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外側に立つということ

2008-03-03 19:54:53 | 撮影とテーマ設定2008~09年3月
Kayabachou005


今日は夕方からにわか雨との予報だったが、あさから割とよく晴れていたこともあり、思い切って洗濯物を干してから事務所へ向かった。午後には、古くから付き合いのある編集者氏と、今後の作業について打ち合わせを持ったが、写真の世界を取り巻く閉塞感、無力感の厳しさに、改めて暗澹たる思いを強めた。



もちろん、この場で具体的なことは明らかに出来ないが、例えば写真以外のことをなにも知らないし、また知ろうとすらしないにもかかわらず、闇雲に「写真を通じて世間に語りかけようとする」写真家が、WEB空間で声高に主張することについて、意識して強く危機感を持つよう促されたことは、同意できない部分も少なからずあったとはいえ、それでもやはり耳の痛い話ではあった。実際、編集者氏がわざわざそのような小言をたれたということは、自分もまた「写真のことしか知ろうともしないくせに、高いところから物を言いたがるお写真作家様」の同類か、そうとまでいわなくともかなり近い存在になっていることの裏返しであり、まず自分自身の問題として受け止めなければならないのは確かだった。



確かに、いくつかの点で認識の相違や事実誤認も無くはなかったが、全体として編集者氏の意見は筋が通っていたと思う。特に、デジタル画像を旧来の銀塩写真の延長線上に捉えるのは全くの誤りであり、そして写真に関わる人々の大半はその誤りから抜け出せていないとの指摘は全くその通りで、自分自身もかねてから同じことを考えていたなどと見苦しい言い訳を重ねるほか無かった。



自分は2回目の個展でフィル・シェリダンの「外側に立て…でないと物事の姿を見誤るぞ」という言葉を引用したが、正しく今こそが「写真の外側に立つ」べき時なのだろう。



外側に立つといえば、今日まで新宿ニコンサロンで開催されていた松下初美展は、文字通りの意味で「写真の外側に立つ」展示であり、自分としても極めて刺激的な展示であった。作品は、作家氏自身の「社会の内側に入るために、自分自身を外側に置き去る」経験を撮影したものといえ、ある意味では「自分の内面を抹消していった記録」とも言えなくはなかろう。
作家自身が、写真の外側からレリーズを握ったかのような作品のひとつひとつに、外側から世の中を観る人間のまなざしが写し出されており、心象風景の安易な投影に走りがちなテーマと取り組みながらも、あえて自らを作品の外側に置いた作家氏の才能には、ただただ脱帽するほか無かった。



やっぱ、なんでも内側に居続けると腐っちゃうものなのかなぁと、自分もほんとに気をつけねばいかんなぁと、そんなことを考えていた矢先に、編集者氏から耳の痛いことを言われたものだから、なにか偶然とは思えない流れのようなものを感じてしまったね。


松下初美 展
会場: 新宿ニコンサロン
スケジュール: 2008年02月26日 ~ 2008年03月03日
住所: 〒163-1528 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階 ニコンプラザ新宿内
電話: 03-3344-0565 ファックス: 03-3344-0566

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