山田くんは、大学の時のテニスのサークルの後輩である。
2年生のある日、同級生の男の子に言われた。
「1年生の山田が、みなみのこと好きなんだって」。
私は、男の子から「好きだ」と言われると、反応してしまうたちだったが、
この頃には、あまりそういうことも無くなっていたようで、
「ふーん」と思っただけで、山田くんにはあまり興味を持たなかった。
年下の男の子には全く興味がなかった。
でも、その後山田くんとはそこそこに仲良くしていたのは覚えていた。
去年、私はTくんを探していた。
山田くんは、Tくんの同級生である。
フェイスブックを始めてから、Tくんを探した。
当初、私はフェイスブックでの友達の探し方がよくわかっていなくて、Tくんは見つからなかった。
Tくんのことを聞けそうな人で、一番話しやすいと思われたのが山田くんだった。
だから山田くんのことも探してみた。
やっと、Tくんが見つかったけれど、Tくんには友達申請ができない設定になっていて、
今もフェイスブックを使っているのかもわからなかったけれど、
私は迷わずメッセージを送った。
山田くんのフェイスブックも見つかったけれど、やっぱり友達申請はできない設定になっていた。
山田くんには、メッセージを送らなかった。
でも、私が山田くんのページまで行ってしまったので、
山田くんのところに、友達候補として私の情報がいってしまったようだ。
山田くんから私に友達申請がきた。
山田くんは、私の情報が入っていたことについて、あれこれ推測して彼なりの結論を出していたが、
私には、本当の理由がわかっていた。(私が検索したからだよー!!)
そのことは言わなかった。
山田くんとは、長々とメッセージの交換をした。
最初は、山田くんとのやり取りが楽しかった。
何だか気が合うというか、彼の言葉の使い方が楽しかったのだ。
ずっとお互いに、不自然なほどTくんの名前を出さなかった。
山田くんの誘いで、そのサークルのOB会のようなものに参加して、
直接会ったとき、初めてTくんの話をした。
山田くんの学年の男の子は、みんな仲が良くて、今も親しくしているらしいのだが、
Tくんだけは、自然に関係が切れてしまったということだった。
2人ほどが、Tくんの連絡先を知っているだけだということだった。
それ以来、山田くんはメッセージの中に、やたらとTくんの名前を出すようになった。
私は、Tくんからメッセージの返事として、あまりに慇懃無礼なものを受け取って、
その後Tくんとは全く連絡を取っていなかったのだが、
山田くんは、もし私とTくんがメッセージの交換をしていたら、
絶対に危ない関係になっていたと言う。
僕とはそうならないけれど、Tくんとならなる。そういったニュアンスだ。
山田くんの話では、どうやら私は山田くんにちゃんと告白されたらしい。
「みなみさんが大学2年のとき、他に好きな人がいるって言われました」。
「確か海が見える場所だったと思います」。
「私は、さんざん思わせぶりな態度をとった挙句、海の見える場所まで2人でドライブして、
他に好きな人がいると言ったんでしょうか?」
「思わせぶりではなかったと思います」。
そんなことがあって、1年くらいして、私は山田くんの友達であるTくんとつき合うことになる。
日記によると、私がつき合うことを承諾するためにTくんの家に電話をかけた時、
Tくんの家に山田くんがいたらしい。
何となく覚えている。
「今、山田来てるよ。換わるね!」
そして、山田くんが、「大丈夫!大丈夫!気にしないで」と言ってくれたこと。
Tくんは、ある日突然山田くんの家にやってきて、
「今からみなみとデートなんだけど、お金がないから貸して」と借りていったという。
まるで、山田くんに私とつき合っていることを見せびらかしているみたいじゃないか!?
なんだか、Tくんがすごく嫌なやつに思えてくる。
山田くんは、Tくんが勤めている会社によく仕事で行くのだそうだ。
「Tくんを呼び出してもらえばいいじゃない?」と言うと、
「あんな変な人と知り合いなんですね?と思われたくない」と言う。
「Tくんて、そんなに変な人?」
「考え方が独特で、変わってました」。
「みなみさんだから、上手につき合ってられたんだと思う」。
そうか、確かに、私は、その「変な」Tくんの、さらに上をいく「変な人」だったんだろうな、と納得がいく。
山田くんといろいろな話をして思った。
私は、山田くんのことも、Tくんのことも、いかに覚えていないかと。
山田くんは、私のことをすごく良く覚えていてくれて、
そして、山田くんは以前の私にそっくりだと思った。
虚無的というか、人生を楽しめないところ。
私はちょっとだけ立ち直ったけど、どうやって立ち直ったかなんて、聞く耳持たない感じ。
さわりを言ってみたけど、拒否されたみたい。
立ち直る方法は、本当は自分で見つけるしかないことを私は知っている。
だからそれ以上は言わない。
山田くんは、すぐに不倫の話をふってくる。
「この歳になって、離婚も不倫も面倒くさい。そんなエネルギーはない」。
山田くんは、仕事でも出張だらけであちこち飛び回っていて、
心身共に疲労困憊状態のようで、自殺でもするんじゃないかと心配になる。
「自殺なんて面倒臭い」。
それも私と同じだ。
だから、山田くんは本当に自殺なんてしないと思う。
元々、名古屋に実家のある山田くんだが、
今は、横浜に家を建て、名古屋に単身赴任状態なのだという。
もう単身赴任は6年も続いていて、早く横浜に帰りたいみたい。
私は、山田くんが名古屋からいなくなったらちょっと寂しいなと思う。
別に、会ったりするわけでもないのに。
山田くんは、私のことを「魔性の女」と言う。
山田くんは、今も私に興味があるのかな?と思えるようなことを言うことがある。
今も私に興味があると言うより、
長い年月を経て、また繋がりを持てて、ちょっと懐かしい気持ちになったみたいな。
何でだろう?
それを感じても、私は全く山田くんに対して興味が湧かない。
Tくんだったら、やっぱり少しは、感じるものがあるだろうと思う。
いろいろと山田くんに助けられているのに、本当に申し訳ない。
山田くんとの会話のやり取りは、本当に楽しいので、
ちょっと心が寂しいときなど、私は山田くんにメッセージを送りたくなる。
でも、私は山田くんに甘えてはいけないのだと思う。
だから、こちらからメッセージを送ることはできるだけ控えている。
山田くん、ありがとう。
私は、山田くんも倖せであってほしいと、いつも願っているよ。
2年生のある日、同級生の男の子に言われた。
「1年生の山田が、みなみのこと好きなんだって」。
私は、男の子から「好きだ」と言われると、反応してしまうたちだったが、
この頃には、あまりそういうことも無くなっていたようで、
「ふーん」と思っただけで、山田くんにはあまり興味を持たなかった。
年下の男の子には全く興味がなかった。
でも、その後山田くんとはそこそこに仲良くしていたのは覚えていた。
去年、私はTくんを探していた。
山田くんは、Tくんの同級生である。
フェイスブックを始めてから、Tくんを探した。
当初、私はフェイスブックでの友達の探し方がよくわかっていなくて、Tくんは見つからなかった。
Tくんのことを聞けそうな人で、一番話しやすいと思われたのが山田くんだった。
だから山田くんのことも探してみた。
やっと、Tくんが見つかったけれど、Tくんには友達申請ができない設定になっていて、
今もフェイスブックを使っているのかもわからなかったけれど、
私は迷わずメッセージを送った。
山田くんのフェイスブックも見つかったけれど、やっぱり友達申請はできない設定になっていた。
山田くんには、メッセージを送らなかった。
でも、私が山田くんのページまで行ってしまったので、
山田くんのところに、友達候補として私の情報がいってしまったようだ。
山田くんから私に友達申請がきた。
山田くんは、私の情報が入っていたことについて、あれこれ推測して彼なりの結論を出していたが、
私には、本当の理由がわかっていた。(私が検索したからだよー!!)
そのことは言わなかった。
山田くんとは、長々とメッセージの交換をした。
最初は、山田くんとのやり取りが楽しかった。
何だか気が合うというか、彼の言葉の使い方が楽しかったのだ。
ずっとお互いに、不自然なほどTくんの名前を出さなかった。
山田くんの誘いで、そのサークルのOB会のようなものに参加して、
直接会ったとき、初めてTくんの話をした。
山田くんの学年の男の子は、みんな仲が良くて、今も親しくしているらしいのだが、
Tくんだけは、自然に関係が切れてしまったということだった。
2人ほどが、Tくんの連絡先を知っているだけだということだった。
それ以来、山田くんはメッセージの中に、やたらとTくんの名前を出すようになった。
私は、Tくんからメッセージの返事として、あまりに慇懃無礼なものを受け取って、
その後Tくんとは全く連絡を取っていなかったのだが、
山田くんは、もし私とTくんがメッセージの交換をしていたら、
絶対に危ない関係になっていたと言う。
僕とはそうならないけれど、Tくんとならなる。そういったニュアンスだ。
山田くんの話では、どうやら私は山田くんにちゃんと告白されたらしい。
「みなみさんが大学2年のとき、他に好きな人がいるって言われました」。
「確か海が見える場所だったと思います」。
「私は、さんざん思わせぶりな態度をとった挙句、海の見える場所まで2人でドライブして、
他に好きな人がいると言ったんでしょうか?」
「思わせぶりではなかったと思います」。
そんなことがあって、1年くらいして、私は山田くんの友達であるTくんとつき合うことになる。
日記によると、私がつき合うことを承諾するためにTくんの家に電話をかけた時、
Tくんの家に山田くんがいたらしい。
何となく覚えている。
「今、山田来てるよ。換わるね!」
そして、山田くんが、「大丈夫!大丈夫!気にしないで」と言ってくれたこと。
Tくんは、ある日突然山田くんの家にやってきて、
「今からみなみとデートなんだけど、お金がないから貸して」と借りていったという。
まるで、山田くんに私とつき合っていることを見せびらかしているみたいじゃないか!?
なんだか、Tくんがすごく嫌なやつに思えてくる。
山田くんは、Tくんが勤めている会社によく仕事で行くのだそうだ。
「Tくんを呼び出してもらえばいいじゃない?」と言うと、
「あんな変な人と知り合いなんですね?と思われたくない」と言う。
「Tくんて、そんなに変な人?」
「考え方が独特で、変わってました」。
「みなみさんだから、上手につき合ってられたんだと思う」。
そうか、確かに、私は、その「変な」Tくんの、さらに上をいく「変な人」だったんだろうな、と納得がいく。
山田くんといろいろな話をして思った。
私は、山田くんのことも、Tくんのことも、いかに覚えていないかと。
山田くんは、私のことをすごく良く覚えていてくれて、
そして、山田くんは以前の私にそっくりだと思った。
虚無的というか、人生を楽しめないところ。
私はちょっとだけ立ち直ったけど、どうやって立ち直ったかなんて、聞く耳持たない感じ。
さわりを言ってみたけど、拒否されたみたい。
立ち直る方法は、本当は自分で見つけるしかないことを私は知っている。
だからそれ以上は言わない。
山田くんは、すぐに不倫の話をふってくる。
「この歳になって、離婚も不倫も面倒くさい。そんなエネルギーはない」。
山田くんは、仕事でも出張だらけであちこち飛び回っていて、
心身共に疲労困憊状態のようで、自殺でもするんじゃないかと心配になる。
「自殺なんて面倒臭い」。
それも私と同じだ。
だから、山田くんは本当に自殺なんてしないと思う。
元々、名古屋に実家のある山田くんだが、
今は、横浜に家を建て、名古屋に単身赴任状態なのだという。
もう単身赴任は6年も続いていて、早く横浜に帰りたいみたい。
私は、山田くんが名古屋からいなくなったらちょっと寂しいなと思う。
別に、会ったりするわけでもないのに。
山田くんは、私のことを「魔性の女」と言う。
山田くんは、今も私に興味があるのかな?と思えるようなことを言うことがある。
今も私に興味があると言うより、
長い年月を経て、また繋がりを持てて、ちょっと懐かしい気持ちになったみたいな。
何でだろう?
それを感じても、私は全く山田くんに対して興味が湧かない。
Tくんだったら、やっぱり少しは、感じるものがあるだろうと思う。
いろいろと山田くんに助けられているのに、本当に申し訳ない。
山田くんとの会話のやり取りは、本当に楽しいので、
ちょっと心が寂しいときなど、私は山田くんにメッセージを送りたくなる。
でも、私は山田くんに甘えてはいけないのだと思う。
だから、こちらからメッセージを送ることはできるだけ控えている。
山田くん、ありがとう。
私は、山田くんも倖せであってほしいと、いつも願っているよ。