報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

ヨルダン爆破事件について

2005年11月13日 14時26分39秒 | ■対テロ戦争とは
10日、ヨルダンの首都アンマンで三件の爆弾事件があり、結婚式客など約50人の市民が犠牲になった。

ヨルダン政府関係者は、「確証はないが、ザルカウィだ」とコメントした。メディアも「イラクで活動できなくなったザルカウィがヨルダンに活動を移した」と根拠の薄い分析をしている。こうした事件があるたびに「アル・カイーダ」やザルカウィの仕業となる。

しかし、ロサンゼルス・タイムスが興味深い記事を載せている。事件の遭ったRadissonホテルに泊まっていたイスラエル人客だけが事前に警告を受けて避難していたというのだ。元の情報は、イスラエルのメディア「haaretz」が伝えたものだった。これが本当だとしたら、「またか」という思いにかられる。同時に「やはり」とも思う。

爆発前に、イスラエル人客だけが避難していたことを報じるイスラエルのメディア。
http://www.haaretz.com/hasen/spages/643691.html

ことの真相は50年は明らかにならないだろう。
はっきりしているのは、これからも爆弾は爆発し続けるということだ。
「対テロ戦争」のために「テロ」があるのだから。

LA Timesの記事
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-bombings10nov10%2C0%2C2022733.story?coll=la-home-world
LA Timesの抜粋が読める
http://asyura2.com/0510/war75/msg/1438.html

写真:アフガニスタン:仕立て屋さん

2005年11月11日 21時07分16秒 | 写真:アフガニスタン
外出にはブルカを着用するアフガニスタンの女性だが、
おしゃれと無縁というわけではないようだ。
仕立て屋さんをのぞくとまばゆいばかりの服が並んでいた。
アフガニスタンの女性は、
どういうときにこれらの服を着るのだろうか。
そういう姿も撮りたかったな、と思ったりする。









仕立て屋さん : カンダハール

類型化される日本人

2005年11月10日 22時16分56秒 | ■時事・評論
僕は文系出身で、ほとんど理系的素養がない。本棚には生物学の本が少しはあるが。そんな僕ではあるが、ちょっと待ってくれと言いたいことがある。血液型による性格分類だ。いくらなんでも、血液型で人の性格が分類できるわけがないだろう。

これについては、実際に調べたことがある。教育実習で講義するためだ。社会に広範に流布している概念でも、科学的根拠のないことはいくらでもある、安易に信用してはいけない、ということを生徒に示すためにとりあげた。

しかし、あれからいったいどれくらいの年月が経っただろうか。いまだに、血液型性格分類は不動の地位を日本人の心の中に占めている。まったく不気味ですらある。もちろん、現代日本でも、さまざまな迷信はある。迷信が社会においてことさら害があるとは思わないし、それらを一掃することに、意味があるとも思わない。

しかし、人間の性格ほど複雑で不可解なものはない。精神科医や心理学者でさえ、人のこころなど読めない。現代医学も、いまだ人のこころの深奥までさぐってはいない。人のこころや性格を明らかにしようというのは、宇宙の成り立ちを解明するのと同じくらい、途方もない試みだ。

その未知なる人間のこころをたった4つの血液型で分類するなどというのは、当然科学ではない。単なる遊びだ。しかし、遊びというには、すでに度を越しているように思う。現代日本人は、現実を歪めて、無理やり簡素化・類型化しなければ、恐くて人間関係を築けないのだろうか。

確かに、組織や企業内では、あまりにも対人関係が複雑であると、組織活動にも影響がでる。組織は、その構成員をできるだけ類型化しようとしてきた。”出る杭は打たれる”という言葉が象徴的だ。就職活動は、個性を消したドブネズミ色のスーツと相場が決まっている。組織は、個性を嫌う。もし、人間の性格が4種類しかなければ、組織にとって非常に都合がよろしい。

こういう研究報告がある。
「血液型性格分類が流布されていることで、各人の行動様式に告げられた性格が織り込まれてしまっている影響が指摘されている」
(血液型ステレオタイプによる自己成就現象)

要するに社会に広範に流布されることにより、自己暗示がおこる可能性を示唆している。「血液型による類型化された性格」に、本当の性格が近づいていくということだ。実際ににそうした影響があるかないかは別として、社会にとってはそうあってほしい現象だろう。

日本社会は個性の発揮を忌み嫌う。この現代に、まったく非科学的な血液型性格分類なるものが一定の地位を保ち続けているのは、なるべく個性のない人間を量産したいという日本社会の願いのように思われる。

なぜ国際社会はパキスタン被災者に冷たいのか

2005年11月09日 19時29分19秒 | ●パキスタン地震
パキスタン北部地震での公式死者数は7万3276人(11月2日時点、パキスタン政府発表)。
また、世界銀行などの調査では8万7350人。
負傷者は10万人。
被災者は300万人。

ただ、パキスタン北部地震は、こうした数字で見る以上に深刻な被害をもたらしている。被害は標高3000メートルを越える高地に集中している。道路は寸断され、まともに通行できない。ヘリコプターでしかアプローチできないため、救助や救援は困難を極めている。治療を受けらないまま耐えている負傷者も多い。食料や物資の輸送もいまだ十分とは言えない。そして、これから厳しい冬をむかえなければならない。日々、二次災害が進行していると言える。

インドネシア沖地震による津波では、道路は影響を受けなかった。また、津波の物理的な被害は、最大でも海岸線から300メートルほどだった。道路も残り、被害の面積も小さかった。被災後の救助・救援は非常に円滑かつ迅速に進んだ。

被害の状態を考えれば、パキスタン北部地震は、より多くの援助が必要だと国連機関は訴えているが、実際は、国際社会はインドネシア沖地震のときよりもはるかに消極的だ。

未曾有の災害に際して、国際社会がとる救援や支援・援助というのは、その被害の規模で決まるのではないことが、よくわかった。結局、国際社会における地位によってすべては決まるということだ。他国にとって重要な国は、手厚い援助を受けられ、そうでない国は、見捨てられる。そういうことだ。

インドネシアは、アメリカをはじめ日本、オーストラリアと30年以上にわたって良好な関係にある。インドネシアな広大な国土を有し、豊富な天然資源も存在する。地政学的な重要度は特に高い。マラッカ海峡は海運ルートの要衝だ。タンカーや貨物船だけでなく、米軍の艦船や潜水艦も航行する。イラク戦争で米軍艦船の支援にむかった自衛隊の艦船も当然マラッカ海峡を通行した。

マラッカ海峡は、経済的にも軍事的にも非常に重要な海の通路である。もし、インドネシアがマラッカ海峡を封鎖すれば、多くの国が影響を受けることになる。アメリカや日本、オーストラリアが腐敗した独裁者スハルトを支援し続けたのは、このためだ。もちろん、スハルト後も、インドネシアの重要度は変わらない。

では、パキスタンはと言えば、核開発に象徴されるように、国際的な協調よりも、独自路線を堅持してきた。反米的な姿勢も強かった。また、インドとは長年カシミールをめぐる争いを展開している。地政学的にも、先進国にとって重要とは言えない。アフガニスタン戦争・イラク戦争に際して、ついにアメリカに協調する姿勢をとるようにはなったが、国民の反米感情は以前にも増して強くなっている。

歴史的、地政学的にみて、インドネシアとパキスタンは、国際社会での位置や重要度が歴然と違っている。災害に際しての、国際社会のとる援助・支援の差は、ここに由来していると言っていいだろう。未曾有の災害に際して、国家間の援助に頼っている以上、常にこのような現象がおこる。本来、国連のような機関が資金をプールしておくなどの備えが必要なのではないだろうか。それが国際機関としての役目ではないのか。

特定の地域や国だけが、天災に際して冷遇されるなどあっていいわけがない。
天災を利用した制裁のように思えてしまう。

パキスタン地震3

2005年11月08日 14時27分30秒 | ●パキスタン地震


大阪外国語大学・ウルドゥー語専攻の学生の方々が、パキスタンの新聞を翻訳、掲載するサイトを立ち上げたと連絡が入りました。
世界のメディアが、パキスタン北部地震への関心を失しない始めているため、われわれのもとに届くニュースも極端に少なくなってきました。
「学生が現地に行ってもできることは限られている。私たちなりにやれることを考えました」
こうした活動がこれからとても貴重なものになると思います。

パキスタン北部地震関連情報
http://www.osaka-gaidai.ac.jp/~sas/Urdu/zalzala.htm

写真:アフガニスタン:出島

2005年11月04日 18時22分40秒 | 写真:アフガニスタン
出島 : カブール

カブール川にポッカリ浮かぶ謎の出島。
いくら眺めても、何をしているのかさっぱりわからない。
近くにいる人に訊いてみると、
”テレフォン”と言う。
よけいわかりません。
「サテリテだよ、スアラ」と天空を指す。
スアラといえば、衛星携帯電話?
「そう、そう」
もっと、わかりません。
「だからあ、パキスタンとかイランに電話すんだよ、サテリテで」
あの出島で?

なにはともあれ、ここはカブールの国際衛星通信網の中枢らしい。
スアラやイリジューム、インマルなどが揃っている。
パキスタンからの出稼ぎ労働者や
パキスタンやイランに家族を残してきたアフガン人などで
いつも賑わっている。
たいていの客は、ほんの数分で切る。
要は、家族の声さえ聞ければいいのだろう。
通話料も数ドル程度。

しかし、スアラやイリジュームの通話料は、
けっこう高いはずなのだが。
なにかカラクリがありそう。

それより気になるのは、なぜ出島なのだ?!
雨の日は水没する。

写真:アフガニスタン:改築

2005年11月03日 18時37分08秒 | 写真:アフガニスタン
改築 : カブール

古い街並みを歩いていると、
突然、若者が数人飛び出してきて、
路地奥に引っ張り込まれた。
あまり安全な地域ではないので、
ちょっとびっくりしたが、
危害を加えるつもりでもなさそうなので、
誘拐されるにまかせた。
連れ込まれた先が、ここである。
「写真、撮ってくれぇ」
な~んだ、
家を改築?新築?中の人たちであった。

しかし、あらためて見ると、
レンガを積んでいくだけの工法。
それでも100年くらいはもつらしい。
でも・・・地震がきたらひとたまりもない。

第3次小泉改造内閣について

2005年11月02日 19時58分32秒 | ■時事・評論
第3次小泉改造内閣が発足したようだが、顔ぶれについては特に興味はない。
小泉首相は、
「しがらみ(派閥)がないから選びやすかった」
「改革に励んで欲しい」
とコメントしている。

自分の思い通りに「改革」に励んでくれる人物を選んだということだろう。つまり、ここでも大臣に「改革競争」をさせて楽しむというようにも聞こえる。これから大臣諸氏は、何でもかんでも「改革」と叫び、デタラメなことをしだすのではないか。とにかく小泉首相を喜ばせれば地位は安定する。それに失敗すれば切り捨てられる。独裁者に対するゴマスリ・ニセ改革合戦が始まるのだろう。もはや、小泉首相に諫言する者などどこにも存在しない。

これまでの「改革」を見れば明らかだが、小泉改革とは、旧利権構造の温存・強化にすぎない。本当の改革など何一つ行われていない。本来、とっくに消えてなくならなければならない旧利権構造や企業群はいまでも存在し続けている。郵便貯金は「民営化」と言いながら、りそな銀行には2兆円も投入して「国有化」している。まったく矛盾している。

腐敗し硬直化した官僚機構にはまったく手が付けられていない。「民営化」によって、天下り先は減るどころかさらに増えている。ゾンビ企業もこのまま永遠に生き、国民の生活を脅かし続ける。憲法が「改正」されれば、自衛隊は米軍の傭兵と化すだろう。

小泉首相の「構造改革」はいっさい「構造」には手をつけていない。それは、腐敗した旧利権構造を温存したいからにほかならない。こうした構造が日本経済をガタガタしたのに、本質的な問題には手をつけず、できるだけ先送りにして誤魔化そうというのが、小泉改革の実体だ。

そして、腐った構造を温存するためにかかるコストは、すべて「増税」で国民に押し付けてしまう、というのが小泉流だ。「障害者自立支援法」なども形を変えた「増税」だ。大臣諸氏は、これからその「改革競争」を行うことになる。小泉政権のウソやデタラメ、ゴマカシがさらに加速していく。

ベンジャミン・フルフォード氏は、「本当に国を滅ぼすのは、経済や政治ではない。為政者たちのウソやゴマカシである」と述べている。

「共産党独裁だったソ連も、為政者たちはウソやゴマカシで自国民と世界を騙し続けた。その結果、滅んだのである。太平洋戦争中の日本も、負けている事実を国民にひた隠しにし、『勝った、勝った』と言いながら、やがては大敗した」
(『ヤクザ・リセッション』光文社)


小泉首相も、「改革、改革」と叫びながら、いっさい改革などしていない。旧利権構造をさらに温存強化し、そのツケをすべて国民にまわしている。まさに戦中の日本と変わりない。それが、われわれの目の前で、いままさに現在進行中なのだ。小泉改革の、行き着く先も、当然明白だ。

第3次小泉改造内閣について、コメントを求められた亀井静香氏は「日本は滅びるよ・・・こんなことは言いたくないけど・・・」と言葉少なかった。亀井氏も、はっきり言って腐敗した政治家の一人だ。過去幾度となく収賄の噂がたっている。それをうまく乗り切ってきた、裏社会に通じた大物だ。しかし僕には、政争に敗れた将の単なる負け惜しみには聞こえなかった。とても、リアリティをもって響いた。

フルフォード氏の言葉をもう少し続けよう。

「民主主義というシステムは、人類の歴史上もっとも腐敗から遠いシステムのはずだ。歴史を見れば明らかだと思うが、腐敗がある国ほど、経済はうまくいかず、国民は貧しくなる。アジア、アフリカの多くの国が、民主主義政権を樹立し、資本主義経済を導入したにもかかわらずうまくいかなかったのは、もともとの支配階級の腐敗を断ち切れなかったからだ。共産主義国家でもこれは同じだ」

日本人なら誰でも、日本に潜む腐敗の構造をなんとなくでも理解しているはずだ。そしてそれを「仕方のない」こととして受け入れてしまっているのではないだろうか。いくら小泉改革にNOと言っても、この構造を「仕方ない」で受け入れてしまっては、日本は本当に破滅するしかない。倒すべきは、小泉改革によって温存されている腐敗しきった利権構造だ。

写真:アフガニスタン:親子

2005年11月01日 15時52分44秒 | 写真:アフガニスタン
親子 : カブール

アフガニスタンでは、休日でもあまり家族連れを見ない。
家族でくつろげる場所もほとんどない。
公園でも、腰を下ろすことなく、歩き去ってしまう。
文化的なものもあるだろうし、
また、カブールの治安の悪さも関係しているのだろう。
親子の姿を見かけると、何かほっとする。



気がつけば、10月はたった一枚しか写真を載せていなかった。
あらら。
11月は、写真強化月間にしよう。