goo blog サービス終了のお知らせ 

ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

エクストリーム和服~京都伝統産業の日~

2015-03-29 14:20:00 | 大人の修学旅行
毎年3月後半、京都市が中心となって行われる「京都伝統産業の日」。
その一環として、毎年3月21日の春分の日に本格的なオーケストラの演奏を無料で聴けるコンサートがございます。
条件は、当日和服着用で行くこと(あと、事前申し込みが必要)。

京都伝統産業の日公式サイト。
http://www.densannohi.com
コンサートの申し込みはネットからもできるけど、公式サイトのどこからもリンクが貼られていないという謎。
(なので、このサイトではなく京都市のサイトから申し込みしなければ行けません。申込多数の場合は抽選)

お着物で京都でクラシック。何やらセレブの匂いのするイベントですが、こうなると俄然ハードルが下がります。

この「京都伝統産業の日」のパンフレットには他にも特典チケットが付いてて、イベントの期間内に和服を着て行くと色んな特典を受けられます。


(公共の施設を中心に色んな所が入場無料になったり、市バス・地下鉄に無料で乗れるなど太っ腹)

そして京都で和服と言えば、こちらは割といつでも使える「京都きものパスポート」というものもございます。


京都きものパスポート2014-2015
http://www.kimono-passport.jp
(写真=クーポン券感覚で色んなお店で使えます。ただしつこいようですが「和服着用」が条件)

こうなると、これらの特典を駆使して、「如何にお金をかけずに優雅で(気分だけは)リッチな古都の休日を過ごすか」に挑戦してみたくなって来ました。
そして同時にこれは、虹川セルフ着付(&ヘアセット)が果たしてどれほど持つのかという挑戦の記録でもあります。

***

そう。和服は結構エクストリームなのです。
まず第一に、着るだけで結構体力を使います。
最近は着付用の小道具もいいのがあるし、楽勝~♪などと思っていたはずが、初心者ゆえに襦袢の段階からあれこれ迷い、着物に四苦八苦し、最後の難関・帯結びで袋帯と死闘を繰り広げる。髪のセットも普段より念入りに、化粧もいつもより幾分厚塗りでございます。

やっとの思いで身支度を済ませて家を出たら、今度は電車が混んでいました。
いや、分かってはいたんですけどね。それでも神戸方面から乗れば普通は梅田で人が降りて座れるんですが、今回訳あって大阪から新快速に乗ったもので、必然的に京都まで座れませんでした。

この段階ですでに20%くらいHP削られてるような気がしますが、まだ何も始まってもいません。
こうしてたどり着いたJR京都駅からエクストリームの本番がスタートです。

【1】美術館「えき」KYOTO「東山魁夷わが愛しのコレクション展」

※映ってるのは私ではありません。

「京都伝統産業の日」公式パンフについている「きもの無料入場券」は、京都各地の美術館・資料館・寺社仏閣や庭園などが対象。それでも、大きな美術館などでは、「無料で入れるのは常設展だけ。企画展や特別展は別ね」って言うのがほとんどなんですが…。
この美術館「えき」KYOTOでは企画展も無料(ていうか、ここは京都伊勢丹の中にあるアートギャラリーみたいな場所なので、そもそも企画展しかやってません)。
そして折しもこの日やってたのが日本画の巨匠・東山魁夷の作品を、彼が生前蒐集していた古今東西の美術・骨董品と共に展開するというこの展示。場所柄、それほど多くの作品を並べられる訳ではありませんが、中身は充実しておりました。透明感のある水の表現が印象的。

美術館「えき」KYOTO「東山魁夷わが愛しのコレクション展」
http://kyoto.wjr-isetan.co.jp/floorevent/index_7f.html
◆入場料一般当日券¥1000→\0

***

お次は地下鉄に乗って四条まで。

◆地下鉄 京都→四条 ¥210→\0

***

【番外編】The Terminal KYOTO「現代京都藝苑2015 連続の縺れ-conti/nuit/e-」
お昼ご飯にはまだ早いし、何か面白いものないかな?と思いながらフラついていた私の前に、狙ったように現れたギャラリーThe Terminal KYOTO。京都の町屋を改装した、というより町屋をそのまんま使っているようなギャラリーです。
(多分)若手の現代作家の作品を集め、京都の複数の会場で行われている「現代京都藝苑」というイベントの、会場の一つがここ、ということのようでした。しかも、入場無料(ここ重要)。これは見るしかない。

最近のアートは、なんかインスタレーションとか言って、作品が存在する空間そのものを表現の場として使う…みたいなのが流行ってるようですが、これもそんな感じなのかな…?というか、古い町屋の色んな部屋や庭などの場所と、そこ展示されている作品が、マッチしているようなミスマッチなような、その不思議な感じが面白かったです。
中の一部がお座敷カフェになっていて、今度来た時はここでお茶するのもいいなあ…と思いました(しかし京都ではこの「いつかここでお茶したい」リストがどんどん増えて行く)。


かっこいい町屋。

The Terminal KYOTO
https://www.facebook.com/theterminal02

現代京都藝苑2015
http://www.kyoto-contemporary-art-network.net

◆入場料¥0(無料)→\0
※「連続の縺れ-conti/nuit/e-」は入場無料でしたが、現代京都藝苑2015には有料のイベントもあります。

【2】ロビンソン烏丸
お昼ご飯に選んだのは、割と最近「京都きものパスポート」の対象に加わったらしいこのお店。
京都の町屋の建物(かなり立派)を利用した、いいお店っぽい感じのレストランですが、ランチなら1000円くらいからと意外とハードルは高くない。しかも、1000円の含めてすべてのランチにパン食べ放題付き。このパンの種類が豊富で、選ぶのが楽しかったです。流石、神戸に本店があるだけのことはあります。

ロビンソン烏丸
http://www.dreamwks.com/karasuma.html

◆パスタランチ¥1200→¥1100(ランチ¥100off)

***

そして再び地下鉄に乗り、コンサート会場のある北山に向かいます。

◆地下鉄 四条→北山 ¥260→\0

北山駅に近づくにつれて車内の着物率が上昇して行き、駅で降りた時にはこんなことに。


※重ねて言いますが映ってるのは私ではありません。

***

【3】京都コンサートホール「きものクラシックコンサート」

演奏は京都市交響楽団。
京都コンサートホールは1800人収容のかなり立派なホールです。クラシック用に作られたらしく、音響もばっちり。
それにしてもしかし、1800人近くが着物着て集まるっていうのは、中々に圧巻な光景でございますよ。
席は特に決められてないので私は2階席を選んだのですが、目の前に広がる1階席にいる人たちが全員キモノ。
そんな中で始まるコンサート。

モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲
ビゼー 歌劇「カルメン」第1組曲&第2組曲より
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

クラシックは曲が長いので、このシンプルなセトリで2時間埋められます。
アンコールの「スラブ舞曲作品72第2番(ドヴォルザーク)」含めてメジャーな曲ばかりで聞きやすかったです。
いや、タダで聞かせて頂くものに好き嫌い言うつもりはございませんが、知っている曲が多いとやっぱり聞きやすい。
特に「新世界より」は好きな曲なので楽しかったです。
「遠き山に日は落ちて♪」って歌いたくなる第2楽章もステキですが、第4楽章のクライマックス感が何よりわくわくしますねー!。
指揮者の「ロッセン・ゲルゴフ」さん、紹介がやけにあっさりしてましたがこういう人のようです。
http://amati-tokyo.com/artist/rossen-gergov.html
動きや表情がパキパキしてて、見てて飽きない人でした。音楽的にもかなりメリハリが効いた作風と思ったのですが、どうでしょう。

◆「きものクラシックコンサート」¥0(無料)→\0

きものクラシックコンサート
http://www.densannohi.com/14/
申し込み窓口→京都いつでもコール
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000012821.html

***

楽しいコンサートも無事終了しましたが、せっかく京都まで来たんだしって事で市バスに乗って祇園へ向かいます。
祇園方面にはJRも地下鉄も駅がない(阪急と京阪はある)ので、北山から一本で行けるバスの方が便利かなと思ったんですが…。
正直、結構ハードでした。車内が混み合う(下鴨神社の辺りから急激に)のは想定していたのですが、バスの場合は道も混むんだ、という事を忘れておりました。
市の中心部に近づくにつれて渋滞にハマり、進まなくなって来るのがじれったい。

◆京都市バス北山駅前→四条河原町 ¥230→\0

***

◆長楽館カフェ
ようやく着いたバスを降りるも、この界隈はいつ来ても人で溢れかえっています。ひしめく人波をかきわけかきわけして河原町から祇園方面へ。八坂神社の敷地を通り、円山公園に向かいます。

まだ一分咲きくらいのしだれ桜を囲む広場の横に、さりげにどっしり佇む洋館、それが「長楽館」。

元は明治時代の実業家で「煙草王」と称された村井吉兵衛の京都別邸として建設された建物だそうで、一歩入れば気分はさながら明治の華族。
現在はホテルとなっているこの素晴らしい施設のレストラン&カフェでも「きものパスポート」が使える…という事でやって参りました。

敷地内に入るなり黒服のスタッフが「何の御用ですか?」と聞いてくる所からしてもう格が違うような気がする。
内心ビビりつつ、表向きは余裕を装って「お茶したいんですけど」と伝えると「カフェのご利用ですね?」と言って中に案内して貰えます。
1階の席が埋まっていたのか2階の奥の部屋まで通されたんですが、通過した部屋から階段から全てがゴージャス。

このステキなお部屋でいただくウィンナーコーヒー\1000なり。
いやもう、この席に座れるだけでも、コンビニのコーヒー10杯分の価値は十分あると思います。
加えて出てきたコーヒーがこれ。

これはもう、パスポートとか関係なくお着物で来たい。そして思う存分お嬢様(ってトシじゃないけど)気分に浸りたい。

◆ウィンナーコーヒー¥1000+ガトーショコラ\600
 計¥1600→\1520(5%off)

実は私、その昔、20年くらい前にここのホテルに泊まった事があります。
当時はレディースホテルで、素泊まりで5000円くらいでした。お部屋もどう見ても古いお屋敷の一室で、ホントにこの部屋この値段でいいの?と当時も思ったものです。今ではとてもそんな値段では泊まれませんが…というか、調べて見るとどうも、2007年くらいに一旦閉鎖・改装して今のラグジュアリーホテルになったみたいです。

参考
http://www.age.jp/~docile/gar_choraku.htm

長楽館
http://www.chourakukan.co.jp

***

懐かしい思い出とお嬢様気分に浸りつつ、外へ。
最後にもう一箇所だけ寄って帰りたい所があるため、歩いて地下鉄の駅に向かいます。

円山公園から地下鉄東山駅まで歩いて10分くらい。
グーグルマップに導かれるままに歩き、こんな雰囲気のあり過ぎる商店街を通過。

京都って深い。

◆地下鉄 東山→二条城前 ¥210→\0

***

【4】二条城ライトアップ2015~百花繚乱~

ちょうどこの日の前日・20日から始まっていました。
加えて、伝統産業の日ともきものパスポートとも直接関係ないけど、和装で行くと入場無料。
チケットを買う必要すらなく、顔パスならぬ着物パス状態で城内へ入れます。これは中々気持ちいい。

建物や桜の木(咲くのが早い種類のものには、既に見頃になっているものもありました)のライトアップも美しく、加えて今流行りのプロジェクションマッピングってやつで様々な演出を楽しめます。
昼間に見るのとは全く違う雰囲気で予想以上に楽しめました。
4月の12日までやっているので、京都に行く機会のある方は是非♪ 着物を着る方には特にオススメです。




◆二条城ライトアップ2015~百花繚乱~ 一般¥600→\0
 二条城本格修理事業・二条城一口城主募金 \200

二条城(京都市公式)
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/

***

◆地下鉄 二条城前→(烏丸御池)→京都 ¥260→\0

***

◆集計結果
¥5770→¥2820
差引¥2950

こうして見ると、交通費が無料になるのは大きいですね。1dayフリーパスとか使えばもう少し安くなるかもですが。私鉄には使えないのと、自動改札が通れない(故に、無人の改札口は使えません)っていう制約を差し引いてもお得感あります。
それに美術館とライトアップの無料も大きいです。あと、コンサートは元から無料扱いですが、本来ならチケット代だって⚪︎千円はするものですしね。
使ったお金はほぼ飲食だけですが、正直長楽館は5%とかどうでもいいと思いました。あのロケーションでケーキ600円は良心的過ぎます。
あと、二条城で募金したのは、募金200円で貰える缶バッジが可愛かったからです。
5種類の中から選べるバッジ、天井画の牡丹をデザインに使用したコレが女性に一番人気だそうです。


***

優雅…というには余りにも体力を消耗してしまったような気がしますが。
その分お腹いっぱい満喫しました。満足です。
ついでに言うと、あれだけ歩き回っても全くすり減っている様子のない草履の底が頼もしいです。
安物なのによく頑張ってくれました。
着物って結構色々大変ですが、特に京都みたいな観光地では、色々と特典も付いて来るんですね。
興味と体力があるならば、頑張ってみる価値はアリかと思いました。


夏の終わりに

2013-10-14 17:30:00 | 大人の修学旅行
殺人的な猛暑も9月に入ってからは大分マシになりまして。
しつこく残暑が続いているとは言え、そろそろ金木犀の花が咲く等、確実に季節は秋へ移っている訳ですよ。

そんな時、個人的に行きたくなるのが奈良です。
京都・大阪・神戸にはない素朴な空気感が奈良にはあると私は勝手に思っています。
そしてまた、夏を見送り、秋を迎えるのはそういう場所だとこれまた勝手に思い込んでる訳ですよ。

あと、彼岸花。
神戸には何故かプランターに彼岸花を植えているのを良く見かけるのですが、田舎育ちの私としては、



彼岸花はこういうシュチュエーションで見たい訳です。

***

そういう訳で、先日のお彼岸の3連休、奈良に行って参りました。
道中の車窓から、田んぼのあぜ道に群生する彼岸花を満喫しつつ着いた所は室生口大野駅。

ここに夢雲という、古い農家を改装した素敵なギャラリーがありまして、
この時期、「朱夏」というこれまた素敵な作品展が開催されておりました。

ギャラリー夢雲(むうん)BLOG
http://www.39moon.com/blog/



初めて来た時、田舎のお婆ちゃん家に遊びに来たかと思いましたもんね。
お洒落なギャラリーはたくさんありますが(というか、基本的にあらゆるギャラリーはお洒落ですが)、こんなどっしり落ち着いた風情で迎えてくれるギャラリーはそうありません。
あらゆる意味ですばらしい。


朱夏~其の五~絵=東 學×言葉=村上美香 二人展
http://www.39moon.com/blog/2013/09/post-d990.html

墨絵をバックボーンに持つ画家・東學氏とコピーライター村上美香さんの二人展。

ちなみに私が最初に學さんを知ったのは鬼束ちひろのシングル「陽炎」のジャケットでした。



ジャケ買いしました。
その後、狙ったようなタイミングで原画を観る機会があり、以来密かにファンだったりします。

多分だけど、雨宮慶太とか天野喜孝好きな人は學さんの絵も絶対好きだと思います。
女性モチーフの絵が多いんですが、美しいわエロいわ怖いわ妖しいわで私のツボをぐいぐい押して下さいます。
技術の高さとセンスの良さはもちろんですが、それプラスおどろおどろしい暗黒風味のさじ加減が絶妙なのですよ…。



ギャラリーの雰囲気がまた作品と良く合っててですね。



何とも風情がある訳ですよ。



このお座敷に飾ってある大作は、機会があれば是非実物を見て欲しいと思います。
學先生渾身の大作で、非常に重いメッセージが込められた力作です。

***

一方の村上美香さんはこのイベントで初めて知った方なのですが、現在大阪を拠点に活躍されているものの、ご出身は因島だとか。
因島と言えばしまなみ海道・尾道の沖に浮かぶ瀬戸内海の島。そして因島出身の村上さんはみんな村上水軍の末裔です(少なくとも私はそう聞いている)。
そんな訳で(どんな訳だ)。島育ちならではの海の記憶を元に綴られた言葉からは瀬戸内の潮風が吹いてくるようで、奈良の山間部のギャラリーの風情との相乗効果で懐かしさ乱れ打ちな感じに。

この日はイベントの最終日という事もあり、来客も関係者というかよく見知った人たちが多いような印象だったのですが、そんな所へひょこひょこ紛れ込んだ余所者のような私にも、學さんも村上さんもギャラリーのスタッフの方も、とても親切に接して頂き、大変感謝しております。

***

こちらのギャラリーでは食事もできるのですが、この日はイベント中という事もあって特別メニュー(要予約)。



私普段、食べるものを写真に撮る事はあまりないんですが、これは流石にすぐ食べちゃうのが勿体なかった…。
もちろん味も美味しかったです。右下にあるのはいがぐりの形に作ったおにぎり♪

***



お昼過ぎた頃からお客さんが増えて来たので早めに失礼して、奈良町の方に回って帰りました。





萩(多分)の花が見頃でしたよ。



猿沢池の夕陽。

神戸北野町パワスポスタンプラリー(2)

2011-01-16 23:10:00 | 大人の修学旅行
(1)のつづき。

***

(5)イタリア館(プラトン装飾美術館)

この後、山の上に向かう場合はオランダ坂を上るのが近道なんですが。
ちょっと思う所がありまして、少し東に戻って不動坂を上って行きます。

ちなみにこの日、クリスマスが近かったこともあってカップルの姿を良く見かけたんですが、デートだからと言って気合を入れてかかとの高い靴を履いて来る事はおすすめしません。
何故ならば。


こんな坂道が待っているから。

個人的には、北野町は「街」の仮面を被った「山」だと思ってます。
そんな坂道をてくてく昇ると、坂道の途中に見えて来るものが。

イタリア館ことプラトン装飾美術館です。


この写真よく見ると坂の角度がよく分かりますね。右下の石垣に注目。

入り口の所で上品そうなおばさんに入場料を払おうとすると、何かすごく喜ばれました。
「入ってくれるの?ありがとう!何を見てここを知ったの?うちは宣伝が下手でねえ、皆さんネットとか口コミで知って来て下さるのよ!」みたいな感じで。
お察しの通りここは「うろこの家」グループの異人館ではありません。個人所有(実際に住んでいるらしい)の異人館らしく、地図やガイドブックにもなぜか余り載ってないんですよね。

入場料700円を払って中に入ると、普通の異人館は「どうぞ自由に見て行ってね」な感じなんですが、ここでは燕尾服を来た執事さん(かどうか分からないけど、見た瞬間に「執事さんだ!」と思ってしまう雰囲気のお爺さん)が館内を案内してくれます。

異人館の基本スペックは『ヨーロッパ風の建築』『アンティークな調度類』『飾ってある絵画や彫刻にさりげに有名作家の作品が混じってる』です。
このイタリア館はミレーとかコローとかコクトーとかの絵画やロダンの彫刻、細かい彫刻が美しい家具類(有名な作家の作品らしい)、ヨーロッパ貴族縁の品々などかなりのボリューム感。


サンタさんの元ネタ・聖ニコラウスの像も祀られていました。

執事さんは地下にまで案内してくれて、キッチンやワイン倉庫なども見学できます。


メイドさんたち(not萌え系)が実際に働いているキッチン。

真ん中で作業台として使われているテーブルはマリー・アントワネットが愛用したものらしいです。
何か色々とすごい建物内を一通り見学して、最後に来るのがここ。


プールのある中庭を臨むテラス。

ここで、さっきのキッチンでメイドさんたちが作っていたお食事をいただくことができるのです(お茶のみでも可)。
実は何気に、私がここに来た目的はお昼ご飯だったのでした(笑)。


土日限定のウィークエンドランチ(1900円)を注文。
2種類から選べるパスタに、前菜・肉料理・スープ・ケーキ・コーヒー(エスプレッソ)付。




盛り付けもお洒落な前菜その他も、もちっとした食感のパスタも、小さいクセに食べ応えのあるケーキも美味しかったですが、個人的にはコーヒーの美味しさに一番びっくりしました。エスプレッソというからには当然濃いのにすごくまろやか。

薄給の身で昼間から1900円は贅沢かなと思ったんですが、この内容なら十分元が取れてます。ちなみに給仕もメイドさんたちがしてくれます。
見る方も食べる方もお腹いっぱいで大満足☆口コミで人が来るのも納得です☆

***

(6)旧中国領事館 (7)北野外国人倶楽部 (8)山手八番館

腹ごしらえが終わった所でパワスポ巡り&スタンプラリーを再開。更に坂道を上ります。
ほぼてっぺんまで頑張って登り、左に入ると旧中国領事館。


玄関前

この玄関先にいるヤツらも確か縁起物じゃなかったかなと思い、後で調べて見ました。
「龍亀(ロングイ)」(見たまんまな名前だ)と呼ばれる架空の生物だと思われます。


パワースポットはこっちの狛犬。丸っこくてかわいい。


旧中国領事館とそのお隣の北野外国人倶楽部はこんな風にレンガ舗装の路地でつながっています。


外国人倶楽部の中はこんな感じ。

開港当時の居留者の社交倶楽部をイメージした建物とのこと。
そしてこの外国人倶楽部の庭を抜けて道一本挟んだ向こうが「サトゥルヌス(サターン)の椅子」のある山手八番館なのですが。


なんか行列ができてる…。

他はパワースポットと言っても特にそれ目当てで来てるような人は見当たらなかったんですが、やっぱりテレビの力はバカにできない。
チケット売り場のおばちゃんは「椅子に座らずに中を見るだけなら並ばずにすぐ入れますよー」と言っていましたが、話題の椅子に座らなければここまで来た意味がない、と皆思うのだと思われます。


大人しく列に並んでこんな写真を撮りながら待つ事しばし。

実は「サトゥルヌスの椅子」は2つあって、


こっちが男性用。割と空いてました。


こちらは女性用。ひっきりなしに人が座っていました。

ちなみにサトゥルヌス(サターン)というのは魔王サタンのことではなくて、ローマ神話の豊穣の神様のことです。
→ウィキペディアの解説
よく見ると細かい彫刻が美しいのですが、じっくり観賞する余裕はありません。
パワースポットというと(主に恋愛方面で)幸せになりたい女性が行く所というイメージですが、時期が時期だったせいかカップル連れの方が多かったような。それで何故男性用の椅子が空いているのかというと、大抵の場合彼氏は座らずに彼女が座ってる所を写真に撮る係になってるから。ていうか、カップルに限らず、「椅子に座ってお願い事をする」というより「椅子に座ってお願いポーズを取り、写真に取って貰う」ことが目的になってるというか、パワースポットがイベント化しているような気が。…なんていうか、私も含めてみんなこういうの好きなんだな、と思いました。
昔のお伊勢参りとか四国八十八ヶ所巡りとかもこういうノリだったのかも知れないと思いつつ、八番館を後にしました。

ちなみに山手八番館には、椅子の他にもピカソがインスパイアされたというアフリカの彫刻とかロダンの彫刻とか、いろいろ美術品が展示されてます。


2Fから神戸の街を一望。矢印の所はポートタワーです。

***

(9)うろこの家 (10)うろこ美術館

そろそろ大詰め。


その名の通り、うろこのような外壁が特徴的なうろこの家。サンタ多過ぎ。


その庭に鎮座するポルチェリーノくんが最後のパワースポット。

後で調べてみたんですが、これはイタリアで幸運のイノシシの像として親しまれているブロンズ像(一番の大本は大理石らしいけど、ブロンズで複製されている)の複製のひとつ。イノシシなのにポルチェリーノ(イタリア語で「子豚」の意味)と呼ばれていて、日本にはここ以外にもいくつか複製があるそうです。
そういえばなんか三宮でも見たような気がする。

ともかくこれでパワスポの方はミッションコンプリートしたので、最後にうろこの家に併設されたうろこ美術館に入ります。ここは油彩(特にロシアの画家の作品)がメインっぽい。あと現代作家の展示もありました。


製菓学校の生徒さんたちによる、お菓子で作った「クリスマスの風景」も展示されてました。

***

そういう訳で、とりあえず今回の目的はコンプリートです。
パワースポットにかこつけての異人館めぐりでしたが、神戸に来てもう何年も経つのに今迄こういう所に来てなかったのはちょっともったいなかったかなと思いました。あと、私の場合行って見た後で「あれはどういうものだったんだろう?」と色々調べるので、結構蘊蓄が増えました。
近くにある観光地って意外といかないもんですよね(その割に実家に帰る度に美観地区に行ってるけど)。
まだオランダ館とかデンマーク館とか行った事のない異人館も色々残ってますので、またその内遊びに行ってみようかなと思います。




神戸北野町パワスポスタンプラリー(1)

2011-01-16 14:31:00 | 大人の修学旅行
ことの起こりは、ネットで調べものをしててたまたま見つけたこんな記事でした。

「パワースポット!」 神戸・異人館街に女性ら殺到

「サトゥルヌスの椅子」とか「シーホース」とかのRPGっぽいネーミングに、「なんだ、パワースポットってそういうノリでいいんだ」と思うと同時に。

・近い。
・…の割に、北野異人館街ってあんまり行ったことない。
・行っても異人館に入ったことはほとんどない。
・そもそも、「風見鶏の館」以外にどういう異人館があるのかよく知らない。


みなと神戸のアイコン的存在、風見鶏の館。

ここはひとつ、パワースポット巡りにかこつけて異人館見物に行くのも悪くないかも、と思い立ち、12月のある日、新神戸駅へと向かった次第です。

※写真にやたらとサンタクロースが映り込んでるのは、12月に行った時の写真だからです。
※拍手コメントへのお返事は別エントリーにて

***

(1)ベンの家

まずは地下鉄新神戸駅を出て、西へ向かってテクテク歩きます。


ここから既に上り坂。

そうすると北野通りに出るので、まずは一番手前にあるベンの家でチケットについて聞いてみようかと思ったんですが。


ここが「ベンの家」。持ち主だったベン・アリソンさんが狩猟家だったという事で、大量の剥製が飾られていました。

チケット売り場のおばちゃんがとにかく良く喋る。パワースポットの事もこちらが聞く前にプッシュして来る。
よく見ると、私がネットで見た記事が紙媒体に載った時の切り抜きが飾ってある。
この「ベンの家」を含めて9つの異人館を「うろこの家グループ」が管理・運営していて、そしてこの9つの中に、記事に取り上げられたパワースポットのある異人館がすべて含まれているのです。
…何かいきなり有り難みが薄れたような気がしないでもないんですが。


こんな感じに行く先々で貼ってありました。

…まず。一番の人気スポットである「サトゥルヌスの椅子」のある山手八番館だけ入ると500円。
記事に出ていた4つのパワースポットを回る場合、うろこの館&美術館(1000円)・旧中国領事館(500円)・旧パナマ領事館(500円)をプラスして計2500円。
山の上に並ぶ5館(うろこの館&美術館・山手八番館・旧中国領事館・北野外国人倶楽部)の共通チケット(2000円)を買ったとしても旧パナマ領事館を足すと合計2500円。

…で、私が結局どうしたかと言うと。
9館全部入れる共通チケットが何故か3500円→3150円に値引きされたのでそれを購入。結局全部回ることにしました。
チケットは冊子になっていて(多分パスポートのイメージ)、入館するときにスタンプを押して貰う形式。しかも中のページにまでスタンプを押す欄があるため、ここからこの旅(?)は必然的にスタンプラリーとなりました。


良い紙使ってました。無理矢理合成して3冊に分身。ミッションコンプリート後の写真です。

この時地図も貰ったので、ちょっと分かりにくいですがこの日私が行った場所に番号をふっておきます。

ボールペンの書き込みはおばちゃんの手によるものです。

***

(2)洋館長屋(仏蘭西館)(3)英国館(4)旧パナマ領事館

最初の目的地である「ベンの家」をクリアし、同じ並びにある洋館長屋(仏蘭西館)と英国館、そしてお向かいの旧パナマ領事館へ。


仏蘭西館こと洋館長屋。明治37年に建てられた外国人向けのフラット。当時の代表的な洋館の建築様式だそうです。


英国館(イングランド館)


夜はお洒落なバーになるらしいですよ。

そしてこの英国館の2Fには、イギリスつながりでシャーロック・ホームズの部屋が再現されています。
小学校の図書館で読みまくりましたよねホームズ。ああ、なつかしい♪


この雑然とした感じは正しく。


壁には銃弾の撃ち込まれた痕が。ホームズさんがヒマつぶしに撃っただけで、事件とは特に関係ありません。


ホームズVSサンタ。よく見るとサンタさんがパイプをくわえてます。


道を渡ってななめ向かいにあるのが旧パナマ領事館。

領事館というのは、ざっくり言うと大使館のない地方都市に於いて、大使館の一部の業務を代わりに行う出張所みたいな感じでしょうか? かつて神戸にあった領事館のほとんどは今は大阪に移転しているそうですが、神戸港が開港した当時、パナマ運河を擁するパナマは重要な取引相手だったと思われます。
マヤやインカなど中南米の発掘品も多数展示されていました。

そんな旧パナマ領事館の入り口に飾られているのが、本日ひとつめのパワースポット、シーホース像。
シーホースと言ってもタツノオトシゴの事ではなく、ギリシャ神話に登場する半馬半魚の伝説の動物ヒッポカムポスの事のようです。特に説明はなかったけど。


ちなみに聖闘士星矢にも登場。ポセイドンに仕える海闘士の1人。

とにかく9館のうち4館をクリア、パワースポットもひとつ目をクリアって所でちょっと寄り道します。

その2へ続く。




雨の金沢ひとり旅・3

2010-07-31 12:59:00 | 大人の修学旅行
前回の続き。金沢編これでラストです。

2日目、雨足は大分弱くなり、しとしと霧雨の降るお天気に。
午前中は、今回ここに来た一番の目的であるプリンスアイスワールドin金沢に。
感想になってない感想はこっち。拍手コメントへのお返事はこっちの最後で書いたので、ここではスケートの話は飛ばして観光に行きます!

***

アイスショー終了後、広小路でバスを降りてにし茶屋町へ。
金沢にはにし茶屋町・ひがし茶屋町・主計町と3つの花街が残っているそうです。ひがし茶屋町や主計町の方が観光地として整備されているみたいですが、場所的に来やすかったんですよにし茶屋町。


この一角はきれいに整備されていて、かつての花街の雰囲気を伝えてくれます。
お昼ご飯がまだだったので、とりあえずこの写真の右に見えてるおそば屋さんに入りました。

蕎麦桐や

やたらプッシュされていた五福そば1575円なり。色んなお蕎麦がちょっとずつ食べられて楽しい。
冷たいお蕎麦につゆを上からかけて食べるのって珍しいと思ったんですが、この辺では普通なんでしょうか?


こちらは金沢市西茶屋資料館。入場無料でお茶屋のお座敷等が見れます。
お茶屋遊びのサワリだけちょこっと体験できるツアーもあるそうですが、ガイドさんが「高いですよー」と言ってました。本格的なお茶屋遊びとなると更に「高いですよー」。庶民には中々手の届かない世界のようでございます。

ちなみに、今回私は行きませんでしたが、ここの近くには妙立寺(別名:忍者寺)もあります。まだ行った事のない方は是非一度!(要予約)。なんで私が行かなかったかと言うと、ここも既に過去2回来てたから。そして一度足を踏み入れると、簡単には出て来れないから(笑)。楽しいですよー!!

***

その後、ちょっと思いつきで、犀川に沿って歩いてみました。

こういう、普通の場所にやけに風情があったりする。右側の石垣は年季が入ってそうだと思いました。


この石段とか、いつ出来たんだろう。


これが犀川。最終的にこの向こうに見えてる橋の所まで歩きました。


橋のたもとにはこんなカクカクした階段が。


「石伐坂(江戸時代、石行為の職人町があったから)」別名「W坂(みたまんま)」。
なんでここが「観光名所」なのかよく分からなくて気になってたんですが、


井上靖の小説に登場していたらしい。

なんとなく、昔の地形の名残が残ってるみたいで面白いと思ったんですが、毎日ここを通れと言われると確かにちょっと辛いかも知れない。

***

橋を渡った対岸には、川に沿って「犀星の道」と呼ばれる遊歩道が整備されています。


途中に句碑とか詩碑とかが立ってて、所謂「文学の小路」的な感じ?


街灯が大正ロマンな感じ。背景に見える犀川大橋もレトロ。

***

後は金沢駅に帰るだけ…なのですが、ガイドブックに載ってた手鞠のお店に寄ってみたいと思い、更にてくてく歩いていると。


藩祖前田利家公を祀った尾山神社を発見。
不思議な形の神門は国の重要文化財だそうです。

これも何かの縁と思い、拝殿だけでも参拝して行く事に。

茅の輪くぐりの輪っかが設置されていたので、これもくぐっておきましたよ。


犬千代様はこちらにいらっしゃったのですね。
仙台の政宗様の時にも思ったんですが、城下町を見て回ると、戦国乱世を生き延びて『藩祖』になり、地元の文化の礎を築いた人の凄さを再認識させられます。
ちなみにここには、利家の正室お松の方も合祀されていますが、祀られたのは意外と最近の平成10年。大河ドラマの影響力ってすごいですね。

***

ちなみにお目当てだったお店はこちら。
「加賀てまり 毬屋」
加賀指ぬきがちょっと欲しかったんですけど、完成品は最低でも3500円くらいするので、諦めて手作りキットの方を購入。
細かい手作業で作られていることを思えば納得の値段なんですけどね、加賀指ぬき。まだ工場で大量生産されていない伝統工芸。次に来た時こそは完成品を手に入れたいものです。

***

一通りの目的を達成して金沢駅へ。
金沢百番街でお土産を買ってあとは帰るだけ。


お麩屋さんの経営する不室屋カフェで生麩の入ったあんみつを食す。

この後、再びサンダーバードで大阪へ。

***

楽しかったです、金沢。
なんかまだまだ行きそびれた所や買いそびれたものもあるので、また何かあったら是非行きたいですね。