今日もミューズが微笑んで

歌うように暮らしたい。アートの道探しを楽しむJasmineのきままな日々。

千住博さんの画展

2007-02-12 | 音楽・舞台以外のアート

先日、日本画家千住博さんの本を紹介してやはり絵を見たいと調べたら、山種美術館で企画展をやっているではないですか!
なんという偶然!偶然は必然、ということで土曜日に行ってきました。

    
    桜の名所千鳥が渕。遠くに国会議事堂が見えます。

千鳥が渕そば、近くには日本武道館や靖国神社など「日本的環境」の中にあるにも関わらず、美術館は現代の象徴ともいえるビルの中にこじんまりとある、というアンバランスさ・・・
日本文化を保護する現実は厳しいなんだな、と妙に冷静に見てしまう。
入場料も大人で800円。インターネットで調べると割引券があって、100円引き。採算取れるんだろうかと余計な心配してしまいました。

     
           このポスターが「滝」の作品ね

さて、日本画を見る人って多いのかな?今日あたり、オルセー美術館展は大混雑だろうと考えながらドアを開けると、美術館としてそもそも小さいからかもしれないけど、かなり混雑していました。
今回の展示は、アメリカのフィラルディアフィア市フェアマウント公園に建築されている「松風荘」という日本建築の襖絵を中心とした、千住氏のキャリアの中でキーとなった作品でした。

その襖絵「滝」は、絵の具の滝によって表現されています。
180cm×480㎝もの大型の作品が3枚、それより少し小さい作品が3枚。
滝が描きたい!と思ったときに、絵の具を上から下に落としたらまるで「滝」という、然から生み出されたとか。「自然に流れる」滝は意思があるかのようで、迫力もあり、偶然でこんな絵が描けるということが驚き。偶然といっても、準備されていたところに与えられた偶然なのかも。

この作品は白い絵の具ですが、赤・緑・黄色・・・などの色を使ったフォーリングカラーズという鮮やかな作品も松風荘所蔵の作品だそうです。

四季の風景を描いた掛け軸、時間の流れをストップモージョンにして描いたというビルシリーズ、木目を使った山水風の水渓谷、アンリ・ルソーの絵を思い出す「南方」を始めとする数々の作品を堪能しました。

日本画というと、自然を描いた水墨画のイメージが強いけれど、千住氏の作品は、もちろん白黒の作品もあるのだけど、日本画用の絵の具の色(カラー)は、日本の風景や自然の色にマッチしているので、すんなり心に入ってきました。これが「日本の伝統色」という色なんでしょうね。

私が好きなのは、展示されている作品では「夜景」「夜桜」。

夜景・・・と聞くと、華やかなネオンサインで輝く夜景を思い出すけど、この作品は、そうではないのです。雲の隙間から見え隠れする月に照らされた建物(ビル)。人の姿は見えない。でも建物に窓には明かりがあって、確実に人はその中にいるんです。静かな夜の風景。なるほどなぁ、目からウロコの作品でした。
「空間を見せる」
フラワーデザインから華道に転向したときにそんな体験したのですが、絵にもあるんですね。

夜桜って・・・こちらも夜の風景。「日本人的」桜鑑賞だよなぁ。ふと見上げたときに夜の闇の中に桜色の花が浮かび上がる風景は、そのまま四角く切り取って飾っておきたい!と思う瞬間。夜という背景があってこその桜。“日本的の美意識”の一つですね。

その他、本(ルノアールは無邪気に微笑む)にあった、青に金の組み合わせという作品と思える「大イチョウ」「河畔ジョアンの樹」を始めとする、数枚の絵葉書や今回の画展プログラム(解説)を購入。音楽ならCDを買うところなので、それの代わりです。


初めて自らの意思で鑑賞した日本画は、美術館や博物館の所蔵品としての絵でなく、現代に生きている風景そのもので、どこかに行けば同じ風景が見えるのではないか、と思わせるような作品がたくさんありました。
「未来のためにある一番新しい今」を描いているという言葉始め、本に書かれていたのはこのことね~~。と作品を見て納得。もちろん、それは当然のことで、私が日本画を潜入感で難しそう、つまらなさそう、と思っていただけなのかもしれませんが。
ちょっとしたカルチャーショックでした・・・

日本画は使う絵の具が違うんですね。鉱物性・動物性・植物性などの絵の具があって水で溶いて使うそうです。紙も和紙や薄い絹を使ったりするとか・・・
モネやマチスもいいけど、日本画もいいじゃない!と思ったのでした。
新しい芸術にパワーをもらって、充実した休日となりました。

     
     魔笛の稽古場では、瓜生ちゃん作ってきてくれた
     チョコレートケーキが男性に・・・。おこぼれいただきました。

 松風荘見学ツアーのパンフも置いてありました。なぜに、日本の建築や庭園をアメリカまで観に行かなきゃ行けないのだろう・・・

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