ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

エクストリーム和服~京都伝統産業の日~

2015-03-29 14:20:00 | 大人の修学旅行
毎年3月後半、京都市が中心となって行われる「京都伝統産業の日」。
その一環として、毎年3月21日の春分の日に本格的なオーケストラの演奏を無料で聴けるコンサートがございます。
条件は、当日和服着用で行くこと(あと、事前申し込みが必要)。

京都伝統産業の日公式サイト。
http://www.densannohi.com
コンサートの申し込みはネットからもできるけど、公式サイトのどこからもリンクが貼られていないという謎。
(なので、このサイトではなく京都市のサイトから申し込みしなければ行けません。申込多数の場合は抽選)

お着物で京都でクラシック。何やらセレブの匂いのするイベントですが、こうなると俄然ハードルが下がります。

この「京都伝統産業の日」のパンフレットには他にも特典チケットが付いてて、イベントの期間内に和服を着て行くと色んな特典を受けられます。


(公共の施設を中心に色んな所が入場無料になったり、市バス・地下鉄に無料で乗れるなど太っ腹)

そして京都で和服と言えば、こちらは割といつでも使える「京都きものパスポート」というものもございます。


京都きものパスポート2014-2015
http://www.kimono-passport.jp
(写真=クーポン券感覚で色んなお店で使えます。ただしつこいようですが「和服着用」が条件)

こうなると、これらの特典を駆使して、「如何にお金をかけずに優雅で(気分だけは)リッチな古都の休日を過ごすか」に挑戦してみたくなって来ました。
そして同時にこれは、虹川セルフ着付(&ヘアセット)が果たしてどれほど持つのかという挑戦の記録でもあります。

***

そう。和服は結構エクストリームなのです。
まず第一に、着るだけで結構体力を使います。
最近は着付用の小道具もいいのがあるし、楽勝~♪などと思っていたはずが、初心者ゆえに襦袢の段階からあれこれ迷い、着物に四苦八苦し、最後の難関・帯結びで袋帯と死闘を繰り広げる。髪のセットも普段より念入りに、化粧もいつもより幾分厚塗りでございます。

やっとの思いで身支度を済ませて家を出たら、今度は電車が混んでいました。
いや、分かってはいたんですけどね。それでも神戸方面から乗れば普通は梅田で人が降りて座れるんですが、今回訳あって大阪から新快速に乗ったもので、必然的に京都まで座れませんでした。

この段階ですでに20%くらいHP削られてるような気がしますが、まだ何も始まってもいません。
こうしてたどり着いたJR京都駅からエクストリームの本番がスタートです。

【1】美術館「えき」KYOTO「東山魁夷わが愛しのコレクション展」

※映ってるのは私ではありません。

「京都伝統産業の日」公式パンフについている「きもの無料入場券」は、京都各地の美術館・資料館・寺社仏閣や庭園などが対象。それでも、大きな美術館などでは、「無料で入れるのは常設展だけ。企画展や特別展は別ね」って言うのがほとんどなんですが…。
この美術館「えき」KYOTOでは企画展も無料(ていうか、ここは京都伊勢丹の中にあるアートギャラリーみたいな場所なので、そもそも企画展しかやってません)。
そして折しもこの日やってたのが日本画の巨匠・東山魁夷の作品を、彼が生前蒐集していた古今東西の美術・骨董品と共に展開するというこの展示。場所柄、それほど多くの作品を並べられる訳ではありませんが、中身は充実しておりました。透明感のある水の表現が印象的。

美術館「えき」KYOTO「東山魁夷わが愛しのコレクション展」
http://kyoto.wjr-isetan.co.jp/floorevent/index_7f.html
◆入場料一般当日券¥1000→\0

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お次は地下鉄に乗って四条まで。

◆地下鉄 京都→四条 ¥210→\0

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【番外編】The Terminal KYOTO「現代京都藝苑2015 連続の縺れ-conti/nuit/e-」
お昼ご飯にはまだ早いし、何か面白いものないかな?と思いながらフラついていた私の前に、狙ったように現れたギャラリーThe Terminal KYOTO。京都の町屋を改装した、というより町屋をそのまんま使っているようなギャラリーです。
(多分)若手の現代作家の作品を集め、京都の複数の会場で行われている「現代京都藝苑」というイベントの、会場の一つがここ、ということのようでした。しかも、入場無料(ここ重要)。これは見るしかない。

最近のアートは、なんかインスタレーションとか言って、作品が存在する空間そのものを表現の場として使う…みたいなのが流行ってるようですが、これもそんな感じなのかな…?というか、古い町屋の色んな部屋や庭などの場所と、そこ展示されている作品が、マッチしているようなミスマッチなような、その不思議な感じが面白かったです。
中の一部がお座敷カフェになっていて、今度来た時はここでお茶するのもいいなあ…と思いました(しかし京都ではこの「いつかここでお茶したい」リストがどんどん増えて行く)。


かっこいい町屋。

The Terminal KYOTO
https://www.facebook.com/theterminal02

現代京都藝苑2015
http://www.kyoto-contemporary-art-network.net

◆入場料¥0(無料)→\0
※「連続の縺れ-conti/nuit/e-」は入場無料でしたが、現代京都藝苑2015には有料のイベントもあります。

【2】ロビンソン烏丸
お昼ご飯に選んだのは、割と最近「京都きものパスポート」の対象に加わったらしいこのお店。
京都の町屋の建物(かなり立派)を利用した、いいお店っぽい感じのレストランですが、ランチなら1000円くらいからと意外とハードルは高くない。しかも、1000円の含めてすべてのランチにパン食べ放題付き。このパンの種類が豊富で、選ぶのが楽しかったです。流石、神戸に本店があるだけのことはあります。

ロビンソン烏丸
http://www.dreamwks.com/karasuma.html

◆パスタランチ¥1200→¥1100(ランチ¥100off)

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そして再び地下鉄に乗り、コンサート会場のある北山に向かいます。

◆地下鉄 四条→北山 ¥260→\0

北山駅に近づくにつれて車内の着物率が上昇して行き、駅で降りた時にはこんなことに。


※重ねて言いますが映ってるのは私ではありません。

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【3】京都コンサートホール「きものクラシックコンサート」

演奏は京都市交響楽団。
京都コンサートホールは1800人収容のかなり立派なホールです。クラシック用に作られたらしく、音響もばっちり。
それにしてもしかし、1800人近くが着物着て集まるっていうのは、中々に圧巻な光景でございますよ。
席は特に決められてないので私は2階席を選んだのですが、目の前に広がる1階席にいる人たちが全員キモノ。
そんな中で始まるコンサート。

モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲
ビゼー 歌劇「カルメン」第1組曲&第2組曲より
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

クラシックは曲が長いので、このシンプルなセトリで2時間埋められます。
アンコールの「スラブ舞曲作品72第2番(ドヴォルザーク)」含めてメジャーな曲ばかりで聞きやすかったです。
いや、タダで聞かせて頂くものに好き嫌い言うつもりはございませんが、知っている曲が多いとやっぱり聞きやすい。
特に「新世界より」は好きな曲なので楽しかったです。
「遠き山に日は落ちて♪」って歌いたくなる第2楽章もステキですが、第4楽章のクライマックス感が何よりわくわくしますねー!。
指揮者の「ロッセン・ゲルゴフ」さん、紹介がやけにあっさりしてましたがこういう人のようです。
http://amati-tokyo.com/artist/rossen-gergov.html
動きや表情がパキパキしてて、見てて飽きない人でした。音楽的にもかなりメリハリが効いた作風と思ったのですが、どうでしょう。

◆「きものクラシックコンサート」¥0(無料)→\0

きものクラシックコンサート
http://www.densannohi.com/14/
申し込み窓口→京都いつでもコール
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000012821.html

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楽しいコンサートも無事終了しましたが、せっかく京都まで来たんだしって事で市バスに乗って祇園へ向かいます。
祇園方面にはJRも地下鉄も駅がない(阪急と京阪はある)ので、北山から一本で行けるバスの方が便利かなと思ったんですが…。
正直、結構ハードでした。車内が混み合う(下鴨神社の辺りから急激に)のは想定していたのですが、バスの場合は道も混むんだ、という事を忘れておりました。
市の中心部に近づくにつれて渋滞にハマり、進まなくなって来るのがじれったい。

◆京都市バス北山駅前→四条河原町 ¥230→\0

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◆長楽館カフェ
ようやく着いたバスを降りるも、この界隈はいつ来ても人で溢れかえっています。ひしめく人波をかきわけかきわけして河原町から祇園方面へ。八坂神社の敷地を通り、円山公園に向かいます。

まだ一分咲きくらいのしだれ桜を囲む広場の横に、さりげにどっしり佇む洋館、それが「長楽館」。

元は明治時代の実業家で「煙草王」と称された村井吉兵衛の京都別邸として建設された建物だそうで、一歩入れば気分はさながら明治の華族。
現在はホテルとなっているこの素晴らしい施設のレストラン&カフェでも「きものパスポート」が使える…という事でやって参りました。

敷地内に入るなり黒服のスタッフが「何の御用ですか?」と聞いてくる所からしてもう格が違うような気がする。
内心ビビりつつ、表向きは余裕を装って「お茶したいんですけど」と伝えると「カフェのご利用ですね?」と言って中に案内して貰えます。
1階の席が埋まっていたのか2階の奥の部屋まで通されたんですが、通過した部屋から階段から全てがゴージャス。

このステキなお部屋でいただくウィンナーコーヒー\1000なり。
いやもう、この席に座れるだけでも、コンビニのコーヒー10杯分の価値は十分あると思います。
加えて出てきたコーヒーがこれ。

これはもう、パスポートとか関係なくお着物で来たい。そして思う存分お嬢様(ってトシじゃないけど)気分に浸りたい。

◆ウィンナーコーヒー¥1000+ガトーショコラ\600
 計¥1600→\1520(5%off)

実は私、その昔、20年くらい前にここのホテルに泊まった事があります。
当時はレディースホテルで、素泊まりで5000円くらいでした。お部屋もどう見ても古いお屋敷の一室で、ホントにこの部屋この値段でいいの?と当時も思ったものです。今ではとてもそんな値段では泊まれませんが…というか、調べて見るとどうも、2007年くらいに一旦閉鎖・改装して今のラグジュアリーホテルになったみたいです。

参考
http://www.age.jp/~docile/gar_choraku.htm

長楽館
http://www.chourakukan.co.jp

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懐かしい思い出とお嬢様気分に浸りつつ、外へ。
最後にもう一箇所だけ寄って帰りたい所があるため、歩いて地下鉄の駅に向かいます。

円山公園から地下鉄東山駅まで歩いて10分くらい。
グーグルマップに導かれるままに歩き、こんな雰囲気のあり過ぎる商店街を通過。

京都って深い。

◆地下鉄 東山→二条城前 ¥210→\0

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【4】二条城ライトアップ2015~百花繚乱~

ちょうどこの日の前日・20日から始まっていました。
加えて、伝統産業の日ともきものパスポートとも直接関係ないけど、和装で行くと入場無料。
チケットを買う必要すらなく、顔パスならぬ着物パス状態で城内へ入れます。これは中々気持ちいい。

建物や桜の木(咲くのが早い種類のものには、既に見頃になっているものもありました)のライトアップも美しく、加えて今流行りのプロジェクションマッピングってやつで様々な演出を楽しめます。
昼間に見るのとは全く違う雰囲気で予想以上に楽しめました。
4月の12日までやっているので、京都に行く機会のある方は是非♪ 着物を着る方には特にオススメです。




◆二条城ライトアップ2015~百花繚乱~ 一般¥600→\0
 二条城本格修理事業・二条城一口城主募金 \200

二条城(京都市公式)
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/

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◆地下鉄 二条城前→(烏丸御池)→京都 ¥260→\0

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◆集計結果
¥5770→¥2820
差引¥2950

こうして見ると、交通費が無料になるのは大きいですね。1dayフリーパスとか使えばもう少し安くなるかもですが。私鉄には使えないのと、自動改札が通れない(故に、無人の改札口は使えません)っていう制約を差し引いてもお得感あります。
それに美術館とライトアップの無料も大きいです。あと、コンサートは元から無料扱いですが、本来ならチケット代だって⚪︎千円はするものですしね。
使ったお金はほぼ飲食だけですが、正直長楽館は5%とかどうでもいいと思いました。あのロケーションでケーキ600円は良心的過ぎます。
あと、二条城で募金したのは、募金200円で貰える缶バッジが可愛かったからです。
5種類の中から選べるバッジ、天井画の牡丹をデザインに使用したコレが女性に一番人気だそうです。


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優雅…というには余りにも体力を消耗してしまったような気がしますが。
その分お腹いっぱい満喫しました。満足です。
ついでに言うと、あれだけ歩き回っても全くすり減っている様子のない草履の底が頼もしいです。
安物なのによく頑張ってくれました。
着物って結構色々大変ですが、特に京都みたいな観光地では、色々と特典も付いて来るんですね。
興味と体力があるならば、頑張ってみる価値はアリかと思いました。