ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

試練のシーズン

2013-03-24 22:46:00 | 日記
大ちゃんお誕生日おめでとう&世界選手権お疲れさまでした。

まだ国別対抗が残ってるけど、一応12-13もほぼ終わったという事で。
まずは、大きな怪我なく終わったのが何よりです。

タイトルの意味なんですが、何となく思いつきで。
突然ふと「試練って試して練習する事なんだな」と頭に浮かんだので。今シーズンはそういうシーズンだったのだと思うことにします私が。

4大陸、世界選手権と終盤の試合で結果が振るわなかったのをモロゾフのせいにする人もいるけど、私はそんな単純なもんではないと思います。
少なくともジャンプについては、素人がどうこう言えるようなもんでもないと思うな。特に4回転なんて、誰それが教えれば必ず飛べるようになるような簡単なもんじゃないはず。

今シーズン、GPFで優勝できたのは大きな収穫だったと思います。大ちゃんが今まで取り残していた数少ない「日本男子初」ですから。
ここで一つ心残りがなくなった、と同時に、次のオリンピックと同じ会場の大会で、事前の調整まで含めたシミュレーションができた事は、来年きっと生きてくると思います。

今シーズンはなにより、SPが上手くいかない事が多かった。そういう意味では、マンボで苦労していた10-11シーズンを思い出します。
あの時も、後で審判の評価が高かった事を知って誇らしく思うのと同時に、「だったら何でシーズン中にもっと点数の上で報いてくれなかったのよ!」って気持ちがありましたから。

「月光」は返すがえすも滑り込む時間が短かった事、そして多分「月光」を滑り込む時間を確保するためにオーバーワーク気味になってしまった事が惜しまれます。
ただ、プログラム変えた途端にあっさりステップでレベル4が取れたんだから、決して「間違い」ではなかったんだろうなと思います。

世界選手権ではステップだけでなくスピンでもレベル4を揃えて来たから、猛練習は決して無駄にはなっていないと信じたいですね。

それにしても、FOIの時のロックンロールに対する一部のファンの拒絶反応ってなんだったんだろう。
「私はあんまり…」みたいな感じならまだしも、「こんなのヤダヤダ~!変えてくれなくちゃ絶対ヤダヤダヤダ~!」みたいなの。あれ、私でもイラっと来たから、大ちゃん的にも負担だったというか、あれではプログラムを信じて賭けてみようって気分になれなかったのも分かる気がします。

割と毎年FOIで新SPがお披露目されてるけど、いつも思うけど、いくら大ちゃんがプログラム覚えるの早くても、初披露の段階ではやっぱり滑り込みが足りてないと思うんですよね。特に競技用のプログラムは、簡単には完成させられない難易度の高いものを作ってるんだし。
ついでに衣装も、あの段階ではまだ大ちゃんのイメージが固まってないんだろうな、絶対変えて来るだろうなと思ってました。
で、その辺を差し引いた上で、1シーズンかければ面白いものになるかもと思ってたんですが…。

でも全日本であんな採点されてしまったら、変えたくなるのも無理ないかなとも思いますけど。

NHK杯の鈴木明子選手もそうですが、勝てる演技をしたのに(採点のせいで)勝たせて貰えなかったという事があると、選手の心理面で後々まで響いてくるものがあるような気がします。
虚しさとか徒労感とか、審判に対する不信感とか、私だったら拭おうとしても拭えないと思う。

そういう意味では、日本スケート連盟って本当に選手を潰すための組織だなと感じたシーズンでもありました。
日本選手を試合で勝たせるのではなく、広告代理店が目を付けた一部の選手を広告タレントとして売り出してスポンサーからお金を引っ張る、その為に試合に勝たせて箔を付けさせるのがお仕事、という感じ。
勝たせたいのはあくまでタレント選手だけ、それ以外の選手はむしろ目障り、くらいの感覚なんだなと。

それがエスカレートして、とうとうファンの応援にまでケチを付けられたのには、精神的に本当に疲れました。
個人のブログじゃなくて、一応プロのジャーナリストが公的な媒体であれをやったんだから信じられない。
フィギュアより遙かに商業主義でお金に絡んだエグい話の多いF1でも、ファンに対しては「応援ありがとう」が基本です。
自分の応援が(思ったよりも)少ないからって「(自分の勝利を)誰も喜んでくれない」なんてぐちぐちひがんだり、それをまた「なんてかわいそうなの!」とばかりに記事にするジャーナリストなんて聞いた事もない。
(とりあえず、今後青島とかいう記者の仕事にお金を出すのはやめようと思いました。お金を取れるレベルの仕事をしているとは到底思えない)

私たちファンでもそうだったんだから、大ちゃん本人にもさぞかし余計な精神的負荷があっただろうな、と思います。
これはあくまで私の憶測ですが、来シーズンはそれこそ集大成の五輪に向けて集中しなければならないからこそ、実験的な試みは今シーズンの内に済ませておきたかったのかな、とも思うんです。
先シーズンが予想以上に上手く行ったからこそ、今シーズンはちょっと余裕を持って色んな事が試せると。靴の種類やエッジを変えたり、モロゾフとの再タッグにもそう言う意味合いがあって、そうやって色々試した中から最善と思えるものを来シーズンに持って行きたかったのかなと。
最大の誤算は、業界の介入により予想以上にひっかきまわされてしまった事かな、と思います。

シーズン当初若手が「世界最高得点(SP限定)」を連発するのを何でだろうと思ってたんですが、4大陸で生で滑りを見て納得しました。
〈あの〉スケーティングやステップにあんだけ気前よく点数出して貰えるなら、そりゃ誰でも高得点が出せるわ。
審判の人たち、素人にはスケーティングの善し悪しなんて分からないと思ってるのかも知れないけど、会場で見ると寧ろ一番分かりやすいのがスケーティングだと思いました。
上手い人ほど気持ちよく滑ってますから。細かい理屈は分からなくても感覚的に一目瞭然。

得点と言えば、採点に対する疑問がロイターのニュースになっていましたね。

フィギュア=世界選手権、不透明な採点システムに疑問の声
http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPTYE92H03J20130318

今までも採点に文句言ってる人は多かった(というか私も言ってる)けど、ロイター通信みたいな所が真面目に取り上げてるという事にはびっくりしました。
そういう意味でも、やはり曲がり角に差し掛かっているのかも知れません。
件のニュースで取り上げられているのはP.チャンの得点だけど、私的に一番の肝は、フィギュアの審判が事実上のブラックボックスと化しているという指摘でした。
以前にも書いた事ですが、審判の主観で大きく点数が左右されるのに関わらず、その審判の判断が正しいかどうかをチェックする機能がないのはシステム上の不備だと思います(それもかなり根本的な)。
今迄にも物議を醸す審査結果が出た試合は幾つもあったけど、一度出た結果が覆った事はありません。
故に、後でどんなに文句を言われようとも審判の「やったもん勝ち」になってしまっている。
田村岳斗コーチがブログで問題提起したのも、この辺に疑問を感じての事じゃないかなと思います。

去年の夏のロンドンオリンピック、個人的には柔道と体操という2つの競技で、一度結果が出た後に審判の判定が覆り、試合の結果が変わるという事があったのが印象的でした。
どちらも物議を醸してはいましたが、審判の判断を以て絶対とせず、2重にチェックできる余地を設けている分フィギュアよりは先に進んでるなと思いました。
特にフィギュアと同じく採点競技である体操で、審判の判定に見直しを要求出来るのは大きいですね。
関係者の方が「陸上での100メートルは必ず100メートルだが、体操では95メートルにも105メートルにもなる」とコメントしていましたが、それはフィギュアも同じ事。
だからこそ、より多くの人が納得する「客観的な採点」が必要なのではないかと愚考する次第です。

大ちゃんに関しては、本当にお疲れさまでしたと言ってあげたい。
何より演技そのものが素敵な人だから、試合の結果がどんなでも最後まで付いていきますけどね。
彼はいつでも悪かったシーズンの後には良いシーズンが来ていたし、過去に失敗した部分は必ず修正して失敗を繰り返さない人だと思っているので、来期の事は実はそんなに心配していません。占い的にも、運気が上がるのは今年後半からだし。

お疲れさまだけど、まだ国別が控えているんですね。
見に行かれる方は、是非大ちゃんに大きな声援をお願いします。
あと、無良くんにもね。マスコミは何も言わないけど、彼が入賞してくれた事も嬉しかったです。これからまだまだ伸びてくれるのを期待しています。

***

拍手コメントへのお返事

■2013/3/18 10:55
miwaさんこんにちは。
私たち素人が専門家に文句を言った所で意味はないですし、絶対に間違えないのではなく、間違えた所にきちんと向き合えるのが大ちゃんの良さだと思えますので、黙って付いて行くのみだと私も思っています。
スケートを習ったからと言って全てが分かる訳ではありませんが(当たり前ですが選手クラスの人たちとはレベルが違い過ぎるので)、自分で滑ってみて初めて分かる事もありますし、何より楽しいですよ!前滑走ができるようになるだけでも世界が変わると思います。まずはお気軽に一般滑走でどうぞ!
指先までの繊細な表現は「ダンス」としてのセンスになりますのでスケートとはまた別ですが、体の軸がまっすぐでないとエッジにしっかり乗れないのは確かです。
でも何よりも、現地で、それもできればリンク全体が見渡せる位置でエッジの動きのスムーズさを見れば一目瞭然ですよ!
「月光」は振付けがシンプルな分大ちゃんのエッジ捌きを堪能出来るプログラムだと思います。
国別はお祭り試合なので、大ちゃんにもリラックスして楽しんで貰えたら良いですね。

■2013/3/23 3:01
こんにちは、お久しぶりです。お疲れ様でした。お気持ちはよく分かります。
国別の若手選手の欠場、連盟の甘やかしっぷりには呆れる他ありませんが(他の選手と対応が違い過ぎ)、正直私も試合であの選手を見ずに済むことにほっとしています。
広告業界の戦略(笑)に乗っかった連盟やマスコミも醜いですが、それに乗ったのは本人の責任でしょう。何よりスケートそれ自体に魅力がないのは本人のせいです。
私も、倉敷ゆかりの町田選手や無良選手、刑事くんなど応援したい選手はいますが、大ちゃん引退後あの選手が「主役」として君臨するならそんなフィギュアはもう見たくないなというのが本音です。
大ちゃんですが、世界選手権に比べて圧倒的に完成度の低かった4大陸でも、「月光」のステップは楽しめました。テレビだとどうしても横から振付けを見る感じになりますが、あれは上からエッジの描く軌跡を見るのが良いんですよ♪ 国別では是非楽しんで下さい。
ファンにとってもしんどかった今シーズンですが、試合に勝つから大ちゃんが好きなのではなく、スケートそのものが魅力的なのだと、勝てばもちろん嬉しいけど、どんな成績だって気持ちが離れる事はないと、改めて感じたシーズンでもありました。
残る1年、悔いが残らないよう応援しましょう!

月よりの使者

2013-03-15 11:10:00 | 日記
月光美しかったですね!
切ない表情も指先まで舞踊る姿もクリアで滑らかなカーブを描くエッジも眼福でした!
そしてやっぱり抽象化の方向へ向かう衣装(笑)。やはりどうあっても人間の姿を捨てたいらしい。
コスプレ的な衣装は、衣装だけである程度説明されているから見ている方はわかりやすいけど、「音楽そのもの」を感じて表現したい大ちゃんに取っては、却ってそれが制約と感じるのかも知れないですね。前の衣装も似合ってはいましたけど。

大ちゃんは本当によく頑張ってるし頑張って練習して来たと思いますが、私の神頼みがちょっと足りなかったかも知れないので、神戸で人気のパワースポット貼っておきますね。

サターンの椅子。
前に行った時の使い回しじゃなくて、ちゃんとこないだ行って来ました。2年くらい経ってるけどまだまだ人気でした。

あと、関帝様の所で引いたおみくじがすごく良かったので、占いの代わりに貼っておきます。



※タイトルは某疾風のように現れて疾風のように去って行く人です。流石に私もリアルタイムでは見ていない。ていうか、団塊なウチの父がリアルで見てたらしい。
※よりによってステップの一番良い所で足元をどうでもいいテロップで隠すフジTVには、最早悪意しか感じられず。流石に抗議したくなったので、苦情の送り先をご存知の方がもしいらしたら教えて下さい(他力本願)。

***

拍手コメントへのお返事

■2013/3/12 23:02
こんにちは。月光はスタンドの高い位置で見られたのもラッキーだったかも知れません。足元ですいすいカーブを描いて行くのが見ててすごく気持ち良かったです。世界選手権ではまた一段と完成度が上がっていましたね。ロックンロールの完成形も見たかったけど、今はこういうものを見せる事が必要だったのかも知れないですね。

■2013/3/13 0:59
ブルースからのファンの方ですか!熱いコメントをありがとうございます。大ちゃんの「演技」を見て新しいファンがどんどん増えて行くのは嬉しいですね。
個人的に「俄」というのはちょっと齧ったぐらいで知ったような顔をする人の事だと思ってますので、初心者の自覚のある方は俄ではないと思います。
フィギュアってやる人が限られているせいか、閉鎖的な世界だと感じますね。おっしゃるように、トップの人たちはまだ身内だけでやってる感覚なのかも知れないです。

■2013/3/14 10:29
miwaさんはじめましてこんにちは。
今回の世界選手権のSPを見ても思いますが、大ちゃんの「芸術性」はもう今の採点法では評価できなくなっていると思います。PCSのINで1点2点で終わらせられるような差だとは私には思えません。
4大陸の若手選手に関しては、SPの点を見て私も驚いたので、FSの時にスケーティングに注目して見てました。
あくまで素人意見ですが、基本的なエッジのコントロールが甘いために、ステップがスムーズに踏めていないと感じました。
何故あんな高得点が出るのか私には理解できません。
大きな声では言いにくいですが、NHK杯女子優勝者も、何故あんなにPCSが貰えるのか昔から謎な選手です…。

私一応スケート教室にも行ってるんですが(バッククロスさえできないド下手クソですが)、スケートって重心を真っすぐにして、エッジの最適なポイントにきちんと体重を乗せてないとコントロールできないって教わりました。姿勢が悪いと見た目がかっこ悪いだけじゃなくて、バランスが崩れるからダメなんだって注意されます。「足元の美しさ」って、決して足だけでどうにかできるもんじゃないんですね。
まずはきちんと全身でバランスを取ってしっかりエッジに乗る。それができないとターンもステップも不安定でぎこちない動きになる。
だからターンがスムーズじゃない=基本のスケーティングが弱いという事だと私は思ってるんですけど、間違ってますか?


今更4大陸選手権とか

2013-03-12 19:23:00 | 日記
そういう訳で、私の今シーズン唯一の生観戦である4大陸選手権でした。が…ちょっとなかなか考えがまとまらず、記事を書けずにいました。
もたもたしてる内に世界選手権も始まってしまいますので、今の内に書ける事だけ書いときます。

まずはSPから。
今回初披露のプログラムです。「月光」


月光のイメージで作って貰った花束。
アリーナ席の方が私の代わりに投げ込んで下さいました。ありがとう!

思えば今大会では、多くの選手がシーズンにおけるベストスコアを更新していました。
当然と言えば当然かも知れません。
シーズンも大詰め、大きな大会も残すところは世界選手権だけ、選手によってはこの大会がシーズン最後という試合。
シーズンオフから滑り込んで来たプログラムが体になじみ、完成形に近づいて行く時期なのでしょう。
そんな時期に、新しいプログラムを作って一から滑り込む。SPを滑り込めばFSの練習時間もそちらに取られてしまうし、思えば随分リスキーな判断をしたものです。
それでも多くのファンがこの賭けを納得して受け入れたのは、「ロックンロールメドレー」に対する不安感が大きかったからかも知れません。
私の個人的な趣味からするとすごく好きだし楽しみにしていたけれど、結果的にファンを含めた色んな所からケチを付けられてしまったような気がします。
10ー11シーズンの「マンボ」もシーズンが終わった後で評価されたようなプログラムでしたが、それでは遅いという判断だったのかも知れません。

私個人としては、「月光」は子供の頃からすごく好きな曲の一つでした。
大ちゃんにしては珍しくメジャーな選曲ではありましたが、その分、「どんな曲?!」っと慌てて予習しなくても、「ああ、あの美しいメロディで滑るのね♪」と楽しみにできる曲ではありました。

まず衣装なんですが。
前日にニュースで見て連想したのが、菊池秀行の小説「魔界都市〈新宿〉」シリーズに出て来る夜香(やこう)ってキャラクターでした。
戸山団地に住む吸血鬼一族の若き当主。魔界都市の夜を支配する闇の貴公子。この人のイメージカラーが青なんですよね(せつらが黒でメフィストが白)。
ちなみに、同じ菊池さんの「バンパイアハンター“D”」でも、私の一番のお気に入り・バラージュ男爵が青イメージのキャラだったりします。
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どっちにしても吸血鬼です。かりそめの命を生きる夜の貴公子。
そういう意味では「月光」のイメージにぴったりだわーと勝手にイメージを膨らませていたのですが。

実物は思ったほど吸血鬼じゃなかった、じゃなくて青くなかったです。
紫ロミオの教訓。デジタルカメラを通すとすぐに紫は青に化けるのを忘れていました。ニュースではやや紫がかった青に見えた衣装、実物は藤色に近いグレーがかった紫でした。
だから最初に見た時には、もっと青い方が好みだなと思ったのに、今なぜか、演技を思い出すと紫の照明のイメージと共に思い浮かぶのです。
実際には試合用の明るい照明の下で見たはずなのに、何故か紫がかったおぼろげな月の光を受けて、薄明の中に踊る姿が幻のように浮かんでいる、そういう映像で頭に残ってるんですよ。

ジャンプの失敗があったので、観客も、そして大ちゃん自身も意気消沈した空気が会場を支配しておりましたが、最後のステップとても素敵でした。

金沢のアメリを思い出したんですけど、まるで体重がないみたいに軽々と、すっすっすっと気持ちよく氷の上を進んでいる感じ。
難しい事を色々とやっているのになかなか報われないロックンロールに対して、ステップやエッジワークの美しさが分かりやすいプログラムなのかなと思いました。

大ちゃんの演技の魅力は指先まで神経の行き届かせながら絶妙のタメで魅せる上体の動きにあると思うんですが、それを支えているのは足元の確かな技術なんだなと改めて思いました。
足元で難しい事をやっていてもストレスを感じさせず、上体を動かしてもバランスを崩す事なくスムーズにエッジをコントロールできるからこそ、ステップを踏みながらあれだけ美しく踊る事ができるんだなと。
プログラムができて1ヶ月というか、実質2週間くらいの練習であの演技でしたので、世界選手権でどのように表現が深化しているか楽しみにしたいと思います。
ロンドンの夜空に浮かぶのは、霞の中に漂う春の朧月か、冴え渡る空に煌々と輝く冬の月か。

***

フリーの道化師の方は、全日本の演技がなまじ余りに凄かったために余計に残念に思う反面、あんな演技そうそういつもできるものではない…と思いますので、世界選手権の事を思うと正直ちょっとほっとしたのも事実です。
個人的には、予想以上に点数が低くてショックでした…。
確かにコンビネーションジャンプ少ないぞとは思いましたけど、4回転もクリーンではないにしてもとにかく飛んで降りてたし、もうちょっと何とかなってるだろうと思ってましたので。
ただ今迄の経験上、4大陸で良い時は世界選手権で上手くいかない事が多かったので、そういう意味ではちょっと安心かも知れないです。
試合後少し休むように周囲に言われたという事なので、やはりSPの変更もあって相当練習したのでしょうし、本人が自覚している以上に疲れていたのかも知れません。
全日本であれだけの演技をした時には相当魂も削っただろうし、靴を変えて一週間という情報もありましたので、靴も馴染んでいなかったのでしょう。
(世界選手権から逆算して靴を変えたのか、それとも他に事情があったのかは分かりませんが、丁度今ぐらいがいい感じに馴染んでればいいなあと思います)

そういう意味では、4大陸選手権の試合の結果は非常に残念なものではありましたが、世界選手権が心配になる、という感じではなかったかなと思います。
いよいよ開催が迫って来た世界選手権…どういう結果であっても、まずは大ちゃん自身が納得のできる演技が出来る事、まずは何よりそれを祈ります。
大ちゃん自身が満足できる演技なら、それはきっとステキな演技に違いないから。私は何よりそれが見たいのです。

***

所用があって実家に帰った時に、最上稲荷に行ったので必勝祈願して参りました。
岡山県最大の初詣スポットとして地元では結構有名なんですが、実は私が行ったのは初めて。車を置いた駐車場がすごく味のある所だったので思わず写真を撮ってしまいました。



あと、参道で買ったたいやきが四角だった。

南京町の関帝様にもお祈りして来ましたよー!


毎年春節祭の時だけ、ここに関帝様がいらっしゃるのです。


メディアとスケート

2013-03-12 19:17:00 | 日記
世界選手権の始まる前に、今シーズンここまでの色々な動きを見て感じている事を書いておこうかなと思います。
前に書いた「メディアとスポーツ」では、広告業界が主導する商業的な損得勘定が競技の採点に影響してるんじゃないかという仮説(あくまでも仮説ですよ)を立てた訳ですが。

その後のアレコレを見て「こりゃ末期かも」と感じましたので。

***

まず、全日本が終わった辺りから、一部のフィギュア記者による、高橋ファンに対して非難するような発言が見受けられました。でもそこで批判されてる内容ってほとんど言いがかりに近いというか、別に関係者の業務や試合進行の妨げになる訳でも、他者(選手でも関係者でも観客でも)に物理的な危害を与えたりする訳でもない、私に言わせて貰えれば普通の応援の範囲内なんですよね。

いつ入場して、いつ席を立つのも観客の自由だし、自分の好きな選手に声援を送るのも、バナー等で応援の意志を示すのも、お金を出してチケットを買った観客の当然の権利です。何も遠慮する必要はないと思います。
好きな選手を応援したいと思うから、高いチケットを買って遠路はるばる会場に足を運んでいるのです。
応援したいと思う選手には声援を送り、演技に感動すれば拍手喝采する。良いと思った演技に思うように点数が出なければ残念に思うし、逆に良い印象がないのに点数が高ければ疑問に思うのも、当たり前の事ではないでしょうか。

その「当たり前」の事を何か悪い事でもやってるように言われるのは、観客の反応がメディアの描いたシナリオ通りになってないからですか?と思っちゃうんですよ。つまり、業界主導による若手選手人気バクハツ☆プロジェクト(あくまで仮定)が当初の予定通りの成果を上げられていないという事なのかと。
元々の「男子シングル」の扱いの地味さからすれば現状でも十分だろうという気もするのですが、1月始まりのカレンダーが3月時点で売れ残ってるって事は、当初はもっと人気が出るものと予想されていたんじゃないかと思われます(年が明ければ売れなくなる商品だから、年内で売れる(と思われる)分しか刷らないだろうし)。

今のメディアの動きを見ていると、試合で勝った選手を持ち上げるというよりは、特定の選手をプッシュするために、試合に勝たせようとしているようにさえ見えます。
フィギュアスケートの競技会のはずが、スポーツタレントを売り出すための箔付けの手段として扱われているような。
そして今の状況は、人気を付けさせるために試合で勝たせようとして、そして実際に勝たせる(好成績を出させる)事には成功したのに、当初の目的である人気が思ったほど出ない…という事態に陥っているように思えます。だって、なんか…ト○タのF1がまさにそんな感じだったんですよね…(遠い目)。

でももしそうだとしたら、それってマーケティングのミスじゃありません?
F1だってみんな、トヨ○よりスーパーアグリを応援してたじゃないですか。何でも良いから勝てば良いって程、ファンの心理は単純なもんじゃないですよ…。

会場へ見に来るお客さんは、最初は特定の一選手がお目当てでも、試合で多数の選手を見ているうちに、第2・第3のお気に入りを見つけて掛け持ちで応援するようになります。テレビでやっていれば見るという人にとっては「突如彗星のように現れた驚異の新人」でも、会場に通うファンにとってはノービスやジュニアの頃から成長を楽しみに見守ってきたおなじみの顔だったりする訳です。

今回4大陸の会場に行って感じたのは、そういう「ゆるく」応援していた掛け持ち応援組が、若手選手から一気に離れたなという事でした。
昨シーズンの全日本の会場では、会場全体からわりとまんべんなく拍手や声援が送られていたけど、今回は熱狂的な一部のファンとそうでない人たちとの間に結構温度差があるように感じられました。

メディアの人たちにはそれが気に入らないのかも知れないけど、そうなった原因の(少なくとも)半分はあんたらにあるんだぞと私は言いたい。
何もなければ第1のお気に入り引退後第2・第3のお気に入りの応援に移行して行くはずのファンを、1人の選手を持ち上げるために他の選手を引き立て役扱いにする事でばっさり切り捨てる形になったんじゃないですか?

それともう一つ。
試合で結果を出して、ニュースなどで取り上げられる事は、多くの人に演技を見て貰えるきっかけに過ぎないと思うのです。
そうして演技を見た人を「ファン」として取り込むのは、演技そのものに魅力なんじゃないでしょうか。
順位と点数だけなら、ネットでニュースをチェックすれば分かります。
試合を観に行く観客は、点数ではなく演技を観に行くのです。

4大陸選手権。私の席はロングサイドのスタンド席、ほぼ最後列に近い場所でした。リンク全体を高い所から見下ろす位置で、ステップでターンする時のエッジの軌跡なんかが特によく見えました。
某日本人若手選手の場合、ステップのターンでエッジが弧を描く時の、滑らかじゃない感じが気になりました。微妙にエッジを引きずるようなぎこちなさを感じたんですね。あと、エッジを切り替えたり足を踏み変えたりする時に、一瞬躊躇うような、慎重になってるような微妙な間があるような気がする。
私は素人なので、評価のポイントとなるようなリンクの使い方だのステップの組み合わせだの上体の動きだのは正直よく分かりません。
でもぱっと見の印象として、微妙にもたついてて冴えない動きに感じました。故に、きれいだともかっこいいとも思えない。あくまで私の主観ですけど。

ただ、点数を見ると、ステップもスケーティングもシニアのトップレベルの点を貰ってるんですよ。
だからあれが、世界最高峰の技術的にも芸術的にも素晴らしきステップのはずなのです。
私にはどこがそうなのか分からないけど。

***

という訳で、もう一つの動きです。

全日本では、審判の出した点に対して「意図的に不満の意志を表明する」という意味での「ブーイング」は無かったと聞いています。実際映像でも確認できませんし、私自身、日本国内の試合でそのような観客の意思表示は見た事はありません。
他方、昨シーズン行われたニースでの世界選手権では、地元フランスの観客たちによる、そのような意志表示があったと聞いています。お国柄の差でしょうか。
私的には、観客が不満に思うなら、それをブーイングのような形で示すのも観客の権利だと思っています(自分がやる度胸はないけど)。

まして、そういうはっきりした意思表示ですらない、「何でそんな点が出るの?」という疑問の気持ちが自然に表に出る、観客の多くが同じ反応を示すことで微妙な空気になる…という事さえ非難されるようなら、それってほとんど言論統制に等しいんじゃないかと思ってしまった。
審判の出した点数に対して観客から疑問の声が上がっている。それを「一部の選手の悪質なファンによる暴走」と決めつける事で疑問を押し込めようとしているというか。
逆に言うとそれだけ今、審判に対する疑問の声が大きいという事かも知れないと思いました。
もしかすると私が思っている以上に今、審判に対する疑問の声が世界的に高くなっているのかも知れないと。

先日、田村岳斗コーチがブログで、自身の指導する宮原選手の世界ジュニア選手権での審判の判定に異を唱えた事がちょっとした話題になっていました。

今までもファンの側から採点に対する疑問の声は度々上がっていましたが、関係者や解説者は一貫して「審判の採点は正しい」というスタンスを取って来ました。
当然の事と思います。
専門家が審判への疑問を認めてしまう事は、素人が半端な知識で好き勝手な事を言うのを許してしまう事につながる。
それぞれの選手のファンが口々に「自分の贔屓選手は不当に低く採点されている、ライバルは不当に高く点を貰っている」と言い始めれば収まりがつかなくなってしまいます(ていうか私もその一人だ!)。
だから専門家と言われる立場の人は、多少疑問があっても飲み込んで、あくまでも採点は公正ですと言い張らなければ競技そのものの成立が危うくなる。
田村コーチもその事は重々承知の事だと思います。
それでも敢えてああいう事をブログで書いたというのは、よほど納得できかねる判定だったという事なのでしょう。
それもわかる気がします。
ファンの立場なら、採点や判定に疑問を感じても「面白くない」だけで実害はありません。
でも実際に選手を指導する立場のコーチにして見れば、正しく飛べているジャンプにエラーの判定を出されては、どう指導していいのか分からない。対策の取りようもないですもんね。

2002年ソルトレーク五輪の後で導入された新しい採点法は、実施された技(エレメンツ)に対して点が付く「客観的な」採点法というのが建前でした。
でも実際には、PCSもレベル判定もジャンプのエッジも回転不足もGOEも、審判の胸先三寸で如何様にも操作できるという事にみんな気付いてしまった。
そして恐ろしい事に、審判の判定が適切に行われているかどうかを第三者が監視するようなチェック機関がない(または、あっても正常に機能していない)という事も。
それどころか、審判への異議申し立てを無言の圧力で封殺するようなシステムになってしまっているようで、田村コーチも、自身が審判の判定に異を唱える事で、審判から報復される=宮原選手が試合で不利な採点をされる事を懸念していました。

で、結果的に試合の結果や点数が如何様にも操作可能な状態になってる事が色んな立場の人たちに利用され、選手やコーチたちが振り回されているような気がします。
取りあえず私の目には、色んな立場の人たちに混じってアスリートをスターシステムに乗せる事で儲けたい広告業界が乗っかってるように見えてます。

でも何だか今、飽和状態に近くなっているのも感じるんですよね。
こんな状態がこのまま続いたらその内どこかででっかいちゃぶ台がひっくり返るんちゃうんか、と思うのは私の考え過ぎなんでしょうか。

***

ここまで私がうだうだ書き散らして来たような事が、杞憂に終わればそれに越した事はないと思います。
世界選手権を初め、今後行われる全ての試合で、「大人の事情」に左右されない公正な審判が行われる事を願っております。