報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

アジア通貨危機

2007年02月21日 11時11分12秒 | ■時事・評論
外貨準備はアジア諸国で多く、アジアの中央銀行は1.5兆ドルものドル建て資産を持っている(2002年)。莫大な貿易黒字を計上しているアジア諸国は、流入する膨大なドルが自国通貨に対して値下がりし、そうした自国通貨高が自国の輸出にブレーキがかかることを恐れせっせとドルを買い支え、米国の赤字をファイナンスする。それがまた米国に新たな輸入を可能にする。

しかし、そうした通貨当局によるドル買い介入は、国内通貨の過剰発行となり、国内に過剰流動性を発生させる。いきおい国内でバブルが発生し、バブル破裂とともに、金融機関が破綻し、経済危機を引き起こす。

1990年代後半に生じたアジアの通貨危機とはまさにこのことであった。放埓なドルの垂れ流しによって、アジア諸国に過剰流動性を生み出し、バブルをあおり、バブル進行の過程でさんざん儲けた外国の投資家たちが一斉にドルを引き上げたからこそ、アジア通貨は崩壊し、経済が壊滅した。すべて、無責任な米国の通貨当局のせいである。にもかかわらず、米国、IMF、世銀は、アジア諸国のクローニーキャピタリズムのなせる業であるとして、アジア諸国の通貨当局を非難して恥じなかった。
本山美彦著『民営化される戦争』より

※クローニーキャピタリズム(コネ重視型資本主義)
縁故関係者や仲間どうしで国家レベルの経済運営を外国企業や援助と結びつけて行い,権益を独占して富を増やしていくやり方。〔クローニーは仲間の意。アジア経済危機に際し,その根底にあるとしてアメリカのエコノミストなどによっていわれた〕


現在、アメリカ政府は戦費削減と称して、戦争の兵站業務だけでなく、ときには戦闘行為までも民間軍事会社に請け負わせている。戦費削減どころか、実際は、割高で過剰な利益を民間軍事会社に提供している。戦争民営化の市場規模は10兆円とも。ハリバートンやベクテルといった巨大企業がそこで大儲けしている。国際経済学者である著者は、戦争民営化の実態だけでなく、アメリカの経済戦略についても論じている。上記のアジア通貨危機の解説は実に簡明である。

ブログとの二年

2007年02月18日 23時44分39秒 | ■時事・評論
もう、二月も後半。
なんとも月日の経つのが早すぎます。
当分の間、暇になりそうにありません。
来月も同じような感じになるでしょう。
いまだ原稿を書き続けています。
まとまったものを書く時間は、しばらく取れそうにありません。
雑感程度のものになると思います。

昨年9月にブログを休止したとき、”さてブログとはなんぞや”とあらためて考えさせられました。ブログをはじめた頃は、情報の共有が未来を拓くと感じたものです。そして、ブログがそれを可能にするかもしれないと。あれから二年、ブログは急速に普及し、インターネットメディアもいくつもでき、すでに情報は十分共有されてきたように思います。しかし、特に目立つような変化はわれわれのまわりで起きていない。情報の共有は重要ですが、それだけでは十分ではないということなのでしょう。

日本に三十年滞在した元ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン(現アムステルダム大学教授)は、十年ほど前に、日本にはすでに変革の要素は十分そろっていると感じていたようです。国民によって政治的変化がもたらされると。しかし日本は沸騰近くまでは上昇するものの、決して沸点には達しない。あるところで、急に冷めてしまう。その後、ブログの普及やインターネットメディアが、沸点に導くかとも思えましたが、そういう期待もいまではあまり持てそうにありません。

今後、ブログをどう使っていくか、ということも考えることになると思います。
ブログとは別にあらたに何かをはじめようかとも考えているところです。