんですね。

『トロヴァトーレ』では、ルーナが爬虫類だ!と思った私ですが、
斑猫さんがご覧になったときはそうでもなかった、というのが良い例ですね。
今日、ある方から、連続してご覧になっている方が、
爬虫類度が段々下がっているとおっしゃっていた、
という面白い情報を頂いたばかりです。

同じ日の公演をご覧になっている場合は、
見ているものが同じなので、
意見の比較がしやすいですね。

私もHDやラジオが大事なのはよくわかるんですが、
それのためにセーブするというのは実は全然納得してないです。
けれども、それが事実として厳然とあるので、
今では出来るだけHDの日の公演などを選んでいます。
HDから降板するようなことになったら、それはもう非常事態としてあきらめもつきますし、、
(ヴィラゾンとか、、。)

セーブというのは問題外ですが、
仮に両方全力で取り組んでいるとして、
ではHDの日が他の日より絶対良いか、と言われると、
これはHDの方がいいという保証はないところが難しいところなんですが。

>彼女のヴィオレッタでも、sempre liberaの出だしで思いっきりリキんで、殆ど都はるみの「あんこ~~」を彷彿とさせる歌い方

(笑)、それはちょっと椿違いですよね。

アントネンコはすごく評価が分かれると思いますね。
125周年ガラの”星は光りぬ”でも大喝采を受けていました。
詳しくはそちらのレポに書きますが、
しかし、彼のどこか力の入った無理な発声、
ふがふがした発音が、やっぱり私は苦手に感じました。
立ち居振る舞いからは高貴な感じも出せる人で雰囲気は素敵なんですが、、。

そして、フレミングのルサルカは失望でしたね。
見た目の雰囲気がぴったりなだけにあの歌はがっかりでした。

 チャッピーさん、

シェンクのリングはこちらのヘッズにも人気があって、
今年のリング・サイクルで最後になってしまう彼の演出を惜しむ声はきっと大きいだろうと思います。

>ゲオルギューはごく自然に劣化

(笑)しわとか全然そのままですしね。
でも、それを隠そうとしたりしないことは、
ホルモン注射より素敵です!

 soraさん、

ドヴォルザーク、交響曲の作曲家としては素晴らしい才能と力を持っていると思うのですが、
オペラの作曲家はそれに加えて物語に沿いながら、
ドラマを音楽の中に作り上げる力がないとだめなんですよね。

フレミング、見た目は本当にこの役にぴったりなんですよ。

>妖精みたい
まさにルサルカとは水の精のことなので、そうお感じになられたということは、
ビジュアル的にはフレミングは花丸ってことです。
しかし、歌がそれについていってないんですよね。

>なんですか、あれ?恐いです。

私もこの公演を生で観る前にこの写真を観たので、
”なに、これ?河童?ジェイソン?(湖から飛び出してくるときの、、)”って感じでした。

>あれがノームなんですか?

そうなんでございます!
返信する
わかります! (jun)
2009-03-18 00:10:31
フレミングは美声だし、あたった時はすごく魅力も感動もあるんだけど、私の中ですごーく好きとは言えないものがあるんです。それはおっしゃる通り
>あまりに彼女が”ルネ”するもので、(笑)ということにつきます。われわれは”すかし歌い”って言ってるんですが
曲に関係ないところで妙な節回しで逃げるというか(すべてがプレヴィンのオペラじゃないんだから!)と思ってしまいます。それが毎回ひどいというわけでもなく、HDのオネーギンでは気にならないしパリオペラのルサルカDVDも素晴らしいです!でもマノン(あの”さようなら私達の小さなテーブルよ”のアリアはすかしが最悪でマノンは私は断然ネトレプコ派です)イタリアもの(前にガラコンで歌ったトロヴァトーレの”静かな夜”は意味もないところでどうしてこんなに節つけるのみたいなところがあって)所詮アメリカの歌い手だもんと片付けたくなることもあります。
演技はともかく、歌でその役になってくれ~ということでしょうかね。

私のただ一回の生ルサルカ体験は
90年晩年のノイマン&ウィーン国立歌劇場でガブリエラ・ベニチャコヴァーのルサルカ、そしてノームはエウゲニー・ネステレンコ!
ノイマンの暖かい音楽造りとネステレンコの豊麗な声と優しいキャラクターが忘れられません。
最初の水の精の登場歌好きです
返信する
永遠に判断保留 (Madokakip)
2009-03-18 12:36:17
 junさん、

”すかし歌い”(笑)、ニュアンスがよく伝わってくる絶妙な言葉です。

私も彼女に関しては、何をどれだけ見ても、
”こう!”と言い切ったり判断しきったりできないところがあって、
このまま永遠に判断保留になるのかな、なんて思ったりしています。
本当におっしゃるとおり、演目によってすごく良いときもあるんですよね。
CDの頃の『ルサルカ』は私、結構好きなんですが、
今回は全く違うものでした。
だから、キャリアのいつの時期に歌ったか、によっても、
随分印象が違うこともあるんだと思います。
しかし、この『ルサルカ』については、十年とはいえ、
こんなに歌い方が変われるものなのかな?というくらいの変貌ぶりでした。
それは声が衰えている、というような違いではなくって、
歌い方そのものが全く変わってしまっている、という意味でなんですが。

彼女は良くも悪くも(個人的には悪い方に寄っていると思いますが)、
歌にスタイル感がないですね。
何を歌っても”彼女流”です。

しかし、ガラで歌った『死の都』のアリアはよかったですよ。
彼女は最近のガラを聴く限り、一人で歌うときは、
あまり王道でないアリアを選んでいるように思うのですが、
多分、自分でもそのあたりの、スタイル感のなさという自覚があるのかもしれません。

この作品は、私は、観ていて弛緩してしまう部分があるというのか、
全編緊張して聞ける作品ではないのですが、
それにしても、この日の演奏は、
もうちょっと歌と演奏によっては、いい公演になったはずなのにな、と思います。

ベニチャコヴァーとネステレンコのノームですか!
ノームは、本当、大事な役ですよね。
そこをけちった時点で、メトの今回の公演は運命が決まってしまったのかもしれません。
返信する
放送日に当たる。 (ゆみゆみ)
2009-03-19 09:53:37
まだ頭はボ~っとしています。
12日は「フレミングってこんなに声が出ない人だっけ?」でしたが、14日は役柄(妖精というのは頼りなげ?)から少し抑えているのかな?と感じる程度。全体的にも締まって感じました。それが放送と関係が有るなんて。
以前書いていただいてましたが、放送が有ると後ろの壁に大きな箱がたくさん置かれていたり、細いですが、前にマイクが立っていたり。「夢遊病」では、録画なのか、クレーンに付けられている2台のカメラ・陸上の会場にある動き回る小型カメラ。落ち着きません。
ただお陰で端である筈の私の席が、中央の前に代えて頂けて、ラッキーでした。
韓国の女性歌手は、小柄なのに良く響く強い声が出ますね。少し尖った感じではありますが。

ブライスは上手です。ビューイングでの重い心の葛藤も今回のような面白い役もこなせるのですね。メイクが凄いのに表情が現れて引き込まれました。
王子は、普通の演目で見たい気がしました。
しかし、ガラでドミ様を聞いてしまうと、もっとお勉強をお願いしたいと思いました。

水はどの様に演出されるのか興味がありました。薄いネットみたいなものが張られ、スパンコールが付いているのか時々きらきら光ったりゆれたりで綺麗でした。出入りするシンクロのようなフレミングも美しかったな~!
同時に見た友人は、私とは異なり下手側で、その水が殆ど見えず、良くなかったとのこと。

私も2回目は下手から見たのですが、これが、高い木と小高い丘があるせいか、本当に見れませんでした。
「トロバ」もそうなのですが、見切れるほど端に座っているわけでは無いのにこうも印象が異なるとは・・・。
今までは、2回とも殆ど同じ角度で見ていました。今回行った人とバラバラの席で見て始めて、見る印象は、上手・下手・中央・階によりかなり異なるのだと驚きました。
返信する
お帰りなさいませ! (Madokakip)
2009-03-19 13:46:43
 ゆみゆみさん、

オペラお腹一杯の旅、お疲れ様でした。

今回はお会いできて、とても嬉し&楽しかったです。
オペラのことをああだ、こうだ、と話していると、
あっという間に時間が過ぎてしまいましたね。

『ルサルカ』のラジオ放送の日とこの日の公演の比較、
ありがとうございます。
やっぱり、そうでしたか。
さすがに放送の日はこの日のようなことはないだろう、、と思っていたので、、。

そうなんですよね。
HDは世界の皆様のためにはとても有益なプロジェクトではあるのですが、
劇場ではマイクやカメラ、クレーンの存在は結構気になります。

水の描写についても、感想から抜け落ちていました。
わかりやすく説明していただき、助かります。

水にノームが飛びこむ(実際にはネットに向けて飛び降りているだけですが)シーンは、
私は座席がグランド・ティアでしたので、
なんだか、かえるのように四肢が曲がっているのが
はっきり見えてでした。
その点で、このプロダクションはビジュアルの面からいうと、
平土間の良席から見るのが一番リアルでいいかもしれないですね。

そうなんです。座席が変わると、音の印象も、
絵の印象も全く異なるんですね。
特に私は音に違いがあると、感想を持つ時点で非常に困難を感じるので、
最近では、いつも、大体似たようなコンディションで観れ・聴けるよう、
同じあたりの席に座るようにしています。
返信する
やはりボケていました。 (ゆみゆみ)
2009-03-19 22:04:35
先ず1番にさせて頂かなくてはいけないお礼から。これを忘れるなんてあきれ果ててしまいます。

こんなに楽しい旅ができたのも、マドカキップさんのアドバイスのお陰です。本当に本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。

そしてこんなすばらしいレポを書かれる方とお目にかかれたこと。お寒い日でしたのにありがとうございました。これから拝読する時にマドカキップさんのお姿を思い浮かべることができ
更にこちらを拝見するのが楽しみとなりました。
日本に帰り暖かさに驚き、NYは寒かったな~と思い出しております。
NYも不順な気候なのでしょうか?どうぞ、お体に気をつけてくださいね。今後も毎回楽しみにさせていただきます。
(ハラハラ・ドキドキしながら)
返信する
23日からNYです。 (nagaim)
2009-03-20 10:07:50
madokakip さま

いつもブログでメットオペラの臨場感あふれるレポートを楽しみに拝見しています。

オペラ初心者の私も、23日東京を発ち、24日から28日のメットでの4本のオペラを観ます。NYには以前住んでいたことがありますが、METは初体験です。ライブビューイングと音はどう違うのか舞台は席によってどう見え方が変わるのかなどなど興味深深です。

この日程にはMETにいらっしゃいますか。もし、幕間にでもちょっとお話できたら嬉しいです。

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