この映画、アメイジング・クレイスを観に行ったときの予告編で知りました。
マリア・アンナ・モーツァルト(愛称ナンネル)は天才音楽家モーツァルトの姉。音楽の才能に恵まれたのだが、この時代は音楽は男の世界。作曲することやヴァイオリンに触ることすら許されなかった・・・。家族でフランスへ演奏旅行するなかでの情熱的な恋は彼女の音楽により生まれたものであったけれどそれも儚く散り、その後彼女はモーツァルトの音楽を支えることで生きていったと言う。
今でこそ音楽は誰でも身近にあるものだけど、始まりは貴族の文化であり「男性の仕事」だったんですよね。
映画の中でも、幼いモーツァルトが神童として扱われるのに、ナンネルは必要以上に前に出ないことを父親に強く言われるのが、印象的でした。
現代の仕事環境は、まだまだ男女平等とはいかないまでも、確実に男女の扱いは歩み寄る方向にあり女性でも生活できるだけのサラリーを得ることができる。かつては男性の聖域であった音楽業界の中でも女性の姿を多く見かけます。
そして一般市民でもオペラを観ることができるし、様々な音楽の演奏機会もある今の時代に生きる私たち、どれだけ幸せなことか・・・
時代は18世紀のフランス。
今の時代というか日本なら弔事に音楽は有り得ないけれど、喪に伏しているときも音楽があるというのは、教会で葬儀でも賛美歌を歌うことを考えれば別に不思議なことではないのですが、改めて文化の違いを感じます。様々なシーンもまるでオペラの一場面のよう・・・。いつものことですが、オペラの場面は劇場だけのものでなく現実としてあったヨーロッパの歴史の風景であったこと、音楽はこんな環境で育ったんだと。
音楽と絵画的な場面の連続でとても美しい作品でした。モーツァルトが光ならナンネルは影、そんな彩ある画面がフランス映画らしいと思いました。 モーツァルトの音楽の隠れた一面を見ることができたのは面白かったです。
明るいようでどこか物悲しいモーツァルトの音楽はナンネルの哀しみなのかもしれません。
ナンネル・モーツァルト哀しみの旅路、東急Bunkamuraのル・シネマで上演中です。
ル・シネマでは音楽家やバレリーナなどの芸術家たちの秘話のような映画がよく上演されます。近々マーラーも取り上げられますよ!
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