ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

『精神的に弱い』って簡単に言うな!

2006-12-01 11:43:33 | 日記
ああもうミカ、ミカ、ミカったら(いまだに動揺中)。
ハッキネン クルマは昔とそれほど違わない
どういうタイミングでF1に帰って来るんですかあなたは。NHK杯が開幕して、私が大ちゃんのことでいっぱいいっぱいになってるていうこの大事な時に。
嬉しいけどびっくりするじゃないですか。

しかし改めてミカのことを考えるにつけ、私の中でびっくりするくらいミカと高橋大ちゃんのイメージは重なります(でも何度も言うように、芸術的センスはミカにはない。ていうかミカは多分あのダサいところが魅力なので)。
コースの一番外側のギリギリのラインにタイヤを乗せ、微妙なバランスをとりながら繊細にかつ豪快にコーナーをクリアしていくミカのエッジ走行のイメージが、大ちゃんのディープエッジにダブるんですよー。
その他にも色々重なる部分は多くて、何ていうかこう、私の好みのど真ん中に来るのってこういう人なんだなあ、と。

そしてそうなると、悩むところもまた同じだったりします。

試合での浮き沈みが激しいのはいいんです、別に。
ミカが引退してからよく分かりました。試合の度に、いちいちバカみたいに舞い上がったり落ち込んだりできるのは、寧ろ幸せなことだったんだって。
「誰が勝っても、それなりに面白いからまあいいや」なんて思いながらレースを見るのは、ストレスは溜まらないけどちょっと寂しい。時にはくやしさに歯軋りするくらい熱くなれるのって結構貴重な経験ですよ。
それに多分、私は先の予想がつかない人が好きなんだと思います。自分の予想の範囲内に収まってしまうものって何か物足りないので。いつも(色んな意味で)驚かせてくれる人って見てて飽きない(笑)。

問題は、タイトルの通りです。
『精神的に弱い』――そう言われてしまうことに対するストレス。そういえば、ミカもよくそう言われてたっけ。特にライバル・シューマッハとの対比で。
これに関しては、ミカが走ってた当時からすごく違和感がありました。私が思う精神的な強さ、弱さの基準が世間とは違うのか?なんて悩んだこともあります。
私にはミカはすごく強い人に見えるんだけど、私だけ?……と思って調べた所、ようやく同じ考えの方を見つけました。

さよなら、ミカ・ハッキネン〈前〉〈後〉

ミカは確かに人一倍ナイーブでプレッシャーを感じやすい人なのかも知れない。その上、それがとってもわかりやすい。でもだからこそ、そのプレッシャーを跳ね除けて走る精神力は生半可なものではないはず。実際彼は、大きなプレッシャーのかかる重要な局面を何度も乗り切って2度のタイトルを取った。私は彼を、とても強い人だと思います。

大ちゃんにしても同じで、彼の演技を見れば、彼がとても感受性の強い、繊細な人なのはわかります。そしてやっぱり、それがすぐ表に出てしまう。
当然と言えば当然なんですよね。鈍くて感情を表に出さない人に、あんな表現ができる訳がない。
でもそんな、やたらナーバスで感受性の鋭い男の子が、世界の舞台で戦い続けて来たのってすごいことじゃないですか?
体育会系的に言えば、勝ってなんぼ、結果出してなんぼかも知れないけど(いや結果も出して来たからこそ今のポジションにいる訳だけど)、何せ私は文系なので。試合結果云々よりも、どんな結果になっても他のせいにしたり言い訳をしないこと、そっちの方に『強さ』を感じてしまうのです(何度も言うように、最初はそこに惹かれたんですよね。演技見る前に)。

そう言えばミカも昔、シュー兄に言われてましたっけ。「彼は悪魔のように速いのに、時々素人でもやらないようなポカをする」って。
なんでか分からないけどポカをやる。無能ではないのに。才能はあるのに、何故?っていうそんな時。『彼は精神的に弱い』と言ってしまうと何か分かったような気がして安心できるんですよね。
でも本当はそんな言葉では、問題の本質は捉えられないような気がする。じゃあ何?って言われても困るんですが(笑)。パワーの強いエンジン程コントロールするのにも力がいるように、感情の強い人の方が自分をコントロールするのが困難なのかも知れません。わかりませんけど。

ともかくNHK杯。後悔のない演技を祈ってます。
結果の方は……私はあんまり神様とか運命とかは信じていないけど、それでも人間にはコントロールできない「何か」があって、その何か(中国思想で言う所の「天」かな)が何らかの方向に導くんじゃないかと、今ちょっとそんな気になっています。所謂、「人事を尽くして天命を待つ」ってヤツですね。

その内ミカについてもじっくり語ってみたいです。やっぱり好きだ。