ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

時の引き金

2012-06-30 20:45:00 | 日記
別名:ケビン・レイノルズ選手をダシにクロノトリガーを語るの巻

カナダのケビン・レイノルズ選手の11-12年のFSプログラムはゲーム音楽「クロノ・トリガー」。
ゲーム好きの間では割と有名だけど、マリオやドラクエみたいに、「ゲームをやらない人でも名前は知ってる&テーマ曲くらいは聴いたことある」っていうほどのメジャータイトルではないですね。

最近はフィギュアでサブカル系の音楽が使われるのもそんなに珍しくない感じですが、国際試合に出るレベルの選手が、こういうちょっとマニアックな選曲をするのは余り見ないんじゃないでしょうか。マニアの間でちょっと話題になってました。
ていうか、日本人の選手が使うにしても、「これ日本でもそんなに有名なゲームじゃないし、海外の人にはわからないよね」ってちょっとためらう選曲ですよね。それをいきなりカナダの選手が出して来たことにみんな驚いたと思いますというか私が驚きました。

ウィキペディアをみる限り結構新しいハードにも移植されてる根強い人気を持つゲームです。が、私がプレイしたのは1995年発売のスーパーファミコン版だ!(笑)。

「クロノ・トリガー」
http://bit.ly/ihmLlm

当時はスクエアとエニックスがライバル会社だったので、「ドラクエの鳥山明がFFのスクエアと組んだ」っていうのは結構びっくりでした。ドラクエとFFが同じメーカーから出る日が来るなんて、あの頃は予想だにしなかったよ。
同じ鳥山明キャラクターデザインのゲームでも、ドラクエとは随分雰囲気が違うなーなんて思ったものです。
丁度、スーパーファミコン(2Dグラフィック)からPSをはじめとする『次世代機』(3Dポリゴン)への移行期というか移行前夜くらいの時期だったこともあり、スーファミの処理能力の限界に挑戦しました!ってくらいにグラフィックは美麗でした。
(個人的に、スーファミのゲームのグラフィックの美しさはこれと「ミスティックアーク」が双璧だと思ってます)
そして、映像と並んで音楽も印象的でした。

《参考資料》
■ファイナルファンタジー6(SFC)1994年4月発売
■クロノ・トリガー(SFC)1995年3月発売
●ドラゴンクエスト6(SFC)1995年12月発売
□ファイナルファンタジー7(PS)1997年1月発売
□クロノ・クロス(PS)1999年11月発売
○ドラゴンクエスト7(PS)2000年8月発売

さてさて。レイノルズ選手のプログラムなんですが…。

ベースになってるのはどうもこれみたいな気がします。(長いです)
前半 http://www.youtube.com/watch?v=abUlWFUjt-k&feature=related
後半 http://www.youtube.com/watch?v=iSKtZf-CUYU&feature=relmfu

あと、こういうCDも見つけたんですが、編曲同じかな。
Symphonic Fantasies-music from SQUARE ENIX/スクウェア・エニックス ゲーム音楽コンサート

そしてこの演技が「クロノ・トリガー」というゲームの世界観を表現できているかと言うと…うーん。
選手の表現力とかプログラムの問題以前に、そもそもこの音源の編曲自体が、「クロノ・トリガーっぽさ」よりも「クラッシックっぽさ」に重きをおいてるっていうか、あんまりゲームの雰囲気出てない気がする。
しかもこれ、続編として作られたPSソフト「クロノクロス」の音楽が半分くらい入ってる。
(「クロス」は海外ではウケたみたいだけど、日本では「トリガー」に比べると全然売れなかったらしいし、私もやってません)
あと、これ振付けした人は多分ゲームやってない気がする(クリアするのに何十時間もかかるものをやれって言う方が割と無茶だと思うし)。
そういう訳で、最初のステップの所の「クロノトリガー」(テーマ曲)以外はあんまりゲームの面影を感じないなーというのが正直な所でした。

クロノトリガー http://www.youtube.com/watch?v=MksQiBoQ-kg&feature=relmfu

こっちだとゲームの雰囲気が伝わるかな。
OP映像付き http://www.youtube.com/watch?v=1DI0Td13oW0

流石にスーファミ時代のゲームの音源そのままって訳にもいかないと思いますが、どうせクラッシック版を使うんだったらこっちの方が良かったんじゃないかなーという気がします。

http://www.youtube.com/watch?v=F8OO2Aa5izo&feature=related
こっちの方が流れ的にもゲームのストーリーにあってるし、時間も短いからちょっと削るだけで4分半に収められそう。

こっちはOPが先に来てるバージョン。曲のセレクトが上と似てる。
http://www.youtube.com/watch?v=6mQQTQ8Ur2g&feature=related

この「クロノトリガー」というゲーム、時間の神クロノスの名前がタイトルに入っていることからもおわかりのように、「時間」がテーマの作品です。
色んな時代を行き来して、過去の事件を解決することで未来が変わったりするストーリーなんですね。恐竜のいる原始時代から古代の超文明っぽい不思議な国、中世のお城で魔王と戦ったり荒廃した未来の世界に行ったりと、ファンタジーとSFを良いとこどりした中々楽しいシナリオでした。
ゲームのシステム的には合体攻撃が楽しかったです。エフェクトも派手で良かった。

ストーリーは主人公の住む村、建国記念のお祭りからスタートするんですよね。冒頭に出て来る民族音楽っぽい部分がそれ。

ガルディア王国千年祭 http://www.youtube.com/watch?v=55s8zhkkSnE

それから、故郷の村での穏やかなひととき。
風の情景 http://www.youtube.com/watch?v=adf8qQPo4m8&feature=relmfu

数々の冒険を経て、最後はテーマ曲で締め。がいいなあと思うんですが。
どっちも「カエルのテーマ」がちょっと入ってる所が良いですね。

カエルのテーマ http://www.youtube.com/watch?v=O-3eDPGQSE4&feature=relmfu
カエルかっこいいよ。

ちょっと残念なのは、「時の回廊」が入ったオーケストラバージョンを見つけられなかった事です。多分これがこのゲームで一番人気のある曲だと思うんですが。魔法王国ジールの場面で使われる、ちょっと哀愁を帯びた神秘的な曲。

時の回廊 http://www.youtube.com/watch?v=9ECai7f2Y40&feature=relmfu

人気があるので、アレンジバージョンを作って上げてる人も多数。
時の回廊arranged http://www.youtube.com/watch?v=iGvZCIOjb1o

マイナーだけど、「時の最果て」も好きです。不協和音の使い方がたまりません。
時の最果て http://www.youtube.com/watch?v=OFIwoQ11UBU&feature=related
これをフィギュアでやると大ちゃんのCrisisみたいになりそうな気がする。

***

色々言いましたが、このプログラムを見て、ゲームの音楽を使ったプログラムってまだまだ前例が少ないし、その分これから工夫や開拓の余地もありそうだなと思いました。過去余り使われていないジャンルの音楽を開拓するという意味では、レイノルズ選手の挑戦はナイスチャレンジだと思います(そしてジャンプ構成も大変チャレンジング)。これからもがんばって下さい。

それに何より、こういう事でもなければクロノトリガーについて語る機会なんてなかったので、そういう意味でも感謝してます。
(この記事では如何にもゲーマーっぽい事書いてますが、実は私がRPGやってたのってスーファミ末期のこの時期だけだったりします。プレステはほぼ天誅とバイオハザード専用機だった…)

***

■拍手コメントへのお返事

□2012/6/24 17:40
あんまり大したこと書けなくてすみません。
でもクロノトリガー好きな方に出会えてうれしいですー。随分昔にやったゲームだけどすごく印象に残ってます。同じ時期にやってたFF6とかDQ6とかに比べても、負けてないゲームだと思います♪

□2012/6/20 1:19
こんばんは。非常に熱の込もったコメントを頂き、ありがとうございます。
私もまだまだ色々思う所はありますので、もし書けたらですが、別のエントリーで改めてお返事できればと思います。

4年目の元サヤ

2012-06-19 19:38:00 | 日記
みなさんこんにちは。
DOI見に行けない腹いせに、ケビン・レイノルズ選手の昨期のFSをダシにしてクロノ・トリガーの思い出でも語ってやろうと思ってたらそれどころではなくなってしまった虹川です。お元気ですか。

***

過去からの思い込みに捕われなければ未来への選択肢はもっと広がる。そして高橋大輔という人は結構そういう思い込みには捕われない大胆な発想で行動する人だ…とこれまでの色々から学んだつもりではいたのですが。それでもやっぱり、いざこういう事が起こって見ると、自分の未来予測の限界を感じずにはおれません。

フィギュア高橋とモロゾフ氏コンビ再結成
http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20120615-968059.html

その発想はなかったわ。
そしてモロゾフのしおらしいコメントに二度びっくり。
あとこの記事書いた日刊スポーツの記者は、こういう漫才師みたいな書き方するのがクセなんですか?

***

で、最初はびっくりしたけど、よく考えてみたらまあ、アリなのかなと思いました。
思えばあれから4年間経つんですねえ…。
4年前も経てば状況も大分変わります。当時はモロゾフが中心となって作られたチーム体制からいきなり放り出された形で、色んなものがほぼ白紙になってすごく大変そうだった。でも今は、そこから一つずつ積み重ねて作られた「チームD1SK」があります。で、チーム高橋って言っても、皆さん大ちゃん専属って訳ではなく、他にもお仕事しながら大ちゃんをサポートしてくれる人たちですよね。
モロゾフが具体的にチーム内で何をやるのかは分かりませんが(現状、振付けをお願いする事は想定してないみたいですが)、そのチームのメンバーの中に新たに一人加わった、という形だと私は認識しております。

そして時間が流れて行く中、現状上手く行っているからと言って、将来も今のままで上手く行くとは限らない…と思います。周囲の状況が動いて行く中で、歩みを止めれば即ち後退に繋がります。まして大ちゃんは変化を恐れない人ですし、今回、こういう形で『変化』を受け入れる事にしたのかなと。

私はカメレンゴさんの作ったプログラムは全部好きだしカメレンゴさん自身も好きだけど、彼を取り巻く状況も以前とは大分変わってしまったように思います。大ちゃんと組んだ事で変わったというか(御本人も何かのインタビューで語ってましたよね)。だから今迄と同じ形で仕事を続ける事が難しくなってもしょうがないのかな、と。

モロゾフにしても、自分に取って利益になると思ったからこそわざわざ日本に来て頭を下げたんだと思いますが、逆に言えば、下げたくない頭を下げてでももう一度一緒に仕事をしたい、それだけの価値のある選手だと認めさせた事を、大ちゃんは誇りに思って良いと思います。
外野の私たちより大ちゃんや関係者の方が、彼と組む事のメリットもデメリット(或いはリスク)も分かってると思いますしね。その上でこういう形で受け入れたという、その判断を信じます。

4年前の経緯が経緯なので、彼に対してもやもやしたものを抱えてる人の気持ちもよ~~~~~~~~~く分かりますけど(笑)。
でも、離れた直後の大ちゃん陣営に口撃しまくってた頃から、あの時大ちゃんが離れた事は、彼に取っては不本意だって事だけはヒシヒシと伝わって来てはおりました。同時にそれ自業自得やんけ、とも思いましたけど(私が)。ともかく不本意だったって事に関しては終始一貫してたような気がします。
だから私的には、あの時の彼らの決裂を見て、してやったりとほくそ笑んでいたであろう人たちの方により一層腹を立ててます(だからって何もしませんけどね。どんな世界でも、筋を通せない人は何もしなくても勝手に落ちて行くし、その逆も然り)。

+++ Daisuke TAKAHASHI 高橋大輔選手 Nikolai MOROZOV ニコライ・モロゾフコーチ インタビュー要約 mixed zone interview on June 15 +++
http://japanskates.com/forum/viewtopic.php?p=519#519

実は私、上記の記事読んでちょっと泣きそうになりました。

〈引用〉
最初はかなり複雑な心境で、活躍している高橋選手を見ながら嫉妬心のようなものが芽生えてしまった。
でもその後で、彼はやるべきことをやっているだけで、
能力に見合った成果を挙げているだけだとわかり、だんだん落ち着いてきて、

ここ2年間ほどは単純に彼の活躍を楽しんで見守ってきた。
〈引用終わり〉

※太字は私が強調したい部分です。

4年前のあの時、何を言われても言われっぱなしで反撃しない大ちゃん陣営を、それが大人の対応で正しいんだと頭では分かっていても、心の中では歯がゆい気持ちもありました。
でも、誰が正しい事をやっているのか、判断するのは他人です。殊更に声を上げなくても、粛々とやるべき事をやり、結果を積み重ねて行けば、分かってくれる人は分かってくれるし、分からなかった人もいつか分かってくれる事もある(笑)。
今回のこの決断が、この先どういう結果につながるかは神のみぞ知るですが、今回モロゾフの口からこういう言葉を引き出しただけでも、この4年の大ちゃんのがんばりが報われたように思えました。

***

実は私、最初にこの話を耳にした時、「カキューン!」対談の武田美保さんのお話を思い出したんですよね。次のオリンピックで引退と決めたから、そこまでの4年間、「やり残した」と思う事がないように、先輩への変な遠慮も捨てて、悔いのないようやり切ったという話。
大ちゃんも、悩んだ末に決断したって事は、残りの2年、ここでこの話を断ったら後で悔いが残ると感じたのかな…なんて勝手に思ってしまいました。

…ら、いいタイミングでこんなものが。
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=urokonotubuya-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=B008ATKKMQ" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
これを期に改めて、先輩方のお言葉を振り返るのも良いかと存じます。

***

それにしてもDOI観に行った人羨ましい…。
刑事くん観たかったし町田くん&無良くんも良かったみたいだし。
大ちゃんピアソラNEWバージョン、ニュースの短い映像みただけでも凄くかっこ良かった…。

***

クロノトリガーについてもその内書きたいです。あれは中々良いゲームでした。

グランファルーンのお祭り

2012-06-11 22:25:00 | 日記
なんかもう遠い昔のようですが、国別対抗戦まで遡らせて下さい。略称はWTT。ワールドチームトロフィーの頭文字のようでございます。
前回は大ちゃんが怪我でお休み中=私の中でのフィギュアお休み中だったためどんなノリなのかよく分からず、JOみたいなお遊び試合なのかと思っていたのですが、終わってみれば色々と興味深い大会だったので、今更ですが振り返ってみたいと思います。


■SP 魂の庭で世界のてっぺん

完璧4-3決まった全日本はとりあえずおいといて。

GPF:4T失敗・3lzもコンボにできず。

4CC:4T失敗したけど3lzをコンボにしてリカバー

世界選手権:4Tは成功したけどコンボにしようとして失敗

…と続いて来たSP4回転への挑戦(そしてリカバリー)の系譜、ここに完結。
自分の失敗を正面から受け止めて未来へ活かす大ちゃんならではなのかも知れませんが、積み重ねって大事だなと改めて思わされました。
GPFでのSP4回転にご不満だった皆様(結構いるらしい)に改めて言いたい。
一つの山のてっぺんまで行ったら、そこから上はもう行けない。もっと高い山に登るには、一旦山を下りないといけない。
思えばNHK杯は4回転抜きで登れる山のてっぺんだったのかも知れないですね。勇気を持ってそこから下りたからこそ、もっと高い山に登る事もできたのです。拍手。
(大ちゃんがジェットコースターなのって、そういう気質も要因のひとつなんだろうなあ…)

94点でショートの世界最高得点って事に関しては、正直、「え、そうなの?」って感じでした。だって全日本では96点貰ってたし(それに相応しい演技だったと思いますけど)。余所の国の国内戦では3ケタ出たって話も小耳に挟みましたし。
国際試合ではまだ94点て出た事なかったんだなーと思って、そっちの方が意外でした。ていうことは、まだてっぺんではないのかもですね。国際試合で4-3決めればもっと上に登れる!かも(無責任)。

それと本当に4回転が安定して来ましたね。
復帰してから去年の年末くらいまでは、試合前の公式練習でも中々決まらず、本番で奇跡起こす勢いで気合入れて一発勝負…みたいな印象がありましたが(それでも先シーズン何回か決めてるんだからそれはそれでスゴイ)。
年が明けてからは公式練習でコンスタントに決まるようになって、試合でも自信を持って跳んでるように見えました。何度も同じ事を書くようだけど、あの大怪我からここまで持って来るの本当に大変だったと思います。医療関係者の皆様、指導陣の皆さん、そして何より大ちゃん自身に改めて頭が下がる思いです。


■FS ブルースをもういちど

高橋大輔、ゾーンに入りました。
私が生で観た限りでは、大ちゃん自身が今でも語る『名古屋のファントム』。あと、大ちゃん自身には不満の残る出来だったからも知れませんが(最初の4回転で転倒してるし)『仙台のロミオ』もそんな感じ(私に取っては)。後半なんてジャンプ失敗する感じが全然なくて、終わりに行くほど観客が引き込まれてわーっと盛り上がって行くのが体感できる、そんな感じ。
今回はテレビ観戦だったので確かな事は分かりませんが、あの観客が演技を終わるのを待ちきれないかのようにすごい勢いで立ち上がる感じは、正しくゾーン。
最後のステップに入る前、お客さんがすごく嬉しそうなんですよね…あそこまで反応してもらえたら、大ちゃんもさぞ気持ち良かっただろうと思います。

そして何より、ライバルのはずの他国の選手たちからの喝采と祝福。
日本チームのキス&クライで皆大喜び→何か上の方が騒がしい???→カメラが引くと、チームジャパンの頭上に他チームの選手たちが集まって大喜び(むしろ、チームジャパンより派手に騒いでいたような)。
あの構図に何やら象徴的なものを感じたのは、高橋大輔ファンの欲目というものなのでしょうか。

私正直素人だしフィギュアの採点なんてめんどくさくてあんまりさわりたくないんだけど。
今回のFSではチャン選手のPCSを上回ったんですよね。今シーズン初めての事じゃなかったかと思うんですが(←調べろ)。
もちろん今回はチャン選手が本調子じゃなかったというのもありますが。
ただ今シーズン、チャン選手がミスしたり精彩を欠いたりしていても、大ちゃんがPCSで彼を上回ることはなかった。そしてそれに対する異論の声がGPFくらいから結構大きくなっていたのも事実です。

そういう異論の声に、大ちゃんのファンが同調して声を上げる必要は、私はないと思ってます。
だってスケートに関係ない一ファンが声を上げても、『それは自分が好きだからそう感じるだけでしょ?』で終わりになるから。
こういう事は、ファンを含めた『自分』ではなく、『他人』に言わせるから意味があるのです。そのためには、それに見合うだけの演技をする必要がある訳ですが。

今シーズン通して聞こえて来た『ダイスケの点、低すぎ!』の声は、むしろ『他人』の口から聞こえて来たと思います。
海外のフィギュアファンはもとより、各国の解説者やコーチ、元選手など。日本の一選手に肩入れする義理もなく、フィギュアに関する経験も知識も豊富な関係者からの声にはそれなりに重みというものがあると思います。

もちろん、こういう外野の声がいくら大きくても、過去の試合の結果を覆せる訳ではありませんが、だからと言って決して無意味ではないと思うんですよね。
昨シーズン、点数的には報われているとは言い難かった『マンボ』が、『音楽と調和した演技はもっと評価されるべき』という採点の変化に結びついたように、審判の出した結果に対する外部の『評価』は見えない形で未来に花開く…んじゃないかななんて思ってます。
これもファンのヒイキ目って言われたらそれまでだけど。

ともかく、『国別』というチームの境目を飛び越えての、ライバルであるはずの海外の選手たちからの惜しみない祝福と賞賛。あれは点数以上に大きな、大ちゃんが得た演技の対価だと思います。

***

※タイトルはアメリカの作家ヴォネガットの小説「猫のゆりかご」から。この小説には「ボコノン教」という架空の宗教が登場するんですが、この宗教の概念として「カラース」というものが出て来ます。
「民族、制度、職業、家族、階級など一切の領域にとらわれず、神の御心を行うためのチーム」の事だとされているのですが、この「カラース」の対義語として「人間が誤って作ってしまう間違ったカラース。それらしく見えても、ボコノン教的には無意味な存在」を表すのが「グランファルーン」という言葉なのだとか。作中には、グランファルーンの例として、「同郷・同窓会、共産党、アメリカ愛国婦人団体、ジェネラル・エレクトリック社、国際秘密共済組合、あらゆる時代のあらゆる大陸のあらゆる国家など」が挙げられています。

マルケイ選手が“WE WERE A ONLY ONE BIG COUNTRY!”と呟いていましたが、本来国と国とで争う国別対抗戦で、却って『国境を越えて心がひとつになりました』みたいな空気になったのは何やら因縁めいたものを感じます。

※ちなみにボコノン教は、教祖本人が「こんなの嘘っぱちだ!」とか言ってる宗教です。信じてはいけません。


<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=urokonotubuya-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=4150103534" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
でも私にとってはある意味バイブル(笑)。