報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

9・11報道に変化の兆し?

2006年09月12日 02時44分25秒 | ■対テロ戦争とは
9・11事件については、この5年間で、おそらく万を越える検証が成されているだろう。全てを閲覧することが不可能なくらいの記事がインターネット上に発表されている。しかし、この5年間、それらの検証は大手メディアから、完璧に無視されてきた。もしくは、取るに足らない戯言として扱われてきた。

しかし、なぜかCNNがこの5周年を前に、『米同時多発テロ「陰謀説」が再燃の兆し』と題して、アメリカの学者グループの検証を紹介している。CNNの報道を受けてか、日本のいくつかのメディアも、様子を見ながらささやかに取り上げていた。

本来、大手メディアはこうした説を「陰謀説」として無視するか、一蹴するのが常態だ。それを、控えめにではあるが、こうした説と、それを唱える学者グループの存在を認めた。メディアは、報道することによって9・11事件の反証に一定の地位を与えた。

これは、メディアが9・11事件の真相に気づいたとか、何かに目覚めたからではない。メディアは真相などとっくの昔に知っている。ブッシュ政権を取り巻く状況が変わったのだ。メディアは、いままでのように9・11はオサマ・ビン・ラディンと「アル・カイーダ」の仕業であるというシナリオを維持することに限界があると悟ったのだろう。あるいは、ブッシュ政権はいずれボロを出すと読んでいるか。

隠しとおせない最大の欺瞞のひとつが、WTCの三つのビル(1,2,7)の崩壊だろう。自然崩壊にしては、あまりにも見事すぎる。まるで、レンガ造りの建物の崩壊のようだ。あるいは廃ビルを計画爆破するようだ。そして最大の疑問は、航空機が突入していないWTC7までが崩壊していることだ。どう説明されても納得できない。
http://www.wtc7.net/videos.html

昨日のTBSの番組では、WTC(1,2)崩壊のメカニズムをアメリカの専門家がもっともらしく説明していたが、はたしてすべての専門家が同意するかどうかは疑問だ。そして番組では、航空機の突入していないWTC7の崩壊の事実は無視され、いっさい報じられていない。TBSの報道は、お決まりの9・11報道の上塗りにすぎない。

CNNの元記事はAP通信のようだ。APやCNNが取上げれば少なからず注目を浴びる。大手メディアが、わざわざそのような記事を取上げたのにはわけがある。9・11=アル・カイーダ説のシナリオが崩壊したときのために、「保険」をかけはじめたと僕は考えている。9・11事件がビンラディンと「アル・カイーダ」の犯行ではなく、実はアメリカ内部の犯行である可能性が否定しきれなくなったときのための「保険」だ。そうしないと、国民をアフガニスタン戦争とイラク戦争に駆り立てたと非難されるからだ。

ここのところ、ブッシュ政権にとって不利な事実が米議会で報告されたりしている。11月の中間選挙が近づくにつれ、さらに多くの事実が出されるかもしれない。

メディアは、いまのうちにたくさん「保険」をかけておいた方がいいかもしれない。







米同時多発テロ「陰謀説」が再燃の兆し
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200608130018.html
9/11 conspiracy theorists energized
http://72.14.253.104/search?q=cache:RBlNy3CqKJAJ:www.cnn.com/2006/EDUCATION/08/06/sept11.theories.ap/index.
ビル崩壊「物理的にありえない」 調査委に公平さなし
米専門家グループが発表した「9・11の疑惑」

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200603200159501
EXPERTS CLAIM OFFICIAL 9/11 STORY IS A HOAX
http://www.scholarsfor911truth.org/PressRelease30Jan2006.html
米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060909it02.htm

続・「アル・カイーダ」は本当に存在するのか?

2006年04月01日 19時58分59秒 | ■対テロ戦争とは
僕自身は、まだプラウダのように”アル・カイーダは存在しない”とはっきり言い切ることはできない。

しかし、”アル・カイーダは存在しないのではないのか”という視点から世界の出来事とアメリカの対テロ戦争を観察している。そういう命題を設定する必要があるほど不可解な点が多い。

また、「共産主義の脅威」は、意図的に誇張されたものであったとうい事例からも多くを学ぶことができる。91年のソ連邦の崩壊は、僕にはたいへんな衝撃だった。鉄壁の国だと思われていたソ連邦が、まるで途上国並の崩壊の仕方をしたからだ。僕の頭は大混乱だった。ソ連邦の強固なイメージと現実の脆弱さの乖離はいったいどこから来るのか。結局、世界は捏造されたイメージを信じていたのだ。

アメリカは張子のトラのソ連邦を、本物のトラに見せようとしたのだ。政府広報だけでなく、映画やTV、マガジン、小説、コミックなどあらゆる媒体を屈指して、ソ連邦の虚像を作り上げた。ソフト・パワーの影響力は決して侮れない。世界は、張子のトラを本物の人食いトラと信じた。そして、この獰猛なトラからあなた達を守ってあげますよ、と言ってアメリカはまんまと世界を傘下に収めた。

ソ連邦が崩壊しなければ、そのまま「冷戦」は続いただろう。しかし、張子の虎ソ連邦は、必然的に内部から自壊してしまった。アメリカとしては次ぎのトラを用意しなければならなかった。世界が平和になっては、アメリカの支配力は失われ、最終的に没落する。

ソ連邦の崩壊が91年。
第一次湾岸戦争が90年。
これはけっして偶然ではない。

ソ連邦の崩壊を見越して、次の「脅威」がすでに準備されていた。第一次湾岸戦争では、米軍はフセインの眼の前まで迫りながら、なぜかフセインとその体制を倒さなかった。その理由は簡単だ。「脅威」を残しておく必要があったからだ。そして、2003年の第二次湾岸戦争で彼はお払い箱となった。すでに、次の「脅威」が用意されていたからだ。

98年、ケニアのナイロビで最大級の爆弾事件がおこった。(偶然、僕は現場のすぐ近くのレストランにいた。)この爆弾事件を機に、オサマ・ビン・ラディンの名が世界に登場した。

そのビン・ラディンもアフガニスタン戦争で捕らえられることはなかった。ビン・ラディンがCIAと密接な関係にあったことはよく知られている。

世界は、「アル・カイーダ」のボス、ビン・ラディンがどこかに潜んでいることによって、常に「テロの脅威」を感じ続ける。そして、アメリカの存在価値は高まり、覇権は拡大する。「共産主義の脅威」の図式とまったく同じなのだ。

”アル・カイーダは存在しない”と僕に言い切ることはできない。
しかし、疑ってみる価値は十分にあるのではないだろうか。
そしてもし、「アル・カイーダ」が存在しないとしたら、いったい誰が爆弾の計画を練り、実行しているのか。

911事件のあと、ブッシュ大統領は示唆的な演説をしている。
「テロとの戦いは、5年で終わるかもしれないし、50年続くかもしれない」
捏造された「共産主義の脅威」は30年も持続した。



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※BBCドキュメンタリー、「『テロとの戦い』の真相」全三部のストリーム。(字幕なし)
The Power of Nightmares Part I - The Making of the Terror Myth
The Power of Nightmares Part II - The Phantom Victory Myth
The Power of Nightmares Part III - The Shadows In The Cave

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「アル・カイーダ」は本当に存在するのか?

2006年03月31日 23時25分22秒 | ■対テロ戦争とは
前にも、同じようなタイトルを書いたように思うが、今後も、機会があれば何度でも書くことになると思う。
僕は、いまだに「アル・カイーダ」が存在するという証拠を見たことがない。

爆弾事件が起こるたびに、メディアは間髪をいれずに「アル・カイーダ」と報道する。いったい何を根拠にそのような報道ができるのか、僕には不思議でならない。たいていの場合は、「声明文」がサイトに載ったという程度のことだ。そんなもの誰にでも作れる。

世界のメディアは、政府見解や警察発表以上のものを報じることはなく、独自に検証する気もない。
そんな中で、BBCのドキュメンタリー「『テロとの戦い』の真相」は画期的な番組だった。
しかし残念ながら、あとに追随する根性のあるメディアはその後でてこない。

ただ、BBCの番組が作られる前の年に、ロシアのメディア「プラウダ」の英語版サイトに興味深い記事が乗った。その一部分だけを掲載しておきたい。
プラウダの記事は、タイトルとリードで、はっきり言い切っている。
”アル・カイーダは存在しない”と。





全文はこちらで。
Al Qaeda does not exist and never has
http://english.pravda.ru/mailbox/22/101/397/13821_AlQaeda.html

スペイン爆弾事件に新証言

2006年03月19日 03時49分48秒 | ■対テロ戦争とは
世界でセンセーショナルな爆弾事件がある度に、メディアは証拠もなしに「アル・カイーダ」の犯行だと大声でアナウンスする。しかしその後に、必ず不自然な点が出てくる。

以前、ロンドンとヨルダンの爆弾事件については言及したが、スペインの爆弾事件についても新たな証言がでてきた。

アルカイダ関与せず 列車テロでAP報道
【パリ10日共同】
AP通信は10日、191人の犠牲者を出した2004年3月のマドリード列車同時爆破テロについて、国際テロ組織アルカイダは犯行に関与していなかったとする情報機関筋の証言を伝えた。
 
AP通信はスペインの情報機関責任者の話として、犯行グループとアルカイダとの間には電話連絡も資金の流れもなく、両者の接触に関する証拠はないと指摘。

また、スペインのテロ対策に深く関与している欧米の当局者も「アルカイダの犯行ではない。(地元のグループによる)自前の犯行だ」と述べたという。
(共同通信) - 3月10日21時53分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060310-00000273-kyodo-int

しかし、こうした記事が注目をあびることはない。
人々の記憶には、あらゆる爆弾事件は「アル・カイーダ」の犯行として焼き付いてしまっている。

証拠もないのにメディアが「アル・カイーダ」と大々的に報じるのはこの”焼き付け”を行うためだと思えてしまう。爆弾=「アル・カイーダ」、テロ=「アル・カイーダ」、何でも「アル・カイーダ」、とにかく「アル・カイーダ」。

決して、メディアの報道(虚報)に惑わされてはいけない。
そもそも「アル・カイーダ」は実際に存在するのだろうか。
僕はその明確な証拠をいまだ見たことがない。
あなたは?


『ロンドン同時爆破事件について③』
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/b32d4f50f48135b038719bbdd095b84d

『ヨルダンのホテル爆破は、天井に仕掛けられた爆弾か』
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/ace2d614e17cce48f25a2f9d92be4a8b

「脅威」の正体

2005年12月08日 23時43分50秒 | ■対テロ戦争とは
世界には常に「脅威」がつきまとっている。
古くは「共産主義の脅威」だ。
しかし共産圏は勝手に自壊していくほど脆弱だった。
冷戦とは、虚構にすぎなかった。

世界はようやく「平和」になるかと思われた。
しかし、冷戦と入れ代わるように、なぜか「テロの脅威」が現れた。
少し前には「大量破壊兵器の脅威」などもあった。
そして、いまは「鳥インフルエンザの脅威」だ。
われわれの周りは実に「脅威」だらけではないか。
しかし、これらは本当にわれわれにとって「脅威」なのだろうか。


たとえば、「テロの脅威」は捏造だ、と僕が言うと、「テロは実際に起こっているではないか!」、という人もいるだろう。テロが実際に起こっているのは事実だ。しかし、テロがあるたびに、すぐに不可解な事実も出てくる。マドリッド、ロンドン、アンマン、すべてそうだ。辻褄のあわないことがいつも出てくる。メディアが流す情報と、実際のテロ現場にはズレがある。これはどういうことなのだろうか。911などは、数百を越える矛盾が指摘されている。

テロというのは、判で押したように「アル・カイーダ」やその系列の犯行とされる。しかし、証拠は一切ない。ネット上の犯行声明など高校生でも作れる。しかし、世界は証拠もないのに「アル・カイーダ」の犯行を微塵も疑わない。世界のメディアがそう言うから、そう信じているにすぎないのだ。テロ報道に関して、メディアはまるでガイドラインでもあるかのような報道をしている。メディアは決して矛盾を追求しない。「テロの脅威」とは、矛盾に満ちた当局発表とそれを垂れ流すメディアの報道によって作られているにすぎない。

確かな事実があるとすれば、「テロの脅威」がなければ、アメリカの「対テロ戦争」は成り立たないということだ。テロに対する戦争なのだから、テロの存在が必要不可欠だ。そして、実際、世界で爆弾が炸裂している。そして、忘れた頃にビン・ラディンの”肉声テープ”やザワヒリのビデオがメディアに登場する。「テロの脅威」がある限り、アメリカは世界を傘下におさめることができる。

イラク戦争で、イラク爆撃の最大の理由とされたのは、言わずと知れた「大量破壊兵器」の脅威だ。しかし、あれだけ宣伝されたサダムの「大量破壊兵器」はどこにもなかった。「大量破壊兵器の脅威」はまごうかたなき捏造だった。

「鳥インフルエンザの脅威」もこれらの脅威と変わらない。
虚構の産物なのだ。

もしいま僕が、「東京大地震が数年以内に起こる!」と言っても誰も真に受けないだろう。関東で大地震が100%起こることは、関東の住民の100%が認識している。それでも、誰も僕の言葉を「脅威」とは感じないはずだ。なぜなら、予測不可能なことを予測しているからだ。大地震は明日起こっても不思議ではないし、100年経っても起こらないかもしれない。予測できないことに、人間は「脅威」を感じないのだ。「不安」と「脅威」とは別物だ。不安とは漠然としたものであり、脅威とは具体的なものだ。予測できない「脅威」を口にしても、それは虚構と変わらないのだ。

では逆に、人に「脅威」を与えたければ、「予測できる」と思わせればいいのだ。ここに、「鳥インフルエンザの脅威」のカラクリがある。

おそらく誰もが、「鳥インフルエンザ」は人間に感染すると思い込んでいる。確かに、中国政府は「鳥インフルエンザ」感染による人間の死亡例を報告している。しかし、「トリ→ヒト」感染である限り、問題はない。なぜなら「ヒト→ヒト」感染しない限り感染爆発はないからだ。「ヒト→ヒト」感染するためには「鳥インフルエンザ」は劇的に「変異」しなければならない。その可能性はいったいどれくらいあるのだろうか?

われわれはこれに関して何の情報も与えられていない。だから、漠然と「鳥インフルエンザ」はヒトからヒトへ感染するのではないか、というイメージを持つ。情報が少なければ、イメージは膨らみ恐怖も膨らむ。

「鳥インフルエンザの脅威」も「東京大地震の脅威」も何ら変わりはない。どちらも、来るべき可能性なのだ。では、なぜ「鳥インフルエンザ」の方だけを大騒ぎしているのだろうか。

それはやはり、「脅威」を煽ることによって、儲かる人がいるからだ。製薬会社や、医療機関、投資家、そして我らがラミーこと、ラムズフェルド氏などだ。「鳥インフルエンザの脅威」が大きくなればなるほど、利権も大きく膨らむのだ。

これが、われわれをとりまく「脅威」の正体だ。
様々な「脅威」を捏造し、人々を煽って、他国を侵略し、金を儲ける。
そんな連中の方が、「鳥インフルエンザ」よりもよほど「人類への脅威」だと思う。


「冷戦」後の巨大な鉱脈=「対テロ戦争」
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/c/f7b7bed0bb71bef84ab628f00de761cc

"Al Qaeda does not exist and never has"
http://english.pravda.ru/mailbox/22/101/397/13821_AlQaeda.html

ヨルダンのホテル爆破は、天井に仕掛けられた爆弾か

2005年11月18日 20時12分15秒 | ■対テロ戦争とは
11月9日にヨルダンのアンマンで発生した爆弾事件は、すでに「自爆テロ」として広く報じられている。
そして、世界はそのように認識している。
しかし、事件の発生した9日に、ロイターは次のように報じていたことがわかった。

ヨルダンのホテル爆破は天井の爆弾
アンマン - 水曜に、ヨルダンの首都アンマンのラディソン・ホテルで起こった爆発は、屋根裏に設置された爆弾によって引き起こされた、と現場の警官はロイターに語った」
http://www.msnbc.msn.com/id/9980123/

”The Truth Seeker”というサイトは、このロイター電とともに、二枚の画像を掲載している。一枚目は、アンマンのラディソン・ホテルのもの。確かに、天井がひどく破壊されている。ただ、床で爆発が発生しても、ビルの天井は破壊される。ビルの天井というのは、非常に軽くて強度の低い材質で作られている。しかも、簡単に吊ってあるだけなのだ。床で大きな爆発が起これば、天井はことごとく破壊されて当然である。しかし、この画像を見る限り、体に巻きつけた分量の爆薬で破壊されたにしては、ダメージが大きすぎるように思う。

http://www.thetruthseeker.co.uk/article.asp?ID=3813

二枚目の画像は、アンマンのハヤット・ホテルでの爆発現場である。こちらの方は、ダメージが小さい。体に爆薬を巻いた自爆テロなら、本来、この程度の破壊だろう。しかし、こちらは別の不自然な点がある。天井の破壊からすると犯人は、壁に近いところに立っていなければならない。しかし、白い壁にほとんどダメージがない。しかも、自爆した犯人の血しぶきがまったくない。これは、到底ありえないことだ。

http://www.thetruthseeker.co.uk/article.asp?ID=3813

次の画像は、僕が今年の5月にアフガニスタンのカブールで撮影したものだ。外国人が利用するインターネット・カフェ内で爆発が起こった。僕も利用していた店である。事件発生時に店にいた外国人の証言では、店に入ってきた男が奥のトイレに入り、しばらくして出てきた瞬間、爆発が起こった、ということだ。つまり、この現場は間違いなく「自爆テロ」が発生した痕だ。高級ホテルと街のネット・カフェを比べるのは、妥当ではないかもしれないが参考になる点は多い。

店の天井は、あらかた吹き飛んでいる。自爆テロが屋内で起これば、天井がダメージを受けることがわかる。それから、爆破位置の壁の化粧板も吹き飛んで、下地のモルタルが剥き出しになっている。爆破位置の壁が損傷を受けるのは当然のことである。そして、重要なのは、人間の体の70%は水分で構成されているということだ。自分の体を爆発させれば、多量の赤い血と肉が飛び散ることになる。トイレのタイルには、血しぶきが飛んでいる。店の壁には、もっと飛び散っていたと思われるが、化粧板がなくなっているので確認はできない。それでも、壁のベニア板や天井から垂れ下がる板にも血痕が見られた。これが「自爆」の現場だ。



ではもう一度、最初の画像に戻ってみる。
一枚目の画像は、「自爆テロ」が行われたにしては、あまりにも天井のダメージが大きすぎる。もし、「逮捕」された女性が巻いていたものと同じ爆弾だとすると、到底あり得ない破壊規模だ。いくら高性能爆薬であったとしても、人間の体に巻きつける分量には限りがある。
二枚目の画像には、白い壁に一滴の血しぶきも見当たらない。爆発には方向性があるとしても、まったく破壊も血痕もないというのは、あり得ない。自爆犯が本当に、血も涙もない人間だったら別だが。

ロイター電と画像から見る限り、ヨルダンでの爆弾事件は、「自爆」ではなく、あらかじめホテルの天井に爆弾が仕掛けられていたと考えるに十分な根拠を提供している。

つまり、爆破事件の発生した9日に、ロイターは、すばやく事件の真相を報じていたのだ。
しかしこれは、報じてはいけない報だった。
当のロイターのサイト内には、いまはこの記事が見当たらない。
冒頭に掲載した記事は、MSNがロイター電として伝えたものだ。

「文明の衝突」の捏造

2005年11月16日 21時30分06秒 | ■対テロ戦争とは
10日に発生したヨルダンでの爆弾事件の「犯人」とされる女性が逮捕された。ザルカウィの親戚の妻だと報じられている。

爆弾事件には、二種類あるように思う。
ひとつは、誰がやったのか皆目わからないケース。
もうひとつは、事件後、あっという間に犯人が特定されるか、逮捕されるケース。

ロンドンの爆破事件でも、実にすばやく実行犯が特定された。監視カメラの映像もすばやくメディアに登場した。しかも、実行犯は、犯行に際して免許証やカードなどを所持していた。ロンドンの爆弾事件も非常に不可解なことが多い。

結論としては、ロンドン爆破事件の実行犯は、自分たちが運んでいるものが爆弾だとは知らなかったと言える。だから、彼らは免許やカードも所持していた。監視カメラに写っている彼らには、緊張感もなかった。彼らは単なる運び屋にすぎなかったのだ。おそらくバッグの中身は麻薬と思っていたのだろう。そして彼らは、遠隔操作で爆破された。つまり、爆弾を運んだ若者4人は、政治的な背景などなく、イラク戦争に参加する英国政府への憎悪も、それほどなかったと考えていいだろう。

単に爆弾を爆発させたいだけなら、爆弾のキャリアーは人種や年齢を問わなかったはずだ。わざわざ、パキスタン系イギリス人ばかりを選ぶ必要などなかった。ということは、逆から考えれば、パキスタン系イギリス人でなければならない理由があったということだ。

前回の記事で、ヨルダンのホテルでの爆発の前にイスラエル人客だけがホテルから非難していたという報があったと書いたが、ロンドンの爆弾事件の時も、「イスラエルの諜報機関は事前に情報を得ていた」という報があった。

それどころか、「ロンドン爆破を命令したのはトニー・ブレアー」という記事まである。
http://bellaciao.org/en/article.php3?id_article=6922

また、今年の9月に、イラクのバスラで、英国軍が戦車を使って警察署の壁をぶち抜き、拘束されていた英国軍兵士2名を奪還するという出来事があった。この2名の英国軍兵士は、アラブ人に変装し、車爆弾の準備をしていたところをイラク警備隊に逮捕されたのだ。イラクで、毎日のように爆発し、市民が死傷している爆弾事件の何割かは、あるいはほとんどが、こうした英米軍の仕業なのかもしれない。残念ながら、証拠はほとんどない。
http://www.jca.apc.org/~kitazawa/undercurrent/2005/
truth_in_rescue_mission_in_basra_10_2005.htm


爆弾事件がある度に、イスラム社会に対する、世界の不信と憎悪が掻き立てられる。ロンドンの事件後、英国のイスラム社会への差別や暴力が起こっている。今回のヨルダンの事件では、イスラム内での分裂が起こりそうな気配である。世界有数の観光地バリ島では、すでに二回も爆弾が爆発している。しかし今後も、世界中からバリ島へ観光客は訪れる。そして観光客はイスラムへの憎悪を土産に国に帰るのかも知れない。

爆弾事件には、不可解なことがあまりにも多いが、それらが明らかになることはまずない。しかし、常に明確なことがひとつだけある。それは、犯行後即座に「アル・カイーダ(系列)」のイスラム教徒が犯人と断定されることだ。そして、おそらく一生涯、われわれの記憶にそれが刻み込まれる。

それこそが、爆弾事件の目的なのだろう。爆弾を爆発させることが目的ではなく、爆弾を破裂させているのは「イスラム」だと印象づけることが目的なのだ。そのために、ロンドンでは、パキスタン系の若者が運び屋に選ばれた。今回、ヨルダンで捕らえられた女性は、本当にザルカウィと関係があるのだろうか。もう、二度とメディアに登場しないような気がする。

いま世界で、爆発している爆弾は、欧米社会や欧米文明に憎悪を抱いたイスラム世界からの攻撃などではない。
意図的に「文明の衝突」を創り出したい人たちによって、それは行われている。
「対テロ戦争」を宣言するブッシュ大統領は、
「この戦いは5年で終わるかもしれないが、50年続くかもしれない」
と発言した。
米国は、世界が平和で安定することによって、その覇権と経済的繁栄を失うという構造を持っている。
米国は、世界が不安定であるほど、争いに満ちているほど繁栄できる。
共産主義の赤い帝国の脅威が失われた今、それに替わる、新しい巨大な世界の脅威が必要なのだ。
それが、「対テロ戦争」だ。

「赤い脅威」が意図的に捏造されていたように、いま、「文明の衝突」が捏造されている。


「冷戦」後の巨大な鉱脈=「対テロ戦争」
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/69d2b3dbe264315c1070876409dd61b8

”Tony Blair Ordered The London Bombings”
http://bellaciao.org/en/article.php3?id_article=6922

”Tony Blair Ordered The London Bombings” 一部翻訳
「アラブの声」ブログ
http://arabvoice.blog7.fc2.com/blog-entry-63.html







2002年10月12日、バリ島クタ地区のクラブハウス前で車爆弾が爆発。
日本人2人を含む202人が死亡した。

ヨルダン爆破事件について

2005年11月13日 14時26分39秒 | ■対テロ戦争とは
10日、ヨルダンの首都アンマンで三件の爆弾事件があり、結婚式客など約50人の市民が犠牲になった。

ヨルダン政府関係者は、「確証はないが、ザルカウィだ」とコメントした。メディアも「イラクで活動できなくなったザルカウィがヨルダンに活動を移した」と根拠の薄い分析をしている。こうした事件があるたびに「アル・カイーダ」やザルカウィの仕業となる。

しかし、ロサンゼルス・タイムスが興味深い記事を載せている。事件の遭ったRadissonホテルに泊まっていたイスラエル人客だけが事前に警告を受けて避難していたというのだ。元の情報は、イスラエルのメディア「haaretz」が伝えたものだった。これが本当だとしたら、「またか」という思いにかられる。同時に「やはり」とも思う。

爆発前に、イスラエル人客だけが避難していたことを報じるイスラエルのメディア。
http://www.haaretz.com/hasen/spages/643691.html

ことの真相は50年は明らかにならないだろう。
はっきりしているのは、これからも爆弾は爆発し続けるということだ。
「対テロ戦争」のために「テロ」があるのだから。

LA Timesの記事
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-bombings10nov10%2C0%2C2022733.story?coll=la-home-world
LA Timesの抜粋が読める
http://asyura2.com/0510/war75/msg/1438.html

「冷戦」後の巨大な鉱脈=「対テロ戦争」

2005年07月18日 23時49分36秒 | ■対テロ戦争とは
<都合のよい「事件」>

 ロンドンの同時爆破事件については、早くも様々な憶測が流れ始めている。

 911事件においては、すでに万をこえる検証が行われている。かなり説得力のある良質な検証も数多くある。911事件はあまりにも、不可解な事例、現象が多い。そのような事例や現象の背景や原因を検証することは重要だ。ロンドンの爆破事件についても、同様の検証が始まっていると思う。いずれ信頼すべき情報がネット上に掲載されるに違いない。そこから、誰でも一定の結論を導き出すことができるだろう。しかし、個々の事件を解明するだけでは、あまり意味がない。単なる、謎解きごっこに終わってしまう。

 911事件後の、アメリカ政府の発言や動きからは多くのことが読み取れる。アフガニスタンでは悲願のパイプライン建設が進み、イラクでは埋蔵量世界第二位(世界最大であるとも言われる)の油田を手に入れた。そしてイラクの石油決済通貨をユーロからドルに換えた。しかし「大量破壊兵器」は永遠に見つかりそうもない。存在するかしないかもわからない「アル・カイーダ」との関係も立証されなかった。ここで一番重要なのは911事件によって、アメリカは欲しいものをすべて手に入れたということだ。
 石油や決済通貨、軍需は「目的」ではなく、単なる「結果」だという意見もある。しかし「結果」としてたまたまついてきたオマケにしては、あまりにもアメリカばかりが得をしていないか。

 では、911事件がなかったと考えたらどうなるだろうか。
 アフガニスタンにパイプラインを作ることはできない。
 したがって中央アジアの石油は手に入らない。
 イラクの石油は手に入らない。
 石油決済通貨はユーロのままであり、中東諸国はイラクに続いてユーロに乗り換えただろう(ロシアはとっくに石油決済通貨をユーロ建てにしている)。
 基軸通貨ドルの地位は揺らぎ、世界の経済圏をユーロと二分することになる。
 軍需産業は凋落する。
 つまり、エネルギー資源、軍需、基軸通貨ドルというアメリカの屋台骨がグラグラになるということだ。

 実に都合よく911事件は起こったと言える。

 冷戦終結による「共産主義の脅威」がなくなり世界は平和に向かって前進するかと思いきや、実に都合よく「ならず者フセイン」が出現した。そしてビン・ラディンが登場し、そして「アル・カイーダ」の文字がメディアの中で踊った。またもやアメリカが世界のリードをとり「対テロ戦争」を戦うことになった。

 戦争や紛争に突入するきっかけとなった事件はいくつもある。盧溝橋事件、パールハーバー、トンキン湾事件、911事件・・・。
 しかし、なぜか世界を平和にする事件は存在しない。
「和解、友愛、平和」は富と権力に繋がらないからだ。
 逆に「不和、憎悪、戦争」は富と権力を生む。
 思想や宗教や民族は利用されているに過ぎない。
 すべては、富と権力の問題なのだ。
 そして必要なときに必要な「事件」が必ず起こる。

< 幻想の産物、共産主義の脅威 >

 85年のゴルバチョフの登場から、ソビエトは崩壊に向かっていた。89年のポーランド、ハンガリーの民主化を皮切りにベルリンの壁が崩壊、そして、1991年「悪の帝国」ソビエト連邦は崩壊した。この一連の動きの中で、90年に第一次湾岸戦争が起こっている。これは決して偶然ではない。

 もともとイラクとアメリカとは友好関係にあった。イ・イ戦争時はアメリカはイラクを支援した。フセインとしては、クウェート侵攻に関して、アメリカからの承認を得たと考えていた。駐イラク米大使は、「イラクとクウェートの関係について、アメリカは介入する気はない」とフセインに口頭で伝えている。国際政治の世界では、これは「GO」サインと同じである。クウェートを好きにしなさい、ということだ。しかしこれは、罠だった。イラク軍がクウェートに侵攻すると、とたんにアメリカはイラクを非難し、クウェートを救うために、イラクを爆撃し多くのイラク市民を殺害した。このときもメディアを使ったディスインフォメーションが行われている。「原油まみれの水鳥」はサダムとは関係がなかった。イラク軍による保育器の赤ん坊殺しもまったくの作り話だった。
 世界中に「極悪フセイン」というイメージづけが行われた。
 湾岸戦争は、今日の「対テロ戦争」の布石だと言える。

 重要なのは、「冷戦」の終結の過程で、「ならず者フセイン」が突然クローズアップされたということだ。「悪の帝国」ソ連邦の崩壊は、アメリカにとっては悪夢だった。敵がいるからこそ、アメリカは黙っていても西側世界の覇者として君臨できた。はてしない軍拡競争で、放っておいても軍需産業は儲かった。「悪の帝国」と対抗できるスーパーパワーはアメリカしかいない。共産主義と核の脅威によって、世界はアメリカの傘下に入った。

 おかげでアメリカは毎年、巨額の財政赤字、国際収支赤字を出そうとも、世界が即座に穴埋めしてくれる。アメリカの弱体は、世界の安全の危機だからだ。アメリカは世界で唯一、赤字を気にすることなくはてしなく浪費を続けることの出来る国となった。他の国なら、とっくに国家破綻だ。アメリカは「冷戦」によって、尽きることのない鉱脈を手に入れた。

 つまり、アメリカとしては、共産主義と核の脅威を煽れば煽るほど世界を意のままに操れたのだ。実際、アメリカはソ連邦の脅威を過剰に宣伝した。赤い国からのスパイを描いた映画や小説が量産された。その中で赤い国は、極悪で冷酷で非情、しかも強力で優秀と描かれている。しかし、ソ連邦が崩壊したとき、そのあまりのあっけなさに、世界は驚嘆した。「悪の帝国」は内部から勝手に崩壊するほど脆弱だった。

 共産主義の脅威がなくなったということは、アメリカにとって富と覇権を生むあらゆる前提が崩れたことを意味する。核配備、軍事増強の必要性はもはやない。西側諸国にとっては、アメリカの庇護下に入る必要もない。「悪の帝国」の崩壊は、すなわちアメリカの富と覇権の終焉を意味した。
 アメリカは次の鉱脈を掘らねばならなかった。
 それは「ならず者フセイン」として試掘がはじまった。
 そして、ナイロビ米大使館爆破事件、タリバーンとオサマ・ビン・ラディン、911事件、アフガニスタン戦争、イラク戦争へと掘削が続いた。

<新たな鉱脈=「対テロ戦争」>

「対テロ戦争」という鉱脈は、まだまだ地中深く続いている。
 最終的には世界中が「テロ」の脅威を現実的なものと感じなければ意味がない。これから、世界各地で「テロ」が勃発する。あるいは、「テロ計画」が未然に阻止され、「テロリスト」が逮捕される。そしてかつて、世界中の人々が心の底から共産主義を恐れ、憎悪したように、「イスラム」を恐れ、憎悪するようになる。
 イスラム教徒というだけで、多くの人々が迫害される。特にアメリカやヨーロッパのイスラム教徒の移民は徹底的な迫害を受ける。そして、彼らは職を終われ、ビジネスを失い、教育の機会を奪われ、家を追われる。恒常的な暴力の脅威におびえ、生活を破壊される。彼らは追い詰められていく。その帰結は明らかだ。多くの若者が、極端な行動に移る。つまり、目には目をだ。こうして、「テロ」の悪循環がはじまる。
 すでに、ロンドンの爆弾事件では、英国のイスラム社会に対する暴力と迫害と脅迫がはじまっている。殺害事件も発生している。

 イスラム国家は、アメリカの政策に従わねば、存立できなくなる。中東諸国は、すでにアメリカの衛星国家となりはじめている。こうした国々は必要に応じて、「テロ志願者」「テロ容疑者」を供給しなければならない。
 今回のロンドン爆破事件の「実行犯」とされている人物はすべてパキスタン系英国人であり、パキスタンとアフガニスタンで訓練を受けたとされている。現在最もアメリカの影響下にあるイスラム国家はパキスタンとアフガニスタンだ。双方ともシナリオどおりの演出をしてくれるに違いない。

 ロンドン爆破事件の真相を究明する作業も大切ではある。
 しかし、911事件やロンドン爆破事件、アフガニスタン戦争、イラク戦争が何を意味するかを理解しなければ、ただの謎解きごっこに終わってしまう。

「対テロ戦争」とは、冷戦に換わる富と覇権の「鉱脈」だ。
 共産主義の脅威に踊らされ、資源や富を奪われ続けたように、いま、世界は「テロ」の脅威に踊らされている。イスラム教徒を憎み、恐れることは、自らの主権と富を投げ捨てる行為にほかならない。そしてその陰で、ごく一部の者だけが、途方もない利益を得ていくのだ。

ロンドン同時爆破事件について③

2005年07月14日 18時24分15秒 | ■対テロ戦争とは
 7月10日、米国土安全保障省のチャートフ長官が、現場も見ていないのにロンドン爆破事件について
「自爆攻撃の可能性を排除していない」
 と不自然なコメントした。
 その2日後の12日には、ロンドン警視庁は、突然実行犯4人を特定し、自爆テロの可能性が高いと発表。現時点では、もはや自爆テロと確定されている。

 アメリカのコメントというのは、なんとも効果絶大と言うしかない。

 ロンドン警視庁は、事件後たった一週間で、ほぼすべての関係者を割り出し、その足取りをつかんだことになる。あまりにも早すぎるし、あまりにも話ができすぎている。そして、不自然すぎる。そもそも、そんなに優秀なロンドン警視庁なら、爆破を事前に防げたはずだ。ほかにも優秀な諜報機関もある。
 爆破犯は、ロンドン警視庁やMI6よりもはるかに優秀な人材と高度な知識を持った連中だ。そんな組織は、世界にそんなにあるものではない。
 ちょっとパキスタンへ行って軍事訓練を受けたような若者にできる仕事ではない。

 しかし、こちらにはもはや、真相を知るすべはない。

 ひとつ言えることは、これでイギリスは大手を振って「対テロ戦争」を戦えるということだ。あるいはイギリス国民は「対テロ戦争」からもはや抜けられなくなったとも言いかえられる。

 これは、まだまだ序の口だ。
 ブッシュ大統領は、911テロのあと、
「この戦いは、5年で終わるかもしれないし、50年続くかもしれない」
 と発言している。

ロンドン同時爆破事件について②

2005年07月12日 21時29分54秒 | ■対テロ戦争とは
< 「アル・カイーダ」脱走 >

 11日、在アフガニスタン米軍当局は、バグラム空軍基地(カブール北方50km)の収容所から、アラブ「アル・カイーダ」のメンバー四人が脱走したとアナウンスした。四人の国籍は、シリア、サウジ、リビア、クウェート。現在、全力を尽くして捜索中ということだ。四人は、非常に危険な人物であるとも。

 バグラム収容所では「アル・カイーダ」やタリバーン容疑者を収容しているとされている。ということは、グアンタナモ収容所並に、警備が厳重なはずだ。そこから脱走することができるのだろうか。もちろん、バグラム収容所を実際に見たわけではないから、脱走できない、と僕が断言できるわけではない。そういうアナウンスがあったと認識するだけだ。信じる信じないは、別問題だ。

 ただ、ひとつ言えることは、実にタイミングがよい、ということだ。7日にロンドンで衝撃的な爆破事件があり、その数日後にバグラムで、危険な「アル・カイーダ」メンバーが脱走とは。
 そして、当分は、この二つの事件をめぐって世界のメディアには「al-Qaeda」の文字が飛び跳ねることだろう。

< 時限爆弾 >

 アメリカ政府の治安機関は、ロンドンの爆破事件を受けて、「自爆の可能性を排除しない」と発表した。

 ロンドンの爆破事件では、爆破当初から「時限装置」もしくは「携帯電話を使った起爆装置」が使用されたと発表されている。複数地点での爆破が、ほぼ同時刻に発生したからだ。しかし、なぜかアメリカ政府機関は、”自爆”の可能性もあると世界に示唆したいようだ。

”自爆”の場合、ほぼ同時など考えられない。もちろん全員が時計とにらめっこしながらなら可能とはいえるが、そんなことには何の意味もない。自爆の場合、もっとも効果的なタイミングで爆破できるから、そういう手段をとっているのだ。

”自爆”の場合は各自の判断で爆破すればいいが、「時限装置」の場合は、時差は禁物だ。もし仮に、5分おきにセットしたとすると、最初の爆破と最後の爆破では15分の差が出る。最初の爆発の報を受けて、避難が可能となるかもしれない。そうなると、同時爆破の心理的インパクトはほとんどなくなる。
 事件を報じるメディアが、たとえば、こう表記したとする。
「ロンドンで同時爆破テロ、二発は難を逃れる」
 人の心理というのは、とても微妙なものだ。失われた命よりも、救われた命があることに安堵する。そして、犯人に対して、怒りよりも勝利感を持つ。この場合、爆破は「失敗」と言えるだろう。
複数の時限爆弾の場合、絶対失敗しない条件は、同時爆破以外ない。
 ロンドンの同時爆破事件が、”自爆”である可能性は、まずない。
 では、なぜアメリカ政府機関は、わざわざ「自爆の可能性を排除しない」と発表したのだろうか。

 いまや、テロ=自爆=「アル・カイーダ」。
 という固定観念が完璧にできあがっている。
 しかし、今回は、時限装置もしくはモバイル起爆だ。おそらく世界中で、「なぜ自爆ではないのか?」と考えている人は多いはずだ。アメリカ政府の「自爆の可能性を排除しない」という不自然な発言の意図は、犯行はあくまで「アル・カイーダ」である、という印象を強めたいからではないのだろうか。

 爆破事件があるたびに、不可解な事例が出てくる。
 しかし、ひとつ言えることは、ロンドンの爆弾は、少なくとも「命が惜しい人」が計画実行したということだ。

< 平時に戻ろう >

 いまイギリス政府は、ロンドン市民にこう呼びかけている。
「仕事に戻り、普通の生活にもどろう」と。
 同時爆破事件から、まだ一週間も経っていないのに。

 犯人は、まだ特定されてもいないし、自爆で死んだわけでもない。もちろん、逮捕されてもいない。いまだ、ロンドンに潜んでいるかもしれないし、爆薬を貯蔵しているかもしれない。もしかすると、次の攻撃の準備が出来ているかもしれない。様々な可能性が考えられる。本来、市民は十分警戒し、出来る限り外出は避けるべき時期なのだ。
 にもかかわらず、「普通の生活に戻ろう」?
 あまりにも、早すぎはしないだろうか。
 しかし、どこかで聞いた台詞だ。

 911テロのあと、ブッシュ大統領は国民にこう呼びかけた。
「いつまでも悲しんでいては、テロリストの思うつぼだ。さあ、平時に戻ろう」と。

 そんな発言をして、もし次の攻撃が発生したら、大統領弾劾だろう。次の攻撃はないことを確信していなければ、そんな発言はできないのではないだろうか。
 そして、トニー・ブレアー首相も、さらなる攻撃などないことを知っているのかも知れない。

ロンドン同時爆破事件について①

2005年07月11日 21時13分54秒 | ■対テロ戦争とは
 七日、ロンドンで、同時多発的に爆弾が炸裂した。
 そして世界中のメディアには「アル・カイーダ」の文字がおどった
「犯行声明」もインターネット上に掲載されたようだ。
 しかし、インターネット上の犯行声明で「アル・カイーダ」だと断定できるのだろうか。そんなものが何かの証拠になるのだろうか。

 犯行声明を掲載することなど、犯人でなくてもできる。ひとつの爆弾事件に、複数の違った組織から犯行声明が出されることさえある。人の”手柄”を横取りすることもできるし、責任を他者に擦り付けることもできる。
 アフガニスタンで発生している爆破、銃撃、誘拐の三割は、軍閥によるものだという分析がある。しかし、爆破や襲撃があると、所在不明のタリバーンのスポークスマンが衛星電話で犯行声明を伝えるのが、パターン化している。しかし、のちに軍閥の仕業であることが判明した事件はいくつもある。タリバーンは何にでも声明を出すのか、それとも、タリバーン以外の人物が勝手に声明をだしているのか。真相は闇の中だ。

 ロンドンの同時爆破事件では、まだ「アル・カイーダ」だという証拠はどこにもない時点で、世界中のメディアは「アル・カイーダ」だと印象付けるような報道をしている。いったい、何を持って「アル・カイーダ」の犯行だと確信しているのだろうか。

 世界は、「アル・カイーダ」の存在を、揺るぎない事実として受け取っている。その頂点にオサマ・ビン・ラディンという男が立っているということも。しかし、僕は「アル・カイーダ」なる組織が本当に存在するという証拠など、いまだ見たことがない。オサマ・ビン・ラディンがそのリーダーであるという証拠も。不鮮明な映像と音声のビデオなど、証拠にはならない。そんなものいまや高校生でも作れる。

「アル・カイーダ」のメンバーとされる男が逮捕されたという報道はときおり目にするが、以後その男の消息はぱったりと消える。メディアも後追い取材をしない。
 グアンタナモ収容所も、あまりにも内情が秘匿され、我々にはいったい誰が収監され、そこで何が行われているのか皆目わからない。グアンタナモが問題にされるたびに、メディアは、
「アル・カイーダとタリバーンが収監されているグアンタナモ収容所」
 と表記する。
 世界中の人々の脳裏には「アル・カイーダ」の存在が印象付けられる。あるいは、「16名の無実が判明し釈放」と報じられれば、”残りは「アル・カイーダ」である”と世界は思う。収監されている全員が、市民であったとしてもだ。我々には、一切がわからないのだ。

「アル・カイーダ」など存在しないと言っているのではない。存在を証明する”証拠”を見たことがない、と言っているのだ。我々が触れているのは、漠然とした”根拠”にすぎない。決して”証拠”ではない。

 アメリカがイラク戦争に突入する前に、コリン・パウエル国務長官(当時)は、世界をまわり「大量破壊兵器の存在を証明する”証拠”」を持参してまわった。日本にも来た。小泉首相は「(大量破壊兵器が)あると確信した」と述べ、アメリカのイラク攻撃に賛同し、かつ自衛隊をイラクに派遣した。しかし、ご存知のように、現在に至るまでイラクの大量破壊兵器の存在を証明する一片の証拠も出ていない。
 昨年の9月13日に、パウエル長官は「(イラクの大量破壊兵器の)いかなる備蓄も発見されておらず、われわれが発見することはないだろう」と白状した。彼は、最初から大量破壊兵器などないことを知っていたのだ。
 では、小泉首相はいったいどんな”証拠”をパウエル前長官から示されたのか、ぜひ、お聞きしたいものだ。

 要するに、アメリカが”ある”と言ったものは疑ってはいけない。
 アメリカのすることを邪魔してはいけない。
 そういうことなのだ。
 証拠もへったくれもない世界なのだ。

 いま「アル・カイーダ」が、もし存在しないとしたら、あらゆる前提が崩れてしまう。「アル・カイーダ」という組織は存在しなければならないから、存在しているだけではないのだろうか。
「大量破壊兵器」のように。

 ロンドンの爆破事件で、得をするのはいったい誰だろうか。

【ブッシュの罠】

2004年12月11日 23時16分32秒 | ■対テロ戦争とは
今回のアメリカ大統領選挙には、何の興味も持てなかった。
ブッシュ大統領には、石油産業と軍需産業の全面的バックアップがある。まともな選挙戦など最初からするはずがない。ブッシュ・シニアの苦い経験もある。何年もかけて勝つための万策を講じているに決まっている。
メディアは、あたかも大接戦かのような印象を与えていていたが、実に白々しい。

ジョン・ケリーは、電子投票のシステムに問題があることや、投票所での投票妨害の事実を知りながら、あっさり敗北を認め、さっさと舞台からおりてしまった。不正の痕跡があまたあるにもかかわらず、裁判で戦おうとはしなかった。ケリーの行動は、非常に胡散臭い。

そもそも、ケリーとブッシュは、エール大学の結社「Skull and Bones」のご学友だ。ブッシュが二年先輩にあたる。「Skull and Bones」は1832年設立という「由緒正しい」結社のようだ。毎年、15名だけが入会を許される。名門エール大学の中でも、将来アメリカの政治経済を担うであろう人物だけが選抜される。この特殊クラブで、ケリーとブッシュは二年間を共に過ごした。
ジョン・ケリーは、最初から勝つ気などなかったのだ。

しかし、そのように今回の大統領選挙を冷ややかに見ながらも、理解に苦しむことが多々あった。

──身内が暴くブッシュのウソ──

今年3月、前大統領特別顧問リチャード・クラークは、「911同時多発テロ調査委員会」の公聴会で、
「何十回もアルカイーダによるテロ攻撃の危険性があることをホワイトハウスに提言した」
「イラクは、同時多発テロとは何の関係もないと私が証拠を持って説明しても、ブッシュはそれを無視した政策を行った」
と証言した。

クラークは、テロ対策の専門家として、ブッシュ・シニア、クリントン、ブッシュ・ジュニアの下で働いた。ホワイトハウスを去ると、『爆弾証言 すべての敵に向かって』を出版し、ブッシュ政権の内情を暴露した。世界中で話題の書となった。常識的に考えると、この本の内容と公聴会の証言だけでも、大統領選挙を戦うブッシュにとって、勝ち目のないほどの打撃を与えるはずだ。

しかし、これだけではない。

続く4月に、同公聴会では、911テロの1ヶ月前に「航空機を使用したテロの可能性を指摘した報告書」が、ブッシュ大統領に渡されていたことを、ライス補佐官が認めた。

9月13日には、パウエル国務長官が、上院政府活動委員会で、「(イラクの大量破壊兵器の)いかなる備蓄も発見されておらず、われわれが発見することはないだろう」と発言した。イラク開戦の最大の理由を、「大量破壊兵器の存在」と言い続けてきたパウエル長官が、はっきり「なかった」と認めたのだ。

まだある。
10月4日には、外交問題評議会で、ラムズフェルド国防長官は「旧フセイン・イラク政権とアルカイダを結びつける確かな証拠はない」と発言した。ただし同日、「質問を誤解した」として発言を撤回したが。

いみじくも大統領選挙を戦う年に、政権中枢の人間がこぞって、「政府は航空機によるテロを知っていました」、「イラクに大量破壊兵器はありませんでした」、「フセインとアルカイダの関係はありませんでした」と次々と発言したのだ。選挙戦に不利になることを、ブッシュ陣営自らが公言するとは、いったいどういうことなのか。

さらに、アブグレイブ収容所での、「捕虜」や民間人に対する衝撃的な虐待写真が、兵士によって密かにメディアに渡され、世界中を駆け巡った。
(個人的な意見だが、一連の虐待の写真は、非常に不自然だ。メディアに流出させるために意図的に撮られた写真だと確信している)

ついでに言えば、ブッシュ大統領は、マイケル・ムーア監督の「華氏911」の全米上映にもまったく無関心だった。

一連の高官の「暴露」や「発言」や「失言」は、一般的には「ブッシュ政権のボロがでた」というような受け取られ方をした。しかし、パウエルやラムズフェルド、ライスが「ボロ」を出すようなマヌケかどうか、考えなくても分かることだ。

テレビ討論では、アホでマヌケに見えたブッシュだったが、決してアホでもマヌケでもない。大統領選挙に勝つだけなら、いともたやすいことだ。ブッシュは黙っていても勝てる。しかし、今回は単に勝つだけでは十分ではなかった。

──国民にすべての責任を転嫁する罠──

選挙前の一連の発言や「暴露」は、ブッシュ陣営の意図的な作戦だったと考えるべきだろう。

ブッシュ政権一期目は、アメリカ国民は真実を隠蔽され、欺かれたのであり、ブッシュの戦争とその結果に責任を負うべきものではない。大統領の陰謀など知らなかったのだから。

しかし、二期目の今回は、ちがう。
選挙前にほぼすべてを、高官の「発言」や「失言」、「暴露」という形で、国民は知らされたのだ。
要するに、ブッシュ政権は、
”我々は、事実を隠し、国民を欺いて戦争を始めた。アフガニスタンとイラクを不法に攻撃し、占拠した。そして大勢の市民を殺した。そしてこの政策を止める気は毛頭ない”
とアメリカ国民にあらかじめ「宣言」したも同じなのだ。

アメリカ国民は、そう宣言された上で、ブッシュを大統領に選んだ、ということになる。つまり、今後、ブッシュ政権が行うあらゆる犯罪行為に対して、ブッシュを選んだ「アメリカ国民」が責任を負わなければならないことになる。

別に理屈をこねているわけではない。
ブッシュは、大統領選挙に勝っただけでなく、今後彼が行う「人道に対する犯罪」の責任まで、アメリカ国民に押し付けることに成功した。ケリーに投票したことは、何の免責にもならない。ブッシュの大統領就任式を見送った時点で、歴史は、「アメリカ国民」がブッシュとブッシュの政策を「信任」したと記する。

ブッシュの戦争と侵略は、アフガニスタンとイラクで終わるわけではない。今後、中東全体が、血の海になるかもしれない。もはやブッシュには、躊躇する理由は何もない。

アメリカ国民から、侵略や虐殺の信任を得たブッシュは、大統領選挙に勝利した数日後には、ファルージャへの容赦ない攻撃を開始した。町は廃墟と化すほど破壊され、女性も子供も老人も虐殺された。その数はすでに2000と伝えられている。しかし、抵抗軍の捨て身の攻撃に米軍も少なからず死者をだしている。激しい抵抗に恐怖したのか、米軍は女性や子供を戦車に縛り、盾に使っている。僕が知る限り、こんなマネができるのは、アメリカ映画に出てくる架空の悪党だけだ。

イスラム・メディアが伝えるファルージャの惨状は、ベトナム戦争の比ではなくなった。
ブッシュ政権が望むのは、はてしない憎悪の連鎖だ。
テロとの戦いではなく、テロの拡散だ。
ブッシュ二期目は、史上類を見ない暗黒の四年となるのかも知れない。