報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

短信:チョムスキー独走中

2006年09月27日 13時29分46秒 | ■時事・評論
先日のコメント欄で触れたのだが、チャベス大統領が国連での演説の中で世界の首脳に向けて読むように薦めた本が、以後、米アマゾンで1位を独走している。

米言語学者ノーム・チョムスキーの、
”Hegemony or Survival: America's Quest for Global Dominance”という本だ。1日で2万冊をゴボウ抜きにしたらしい。ハードカバーも47位に入っている。
日本では集英社新書から出版されている。
『覇権か、生存か―アメリカの世界戦略と人類の未来』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4087202607
日本のアマゾンのランキングでも徐々に上昇して、現在1307位。

米アマゾンのランキングの7位に、パキスタンのムシャラフ大統領の著書が入っているのも興味深い。米テレビでのインタビューで「爆撃を覚悟しろ。石器時代にもどしてやる」というアーミテージ国務長官(当時)の脅迫を暴露したためだろう。

他に、リチャード・クラークの”Against All Enemies”(『爆弾証言 すべての敵に向かって 』)が19位に入っている。

数年前であれば、チャベス大統領が同じことをしても話題にはならなかっただろう。


米アマゾンのランキング
http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/new-for-you/top-sellers/-/books/all/ref=pd_dp_ts_b_1/002-2463657-8703256
ベネズエラ大統領が米大統領非難の中で「推奨」した著書、ベストセラーに- 米国 http://www.afpbb.com/article/920213
チャベス大統領が国連で「推薦」の本、ベストセラーにhttp://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200609250021.html


短信:アメリカの覇権に赤信号か

2006年09月24日 12時41分38秒 | ■時事・評論
ここ数日の気になるニュースを。
前々回、メディアの911報道の仕方から、ブッシュ政権の覇権に陰りが差しはじめているのではないかと書いたが、その傾向は強まっていると感じる。

ベネズエラのチャベス大統領とイランのアハマディネジャド大統領は、国連総会にて、例のごとくアメリカを痛烈に批判した。アメリカの敵No.1のこの二人ならこれは順当なところだ。とことんやってもらいたい。ちなみに、日本のメディアの報道は、チャベス大統領を笑い者にしようという意図が見え透ていた。

パキスタンのムシャラフ大統領は米CBSの番組で、2001年の同時テロの直後に、アーミテージ国務長官(当時)から「爆撃を覚悟しろ。石器時代に後戻りすることを覚悟しろ」と脅迫されたと暴露した。ブッシュ大統領との会見前にこのような発言をするというのは少し驚きだ。これまでムシャラフ大統領は、ほぼアメリカの言いなりに「対テロ戦争」に協力してきた。この暴露発言は、アメリカ政府との力関係が変わった事を表している。でなければ、このような発言は命取りになる。

それから興味深いのは、CNN設立者のテッド・ターナー氏が米国のイラク侵攻は「史上最もばかげた行為」と発言したことだ。また、イランの核開発についても「当然の権利」と言い切っている。同時テロ以後、CNNも相当な”愛国報道”を行っていたが、CNNの設立者がブッシュ政権の政策を真正面から批判するようになったということは、ブッシュ政権は間違いなく凋落しはじめているということだ。

ムシャラフ大統領とターナー氏の発言は、”風”が変わったことを物語っている。
日本の首脳はこの”風”が読めるだろうか。




ベネズエラ大統領、米大統領を「悪魔」と批判 国連演説http://www.cnn.co.jp/world/CNN200609210008.html
米高官がパキスタンを「脅迫」と 同時テロ直後
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200609220001.html
米大統領、新聞で初めて知ると 「パキスタン爆撃」威嚇
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200609230005.html
イラク侵攻、真珠湾並の「ばかげた行為」 ターナー氏
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200609210017.html

ブログの更新、滞ります

2006年09月18日 15時23分54秒 | ■メディア・リテラシー
ここのところ、ほとんど更新ができていないですが、今後もこの状態が続きそうです。いま、本を出す準備を進めているため、そちらのほうにしばらく集中したいと思います。本の出版予定は年内ですのでこれからが忙しくなりそうです。

これまでブログを毎日のように書き、時事解説などをしてきましたが、世界の動きを読むというのはそれほど難しいことではありません。世界の動きは誰にでも読める、と確信しています。それを証明するために書いてきたようなものです。読み解くヒントはそこらじゅうにあります。

ただ、世界の出来事の深層を読むための、手っ取り早い方法論や方程式はありません。ですから、すぐにできるというわけではありません。あらゆる習い事と同じで、一定の時間と多少の努力は必要です。しかし、”知りたい”という気持ちがあれば、誰にでも世界の出来事の深層を読み解くことができます。

使用するのは主にメディアの報道です。ただし、メディアの報道から深層を読むためには、ある前提が必要です。それは、とても簡単なことを実践するだけですが、単純なことほどかえって難しいものです。すでにこのブログで再三書いてきました。

それは、
”メディアとその報道をいっさい信じない”
という姿勢です。
あるいは、常に疑問の眼を向けておく、ということです。
それさえできれば、世界の出来事の深層は見えてきます。

メディアの報道を利用するためには、メディアの報道を信じてはいけない。矛盾しているようですが、それが絶対条件です。メディアの報道、情報を鵜呑みにしてしまえば、いいように誘導・操作されるだけです。

”メディアの報道は特に間違ってはいないじゃないか”、とおっしゃる方もおられるでしょう。その通りです。事実に反した報道はほとんどありません。すべて「事実」と言っていいでしょう。それを疑えと僕は言っているのです。この機微を納得してもらえるかどうかが、分かれ目です。

国内報道の約半分は、公官庁等からの公式発表をそのまま流しているだけとも言われています。いわゆる「大本営発表」です。メディアは公官庁の発表を忠実に報道しているわけです。もし、公官庁の発表に隠蔽、捏造、改ざんが行われていたとしても、メディアは何の責任も問われませんから、安心して垂れ流すことができます。隠蔽、捏造、改ざんがあるかもしれないという可能性は、最初から排除されています。これが公官庁とメディアの正しい関係です。

「大本営発表」以外の報道でも、ほとんどの報道は「加工」されているかフィルターで濾過されていると思って間違いないです。着色料や防腐剤、あるいは産地偽装などの不当表示もあるかもしれません。

こうした「加工」や「大本営発表」の意図的な垂れ流しが、なぜ行われるのかと言えば、国家の望ましい方向へ国民意識を誘導するためです。メディアの役割とはそれ以外にありません。

あらゆるメディアは民間企業です。社団法人や半官半民という形態もありますが、基本的にはメディアとは民間企業群です。民間企業は、当然、国家の統制や規制を受けます。そのような民間企業群が国家の不利になること、国家の意向に逆らうことを報じるでしょうか。そんなことは、過去にはありませんでしたし、今後もありえません。メディアの掲げる不偏不党、公正中立という概念を国民に保証するものはどこにもありません。それは単なるお題目、幻想に過ぎません。努力目標ですらありません。

また、あらゆるメディアの主収入源は広告料です。日本の場合、その広告配給は、電通という巨大企業によってほぼ独占されています。シェアーは25%ですが、電通はその数字以上の支配力を持っています。メディアは、電通という一企業にさえ、逆らえないのが実情です。電通と政官財は太いパイプでつながっています。つまり、政官財は電通を通じてもメディアをコントロールできるということです。二重に支配されているメディアに自由などありません。

それどころか、「記者クラブ」という特権制度に胡坐をかいて、すでに飼いならされていると言っていいです。全国に無数にあるこの「記者クラブ」が「大本営発表」の受け皿です。

メディアは、国家による規制と監視を受け、広告代理店の支配を受け、そして特権に胡坐をかいています。メディアは決して公権力から独立した存在ではないということを理解する必要があります。今後も、永久に権力から独立することはありません。言論の自由というのは非常に良くできた幻想です。この幻想によって、メディアに対する絶対的信頼が創出されています。まず、幻想によるこの信頼感を絶ち切る必要があります。

メディアの唯一絶対の使命とは、国家にとって都合の良い方向へ国民意識を誘導することです。それ以外の使命はありません。米国の大手メディアになると、世界中の世論を誘導しています。そのようなメディアの報道を信じるのは、自分で自分を縛るようなものです。

しかし、メディアに疑問の眼を向けても、われわれはメディアの報道を通してしか、世界に接することはできません。その報道はわれわれを誘導しようとしています。さて、どうすればいいのでしょうか。われわれは、その報道を逆手に取って、メディアはわれわれをどこへ誘導しようとしているのかを読めばいいのです。それさえ読めば、報道の持つ意味が明らかになり、深層が見えてきます。メディアは偉大な風見鶏です。権力から吹く風をわれわれにを教えてくれています。それを利用しなければ損です。

メディアがこぞって大合唱することは、たいてい誤魔化しや捏造が行われています。「大量破壊兵器」などイラクにはありませんでした。フセインは「アル・カイーダ」とは何の関係もありませんでした。これはアメリカの議会が正式に報告しています。しかし、世界のメディアは、証拠も根拠もなく、ただブッシュ政権のアナウンスを垂れ流し続けました。世界を「対テロ戦争」という泥沼に引きずりこむために。

それでも、メディアに対する批判はいっさいありません。「大本営発表」を垂れ流し続けても、メディアは決して批判されないのです。これは驚異というしかないです。まさに、メディアに対する信頼感は絶対的と言えます。したがって、メディアはほぼ半永久的に自国民や世界世論を誘導し続けることができます。

真実の報道をすれば自身に何が起こるかを、欧米のメディアはよく知っています。アルジャジーラ支局は次々と米軍に爆撃され、支局員が殺害されました。欧米のメディアが報じるところの「誤爆」で。

われわれの血の中には、「メディアへの信頼感」が流れているとさえ感じます。メディアへの信頼感は、無条件で絶対的です。それは、理屈を越えています。それを断ち切ることは並大抵の事ではありません。

僕は、メディアへの根拠のない信頼感など簡単に打ち崩せると、安易に考えてきましたが、それは大きな誤りでした。最初のハードルが最も高く、最も強固だということに気づきませんでした。ですから、僕は、メディアとその報道を信じるべきではない、と主張し続けていますが、果たしてどれだけ受け入れてもらえたかはたいへん心もとないです。

しかし、ひとつだけ言えることは、このハードルを越えれば、まったく別の世界が見えるということです。目の前の視界が少しづつ開け、個々バラバラだったものがつながりはじめ、平面だったものが立体的に見えてきます。ただし、見たくないものもたくさん見えます。お花畑には、累々たる屍が横たわっているかもしれません。

ただ、すべてが千里眼のように見通せるわけではありません。人間はあくまで人間です。超人にはなれません。いくら観察し考えてもまったく深層が見えてこない事例もたくさんあります。常に限界を感じながらゆっくり進むしかないです。ダメだ、と諦めたときに見えることもあります。


世界の出来事の深層は誰にでも読み解けます。
それは紛れもない事実です。
ただし読み解くための方法論や方程式はありません。
画期的な大発明をするための方法論がないのと同じです。
たいせつなのはメディアが提示しているのは、偽りの現実でしかないと認識することです。
それだけで、世界の本当の実像が霧の彼方に見えてきます。



9・11報道に変化の兆し?

2006年09月12日 02時44分25秒 | ■対テロ戦争とは
9・11事件については、この5年間で、おそらく万を越える検証が成されているだろう。全てを閲覧することが不可能なくらいの記事がインターネット上に発表されている。しかし、この5年間、それらの検証は大手メディアから、完璧に無視されてきた。もしくは、取るに足らない戯言として扱われてきた。

しかし、なぜかCNNがこの5周年を前に、『米同時多発テロ「陰謀説」が再燃の兆し』と題して、アメリカの学者グループの検証を紹介している。CNNの報道を受けてか、日本のいくつかのメディアも、様子を見ながらささやかに取り上げていた。

本来、大手メディアはこうした説を「陰謀説」として無視するか、一蹴するのが常態だ。それを、控えめにではあるが、こうした説と、それを唱える学者グループの存在を認めた。メディアは、報道することによって9・11事件の反証に一定の地位を与えた。

これは、メディアが9・11事件の真相に気づいたとか、何かに目覚めたからではない。メディアは真相などとっくの昔に知っている。ブッシュ政権を取り巻く状況が変わったのだ。メディアは、いままでのように9・11はオサマ・ビン・ラディンと「アル・カイーダ」の仕業であるというシナリオを維持することに限界があると悟ったのだろう。あるいは、ブッシュ政権はいずれボロを出すと読んでいるか。

隠しとおせない最大の欺瞞のひとつが、WTCの三つのビル(1,2,7)の崩壊だろう。自然崩壊にしては、あまりにも見事すぎる。まるで、レンガ造りの建物の崩壊のようだ。あるいは廃ビルを計画爆破するようだ。そして最大の疑問は、航空機が突入していないWTC7までが崩壊していることだ。どう説明されても納得できない。
http://www.wtc7.net/videos.html

昨日のTBSの番組では、WTC(1,2)崩壊のメカニズムをアメリカの専門家がもっともらしく説明していたが、はたしてすべての専門家が同意するかどうかは疑問だ。そして番組では、航空機の突入していないWTC7の崩壊の事実は無視され、いっさい報じられていない。TBSの報道は、お決まりの9・11報道の上塗りにすぎない。

CNNの元記事はAP通信のようだ。APやCNNが取上げれば少なからず注目を浴びる。大手メディアが、わざわざそのような記事を取上げたのにはわけがある。9・11=アル・カイーダ説のシナリオが崩壊したときのために、「保険」をかけはじめたと僕は考えている。9・11事件がビンラディンと「アル・カイーダ」の犯行ではなく、実はアメリカ内部の犯行である可能性が否定しきれなくなったときのための「保険」だ。そうしないと、国民をアフガニスタン戦争とイラク戦争に駆り立てたと非難されるからだ。

ここのところ、ブッシュ政権にとって不利な事実が米議会で報告されたりしている。11月の中間選挙が近づくにつれ、さらに多くの事実が出されるかもしれない。

メディアは、いまのうちにたくさん「保険」をかけておいた方がいいかもしれない。







米同時多発テロ「陰謀説」が再燃の兆し
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200608130018.html
9/11 conspiracy theorists energized
http://72.14.253.104/search?q=cache:RBlNy3CqKJAJ:www.cnn.com/2006/EDUCATION/08/06/sept11.theories.ap/index.
ビル崩壊「物理的にありえない」 調査委に公平さなし
米専門家グループが発表した「9・11の疑惑」

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200603200159501
EXPERTS CLAIM OFFICIAL 9/11 STORY IS A HOAX
http://www.scholarsfor911truth.org/PressRelease30Jan2006.html
米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060909it02.htm

ベスラン学校占拠事件から2年

2006年09月08日 21時28分44秒 | ■時事・評論
9月1日はロシアの北オセチアのベスラン学校占拠事件の2周年だった。

”武装勢力”に学校が占拠され、1000人以上が人質になり、ロシアの治安部隊が強行突入し、すさまじい犠牲者が出た。あまりにも衝撃的な事件だった。犠牲者は330人。うち子供が半数と報告されている。

この事件にも不可解な点があり、チェチェン武装勢力の犯行と考えるのは早計だ。

事件からしばらくたってからのテレビ報道をみていたとき、ある母親は、
「救急車で運ばれた娘が、救急車ごと行方不明になった」
と証言していた。
子供を乗せた救急車がどうなったのかは、その後、何の追加報道もなされなかった。いくら大混乱の中とはいえ、救急車が忽然と地上から消えるわけがない。

ロシアでは、政府系の調査委員会とベスラン独自の調査委員会(ベスラン独立調査委員会)が調査を行っているようだ。そして、両者の見解は大きく食い違っている。

占拠犯にはチェチェン人以外のスラブ系の民族も含まれていた可能性が高い。そして、占拠犯の人数も公式発表の倍の60人はいたようだ。公式発表では32人、内31人死亡。しかし、死亡者の中にスラブ系の遺体はなかった。そして残りの占拠犯はいったいどこへ消えたのか?

また、公式発表では、占拠犯が爆弾を爆破したので、治安部隊側が攻撃を開始したことになっている。しかし元人質は、治安部隊から先に攻撃が開始されたと証言している。爆弾のスイッチを踏んでいた占拠犯が次々と撃ち殺されたために、体育館内で連続爆発がおこった。スイッチは、足を離すと爆発するようになっていたことは、当然治安当局は知っていた。

そしてロシア内務省は事件に関する情報を事前に得ていたとも報告されている。

これだけの材料でも、事件の真相の輪郭が描ける。
救急車ごと行方不明になった少女の謎もこれで理解できる。
その救急車に乗っていた少女は、事件の渦中で見てはいけないものを見てしまったのだ。

ロシア政府は、チェチェン人を極悪非道の悪魔にしたてあげたいのだ。




誰が嘘をついているのか?-ベスラン学校占拠事件
http://www.janjan.jp/world/0609/0609030567/1.php
北オセチア学校占拠事件、真実はどこに?
http://chechennews.org/chn/0522b.htm
Independent Beslan Investigation Sparks Controversy
http://www.rferl.org/featuresarticle/2006/08/b841bf15-db81-4d65-96f5-9b10f3ec9d9a.html

ライブドア事件の深層

2006年09月05日 17時19分54秒 | □経済関連 バブル
昨日、ライブドアの元社長堀江貴文氏の初公判が行われた。午前中からテレビは、ライブドア事件の報道を特集していた。

こうした事件に際して日本のメディアはいっさい事件の本質を報じない。堀江=悪=裁きを下せ!、というような単純な世論誘導が行われている。

メディアが、誰かを「悪」と決めつけ、そして容赦なく断罪する時、そこには国民の眼から遠ざけたい真実があると思って間違いない。


堀江氏は、粉飾決算やインサイダー、マネーロンダリングなどを行った。確かにそれは事実だろう。しかし、堀江氏の逮捕理由は粉飾決算やマネーロンダリング、インサイダーとは関係がない。

粉飾決算をしていない企業が日本にいったい何社あるだろうか。粉飾決算を徹底的に取締ったら日本の企業は全滅するかもしれない。インサイダーやマネーロンダリングしかりだ。みんながしていることをライブドアもしただけにすぎない。では、なぜ堀江氏だけが逮捕されたのだろうか。

そもそも堀江氏と小泉政権とは密接に結びついていた。昨年の911の衆院選挙で、堀江氏は亀井静香氏への「刺客」として、無所属ながら小泉政権の全面的バックアップを得て広島6区から出馬した。竹中平蔵大臣も堀江氏を褒め称えた。堀江氏は、竹中大臣の唱える市場原理主義の体現者だった。竹中大臣の唱える市場原理とは、徹底した弱肉強食の経済であり、勝ち馬に群がるハイエナ経済だ。

まさに、堀江氏はサバンナで成功して勝ち馬になり、そしてハイエナに群がられて終わった。

本来なら、政界にパイプを築いた堀江氏には、検察庁は絶対に手を出さない。堀江氏は小泉政権にとって急に魅力がなくなったということだ。いったい何が起こったのだろうか。その真相と深層は、半世紀は明らかにならないだろう。しかし、ある程度のことは読むことができる。


一番のヒントは、やはり堀江貴文という人物にある。
彼は、型に嵌ることを極端に嫌っていた。
守旧的な既成秩序を嫌悪していたと言っていいだろう。

ライブドアがプロ野球に参入しようとしたとき、超保守的団体である日本プロ野球協会に、堀江氏の「型破り」が嫌われ、参入を許されなかった。長髪、Tシャツ姿で通す堀江氏を、プロ野球協会の重鎮は「どこの馬の骨かわからんような奴」という表現を使った。守旧派の間に存在する、あうんの呼吸を重んじないアウトローという意味だ。

しかし、堀江氏のそうした型破りは、日本の政財界を牛耳る長老たちにとっては、それほど本質的な問題でもなかった。彼らにとって重要なのは、政官財へ恒久的に資金を供給させることだ。カネがすべてであり、スタイルなどどうでもよいのだ。

日本の政官財は成功者にカネを要求する。それは、選挙資金などの直接的なゲンナマである場合もあるし、インサイダーなどの情報である場合もある。要はカネにつながるものすべてだ。これにはおそらく見返りはない。一方通行であり、出て行くだけのカネだ。

泥棒が泥棒にたかるシステムだ。そういう意味では、堀江氏のような存在は泥棒界の末端にすぎないと言える。誰かが危険を犯して盗んできた物のウワマエをはねる方が楽でリスクもない。泥棒を続けたければウワマエをよこせ、ということだ。要するに泥棒同士の掟なのだ。

しかし、堀江氏はそれを拒否したのだろう。もう、そんな時代ではないと、彼は言いたかったのかもしれない。

自分の頭脳一本で巨額のカネを生んだ堀江氏は、アタマもなく、努力もせず、単に地位を世襲しただけで、人のカネにたかろうとする連中に我慢ができなかったのだろう。そんな連中にくれてやるカネは彼にはなかった。つまり、掟破りだ。

しかしそれは、自分は人にたかっておきながら、自分がたかられるのはごめんだ、と言っているようなものだ。それが通用するほど甘い世界ではない。

堀江氏は、彼にたかろうとしていた連中は、代々「権力」を世襲して来たということを理解しなかったのだろうか。権力を乱用するのに、アタマも才能も努力も必要ないのだ。掟を破った者を葬り去ることなどいともたやすい。

政官財のたかり屋は、堀江氏を葬り去る前に、ライブドアを利用してかなりの荒稼ぎをしたようだ。そして、損をしたのは当然、一般投資家だ。総額6000億とも言われる。


実際の真相はもう少し違ったものかもしれない。
しかし、はっきり言えるのは、堀江氏は悪いことをしたから捕まったのではないということだ。確かに法律に触れることをした。しかし、みんな同じことをしているのだ。日本のシステムでは法律違反をしただけでは誰も捕まらないのだ。堀江氏は、泥棒世界のルールを無視し、秩序を乱すという大罪を犯したために処分されたのだ。これを、泥棒同士の勝手な争いと笑うわけにはいかない。

重要なのは、われわれ国民はこの泥棒たちによって、常にたかられ続けているということだ。
株式投資をしている人だけが、たかられているのではない。
税金が上昇し、福祉予算が削減され、金利は約5年間もゼロだった。
今後も、さまざまな形で国民の負担は増していく。
そして浮いたカネはどこへ消えていくのか。


メディアは、知っていても決して報じない。
悪は討て!と、お決まりの勧善懲悪の旗を振り回して国民の眼を反らしている。
メディアもまた、たかりの一端を構成しているからだ。

対イラン制裁のまやかし

2006年09月02日 15時58分08秒 | ■時事・評論
IAEA(国際原子力機関)のエルバラダイ事務局長は、イランの核開発が平和目的であることは確認できない、とする報告書を出した。 これを受けて、安保理は対イラン制裁発動に動くだろう。ロシア、中国は制裁決議を否決する可能性が高いので、アメリカは日本をはじめ有志国を募り、対イラン独自制裁に動く模様だ。

イランの原子力開発問題は、世界をあげての茶番でしかない。これは「フセインの大量破壊兵器」と同じ茶番だ。このような茶番に、世界は多大な時間とエネルギーとカネを注ぎ込んでいる。だからこそ、茶番が現実性をおびるのだが。世界の首脳が、国連が、真剣に茶番を演じているのだから、それを疑う方がどうかしている。そして、茶番は現実そのものとなって歩きはじめる。

この茶番で得をするのはいったい誰だ。
すべては、アメリカ一国の利益につながっている。

レバノン爆撃で、市民を1000人以上も殺戮したイスラエルがいったい何発の核弾頭を持っているか。イスラエルは核弾頭の保有について、肯定はしていないが、否定もしていない。イスラエルは、NPT(核不拡散条約)に加盟していない。他にNPTに未加盟なのは核保有国であるインド、パキスタン。北朝鮮は2003年に脱退。以上四ヶ国だけだ。

イスラエルが核弾頭を約200発保有していることはほぼ公然の秘密となっている。イスラエルは、弾道ミサイル、巡航ミサイル、爆撃機、潜水艦発射ミサイルなど多用な方法で核弾頭を発射する能力を持っている。世界はそれでもかまわないのだろうか。

イランの原子力開発は他国と同様、当然の権利だ。イスラエルがすでに多用な核戦闘能力を有していることには口を閉ざし、イランの原子力開発には制裁を口にする国際社会は欺瞞に満ちている。対イラン制裁とは、アメリカの描いたアメリカのためのシナリオに沿って、世界が芝居を演じているにすぎない。したがって、茶番と表現する以外にない。

アメリカが阻止したいのは、イランの原子力開発ではない。アメリカはイランが核兵器を保有する気がないことは十分承知している。アメリカが阻止したいのは、イランが石油取引通貨をユーロに替えることだ。

アメリカがイラクを爆撃し、フセイン政権を打倒したのも、サダム・フセインが石油決済通貨をユーロに替えたからだ。それこそがイラク爆撃占領の真の理由だ。「大量破壊兵器」がでっちあげだったことは、いまや世界が知っている。「イラク民主化」など最初から興味もない。いまのイラクの最悪の状態を見れば明らかだ。

アメリカにとっての最大の敵とは、ドルに対する挑戦者だ。
ドルに対する挑戦者は何をしてでも排除する。
それがアメリカ繁栄の絶対条件だ。

メディアによるイラン関連報道に騙されてはいけない。




対イラン決議期限切れ IAEA事務局長が報告書
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200609010004.html
核発射可能な潜水艦購入 イスラエル、独から
http://www.usfl.com/Daily/News/06/08/0823_016.asp?id=50150
核保有国の核兵器状況
http://www.gensuikin.org/nw/nw_status.htm
石油のドル一極集中支配に反乱
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/tamura/20060530n195u000_30.html
イラン石油の「ユーロ建て」取引の動きを警戒する米国
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei051209.htm
アメリカvsイラン=ドルvsユーロ
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/abbd497f5acb5294a7cd3fb2bb75655d