修羅場のあと

2015-11-25 17:49:10 | IGUちゃんとのこと
あの修羅場の後も、私とIGUちゃんの関係は変わることはなかった。
IGUちゃんは、何事もなかったかのように電話してきた。多分。
もしかしたら、先に電話したのは私だったのかもしれないが。

でも正直に言って、このころのことはあまりはっきり覚えてはいない。
私は、いつごろまで大阪に通っていたのか?
この年の暮には、今の夫と結納を交わしたはずだから、そんなに長い間ではなかったはずだ。

大阪で一緒にいるときに、IGUちゃんは彼女ができたと言う。
それまで、「彼女」の話をはっきりとしたことはなかった。
「いいぞ。今の彼女は。俺が『お前だけや~』と言ってれば、それを信じて何でもはいはいって言うこと聞いてくれる」
「私だって、IGUちゃんに『お前だけや~』なんて言われたら、何だって言うこと聞くわ!!」
どうしようもない私とIGUちゃんだね?

それからしばらくして、IGUちゃんが電話で言う。
何て言ったんだっけ?はっきりと何を聞かれたのか覚えていない。
「生理はどれくらい遅れるとヤバイのか?」とか、そういう意味のことだった。
要するに、彼女に生理がこなくて心配しているという話。
でも、以前にもそういうことがあって用心していたから、そんなはずはないと。

「そんなこと、私に聞いたってわかるはずないじゃない!?」
何でだろう?私はものすごく動揺して、早々に電話を切った。
多分二度目の嫉妬。

でも、今回はもうだめだと思った。
それまで何度もIGUちゃんのことを諦めよう忘れようと思ってもできなかった。
でも、今回だけはもうこの関係にケリをつけなければ、と思った。

絶望。

別に彼女の妊娠が決定したわけでも、彼女と結婚すると言ったわけでもないのに、
どうしてそんな気持ちになったのか、自分でも全くわからない。
ただ悲しくて悲しくて、その夜はほとんど眠れなかった。
どうしてだかわからないけど、ある男友達に無性に会いたくなった。
その男友達は、別に好きな相手でも何でもない。
でも、なぜか彼に会いたくなって、私は朝を待って彼を呼び出す。
都合よく彼は予定もなく一日私に付き合ってくれて、話を聞いてくれた。
彼が私のことを同情的な目で見ていたのは忘れられない。

夕方になると、今度は溜まり場の仲間に会いたくなる。
そして一人溜まり場に行く。
そこでは、IGUちゃんの話はしなかったように思うけれど、
そこで見ていた女性週刊誌に、松田聖子の妊婦姿の写真が載っていた。
聖子ちゃんのマタニティ姿を見て、ものすごく悲しくなった。
「私もIGUちゃんの子供が産みたかった」そう、その場にいた男友達にもらす。
彼は、「俺だって、俺の子を産んでほしいと思う相手に産んでもらえるわけじゃない」と。

そして、私は考えていた。
仕事を辞めてわずかでも退職金をもらって、車を売ったら、大阪で一人暮らしをする軍資金になるだろうか?
一晩たつと、そんな考えは消えて無くなっていたけれど、
一晩だけ私はそんなことを真剣に考えていた。

そしてIGUちゃんに電話をかける。
「明日、仕事が終わったらそっちへ行くから」
会社で、お姉さまに「決着つけてくる」と宣言して、私は大阪へ行った。

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