ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

ブルースで酔わせて

2012-04-07 23:39:00 | 日記
すっかりご無沙汰しております。虹川です。
仕事も相変わらずへまばっかりやっておりますが、この冬はそれに加えて、隙を見ては自分が滑る方のスケートへ出かけてました。っていうのも、思い切ってマイシューズ買ってしまいまして。

大ちゃんもお世話になってる小杉スケートさんのシューズです♪
(ていうか、関西方面でスケートやってる人は初心者から選手までほぼみんな小杉さんのお世話になってるんじゃないかと思われます)

…ええと、私の事はもういいですね。という訳で。

大ちゃん2コ目の銀メダルおめでとう~!!!(パチパチパチ)

特にフリーの出来は素晴らしく、優勝も狙えるか?と多くの人が感じただけに一抹の悔しさも残る結果かも知れませんが、私は今回2つの意味で彼は勝者だと思っています。

前回の世界選手権で、彼は自分の結果をはっきり『惨敗』だと言い切りました。
演技中にシューズが壊れたからでも、5位に終わったからでもありません。
試合が始まる前に周囲の関係者たちから「チャンを脅かす存在」だと思われていなかった。そういう風に周囲に思わせることができていなかったと、後に語っていました。人の気持ちに敏感な大ちゃんらしい考えだと思いますが、リンクに立つ前の段階で、同じ土俵に上がれていなかった、その時点で『惨敗』だったと彼は感じていたようでした。
でも今年は違いました。事前の下馬評でも、チャン選手本人の口からも、「誰かがパトリックを倒せるとしたら、それはダイスケ」という声が聞こえて来てました。
もうその時点で1つの戦いに勝ったな、と私なんかは思ってしまった訳ですね。

思えば今シーズンは、ただでさえ通常より短いオフシーズンを、ボルト除去のための膝の手術とリハビリからスタートしてました。練習を開始してもすぐにはジャンプも飛べず、4回転の練習を開始したのは開幕を控えた9月だったという事です。
スケートもジャンプも全て1からの見直しで、1年でどこまで回復させられるのかも分からず、まずは世界選手権に『出る』事を目標に掲げてのスタート。
しかしフタを開けて見れば、ジャンプ練習が出来ない間にフランスに渡って磨きなおして来たスケートは以前にも増して優雅で美しく(技術的にどうとかは私の知ったことではナイ)、先シーズン散々苦労していたスピンでレベルも点も取れるようになり。
当初不安定だったジャンプも徐々に力強さを増して行き、遂にはSPからの4回転に挑むまでに回復。
すぐに結果には繋がらなくても(JOとかJOとか)、一歩一歩練習の成果を積み重ねて最後の舞台に、優勝候補の最大のライバルとして辿りついた訳です。もう、この舞台にこういう形で立てた事が既に奇跡だし勝利だと思う。

来シーズンは、FSに2回4回転を入れることを目指すそうですね。SPと合わせて計3回。それは当初、08-09シーズンに目標にしていた構成だったんじゃないかと思います。紫ロミオで4回転×2の構成に成功して(全日本と4大陸)、次はSPから入れて行こう、という話の出ていた矢先のあの怪我でした。
あれからもうじき4年間。…4年経ってやっと、あの頃の力強いジャンプが戻って来ているのかと思うと、本当にこの4年間、こつこつよく頑張って来たと、今こそ感慨に耽らなくてはなりませんね。
あの当時はバンクーバーに、計3回の4回転で挑む事を目指していたはず。バンクーバーで果たせなかった事を、ソチオリンピックで。…くれぐれも無理はしないでねと思いつつ、それでも彼の夢を応援したいと思います。

そしてもう一つ。
私はフィギュアには詳しくないしルールも技術的な事も大して分からないので、「採点がおかしい」とか「チャン選手の点出過ぎ」とか「大ちゃんの点が低過ぎ」とか「大ちゃんが優勝するべきだった」、とか決して言いませんが。
世間の皆様、日本のみならず海外のスケートファンや実況・解説、元スケーターや有名コーチの皆様からのそのようなご意見に関しましては「もっと言って!(はぁと)」というのが本音です(笑)。
…だって私の口から言っても所詮はファンの欲目、ヒイキの引き倒しですもん。第三者的な立場で、専門的な知識のある人たちのご意見の方が説得力がございます。
もちろん、一般の方たちの、白紙の状態からのニュートラルなご意見も嬉しいです。「コケた方が勝つのっておかしくない?」だけじゃなくて「ダイスケの演技の方が素敵なのに!」というご感想なら尚更嬉しい。
(故に、ファンが関係各所に抗議するのとかは違うと思います。あと、女子の採点とは関係ないと思います)

それで結果が変わる訳ではないけど(そして大ちゃんは黙って結果を受け入れて、それも自身の成長の糧にするんだろうけど)。
でもそれくらい、世界の人々から結果に対する異論が噴出するくらい大ちゃんの演技が世界の人々を魅了したのだと思えば、それもまた一つの勝利かな、と思います。
それに先シーズン、やってる事の割に点数的には報われたとは言い難かったマンボが、結果的には高く評価され、今シーズンの採点に影響を与えたという事実もあります。
本当の芸術が理解されるには時間がかかるものです。すぐには表に出て来なくとも、もしかすると時間差で、何らかの影響が現れないとも限りません。
チャン選手には悪いけど、彼が受けたブーイング(海外でも報じられてる所を見ると、どうも本当に起きてたらしい)や優勝への異論は、大ちゃんが演じて見せた極上のブルースへの報酬なんだと、私は勝手に思ってます。

分かりやすく盛り上がる訳じゃない。音にも衣装にも派手さはない。キラキラの王子様でも、キケンなラテンの色男でもない。ハードボイルドな男は女に媚びない。それでもダイスケの手にかかれば、無口な背中から陽炎のように色気が漂い、シンプルな音が妖艶に踊り出す。スケートは細かな音まで拾い、指先は絶妙なニュアンスで音楽を奏で、最後まで飽きさせずにブルースの世界に引きずり込む。
審査員にはこれを評価することができなくても、当日会場にいたお客さん、そして放送を通じて見た世界の人々は、金色に輝く一杯の芳醇なバーボンのようなブルースの香りに存分に酔い痴れたのではないでしょうか。

ともかく大ちゃん、おめでとう。
悔しい気持ちは、きっと更なる成長に繋げてくれると信じて、これからも応援します♪

その他の選手や競技についても時間があれば書きたいんですが、そう言って実際に書いた試しがないっていう。

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そう言う訳で、10日火曜日神戸チャリティーに行って参ります。平日って事で相方が岡山から出て来れないのが寂しいですが、今回は私一人で。
神戸のご案内など必要な方はお申し付け下さい。

おいでませ神戸♪