ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

生きてて良かった

2006-12-31 01:35:03 | 日記
全日本フィギュアスケート選手権に行って参りました。

私はここ2、3年、「本当に良い(と自分が思える)ものは向こうから勝手にやって来る」と考えていて、できるだけ自分からは探さず、でも出会いの機会はなるべく増やして……ということを心がけてます。高橋大輔のスケートもまさしく、突然自分の中に飛び込んで来たという感じで、以来スケートに関しては、無理にテクニカルな方向には走らずに、なるべく自分のインスピレーションで見ようとして来ました。
……以上、何が言いたいかと言うと、ろくすっぽジャンプも見分けられない私がのこのこ試合会場に足を運んだことに対する単なる言い訳です。
そんな私の観戦記なので、とりあえず大ちゃんを中心に、簡単に。

SPのヴァイオリン協奏曲(byチャイコフスキー)では、スケートカナダの時のようなガーッと来る勢いは無かったように思います。ひとつひとつ丁寧にまとめて行った感じ。ジャンプを無事に降りたあとは、私もゆったりとステップを楽しむことが出来ました。
そして改めて、大ちゃんはスターなんだと実感。オーラがある。貫禄が違う。
今回、普段中々テレビなどでは見る事ができない倉敷組の選手たち、町田くんや大上くんの演技も見れたのですが(町田くんこれから注目されそう)、やっぱりそういうテレビに映らない選手たちと大ちゃんとでは格が違うと、当たり前なんですが実際に生で目にすると圧巻でした。
SPの結果は予想通り、大ちゃんと織田くんが僅差の1位2位で、3位以下の選手を引き離す展開。
私が嬉しかったのは、PCSの全ての項目で大ちゃんの方が上回っていたことでした。多分そんなに大きな差ではないけれど、全ての項目で高く出ている。
この時点で、明日は大ちゃん、自分との戦いになるなと思いました。例え織田君が完璧に滑っても、大ちゃんが、彼自身が満足できる演技ができれば必ず勝てると。
NHK杯とGPFを見て、メンタルな部分とジャンプには、もう心配はいらなさそうに思えました。不安があるとすれば、GPFの体調不良の影響。消化器系の病気って体力が落ちるので、症状は消えても体力の回復には時間がかかるかも……とそれが唯一の心配でした。

そしてFS。また最終滑走。最後の最後まで気が休まらない展開。
しかしフリーの下位の選手となると、最後の方ではバテてヘロヘロだわ、ジャンプではコケまくるわで、見てて痛々しくなって来ますね。逆に言うと、大ちゃんたちトップ選手が当たり前のようにやっていることが、それだけスゴイってことなんですよね。
第2グループでは、ショートで失敗した無良くんが気を吐いてました。無良くんと町田くん、良いなあと思います。子供のくせにある意味シニアのお兄さんたちよりも色気づいてて、でもそこに「かっこいい自分を見せるんだ!」という気概が感じられて頼もしい。ジャンプなんかにも果敢に挑んでる感じで、この先が楽しみです。特に町田くんは地元倉敷の子(出身は広島だけど)でもあるし、大ちゃんに憧れてるだけあって踊りにも気合いが入ってるしで応援したい感じです。
第3グループから明らかに動きが良くなって、最終グループは更にハイレベル。織田くんはジャンプにミスが出ても、やっぱり他の選手たちからは抜きん出た高得点。
そしてラスト、大ちゃんの出番。ちょっと待って、まだ心の準備が……!!とうろたえる私を余所に始まる音楽。あっと言う間に4回転の時間。あっさりと決まる。本当に、「え?」っていうくらい簡単に。
「ALL I ASK OF YOU」の甘いメロディから怒りのファントムへ。そして華やかな「マスカレード」のサーキュラーステップが終わると近づいて参ります、後には退けない5連続ジャンプ。ひとつずつ、ジャンプが決まる度に心が軽くなって行く感じ。ジャンプが全部終わった時点で、もう拍手が始まってました。
後はもう、好きなだけ踊っていいよ!って感じです。NHK杯の時と違って、今度は体力にも余裕をもって、本当に彼が踊りたいように踊っているように見えました。圧巻。
これはもう、スタオベするしかないよねと思って立ち上がったら、他の人もみんなスタオベしてた……。大ちゃんもガッツポーズ。ようやく見れた、納得の「オペラ座の怪人」。会場が一つになった瞬間。
これはもう勝ったな、と点数見る前に確信。でも流石にあんなすごい点数が出るとは思いませんでした。8点代の並んだPCSに腰が抜けそうになりました。
知らなかった。あんな点数出るんだ。

トリノオリンピックで、言い訳も負け惜しみも言わずにひたすら悔しい、悔しいと言い続けていた大ちゃんを見て、「こいつはこれからきっともっと強くなる」と確信したあの日。あれからまだ1年も経ってません。「男子三日会わざれば刮目すべし」。まさにそう思い知らされた1年でした。ありがとう、大ちゃん。

P.S.「Cutting Edge」は大ちゃんのファンなら必見です。やっぱりこの人の感性は面白い。荒川さんや本田くんのコメントは多分に予言的。あと小塚くんのインタビューにて、カルロス合宿の様子が語られてます。平井絵己ちゃんも一緒に行ってたのは意外。それにしてもこの本、取り上げる選手の基準がいまいち分かりません。10人だけじゃなくて、小さくてもいいから他の選手も紹介して欲しいと言うか、大上くんにももっと光を!(笑)。町田くんは、来年があるなら来年には載せて貰えそうな気もします。