報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

タイ東北部へ

2005年12月28日 12時24分00秒 | 軽い読み物
これから、タイ東北部にむかいます。
お正月はそこで過ごすことになります。
一週間ほど更新できなくなります。
(ほとんど更新してませんが)

書きたいことはいろいろありましたが、
風邪をひいてしまいました。
タイで風邪とは信じられませんが、
けっこうみんなやられてます。
特に寒いところから来た人が。
気温そのものよりも、寒暖の差の大きさが、
よくないようです。

これらか行くイサン地方は、
最低気温が8℃とか・・・

ちょっと、はやめですが、
みなさん、よい、お正月を。

中司達也
寒いタイより
































歩く、食べる、しゃべる

2005年12月26日 21時41分02秒 | 軽い読み物
日本では、黙々と読んで書いての日々だった。
それはそれで、文句はないのだけれど、
健康的かというと、おそろしく不健康な生活だった。
まず、歩かない。
それから、しゃべらない。

幸い、いまバンコクでは普通に歩く。
食事はほとんど屋台でとるので、歩かなければメシにありつけない。
また、普通にしゃべる。
友人と合流しているので当然である。
「読む、書く」から「歩く(=食べる)、しゃべる」に生活の比重が移行した。

昨日は友人とバンコクの街を散策にでかけた。
したがって一日中、歩く、食べる、しゃべる、を繰り返した。
歩きながらしゃべっているうちに、メシ屋にたどり着き、
食べながら、しゃべるに移る。
そしてまた、歩きながら、しゃべるとなり、
オープンしたばかりの高級デパート「サイアム・パラゴン」内
をなどを散策すると、
次においしいそうなチーズケーキを発見することになる。

歩くことは、とても頭の働きにいいように思う。
人と歩いている時、僕は果てしなくしゃべる。
固まっていないアイデアを口に出してみることによって、
のちのち、糸口が見えてきたりする。
しゃべっている最中に、見えてくることもある。
ただ、しゃべっているうちに、
どこを歩いているかも分からなくなり、
歩いていることすら忘れてしまう。

ものを考えるときは、歩くのが一番だと思っている。
二番目は、おフロに浸かっている時。
あくまで、僕の場合だが。
しかし、日本ではほとんど散歩をしなくなり、
その分、フロに浸かっている時間が長くなった。
バンコクではシャワーしかないが、
歩く時間が長くなったので帳尻があっている。

椅子に座って、うんうん唸りながらものを考えるという習慣が僕にはない。
歩いているか、浸かっているかが一番向いているようだ。
歩いているときや、おフロの中で原稿のほとんどができあることもある。

ムツゴウロウこと畑正憲氏は、頭の中の原稿用紙に、手書きの文字となって、
すべての原稿ができあがってしまうということを読んだことがある。
沢木耕太郎氏のルポだったと思う。
畑氏は、頭の中の原稿用紙に現れた「手書きの字体」を、
実際の原稿用紙に、そっくりそのまま写さないと先に進めないらしく、
たとえば原稿用紙に「あ」の文字を書いても、
頭の中の原稿用紙の「あ」の字体と少しでも違ったら、
何度でも消して書きなおすそうである。
す、すごい・・・

ブルーベリー・チーズケーキに満足したあと、
ルンピニ公園を散歩しながら、
また延々としゃべっていると、
「もう、三周も同じところを歩いてるんだけど・・・」
と友人に言われた。
「そんなに歩いたっけ?」
「歩きましたっ!」

もうしばらく、食い散らかし、しゃべり散らかしの日々がつづきそうである。



Bangkok

2005年12月23日 21時11分29秒 | 軽い読み物
バンコク。
何回この街に来たのか定かでない。
4冊目のいまのパスポートで12回。
他の3冊は数えたことがない。
常にバンコクでチケットを買うので、
日本を出れば必然的に2回寄ることになる。

いつもならドムアン空港に着き、
空調の利きすぎた到着ロビーを出ると、
むせるような暑熱が出迎えてくれる。
まとわりつくような濃厚な空気に包まれると、
ああ、来たなという気分になる。

しかし今回は空港の中の方が暖かかった。
12月のバンコクはこんなに涼しかっただろうか。
そうだったのかもしれないけれど、
いつもは、タイでもっとも暑い時期に来るので、
今回のように寒いとさえ感じる空気に包まれると戸惑ってしまう。
なんだかタイでないような。

いや、やっぱりタイだ。
通りには様々な匂いがあふれている。
多量の香辛料を使うタイカレーの惣菜から鼻をくすぐる匂いが。
豚肉や鶏肉を煮込む屋台から濃厚なタレの匂いが。
お菓子を焼く屋台から甘いココナッツの香りが。
しかしほとんどは正体不明の匂いだ。
それらが、ひしめきあう屋台から、
時には渾然一体となり、時には行儀よく並んで流れてくる。
ああ、タイだ。

東南アジアはどこへ行ってもたくましい食文化がある。
とりわけバンコクのような大都市はそれが見事に結実している。
この情熱がある限り、タイの経済は安泰だとさえ感じる。
もちろん経済は食だけで形勢されているわけではないが、
そう思えるたくましさなのだ。
街全体に、言い知れぬエネルギーが渦巻いている。
こちらのこころもわくわくしてくる。
この活気に包まれているのが、たまらなく心地よい。
もし、バンコクから屋台が一掃されたら、
この街の魅力も半減してしまうことだろう。
少なくとも僕にはそうだ。
乙に澄ました街よりも、ひっくり返ったような街の、
混沌としたエネルギーがたまらなく好きだ。

屋台に繰り出し、
食を堪能する人々に包まれ、
とても豊かな時間を過ごす。
ここにはたくましいエネルギーが渦巻いているのだが、
時間はゆっくり流れているような気がする。




現場と資料

2005年12月15日 18時59分49秒 | 軽い読み物
出発まで数日なので、急いで本を読んでいる。一冊だけは、持って行くけれども、荷物の軽量化のために二冊は持てない。

日本では、好きなだけ本や資料を読めるのがありがたい。金銭的にとてもすべては買えないほどの良書がある。したがって、できるだけ図書館を利用するようにしている。ただ、田舎の図書館なので、それほど充実しているわけではない。

欲しい本をすべて買わないのは金銭的な問題もあるのだが、ひとつには、身を軽くしておきたいという理由もある。ひとところに長く住むのが好きではないから、いつでも移動できるようにしておきたい。移動を考えると書籍が一番悩みのタネだ。嵩張るし重い。

資料としての価値があるもの以外は、ほとんど処分した。でも、また少しずつ増えていく。本を買わなくてすむように、できるだけ大きな図書館の近くに住むというのが理想なのだが。

本や資料のある生活を続けていると、現場に出たくなる。本や資料だけでは、実際のところはどうなっているのか、わからない。自分の眼で見て確かめたくなる。人の生の声を聞きたくなる。同じ生活をしたくなる。

でも、現場で何ヶ月か過ごすと今度は、”見ただけではすべてはわからない。資料を調べなくては”と痛感することになる。通信インフラの貧弱なところでは、文字情報から完全に隔絶されてしまうので、日本に帰らなければ資料にアクセスできない。

現場と資料。僕はこの両方を行き来する宿命にあるようだ。

これから当分は、本も資料もない生活になる。
出発までの数日、電光石火で何冊か読んでしまいたい。

ノーマークの人物

2005年12月13日 19時47分17秒 | ■時事・評論
この情報過多の時代に、いったい誰の言葉を信用すれがいいのか、その判断はとても難しい。

僕は、ある金融アナリストのサイトを昨年あたりから、欠かさず読んでいた。とても大胆な分析で、参考になることが多かった。分析が正しいかどうかというよりも、大胆不敵な発想が挑戦的で楽しかった。そして、このアナリストは小泉首相の政策をコテンパンに批判していた。

しかし、911の選挙直前、彼はいきなり「転向」した。しばらくは唖然としたものの、有名であればあるほど、圧力や恫喝も激しいのだろうと理解した。恫喝に屈しないというのはよほどの人物にしかできない。以後、このアナリストのサイトの見出しくらいはたまに見るのだが、以前と違って、タイトルに精彩がない。かつては、タイトルにも気迫があったものだが。

逆に、いままでまったくノーマークだった人もいる。
評論家の森永卓郎という人がいる。オタク系グッズなんかを集めている人。テレビでたまに見たことがあるだけで、どういう人かは知らなかったし、興味もなかった。その森永氏のサイトを、少し前に偶然読んだのだが、こういう人だったのかと、驚きを持って読んだ。


 だが、転向したのは造反議員だけではない。

 テレビに登場する評論家たちを見るといい。総選挙前には、あれほど小泉首相の批判をしていたというのに、自民党が圧勝するや、まるで雪崩のように小泉応援団に変わってしまった。

 私が注目しているのは、ある女性評論家である。総選挙前は歯切れのいい小泉批判をして人気があったのだが、いつのまにか小泉応援団にまわってしまった。

 その結果、何が起きたか。不思議なことに、その直後から彼女がテレビに登場する回数が激増したのである。

 一方で、私は相変わらず小泉首相の政策を批判し続けている。そして、これまた不思議なことに、私に対するテレビの出演依頼は、小泉内閣の支持率に反比例して急激に減っているのである。

http://nikkeibp.jp/sj2005/column/o/07/


僕のブログでリンクしている森田実氏も、テレビ出演等がなくなったということを書いておられる。小泉首相とその政策を批判する者はそういう運命にある。それでも、批判すべきを批判し続ける人こそ信念の人だ。

さっそく、森永卓郎氏のコラムもリンクさせていただいた。森永氏は、いま小泉政権の政策を批判している評論家は、10人ほどしかいないと述べている。実に、お寒い現実だ。

逆の見方をすれば、いまテレビに出て、威勢のいいことを言い放っている人たちの言葉は、ほとんど信用するに値しないと言える。僕は、そのように彼らを見ている。


小泉改革をどう生きるか 森永卓郎氏コラムサイト
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/o/index.html

お知らせ

2005年12月12日 18時26分59秒 | 軽い読み物
突然ですが、
18日から日本を出ます。
いつものように、ひとまずタイへ。
ただ今回はタイで年を越します。
そのあとパキスタン北部へ。
帰国は、一月の末か二月の頭になると思います。

これからバタバタするので、
更新もあまりできなくなると思います。
タイでは何か書けるかもしれませんが、
パキスタンではそういう余裕はなくなると思います。

日本を出る前に、
国家財政について書きたかったのですが、
間に合いませんでした。
帰ってから書きたいと思います。

ひとまず、お知らせ方々。



ラワール・ピンディ、パキスタン

鳥インフルエンザは本当に脅威なのか

2005年12月11日 21時06分18秒 | ■鳥インフルエンザ
<鳥インフルエンザとタミフルへの関心の高さ>

『トリインフルエンザとタミフルとラムズフェルド』を書いた日のアクセスが1000(pv)を越えていた。このブログをはじめて一年ばかりになるが、一日の閲覧数が1000を越えたことなんて数回しかない。「鳥インフルエンザ」や「タミフル」への関心が非常に高いことがうかがえる。多くの方が、「鳥インフルエンザ」や「タミフル」に関する情報を求めてWEBを巡っているに違いない。

そうした方々は、「鳥インフルエンザ」の危険性は真実なのか、あるいは、「タミフル」は安全な薬なのかを知りたいに違いない。しかし、この問題を調べれば調べるほど、わからなくなってくる。専門家の見解が、大きく真っ二つに分かれているからだ。

「鳥インフルエンザ」は、必ず変異して「ヒト→ヒト」感染するようになる。そうなればパンデミック(世界的大流行)する。そして何百万人が命を落す。ワクチンや「タミフル」の備蓄を増やさなければならない。

という見解が主流だ。しかし他方で、

インフルエンザ・ワクチンはほとんど効果がない。また「タミフル」の効果は、発熱の期間が一日減るだけである。人体は、ウイルスに感染することによって体内に抗体を作り、より免疫力を強化していく。

素人にはお手上げである。どちらが科学的なのか、判断しようがない。WHO(世界保険機構)は、パンデミックを主張し、警告を発している。しかし、「鳥インフルエンザ」のパンデミックを示唆するWHOの資料の中に、奇妙な記述がある。

「ヒトの健康被害のリスク評価については、あまり開発が進んでいない。最近の報告によると、ウイルスはここ数年の間、常に環境中に存在していたにもかかわらず、依然としてヒトに容易に感染する能力を獲得していない。何故であろうか?この進化を阻害する何かがこのウイルスには有るのだろうか?」
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/43who.html

ここでいうウイルスとは、もちろん「鳥インフルエンザ」H5N1のことである。「ヒトに容易に感染する能力を獲得していない」ならば、パンデミックを危惧する必要はないはずである。こうなると、もう訳が分からない。WHOは、「鳥インフルエンザ」が早く変異してパンデミックを起こして欲しいのだろうか。

こうした方面からのアプローチは迷宮にはまり込んでいくだけなのかもしれない。専門家の間で見解が分かれているのだから、素人にはどうしようもない。

<医薬をめぐる利権>

僕がいつも問題にしているメディアの状況はどうだろうか。
メディアには、あふれんばかりの健康情報が日々流れている。メディアが唱える、健康によいとされる食品や健康法をすべて実践したら、かえって健康によくないのではないか。そう思えるほど、過剰な健康情報が流れている。にもかかわらず、「鳥インフルエンザ」や「タミフル」、そしてワクチンについての有効な情報がメディア上にはない。

また、日本の医療行政について考えてみると、根本的に信頼できない。医薬業界が巨大な利権の巣窟というのは疑う余地がない。どれだけ強固な利権構造かというのは、汚染血液製剤の事件を見れば明らかだ。みどり十字や厚生省(当時)の役人は、汚染の事実を知りながら、血液製剤を販売し続け、あるいは販売することを許可した。販売会社も厚生省も彼らの利権維持のために、多くの命を奪ったのであり、今後も奪い続けるのだ。この医薬業界をめぐる利権構造は、いまでも変わってはいない。

そこに加えて、いまアメリカ政府が日本の医療政策に対して発言権を得ようとしていることを考え合わせると、われわれを取り巻く健康医療環境は最悪と考えたほうがいいだろう。こうした環境の中では、メディアの流す官製情報を安易に信用する気にはなれない。情報が制限され、操作されている可能性を考えた方が安全だ。

不安や脅威というのは、人々を操る最も手っ取り早い方法だ。オイルショックのとき、たかだかトイレットペーパーがなくなるというだけで全国がパニックになった。より大きな脅威で人々を不安に陥れれば、それだけ操作は容易になる。「鳥インフルエンザ」や「タミフル」問題というのは、健康医療問題ではなく、巨大な利権の絡んだ世界的な政治経済問題だと考えている。

世界中が怖れた「赤い帝国」ソビエト連邦は、勝手に内部から崩壊するほど脆弱な国だったが、その実体が見えないように「鉄のカーテン」引いたのはアメリカ自身だ。「赤い帝国」の脅威によって、アメリカは西側世界の覇権を握り、軍需産業は計り知れない利益をあげた。

「鳥インフルエンザ」も構造的にはこれと変わらないと考えている。情報が錯綜して実体が不透明になれば、それだけ人々は不安になる。国民を安心させるという名目で、国家は税金を使ってワクチンや薬剤を備蓄して、利権企業を儲けさせる。その一部は、政治家や官僚にまわる。利権構造というのは、持続しなければ意味がない。幸い、インフルエンザの脅威は、毎年毎年やってくる。そして、「鳥インフルエンザ」の変異の脅威も毎年毎年高まっていく。しかし、本当に脅威なのかはたいへん怪しい。

「赤い帝国」の脅威は30年続いた。
「鳥インフルエンザ」の脅威は、あと何年続くのだろうか。

<病原菌とのつきあい>

いまのところ、学究的に言うならば、インフルエンザに対抗する手段として、ワクチンや「タミフル」などの薬剤をとるか、それとも人体の免疫システムをとるかという勝負は、決着がつかない。どちらを選ぶかは、もちろん自由だ。

僕はといえば、すでに世界中でいろんな感染症にかかっている。そのほとんどは名前もわからない。一度食中毒になると、以後ほとんど下痢をしなくなるということも経験してきた。ただ、日本に帰ってくると、この耐性もリセットされてしまうようだ。

病原性大腸菌O-157が日本で流行した時、ある研究者は、「日本はあまりにも清潔すぎて、病原菌との接触がなさすぎる。そのため体の耐性も低下している。病原菌とはある程度付き合いがあったほうがいいのだ。」とおっしゃっていた。僕もその通りだと思う。ただ、僕の場合、ちょっと付き合いが良すぎるような気はする。




現時点における H5N1型インフルエンザウイルスのヒトへのリスクの検討 (WHO)
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/43who.html
高病原性鳥インフルエンザ(国立感染症研究センター)
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
効かない・危ない予防接種!
http://www.ne.jp/asahi/kr/hr/vtalk/infl_appeal0311.htm

年次改革要望書 2005

2005年12月09日 19時52分25秒 | □年次改革要望書
netjapanさんより、「年次改革要望書2005」が発表されたと連絡をいただきました。
いつもありがとうございます。



12月8日の読売新聞の電子版。

郵政新会社は民間と公平に、米政府が要求
2005年12月 8日 (木) 12:31
 【ワシントン=広瀬英治】米政府は7日、日本に対する年次の規制改革要望書を発表し、郵政民営化に際して新会社が銀行、保険、郵便の各分野で米企業など既存の民間企業と公平な競争条件になるよう改めて求めた。
 医療機器・医薬品の価格算定にあたり、先端技術に対する評価を盛り込むことや、金融規制の透明性向上なども求めた。
 また、ロブ・ポートマン米通商代表部(USTR)代表は声明で、日本の輸入再開が迫る米産牛肉問題について「依然米政府の最優先事項だ」と強調した。


今日、Googleのニュース検索にかけても、読売の記事以外ヒットしない。他社は関心がないのか、触れたくないのか。様子を見ているのか。

在日アメリカ大使館のサイトでも、まだ掲載されていない。
「日本政府に規制改革要望提言書を提出」というリリースがあるだけだ。
日本語訳待ちなのかなとも思ったが、日本の外務省のサイトには、日本側の要望書が和文、英文同時掲載されているので、アメリカ側も翻訳文をすでに用意してあるはずだ。

近々、アメリカ大使館のサイトに翻訳が掲載されると思うが、例年律儀に10月に交換していた「年次改革要望書」が今年は12月にずれこんだというのは、何か理由でもあるのだろうか。選挙直後では、大騒ぎになると思ったのかも知れない。様子を見ながら、小出しにしているというような印象を受けてしまう。

アメリカ大使館のリリースを見る限り、内容は例年と同様であると推測できる。リリースの中でポートマン米国通商代表は、米国産牛肉、銀行・保険、そして医療について言及している。「年次改革要望書」というのは、幅広い分野にわたって述べられているが、その中でも、この三つについて言及しているということは、これらが米国にとっての最優先課題と受け取って間違いないだろう。

米国産牛肉も銀行・保険も、いままで同様気になるのだが、医療分野も日本国民は危機に晒されていると言える。

リリースの中で、次のように述べられている。
『米国企業が日本市場に供給している先端医療機器および医薬品の膨大な数を考慮すると、日本政府が検討している医療政策および医療改革にこうした企業が十分かつ有意義な意見具申の機会を得ることは、重要である。』

つまり日本の医療政策や医療改革に対して、アメリカ企業に意見を述べさせろ、と言っているわけだ。われわれの健康に関する医療行政に、アメリカ企業が直接アクセスしようとしている。ただでさえ、国民不在の医療行政に、アメリカ企業が直接影響を与えることができるというのは、考えただけでも怖ろしい。

A4用紙一枚程度のリリースの中にも、「年次改革要望書」の恐怖の内容が垣間見える。



年次改革要望書2005 英文PDF
http://www.ustr.gov/assets/World_Regions/North_Asia/
Japan/Regulatory_Reform_Initiative/asset_upload_file792_8516.pdf


日本政府に規制改革要望提言書を提出 (アメリカ大使館サイト)
http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20051207-77.html

郵政新会社は民間と公平に、米政府が要求 (読売新聞電子版)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20051208i406.htm

「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ」の下の5年目の対話に向けた要望書の交換について (日本外務省サイト)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/5_houkoku.html

「脅威」の正体

2005年12月08日 23時43分50秒 | ■対テロ戦争とは
世界には常に「脅威」がつきまとっている。
古くは「共産主義の脅威」だ。
しかし共産圏は勝手に自壊していくほど脆弱だった。
冷戦とは、虚構にすぎなかった。

世界はようやく「平和」になるかと思われた。
しかし、冷戦と入れ代わるように、なぜか「テロの脅威」が現れた。
少し前には「大量破壊兵器の脅威」などもあった。
そして、いまは「鳥インフルエンザの脅威」だ。
われわれの周りは実に「脅威」だらけではないか。
しかし、これらは本当にわれわれにとって「脅威」なのだろうか。


たとえば、「テロの脅威」は捏造だ、と僕が言うと、「テロは実際に起こっているではないか!」、という人もいるだろう。テロが実際に起こっているのは事実だ。しかし、テロがあるたびに、すぐに不可解な事実も出てくる。マドリッド、ロンドン、アンマン、すべてそうだ。辻褄のあわないことがいつも出てくる。メディアが流す情報と、実際のテロ現場にはズレがある。これはどういうことなのだろうか。911などは、数百を越える矛盾が指摘されている。

テロというのは、判で押したように「アル・カイーダ」やその系列の犯行とされる。しかし、証拠は一切ない。ネット上の犯行声明など高校生でも作れる。しかし、世界は証拠もないのに「アル・カイーダ」の犯行を微塵も疑わない。世界のメディアがそう言うから、そう信じているにすぎないのだ。テロ報道に関して、メディアはまるでガイドラインでもあるかのような報道をしている。メディアは決して矛盾を追求しない。「テロの脅威」とは、矛盾に満ちた当局発表とそれを垂れ流すメディアの報道によって作られているにすぎない。

確かな事実があるとすれば、「テロの脅威」がなければ、アメリカの「対テロ戦争」は成り立たないということだ。テロに対する戦争なのだから、テロの存在が必要不可欠だ。そして、実際、世界で爆弾が炸裂している。そして、忘れた頃にビン・ラディンの”肉声テープ”やザワヒリのビデオがメディアに登場する。「テロの脅威」がある限り、アメリカは世界を傘下におさめることができる。

イラク戦争で、イラク爆撃の最大の理由とされたのは、言わずと知れた「大量破壊兵器」の脅威だ。しかし、あれだけ宣伝されたサダムの「大量破壊兵器」はどこにもなかった。「大量破壊兵器の脅威」はまごうかたなき捏造だった。

「鳥インフルエンザの脅威」もこれらの脅威と変わらない。
虚構の産物なのだ。

もしいま僕が、「東京大地震が数年以内に起こる!」と言っても誰も真に受けないだろう。関東で大地震が100%起こることは、関東の住民の100%が認識している。それでも、誰も僕の言葉を「脅威」とは感じないはずだ。なぜなら、予測不可能なことを予測しているからだ。大地震は明日起こっても不思議ではないし、100年経っても起こらないかもしれない。予測できないことに、人間は「脅威」を感じないのだ。「不安」と「脅威」とは別物だ。不安とは漠然としたものであり、脅威とは具体的なものだ。予測できない「脅威」を口にしても、それは虚構と変わらないのだ。

では逆に、人に「脅威」を与えたければ、「予測できる」と思わせればいいのだ。ここに、「鳥インフルエンザの脅威」のカラクリがある。

おそらく誰もが、「鳥インフルエンザ」は人間に感染すると思い込んでいる。確かに、中国政府は「鳥インフルエンザ」感染による人間の死亡例を報告している。しかし、「トリ→ヒト」感染である限り、問題はない。なぜなら「ヒト→ヒト」感染しない限り感染爆発はないからだ。「ヒト→ヒト」感染するためには「鳥インフルエンザ」は劇的に「変異」しなければならない。その可能性はいったいどれくらいあるのだろうか?

われわれはこれに関して何の情報も与えられていない。だから、漠然と「鳥インフルエンザ」はヒトからヒトへ感染するのではないか、というイメージを持つ。情報が少なければ、イメージは膨らみ恐怖も膨らむ。

「鳥インフルエンザの脅威」も「東京大地震の脅威」も何ら変わりはない。どちらも、来るべき可能性なのだ。では、なぜ「鳥インフルエンザ」の方だけを大騒ぎしているのだろうか。

それはやはり、「脅威」を煽ることによって、儲かる人がいるからだ。製薬会社や、医療機関、投資家、そして我らがラミーこと、ラムズフェルド氏などだ。「鳥インフルエンザの脅威」が大きくなればなるほど、利権も大きく膨らむのだ。

これが、われわれをとりまく「脅威」の正体だ。
様々な「脅威」を捏造し、人々を煽って、他国を侵略し、金を儲ける。
そんな連中の方が、「鳥インフルエンザ」よりもよほど「人類への脅威」だと思う。


「冷戦」後の巨大な鉱脈=「対テロ戦争」
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/c/f7b7bed0bb71bef84ab628f00de761cc

"Al Qaeda does not exist and never has"
http://english.pravda.ru/mailbox/22/101/397/13821_AlQaeda.html

鳥インフルエンザとタミフルとラムズフェルド

2005年12月07日 23時14分27秒 | ■鳥インフルエンザ
僕は文系出身なので、医療や薬剤に関しては、まったくの門外漢だ。したがって、人の健康に関する分野について言及するのは適切ではない。しかし、気になることを放っておくこともできない。そのことを念頭においてお読みいただきたい。

<日本しか買わない「タミフル」という薬>

「同社(タミフル製造元のスイス製薬大手ロシュ)によると、これまでにタミフルを服用した計3200万人のうち、日本人は2400万人を占めている。」
http://cnn.co.jp/science/CNN200511180006.html

(日本小児感染症学会で)「愛知県の医師は、タミフルの年間販売量のうち、日本が世界の8割以上を占めている現状から『日本だけがタミフルを多用している現状はおかしい』と発言した。」
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051113k0000m040067000c.html

僕が実際に見たニュース番組では、インフルエンザに効くのは「タミフル」だけだと説明していた。それが日本の医学界の一般的な認識なのだろう。だから「タミフル」の需要の80%が日本に集中しているのだろう。しかしこれは、おかしくはないだろうか。すぐれた薬だが、日本しか買わない。そんなことがあるのだろうか。しかも、日本政府は備蓄目標まで打ち出している。

「政府の新型インフルエンザ対策行動計画で2500万人分の備蓄目標が決まった抗ウイルス薬タミフルについて、厚生労働省は26日までに、政府と都道府県の備蓄分(計2100万人分)をほぼ調達できるのは、早ければ2年後とする初の見通しをまとめた。」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051126-00000076-kyodo-soci

「タミフル」の製造元であるロシェ社は、日本一国でいったいどれだけの売り上げを達成するのだろうか。しかし、この「タミフル」にはすでに死亡例も報告されている。

「タミフル」の服用で、世界で71件、日本で12件の死亡例があると米食品医薬品局(FDA)が報告している。特に、服用後の異常行動による死亡が日本で2件報告されている。1人は車道に走り出て大型トラックにはねられ死亡、もう1人はマンションの9階から転落死した。この件に関して、日本の医学界の意見は真っ二つに分かれている。

「浜理事長(NPO法人「医薬ビジランスセンター」)は「副作用で異常行動が起きたと考えるのが自然。インフルエンザは安静にすることが大事で、薬に頼るべきではない」と言う。これに対し、厚労省インフルエンザ脳炎・脳症研究班に所属する横浜市立大学の横田俊平教授(小児科)は「発熱や他の薬の影響なども考える必要があり、副作用と判断するには科学的根拠が薄い」と話している。」
http://www.asahi.com/health/news/OSK200511120023.html

しかし、こうした「タミフル」の危険性に関する議論はほとんどなされていない。それよりも、「ヒト→ヒト」感染するかどうか定かでない鳥インフルエンザに対する恐怖を煽る報道ばかりが目立つように思う。WHO(世界保健機構)などは、世界で1億5千万人が死亡すると予測しているようだ。何を根拠にそんな数字がでてくるのだろうか。
http://tenshoku.inte.co.jp/msn/news/0368.html

<これは何かに似てはいないか?>

メディアは、”鳥インフルエンザはコワイぞぉ、コワイぞぉ”と盛んに煽っているように思う。「ヒト→ヒト」感染するのかどうか、いまのところ明確な根拠はない。「変異する可能性がある」というだけだ。それがさも、この冬には変異して人間に襲いかかってくるかのような印象を与えているように思う。

さらに、1918年に世界で大流行して5千万人が死亡した「スペイン風邪」を持ち出して、さらに恐怖を演出している。しかも、スペイン風邪のウイルスをわざわざ、現代に蘇らせて、これはそのまま生物兵器になるほど強いです、などと言っている。世界に対して、あの手この手で、インフルエンザへの恐怖を煽っているとしか思えない。
http://www.natureasia.com/japan/digest/0511-1.php

鳥インフルエンザの恐怖を煽りに煽っておいて、”インフルエンザには「タミフル」しか効きませんよ”などと言えば、確かに誰もが飛びつくだろう。それにまんまと乗っているのが日本ではないのか。ロシェ社としては、笑いが止まらないに違いない。しかし、こんな気になる情報もある。

「鳥インフルエンザ大流行の予測は世界の人々をパニックに陥れているが、ギリアド・サイエンシズ社の株を所有するラムズフェルド国防長官やその他政界関係者にとっては朗報だ。カリフォルニア州に本拠を構えるバイオテック企業ギリアド社は、インフルエンザ治療薬として現在世界中から注目されている『タミフル』の特許を所有している。」
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/11/post_38a5.html

ギリアド社は、「タミフル」の売り上げの10%のロイヤリティを得る。つまり「タミフル」が売れれば売れるほど、ギリアド社の株価も上昇する。そしてラムズフェルド国防長官所有の株の評価額も上がるというわけだ。推定で500~2500万ドルになるらしい。

ありもしない「大量破壊兵器の脅威」を叫び続け、イラクを爆撃したラムズフェルド国防長官。「鳥インフルエンザの脅威」は、これにダブってはいないだろうか。われわれは、いつも「可能性」に対して恐怖してきたにすぎない。「大量破壊兵器」の「存在の可能性」だ。今回は、「鳥インフルエンザ」の「変異の可能性」だ。あえて言うなら、「鳥インフルエンザの脅威」とは虚構だ。

<ほんとうの特効薬とは>

「鳥インフルエンザの架空の脅威」によって、われわれは、すべてのインフルエンザに対して、必要以上の恐怖を抱いてはいないだろうか。そして「インフルエンザ→恐い→タミフル→安心」という条件付けが行われてはいないだろうか。

NPO法人「医薬ビジランスセンター」の浜理事長は、「インフルエンザは安静にすることが大事で、薬に頼るべきではない」と発言している。僕も、それが一番正しい対処法だと思うのだが。

(インフルエンザは)「普通の生活者の感覚からすれば風邪の酷いものに過ぎない。ま、同じインフルエンザでも、B型、そしてC型なんか特にそうですけど、ほとんど普通の風邪と同じですよ。A型の場合はちょっと酷い風邪で。特別視することはない。脅し過ぎなんですよ。」毛利子来(小児科医)
http://media.excite.co.jp/News/weekly/031118/topics_p05.html

察するにお金儲けに興味のない医師なら、浜理事長や毛利医師と同じ意見なのではないだろうか。結局は、栄養と睡眠をきちんと取り、ストレスをためず、厭なことはしない。そういう当たり前のところに落ち着くようだ。特に、恋をしている人の免疫力は高まるそうだ。



”Rumsfeld's growing stake in Tamiflu”
http://money.cnn.com/2005/10/31/news/newsmakers/fortune_rumsfeld/?cnn=yes
ラムズフェルド、鳥インフルエンザで大儲け
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/11/post_38a5.html
インフルエンザ、恐れるに足らず!?
http://media.excite.co.jp/News/weekly/031118/topics_p05.html
今冬、1億5,000万人が死亡する?~鳥インフルエンザ~
http://tenshoku.inte.co.jp/msn/news/0368.html
インフルエンザ:「新型」出現し、大流行か--ブタの体内でトリ、ヒト型が融合
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20051123ddm016040024000c.html
インフルエンザ薬:タミフルで異常行動死 少年2人
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051112k0000m040160000c.html
「タミフル服用で行動異常死」学会報告 専門家は疑問視
http://www.asahi.com/health/news/OSK200511120023.html
タミフル服用の子ども死亡例、日本で12件と 米FDA報告
http://cnn.co.jp/science/CNN200511180006.html
タミフル服用患者の死亡例、世界で71人 米FDA報告
http://72.14.203.104/search?q=cache:IrqCZTLmtIYJ:www.asahi.com/life/update/1118/003.html+%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%95%E3%83%AB%E3%80%80%E6%AD%BB%E4%BA%A1&hl=ja
インフルエンザ薬:タミフル問題、学会でも論議
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051113k0000m040067000c.html
タミフル備蓄達成は2年後 都道府県分も国が購入交渉
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051126-00000076-kyodo-soci
スペイン風邪ウイルスがよみがえった
http://www.natureasia.com/japan/digest/0511-1.php

救われる耐震偽装マンション住民、見捨てられる中越地震被災者

2005年12月06日 20時26分13秒 | ■時事・評論
本日は、ニッカン・ゲンダイから重要な話題を。
 12月5日

ニッカン・ゲンダイというのは、清々しいほどはっきりものを言い切る。まさに、その通りなのである。欠陥マンションを建設した「犯人」が分かっているのに、その購入者を「公費」で救済するというのは理屈がおかしい。「犯人」には一定の賠償能力があるはずだからだ。

中越地震の被災者は冷遇され、なぜ、欠陥マンションの購入者は厚遇されるのか。違うのだ。欠陥マンションの建設販売者たちが、公費で救われるのだ。これでは、デタラメ業者が得をし、国民が損をすることになる。

本来、まずデタラメ業者たちに全資産(個人、法人とも)を供出させ、それで足りなければ、国が業者にカネを貸せばいい。デタラメ業者は、百年かけてもきちんと国に返済する。そうすれば、住民も救われ、業者は罰せられ、税金も無駄に使われることはない。このままでは、デタラメ業者が一番得をしてしまうではないか。国は腹が痛まず、国民だけが損を強いられる。

こんな救済措置を許せば、欠陥マンションは今後も建て放題になる。業者にして見れば、建てるだけ建てて、欠陥がバレたら公費でシリをぬぐってもらえばいいわけだ。そういうことになる。

なぜ、国はこんな筋違いの救済策を打ち出しているのか。
それが、本題だ。
答えは、とても簡単だ。

ニュースを見ない僕だが、国会の喚問は少しだけ見た。ヒューザーの社長の国会での態度は、一見の価値ありだった。そして、そこにすべては語られている。

彼は、国会の場やそこにいる政治家のことを屁とも思っていなかった。なぜなら、そこにいる政治家たちにカネをばら撒いてきたのは、自分であり、自分の業界だからだ。政治家など、自分たちにカネをたかりに来るだけの卑小な存在としか見ていないのだ。彼の態度は彼の品格を語っているのではなく、彼(業界)と政治家の関係を物語っているのだ。業界が主で、政治家は従だ。

建築土木業界から政界に流れるカネは巨大だ。それによって政治家は不必要な公共事業を全国にばら撒く。必要もないダム、道路、トンネル、公共施設で日本の美しい自然がどんどん破壊されていく。そして、こうした無駄なダムや道路、公共施設などの無駄な維持費もまた公費で賄われる。巨大な無駄のリサイクルだ。最低の構造だ。そして、そこには巨大なカネがグルグル回っているのだ。ヒューザーのような会社も、この流れの中にカネを投入しているのだ。

早い話が、ヒューザーを追い詰めていくと、彼や彼の属する団体から政治家へ流れたカネが、明らかになってしまうということだ。もしかすると、欠陥マンションを造って浮いたカネは、日本のずっと高い政治の中枢まで流れているかもしれない。おカネというのは、毛細管現象のように高いところに吸い上げられていくようだ。

デタラメ業者の犯罪を暴く前に、欠陥マンションの公費での救済を打ち出したのは、建築業界と政治家の癒着が明るみになることを防ぐためにほかならない。それだけの話なのだ。

今回の事件で問題になった欠陥マンションの住民は救済されるかもしれない。しかし、全国の欠陥マンションの被害者が救済されることはない。もちろん、中越地震の被災者が救済されることもない。


『拒否できない日本』の快進撃

2005年12月05日 20時17分25秒 | □年次改革要望書
前回も引用させていただいた関岡英之氏の著書『拒否できない日本』がぐんぐん売り上げを伸ばしているようだ。

Yahoo!ブックスのランキングで19位、トレンドステーションの新書ランキングで10位、アマゾンで496位。(12月5日現在)

アマゾンでは、一年余りの間『拒否できない日本』が不可解な品切れ状態になっていた。現存する書籍が在庫なしというのは、ちょっと考えられないことだ。ZAKZAKがこの件を取材したが、アマゾンからの回答はなかった。外資のアマゾンは、『拒否できない日本』を読ませたくないのでは、という憶測がウェブ上を飛び交った。それがかえって『拒否できない日本』の知名度を上げたように思う。その後、いつのまにかアマゾンは『拒否できない日本』を取り扱っている。少し前は、アマゾンのランキングで144位という高位についていた。

『拒否できない日本』は、今年の10月の時点で、46000部を売り上げている。すごい数字だ。おそらくすでに5万部は越えているだろう。今は、本の売れない時代と言われている。出版者の人は、本を2千部売るのがどれだけたいへんか、と力説する。そのくらい本が売れない時代なのだ。老舗書店、京都丸善も先ごろ閉店した。京都丸善は、梶井基次郎の小説『檸檬』のクライマックスに登場するため、多くの人にとって愛着のある書店だった。そんな丸善でも経営が成り立たない時代なのだ。

こんな時代に、お堅い新書本が5万部も売れるというのは、出版界では、かなりのニュースだ。よいものは読まれるという証だ。

『拒否できない日本』の快進撃によって、『年次改革要望書』の認知度も高まっているはずだ。そして、それを喜ばない人たちも大勢いることだろう。次は、『拒否できない日本』への攻撃がはじまるのかもしれない。

先週の日曜に偶然、某評論家がテレビの討論番組で、『拒否できない日本』について言及するのを見た。もう、ほとんどテレビを見ない僕が見たのだから、『拒否できない日本』への攻撃はあちこちで始まっているのかもしれない。

僕が見たのは、関西だけの番組で、討論形式のバラエティ番組だ。その中で、某若手評論家が、唐突に『拒否できない日本』についてしゃべり始めた。

「なんだか、『拒否できない日本』とかいう、そんな本がベストセラーになってるらしいんですけど、改革・・年次要望書、だかがあって、それが日本を改造してるとか言ってるらしいんですよ。それはアメリカ大使館のホームページに翻訳が載ってるんですけど、これが、よくまあ、日本をここまで調べたなあというくらい詳しいんですよ・・・」

最初の口調からして、『拒否できない日本』を批判したかったらしいのだが、最後は何が言いたいのか、よくわからなまま終わった。彼が、しゃべり終わるまで、ぽかんと口を開けて見てしまった。まさか、テレビの中で、『拒否できない日本』の書名を聞くとは思わなかった。

いま盛んにテレビに出演している評論家というのは、はっきり言って、国民のためになることは言わない。大なり小なり小泉首相や国民不在の「改革」の応援団だ。そうした人しかテレビに登場できない。そしてこうした人たちにとっては、『拒否できない日本』のような本は格好のターゲットになる。それを批判しておけば、ポイントを稼ぐことができる。ゴマスリのポイントだ。そういう意味では、なかなか目聡い評論家と言える。今後、ますますこうした批判や攻撃が増えていくかもしれないが、それはそれで、すぐれた書物の証だ。逆に、知名度も高まっていくだろう。

前回の記事でも、お分かりいただけると思うが、『拒否できない日本』は、いま日本で起こっていることを解読するときの手引き書のひとつとも言える。売れて当然である。それにしても、5万部というのはすごい数字だ。



ナゼ読めない…「アマゾン」で1年超も品切れの本
http://www.zakzak.co.jp/top/2005_09/t2005091623.html

sankei web 【ベストセラーを斬る】『拒否できない日本』
http://www.sankei.co.jp/news/051017/boo005.htm

Yahoo!ブックスランキング
http://books.yahoo.co.jp/ranking/online/sex/literature/weekly/man.html

トレンドステーション 新書ランキング
http://toresute.seesaa.net/article/9394554.html

アマゾン
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166603760/qid%3D1133773580/249-3066677-8749146

鷲と電通

2005年12月04日 19時06分18秒 | ■メディア・リテラシー
11月29日の記事『電通に頭の上がらないマスメディア』へ、”コルシカ”さんよりコメント欄へ情報をいただきました。「新聞・テレビ広告取引は透明性に欠ける、公取委報告書」というライブドアのニュースです。興味深いニュースなので、少し検討したいと思います。

<公取委 広告界へメス?>


ライブドア・ニュースの元ネタは、公正取引委員会による「広告業界の取引実態に関する調査報告書(概要)平成17年11月8日」である。

この報告書の目的は、「テレビ及び新聞などの広告取引において,有力な広告会社に取引が集中する構造,取引慣行の実態を明らかにし,競争政策上の考え方を提示」することである。

広告界の具体的な実態として、
① 電通をはじめとする有力な広告会社がCM枠の大部分を確保
② 既存の広告主が優先される原則
③ テレビ局による情報開示が少ない
という三点を挙げている。
あるいは、「口頭による取引が少なくなく,媒体社,広告会社及び広告主の広告取引の当事者に適切な情報が与えられなくなり,市場メカニズムが働きにくい状況」とも指摘している。

要するに広告業界とメディア、広告主との関係には、紙による契約書もなく、古い商習慣が維持され、自由競争原理も働いていない独占的状況であるということだ。その慣行を改め、新規参入のできる自由競争の環境を導入し、独占状態を改めよ、と公取委は述べているのだ。

さて、これだけを見ると、いいことではないか、という印象を受ける。確かに、いいことである。電通による独占体制もこれで崩壊するかもしれない。たいへんすばらしい。それだけを、取ってみれば。

しかし、ここで、ちょっと立ち止まって考えなければならない。
そもそも「公正取引委員会」とは何か、を。

<『年次改革要望書』を紐解く>

ここでも、われわれは『年次改革要望書』を紐解く必要がありそうだ。

「アメリカはほぼ毎年、具体的な人数まで指定して、公正取引委員会の職員数を増加するよう日本政府に要求している。(中略)それだけでなくアメリカは、公正取引委員会に国税庁並の捜査権限を与えよ、内部告発者との司法取引などの捜査手段を与えよ、摘発件数をもっと増やせ、など実にさまざまな注文を出している。
 また、独禁法そのものについても、違反者や捜査妨害者に対する禁固刑の長さや罰金の金額まで具体的に指定して罰則を強化するよう法改正を要求してきている。」

(『拒否できない日本』 関岡英之著 124p )

関岡氏は同書で、アメリカは1994年以来一貫して、『年次改革要望書』で公正取引委員会を問題にしてきた、と書いている。1998年度版の『年次改革要望書』を見てみると、公正取引委員会についてこと細かに記述されている。その分量と詳細さには驚かされる。
アメリカはなぜ公正取引委員会の権限を強化したいのだろうか?

「この報告書(『外国貿易障壁報告書』2003)のなかでアメリカは日本では談合がまだ広く横行しており、政治家、官僚、建設企業間の癒着構造が根強く残っていると主張している。さらに公共事業の発注者である役人自身が意識的に談合を幇助するような”官製談合”が存在すると非難し、公正取引委員会と日本政府に対し、談合の刑事摘発件数をもっと増やすことや、不正に加担した公務員を厳しく制裁することを要求している。」
(同、131~132p)

つまり、アメリカとしては、日本で行われている談合やカルテルなどを一掃したいという願望を持っている。なぜなら、アメリカが日本の規制撤廃や自由化を進めても、談合やカルテルが残っていれば、自国企業の参入する余地はないからだ。アメリカとしては、公正取引委員会を強化し、談合やカルテルを一掃する必要があるのだ。

そして、アメリカの望むところの公正取引委員会の改革強化は、おそらく完成しているはずだ。2001年の『年次改革要望書』以降は、もはや「公正取引委員会」の文字はないからだ。1994年から2000年の間に、アメリカの要求する公正取引委員会の改造は終わったということだろう。

近年、日本のメディア上で、「談合」や「カルテル」の文字がよく見られるのは、”新生”公正取引委員会の本格活動を受けた流れなのだろう。

もちろん、日本の社会から談合やカルテルがなくなるのは、いいことではある。しかし、それがアメリカの意向を受けて行われているということは、結局、アメリカが一番得をすると考えて間違いない。日本国民の利益とは、ほとんど関係ないだろう。外国企業が参入したあとに、公取委の役目は終わり、談合やカルテルが復活しないとは言いきれない。

公正取引委員会は、2003年に総務省から内閣府に移っているが、これさえもアメリカの要望なのである。内閣府とは文字通り「内閣総理大臣が担当することが相応しい事務」、を行うところである。つまり、総理大臣が直属管理できる機関だ。防衛庁、国家公安委員会、金融庁、そして公正取引委員会の四つだ。あと宮内庁があるが、これはまた別である。

なぜ、アメリカは公正取引委員会を内閣府に入れよ、と要望したのかを想像するのは、それほど難しいことではないだろう。

金融庁も大蔵省から内閣府に移ったのだが、それ以降金融庁は何を行ったか。竹中平蔵氏を大臣に戴き、不良債権処理と称して、日本の銀行を破綻に追いやり、多くの金融機関を外国資本の食うがままにまかせた。それを、規制改革、自由市場原理という表現するのは勝手だ。しかし、他にも方法があるにも関わらず、外国資本に有利な環境をつくった竹中氏の意図は、明らかなように思う。ジョージの意向は、内閣府に伝わり、それはすぐに内閣府の直属機関で実行される。内閣府の四機関というのは、ジョージにとって最も重要な機関ということだ。

広告配給によって日本のメディアを実質的に支配する電通。
その広告業界の体質にメスを入れ、「新規参入の促進」を奨励する公正取引委員会。
広告界に「新規参入」してくる者の背中には、おそらく鷲のマークがついている筈だ。
日本のテレビ局の株を外国資本が占める割合は20%以下と法律で定められている。
しかし、外国資本が日本の広告界を掌握したら、それは何の意味も持たない。


『拒否できない日本』関岡英之著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166603760/qid%3D1133688509/249-3066677-8749146
広告業界の取引実態に関する調査報告書(概要)
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.november/051108-1.pdf

広告業界の取引実態に関する調査報告書(本体)
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.november/051108-1.pdf

年次改革要望書1998 「競争政策および独占禁止法」項目参照
http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-2505.html#_Toc433083745

写真:アフガニスタン:闘鶏

2005年12月01日 16時45分41秒 | 写真:アフガニスタン
休日の公園の一番人気は、意外にも闘鶏だった。
そういう習慣があるとは、知らなかった。
賭けの対象ではなく、純粋なゲームのようだ。

あまり闘争心のある鳥ではなさそうだった。
互いに無関心という場面もけっこう多い。
どちらかというと、
やる気を失くした方が負け、という感じだ。









闘鶏 : カブール