報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

変わらぬNHKの体質

2005年09月21日 22時04分29秒 | □郵政民営化
20日、NHKは一連の不祥事を受けて、信頼回復に向けた経営改革の「新生プラン」を発表した。

「何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、放送の自主自律を貫く。」
と、最初に謳っているが、そんな建前で視聴者の信頼が回復できると思ってもらっては困る。

そもそも自らの不祥事を受けた「新生プラン」の中に、なぜ【受信料の公平負担】などという項目があるのか。NHKの信頼回復への取組みと受信料とは別の話だ。それをセットにするところに、NHKの見え透いた意図がうかがえる。

要するに、この「新生プラン」の本当の目的は、
「NHKは、信頼回復に向けて”プラン”を出したのだから、視聴者も”受信料”を払え」
ということだろう。

こういうのを大名商売というのではないのだろうか。視聴者不在の単なる建前を並べただけの「新生プラン」で、受信料を払ってもらえると本気で思っているのだろうか。失った信頼の回復とは、そんなにたやすいことではない。かえって受信料不払いが増えるだけではないだろうか。

NHKは、自らの不祥事が不払いを招いたにもかからわず、「民事手続きによる受信料の支払い督促の活用」ということまで謳っている。そしてそれを「受信料の公平負担」などという詭弁で正当化している。

NHKは勝手に電波を飛ばしておいて、契約を強要している。まるで押し売りだ。WOWWOWのように電波に”マスク”をかけることは、技術的には簡単なはずだ。それをすっ飛ばしておいて、受信料不払いを犯罪行為でもあるかのように言うのは、卑劣としか言いようがない。視聴者を恫喝しておいて、信頼回復もないものだ。

おそらく、今回の「新生プラン」の本当の目的は、NHKの念願である”法的措置”の導入にあるのだろう。本末転倒もはなはだしい。

受信料不払いは、着実に増えている。少し前まで117万件であったが、いまは130万件に達している。NHKは、なぜ受信料不払いが増えているのか、その本質に取り組もうともしないで、法的手段に訴えるぞ、と視聴者を恫喝する。NHKの姿勢は、どこかの首相と似ていなくもない。

大衆紙に期待

2005年09月19日 19時51分28秒 | □郵政民営化
世界のクオリティ・マガジンと思われているNewsweek誌。
日本版の最新号の表紙は『ニッポンを変えた男』。
「・・・日本人を本当の改革に目覚めさせた男。・・・歴史は小泉首相をそう評価するはずです。」
この段階で、そんなことが言い切れるのか。単なる媚びへつらいにしか思えないのだが。アメリカの意向を忠実に実行しようとしている小泉首相を、闇雲に持ち上げているだけの、米国系マガジンとしか言いようがない。クオリティとはあまりにも程遠い。

新聞をはじめ、権威を振りかざしてきたマスメディアはふたを開けてみれば、信念もなく、ただ権威にへつらうだけの存在であることを露呈した。それに比べ、大衆紙と言われるものの方が、よほど気概も根性もあるように思える。




週間ポスト




互いに理解し合うこと

2005年09月15日 17時16分37秒 | □郵政民営化
この数日間、日本人は混乱していた。もちろん、僕もそうだ。みな、何が起こったのかを理解するのに必死だったのだと思う。その証拠に、この数日間は当ブログへのアクセスが急増した。他のブログも同じなのではないだろうか。多くの人がブログを駆け巡っていたことが察せられる。僕も駆け巡った。たった数日間だが、この間に得たものはとても大きいと思う。

表面的には、自民党の圧勝という形で選挙は幕を閉じたが、実際の有権者の投票行動自体は、極端なものではなかった。投票数には、それほど極端な差はなかった。いわば、二分する形だ。議席数の多さに幻惑されたが、有権者の投票行動はごく健康的なものだったといえる。議論が分かれるのは、ごく自然なことだ。それが議席数に反映されなかったのは、小選挙区と比例代表の併設という選挙区制の問題だった。

考え方や方向性が違っても、少しでも日本と日本人の生活を良くしたいという気持ちは皆同じだ。真剣に物事を考えれば、意見が分かれるのは人間の普通の営みだと思っている。特に今回は非常に重要な案件だっただけになおさらだ。選挙が近づくにつれ、ブログ界でも議論は沸騰した。だからこそ結果は、ほぼ二つに分かれたということなのだと思う。

ブログを見渡してみると、今回、マスメディアに対して、両陣営ともが批判していることは特筆に価する。メディアは、信頼にたる機関ではないことを双方が感じている。メディアが信用できなければ、自分自身を信じて行動するしかない。誰もが、メディアに依らず自分自身で真実のよりどころを求めたということになる。インターネットというものが、それぞれの考えの熟成に大きな効用があったのではないだろうか。とりわけブログの存在は大きかったと思っている。

いま、我々に必要なのは、我々が求めているものは、同じだということを理解することではないだろうか。日本を良くしたいという気持ちはみな同じなのだから。相手を支配したいと思っている人はいないはずだ。相手の富を奪いたいと思っている人もいないはずだ。誰もが、少しでも安心して住める日本にしたいと思っているはずだ。

意見は分かれても、我々の志は同じだということを、互いに理解し合うことが、いまもっとも必要な時期ではないだろうか。

ブログのよりよき発展をこころから願いつつ。

いま、何が必要か

2005年09月14日 01時26分40秒 | □郵政民営化
いま、我々が陥ってはいけないことは、落胆したり、諦めたりすることだ。それは、”知的衰弱”どころか”思考停止”を意味する。

今回の事態が、日本人の”知的衰弱”の結果だとしても、投票総数の半分の有権者は、政府とマスメディアの情報操作に惑わされなかったのだ。”民は愚かに保て”というのが国家統治の大前提だ。しかし我々は、そうした愚民政策に足をとられなかった。そうした国民が何千万人もいるのだ。まだまだこのままでは終わらないと感じる。これからも眼を見開いて、日本と世界の現実を冷静に見つめ続けよう。ただし、それが一番難しい。


かつて、ベトナム戦争を終わらせたのは、世界の反戦の声だった。世界中で反戦という”戦い”が展開された。日本でも、同様だった。でも、それが日本や世界に何を残しただろうか。何もない。もし、それが何かを後に残すようなものだったら、湾岸戦争やアフガニスタン戦争、イラク戦争もなかったはずだ。

世界はなぜベトナムと同じ愚を、この21世紀に許したのか。確かに世界のベトナム反戦運動は、ベトナム戦争を終わらせた。しかし、反戦活動家は、以後何をしただろうか。何もしていない。後に”ミーイズム(個人主義)”と呼ばれる現象をおこしただけだ。政治に無関心になり、自分の殻の中に閉じこもり、自分の幸せだけを追求した。国家への不信や厭戦気運は、ただの思考停止へと変わってしまった。この思考停止が、後の湾岸戦争を可能にした。

湾岸戦争の勝利式典で、シュワルツコフ将軍は、「われわれは、ついにベトナムの悪夢を払拭した!」と高らかに宣言した。それは、戦争を可能にする環境が、再び誕生したことを祝福する宣言だった。ベトナム戦争による厭戦気運が、ミーイズムという思考停止を経て、国家への警戒心の欠如にいたり、そして、いまのイラク戦争がある。ベトナム反戦運動の巨大な渦は、何の教訓も残さなかった。結局、”戦い”には、知性は必要なく、知性を育むこともなかった。ミーイズムという居心地の良い思考停止を生んだだけだ。


これから我々の目の前で、最低の歴史が展開される。見たくもない、聞きたくもない、語りたくもない歴史が。ただ、それを避けて通ることはいとも簡単だ。ミーイズムを受け入れればいいのだ。居心地の良い楽園が待っている。それは、セルフ・マインド・コントロールとも言うべきものかもしれない。だったら最初からマインド・コントロールを受け入れればいいのだ。

我々には到底受け入れがたい歴史がこれから始まる。しかし、眼を見開いて見つめ続けよう。我々はけっして、落胆や諦めという思考停止に陥ってはいけない。安直な”戦い”など試みてもいけない。それこそ、思う壺だ。いままで同様、冷静なこころと眼で、日本と世界の現実を見つめ続けよう。ただし、それが最も困難で苦しい作業なのだ。

裏切られる改革への渇望

2005年09月12日 23時10分31秒 | □郵政民営化
今回の小泉戦略とは、プチ・マインド・コントロールだったのかなと思う。わかり易く、短いセンテンスを、とにかく繰り返す。内容そのものはない。ない方がいいのだ。しかし、センテンスを連呼するだけで、民衆をコントロールすることなどできない。一定の前提がなければならない。その前提があったということだ。

僕は常々、日本人は極度のフラストレーション状態にあると感じている。海外では、貧しくとも、のんびりした大らかな空気に包まれ、とても居心地よく感じる。でも、日本に帰ってくると、豊かなのに、何か日本人はいつも不満を抱いているように感じる。この十数年来、常にそう感じてきた。数字では、世界一豊かなはずなのに、まったく豊かさ感がない国。犯罪は増加し、凶悪化、低年齢化している。海外の犯罪は単純明快だ。貧しくて食べられない、だから盗る。日本の犯罪には、ときおり理由の解らない不気味さを感じる。日本全体にドロドロとした不満の塊があるように感じる。

そんな状況の中で、日本人は、何かを変えたいと感じているのだと思う。何でもいいから、少しでもいいから、この窒息しそうな日本を変えて欲しい。変革を実感したいという渇望が、冷静な判断を阻害している。それを”知的衰弱”と言ってもいいのかもしれない。

そんな日本人に、小泉首相は、改革、改革とバカに見えるほど連呼した。中身がないから連呼するだけと思ったのは、浅はかだった。今になって思えば、計画的な戦略だったと感じる。たまたま思いついたのではない。どこかの学者か専門家が分析し戦略を立てたのかもしれない。本人もマスメディアもびっくりするほどの効果を発揮してしまった。選挙区制のマジックもあるが。

加えて、民主党の戦略のなさも追い風だった。民主党は、政権を獲りたいという、はしたないエゴを隠そうとしなかった。これは日本人には受けない。

小泉自民は、ぐつぐつと沸騰する日本人の変革への渇望を実にうまく利用したと言える。しかし、変革への渇望は、言うまでもなく満たされることはない。これから、どんどん悪くなるのだから。煮えたぎる渇望が裏切られたと知ったとき、日本人はどういう反応をするのだろうか。

小泉首相は、大勝利にもかかわらず来年9月の任期で辞めると宣言している。いずれ自身にふりかかる国民の非難を理解しているのか。保身には抜かりのない男だ。

自民、歴史的圧勝がもたらすもの

2005年09月12日 01時15分50秒 | □郵政民営化
「郵政民営化」の危険性について警鐘をならしてきた多くの人が、国民はこの4年で、小泉改革の何たるかを理解している、と判断していた。選挙において国民は適切な判断を下すはずだ、と。たとえマスメディアの力によって勝つにしても、圧勝はないと見ていた。ところが結果は、小泉大応援をしてきたマスメディアも予想しなかった圧勝だ。誰もが驚く結果だ。もちろん、僕もだ。

しかし、こうした事態を早くから、現代日本人の精神的特性から、予測していた人もいる(引用の引用で申し訳ないが、時間がないので許していただきたい)。

──「彼の二項対立は実に分かりやすく、『小泉=改革=善』対『抵抗勢力=旧守=悪』という『善対悪』の価値評価の図式は、今も暗黙のうちに人々に影響を及ぼしている。これは、小泉首相のレトリックの力にもよるだろうが、一方で、日本社会の側に、複雑な思考に堪ええなくなっており、ひたすら『わかりやすさ』を求めているという知的衰弱があるのではないか。昔は、あまりにも単純なスローガンに対しては、もっと意地の悪い猜疑の目が向けられていたように思うのだが。『誘導されやすさ』が現代人の最も顕著な精神的特徴となっているのではあるまいか」──
(『世界』九月号、「小泉支持率にみる知的衰弱」一九七頁。八幡洋:八幡心理教育研究所所長、臨床心理士、作家)

この分析の正しさを、ある程度認めざるを得ない。日本人は疑うことを止め、この4年間で日本がどうなったかさえ理解できていない。マイケル・ムーア監督は、自国民を”Stupid White Men”と揶揄したが、日本人は”知的衰弱国民”と呼ばなければならないのか。

今回の結果を受けて、小泉首相は今まで以上に、爆走することになるだろう。それが意味するものは、アメリカの財政赤字と戦争、減税のファイナンス以外の何ものでもない。アメリカのイラク戦争の戦費は、現在137兆2000億円。最終的には、300兆円に達するとも予想されている。アメリカの財政はとっくの昔に破綻している。この戦費を自国で賄うことはできない。外国にファイナンスしてもらわなければならない。これだけの巨費をファイナンスできるのは、日本以外にない。ブッシュ政権は、日本のお金を当てにして、アフガニスタンとイラクを侵略し、大勢の市民を殺戮してきた。これで、アメリカの軍事力と日本の金融資産が合体することになる。

今回、日本国民はとんでもない選択をしたことになる。
自分たちの生活を犠牲にして、アメリカの戦争を支え、アメリカの金持ちの生活に奉仕するのだから。

マスメディアは、そのことを知った上で小泉自民を大応援した。今回の、”ありえない歴史的圧勝”は、政府とマスメディアの常軌を逸した連合が起こしたものだ。マスメディアは、やってはならないことを、やってしまった。これは、国民への裏切り行為だ。いずれ引き起こされる結果に、政府もマスメディアも責任を負わなくてはならない。そういう意味で、小泉首相もマスメディアも、大きなミスを犯してしまった。これだけ露骨なことをして、あとから咎めがないと思ったら大間違いだ。小泉首相は、来年9月にさっさと逃げるつもりでいるようだが。

日本国民は、自分たちが信任した小泉改革の正体を、いずれ身を持って思い知らされることになる。今後、国民生活が良くなることは絶対にない。いくら”知的衰弱”といわれても、生活が苦しくなる一方なら嫌でも眼を覚ます日が来る。ブッシュを信任した”Stupid White Men”もいま、ブッシュにNOの声を上げ始めている。

当選した方からも一言。
「明日は、たいへんなことになりますよ」亀井静香氏
「(自民に票を投じた有権者は)あとから、”しまった!”と思うのじゃないかしら」田中真紀子氏

土壇場

2005年09月10日 08時32分23秒 | □郵政民営化
これまで、「郵政民営化」に関して、いろいろなサイトを参考にしてきた。一部はリンクしてあるが、リンクしていないものもある。リンクしていないものは、たいへん参考にはなるのだが、最終的にどういう人物かよくわからないので、人様に紹介して問題がないだろうかと若干の不安があった。

そういう参考サイトのひとつが、最新の更新で、遠まわしだが「投票は小泉自民しかない」という意味以外に受け取りようのない内容だった。それまでは、『郵政民営化法案はアメリカの国益のためのアメリカの法案である』『世界一安全な日本経済、国民の貯金箱、世界一安心な保険をアメリカのために崩壊させていいのか』と明言していた。

ただ、この方は「郵政民営化」反対ではなかった。
『私の見解は「特に持株会社に4社株放出後一定の買戻し権を持たせる」ことを条件に郵政民営化賛成である。』『貯金会社と(簡易)保険会社が外資のM&Aに対抗できるよう持株会社の4社株買戻し権だけは温存すべきである。』
という条件付での賛成だった。

その考え自体は、たいへん理にかなったもので、間違ってはいない。しかし、小泉首相は、そうした法案修正など口にしていないのに、なぜ小泉自民への投票呼びかけになるのだろうか。別にこの方を非難するつもりは毛頭ない。深い考えあってのことなのだろう。相当頭の切れる人であることは間違いない。投資の世界ではかなり名の知れた人のようだ。肩書きは、国際金融アナリスト。政財界に幅広い人脈もありそうだ。サイトの読者は100万とおっしゃっている。だとすると、発言の影響力はかなり大きい。

この方の書くものは、多少用心して読んではいたが、国際情勢の分析はユニークで、おもしろい。あまりの強気の発言に、そこまで言い切って、もし外れたらどうするのかな、と心配したりもした。そう思いながらも、たいへん参考にさせてもらった。そもそも国際情勢など流動的で本来予測できるものではない。それを言い切る気風のよさがなかなか豪快で好きだった。

投票をまじかに控え、各方面にはかなりの圧力がかかっているに違いない。たとえばサイトをリンクしている森田実氏は、テレビ出演がほとんどなくなったようだ。経済的には大打撃に違いない。選挙後も同じ状況が続くだろう。それでも筆法は衰えない。ちょっとハラハラする表現もあるくらいだ。

最新のニュースでは、「郵政民営化」に反対票を投じた自民の参院議員二人が賛成に転じるようだ。棄権・欠席の8人もほぼ賛成にまわる。反対派参院議員からあと3人が賛成に転じれば、小泉首相は郵政法案を成立させることができる。小泉首相の恫喝もこれから本格的になるだろう。

土壇場になってみないと、人間とはわからない。
そういう意味では、いろいろなものの真価がはっきり見える好機なのかもしれない。

訂正とお詫び

2005年08月31日 00時52分07秒 | □郵政民営化
8月29日の記事『郵政事業に税金は使われていない』にいただいたコメントへの返信の中で、「国庫に毎年何千億円も納入しています。」という記述をいたしましたが、事実に反する記述でありましたので、訂正とともにお詫びさせていただきます。

郵政事業の利益の50%は国庫に納入するという規定になっていますが、郵政公社設立以来、まだ納入されておりませんでした。郵政公社の自己資本の積み立てが7兆円に達するまでは、納入を免除されております。詳しくは、下記資料をご覧ください。

規定と利益額だけを見て、納入の事実確認をせず記述した僕の完全な過ちでした。謹んでお詫び申し上げます。
また、丁寧なご指摘をいただきましたまゆこさんには、こころからお礼を申し上げます。

下記資料も、まゆこさんからいただきました。
重ねてお礼申し上げます。


生田総裁講演模様
平成16年8月27日(金)14:00~  於:日本プレスセンター
(自己資本不足)
 自己資本の方は、10兆円ないしは、10数兆円でスタートすべきものだったのだろうと思いますが、国家の財政も厳しいということで、約1兆3千億円でスタートしています。その代わり、7兆円までは、利益を上げれば、それを自己資本に積み増ししなさい、その間、事業税、法人税等は免じますということになっています。すなわち嫁にやるのに持参金は持たせない代わりに、仕送りはいらないので利益が出たらそれを持参金代わりにしなさいと言われているということです。
 それで、7兆円を超えたら、50%は国庫に納付しなさいということになっているわけでありまして、今回出ました利益はすべて自己資本に積ませていただきまして、平成15年度末で4兆6千億円ぐらいの自己資本になったわけですけれども、民間から比べますと、まだまだこれでは足りないので、早く、できれば7兆円までいきたいという感じであります。

(見えない国民負担??)
 この辺の仕組みを民営化の準備室の方は、「見えない国民負担」ということで、1家庭、2万何千円か損したようなことをお書きになって、いかにも税金で公社が賄われているように、国民の世論をリードしようとする感じがないわけではないのですが、それは誠に事実に反しているわけであります。
 本来、頂くべき資本金がないのを自分で7兆円まで作りなさいというプロセスの過程にあります。逆に7兆円を超えると50%を国庫納付するわけです。一般企業の法人税率40%より、まだ10%実行税率が高いわけですから、「見えない国民負担」で国民が養ってあげているというようにお考えいただくのは、いかがなものかなと思うわけであります。また、そうやって出てきた利益というものは、資本としてバランスシート上、きちっと積まれるわけですから、まさに国民に良く見える、国民の財産として積んでいるわけですから、できるだけマスコミの方々も事態を正確に見ていただいて、正確な報道をしていただきたいと思います。

http://www.japanpost.jp/interview/kouen0827.html

郵政事業に税金は使われていない

2005年08月29日 15時37分34秒 | □郵政民営化
「郵政民営化」に関する議論の中で「民営化されれば、税金から支払われている26万人の郵政職員の給与が節約できる。それだけでも多大な税金の節約になる」という意見がある。しかし、僕の古い記憶では、郵政職員の給与には税金は使われていない。あらためて調べてみた。

その結果、僕の記憶に間違いなかった。
郵政職員26万人の給与には、一銭の税金も使われてこなかった。
なぜなら、郵政事業というのは「独立採算制」をとっているからだ。独立採算制とは、「独立して自己の収支で採算をとるようにする制度」である。郵政事業というのは、公的組織でありながら、民間企業のように運営されてきた。郵政事業の独立採算制は法律で規定されている。

日本郵政公社法
http://www.ron.gr.jp/law/law/yusei_ko.htm

郵政職員の給与のみならず、郵政事業そのものが、すべて自前で運営されているのだ。したがって郵政事業に、税金はいっさい使われていない。これは、竹中大臣も国会で認めている。

衆院予算委員会 2005年2月4日
塩川議員:
『郵政民営化によって、国家公務員全体の三割を占める郵政職員を民間人にする、「小さな政府」をつくるといいますけれども、そもそもいま、郵政公社に直接税金が投入されているんでしょうか。』
竹中担当相:
『直接投入されている税金、そういうものはないと承知しています。』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-02-05/02_02.html

郵政省の時代から今日にいたるまで、郵政事業に税金は投入されていない(戦後まもない時期は使われていたようだが)。郵政事業は、独立採算制の下、常に黒字運営してきた優秀な組織と言える。巨額の税金が投入されていた旧国鉄と同列に論じるべきではない。

税金を使っていない郵政事業を民営化しても、一銭の税金の節約にもならない。

高速道路二人乗り解禁も、アメリカの要求

2005年08月25日 21時30分53秒 | □郵政民営化
ここのところ、規制改革や市場開放に関する米政府の公式文書ばかりを読み続けて、少し疲れたので、たまには軽い話題でも。

今年の4月1日から、高速道路での自動二輪の二人乗りが解禁となったが、これも、アメリカ政府からの正式な規制改革要求のひとつだったことがわかった。「郵政民営化」にくらべれば、どうでもいい話題だが、こんなところまで、アメリカ政府が要求していることに、少なからず呆れてしまう。

文面から察するところ、アメリカ政府は、日本の高速道路での二人乗り禁止のせいで、ハーレーのような米国製大型バイクが売れないのだ、と分析したようだ。この規制を撤廃させればハーレーが売れるとアメリカ政府、業界は考えたのだろう。”風が吹けば桶屋が儲かる”式の発想のように思えなくもない。99年に要求を出し、5年後の今年、ようやく実現させた。
さて、ハーレー・ダビッドソンは売れるのだろうか。

以下、アメリカ大使館のサイトから全文を掲載。


米国政府、自動二輪2人乗り禁止規則の撤廃を要求
1999年11日29日

 日本経済にさらなる規制緩和・撤廃をもたらすための努力の一貫として、米国政府の代表者は11月24日、日本の高速自動車道での自動二輪2人乗り禁止規則の撤廃を求めて、市場開放問題苦情処理(OTO)推進会議で証言を行った。

 ウィリアム・H・デイリー商務長官は、「この時代遅れで不必要な規制の撤廃は、重要な市場障壁を取り除き、米国の輸出と産業に利益をもたらす」と述べた。長官はまた、「高速自動車道での同乗者を乗せての自動二輪の走行は、現在認められている一般道での走行より安全であり、それを認めることにより、日本における自動二輪の安全性が高まる」と述べた。

 米国商務省および在日米国大使館の担当者が、ハーレーダビッドソン ジャパン、日本の自動二輪のライダー、ならびに安全調査グループであるダイナミック・リサーチ社の代表者とともに、OTO推進会議で米国の要求について証言した。証言は、1999年6月に米国政府がOTOに提出した請願書を支持するものであり、請願書では、その禁止規則の撤廃は日本の国産ならびに輸入の自動二輪産業に利益をもたらし、日本における自動二輪の走行をより便利でより安全にするものであると述べている。日本の警察庁は規則の廃止に反対する証言を行った。日本の研究者や産業界の指導者からなるOTO推進会議は、この問題についての勧告を今年中に出すと思われる。

 米国の請願を支持する日本自動車工業会、日本自動二輪工業会、欧州自動車工業会ならびにヨーロッパの国々の政府代表も公聴会に出席した。57万人以上の日本の自動二輪愛好者が2人乗り禁止の撤廃を支持する請願書にサインをした。また、米国やヨーロッパの自動二輪安全グループ、ライダー協会、そして業界団体が、この制限の撤廃に公に賛成している。

 日本の高速自動車道での2人乗り禁止は、1965年の道路交通法の改正により制定された。このような制限をしている国は、世界中で他にない。世界規模の交通事故データの分析に基づいたダイナミック・リサーチ社の1998年の調査によると、高速道路での自動二輪の事故は一般道路に比べて少なく、死亡率も低く、また、2人乗りの自動二輪は1人乗りよりも事故に巻き込まれることが少ないということがわかった。この調査ではまた、同乗者を乗せた自動二輪は1人乗りよりも高速スピードでは安定することがわかった。調査結果は、2人乗り禁止の撤廃は、日本における自動二輪の安全性を高めると結論づけた。

問い合せ先: 在日米国大使館 上席商務官 リック・ディレンバート(03)3224-5088
99-82RJ
November 29, 1999


http://japan.usembassy.gov/txts/wwwt2259.txt

金融自殺への道「郵政民営化」

2005年08月19日 21時16分25秒 | □郵政民営化
「郵政民営化」は「郵政民営化」ばかりを一生懸命に勉強しても、その本当の本質は見えない。
なぜなら、情報が制限されているからだ。
与えられた情報だけでものを考えれば、「郵政民営化」はすばらしいという結論が出るようになっている。
だから、賛成する人々は、反対する人が存在すること自体が理解できない。
こんなにいいことづくめの改革に、なぜ反対するのか?、と。

「郵政民営化」の本質は、日米の経済関係の中にある。
日本は、アメリカの巨額の財政赤字、経常収支赤字を常に埋め合わせてきた。
そのため、「日本はアメリカのATMだ」とさえ揶揄されている。

1996年、橋本内閣は、グローバリゼーションという錦の旗を振りかざすクリントン政権の圧力に屈し、「金融改革」を断行した。いわゆる「金融ビッグバン」だ。

しかし、「金融ビッグバン」の結果、何が起こっただろうか。
外国資本による、日本の金融機関の食い荒らしだ。
バブル崩壊でフラフラの金融機関に対して、不良債権処理やBIS規制(銀行の自己資本率8%規制)を強制すれば、破綻するのは目に見えている。日本の金融機関を破綻させて、安く買い叩くのがクリントン政権の目的だった。

98年に破綻した旧日本長期信用銀行(現新生銀行)は国有化され、7兆円もの公的資金を注入して再生された。そして2000年に、10億円でリップルウッド・ホールディングス(米投資ファンド)に売却された。新生銀行は、2004年2月に株式を上場し、株の35%を売却して、1178億円の儲けをだした。数字の間違いではない。10億円で買った銀行から1178億円の利益をだしたのだ。残りの株を売却すれば、さらに7000億円の利益が出ると見積もられている。7兆円もの公的資金を投入した銀行から、外国資本が(一部日本資本も参加)、巨額の利益を得ているのだ。

現在、日本の金融機関(銀行、証券、保険)には、無数の外国資本が群がっている。
外国資本による買収もしくは影響下にある金融機関をざっとあげてみる。

新生銀行(旧日本長期信用銀行)→リップルウッドHD
あおぞら銀行(旧日債銀)→サーベラス
東京スター銀行(旧東京相和銀行)→ローン・スター
幸福銀行→WLロス・アンド・カンパニー
UFJホールディングス→メリル・リンチ
りそな銀行→外国資本多数参加
三井信託銀行→ソシエテ・ジェネラルと業務提携
三井住友FG→ゴールドマン・サックス証券に優先株を発行

メリルリンチ日本証券(旧山一證券)→メリル・リンチ
ソシエテジェネラル・アセットマネジメント(旧山一投資顧問、旧りそなアセットマネジメント )→ソシエテ・ジェネラル
日興ソロモン・スミス・バーニ証券(旧日興證券)→ソロモン・スミス・バーニ証券

東邦生命→GEキャピタル
共栄生命系→ジブラルタル生命
あおば生命保険(旧日産生命)→プルデンシャル

探せばいくらでもでてくる。
「金融ビッグバン」によって、日本の金融機関は、外国資本の「草刈場」と化したとさえ表現されている。

『大蔵省(現財務省)は米国の言うことをそのまま行動に移しているに過ぎない。米国が望むことは、日本経済を良くすることではなく米国人の利益を最大限に増やすことなのである。』
米国人のビル・トッテン氏は、98年に「金融ビッグバン」の危険性を日本人に訴えている。
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/rinen/totten/ow_text.php?A=1&B=143

日本の金融機関を食い荒らしてきた国際金融資本が、最後に狙っているのが、世界最大の貯蓄機関である郵貯・簡保の350兆円だ。この巨額の富を「草刈場」に投げ込んでいいのだろうか。

日本の貯蓄資産が海外に流出しても、我々が生きている間には、影響はないかもしれない。しかし、次世代以降に何が起こるかは、計り知れない。次世代の日本人が手にしているのは、単なる数字だけかもしれない。数字は巨額だが、日本国内には、公共投資や設備投資にまわすお金がいっさいない、ということも起こりえる。
「郵政民営化」は金融自殺に等しい。

「郵政民営化」とメディア(9)

2005年08月13日 16時44分20秒 | □郵政民営化


http://news.ft.com/cms/s/ae844de4-0834-11da-97a6-00000e2511c8.html

 8月8日、FINANCIAL TIMES.COMがこのような報を出していたようです。
 上段の最後の行に、
”The global finance industry will have to wait a little longer to get its hands on that $3,000bn of Japanese savings. ”
「国際金融業は、3兆ドルの日本の預貯金を手にするのに、もうほんの少しだけ待たなければならない」
 とある。
 
 まるで天気予報のようだ。
 ちょっと曇りましたが、すぐ晴れます。傘は必要ありません。
 そんな感じだ。
 我々の350兆円だ。

 米国メディアは、国際金融資本が、郵貯・簡保の350兆円を手にするのは、一点の曇りもない既成事実であると確信していることがうかがえる。
 当の国際金融資本は言うに及ばないだろう。
 海の向こうでは、こんな記事が平然と書かれている。

「郵政民営化」とメディア(8)

2005年08月10日 00時16分48秒 | □郵政民営化
<メディアによる小泉大応援合戦>

これから、911の選挙にむけてメディアの小泉純一郎大応援合戦がはじまりそうだ。いや、すでにはじまっているか。今後、ますますメディアの応援はエスカレートしていくだろう。しかし、小泉自民党は負ける、と僕は予想している。

小泉氏は、単なるパフォーマーにすぎない。中身は何もない。「小泉死して語録を残す」程度のものしか、日本政界史に残さないだろう。小泉語録は、冷静に見れば、国民をバカにしたものでしかない。国会で、自身の年金問題を追及されたとき、「人生いろいろ。会社もいろいろ。社員もいろいろ」と答弁した。たいした国家元首である。こんな言葉に喝采をおくり、批判もしないメディアも国民をバカしている。確かに、小泉氏は一流のパフォーマーだ。国民の眉目を引くツボを心得ている。ある意味では、中身がないから、パフォーマンスで誤魔化すしかないのだ。

「小さな政府」「官から民へ」「改革には痛みをともなう」と聞こえのいいことばかりを言っているが、それは単なるスローガンにすぎない。小泉氏は将来に対する現実的な展望は一切示していない。漠然と、良くなるというイメージを与えているにすぎない。国民は、何を目標に我慢すればいいのかわからない。我慢は現実的な目標があってはじめてできるものだ。

世界中の開発途上国のひとびとは、「改革には痛みをともなう」という言葉を聞かされ続けてきた。しかし、彼らの生活がよくなった例を知らない。「小さな政府」=緊縮財政、「官から民へ」=民営化についても同じだ。それを実行した国の国民生活が向上した例を知らない。”民営化に成功例なし”と言いきる人もいる。

小泉政権になってから、日本はどうなったかを見れば、小泉改革の実態が露呈する。小泉政権のこの4年ちょっと、日本国民の生活はまったく向上していない。増税、福祉予算カット、失業率の増加、地方の切捨て・・・。明らかに生活は苦しくなっている。そして将来に対する期待感もない。その反面、小泉政権は2003年には約30兆円もの巨費を為替市場に投入している。アメリカの赤字を支えるためだ。

何のビジョンもなく、国民にただ我慢だけを押し付けるパフォーマー小泉氏を、それでも支持しようという人が体勢を占めるとは、到底考えられない。特に、小泉政権によって、とことん痛めつけられてきた金融機関、中小企業、そして地方自治体が小泉自民党を支持することはないだろう。メディアがその総力をもって、小泉氏を応援し、除名自民党議員と民主党を袋叩きにしたところで、国民の生活が良くなるわけではない。

この総選挙で、マスメディアとアメリカ政府の強力なバックアップを得られるとしても、やはり小泉氏には勝ち目はない。小泉氏とマスメディアにできることは、中身のないパフォーマンスを繰り返すことだけだ。いつまでも通用する手口ではない。あくまで投票するのは日本国民だ。メディアでもなければ、アメリカ政府でもない。そこのところを、小泉氏は理解していない。

「郵政民営化」とメディア(7)

2005年08月08日 16時51分14秒 | □郵政民営化
<「郵政民営化」法案 否決>

参院本会議「郵政民営化」法案決議。
自民党議員から投票は始まった。積み上げられていく白票(賛成票)。青票(反対票)を手にする自民党議員はそれほど多くないように見えた。自民党議員が投票を終えるころには、青票も少し積まれたが、何票あるかはよくわからない。公明党は全員白票。野党は全員青票。淡々と投票は進んだが、個人的にはちょっとしたスペクタクルを見る思いだった。結果は。

賛成:108
反対:125

17票差で、「郵政民営化」法案は否決された。予想外の大差だ。
自民党から22人の反対票が投じられた。投票の前に、議場を出る自民党議員もちらほらいた。欠席・棄権した自民党議員は8名。

裁決後、国会はただちに閉会。竹中平蔵郵政民営化担当大臣は、無表情だった。小泉純一郎首相は、衆議院を解散し、総選挙に入る意向を示した。野党は、受けて立つと表明。CNNは「日本の政治が劇的に変わるだろう」と速報を出した。

小泉首相は、衆院で反対票、欠席・棄権した51名の自民党議員を公認しない。この51名は、新党を結成して選挙を戦うだろう。小泉首相は、この51名に合わせて、にわか公認候補を立てることになる。しかし、小泉首相は選挙で勝てる気でいるとは思えない。公明党は、解散・総選挙を避けたい意向だ。負けが見えているからだろう。解散・総選挙は、小泉首相の断末魔の悪あがきでしかない。来年秋には、自民党総裁の任期も切れる。どうころんでも、彼は終わった。おそらく、アメリカからも捨てられるだろう。竹中平蔵氏もアメリカに錦を飾れなくなった。ウォール街も、否決のニュースに落胆していることだろう。

「郵政民営化」法案が否決されたからといって、安心はしていられない。大きな流れが変わったわけではない。日米関係の、富の移転の構造そのものは変わっていない。「構造改革」が必要なことは事実である。輸出主導という日本の経済構造は、アメリカにモノを買ってもらわないと成り立たない。この構造がある限り、日本は永遠に富を奪われ続ける。小泉首相の「構造改革」は、日本の富を効率よくアメリカに移転するための改革でしかない。その本丸「郵政民営化」法案が自民党自身の手によって、潰されたことは歴史的出来事であると言える。

真の構造改革とは、日本の輸出主導という経済構造を改革すること以外にない。

「郵政民営化」とメディア(6)

2005年08月07日 21時58分21秒 | □郵政民営化
明日、参院本会議で「郵政民営化」の採決が行われる。
どういう結果が出るかは、まったく分からない。
メディアは、「政局」報道ばかりに終始し、国民から「郵政民営化」問題の本質を遠ざけ続けている。

マスメディアは、はじめに「郵政民営化」ありきで、最初から最後まで、「郵政民営化」の本質に触れることを避けてきた。そして反対派を断罪することに終始してきた。メディアが検事と判事の役割を演じてきた。メディアが勝手に物事の判断をするべきではない。メディアの役割とは、あくまで国民に広範で正確な情報を提供することにある。判断を下すのは国民だ。

第二次大戦時、メディアがどのような役割を果たし、その結果どうなったか。小泉政権の「応援団」と化したメディアは、歴史から何も学んでいないようだ。60年後の現在、メディアは同じ愚を平気で犯している。このような、メディアは早く歴史から去るべきだろう。営利団体であるメディアは、所詮権力の従者にすぎない。これからは、市民自らが正確な情報を発信し、広げていく時代にならなければならない。

もはや、マスメディアの本質は、十分に露呈した。もちろん、どこの国でも事情は同じことだ。日本だけの現象ではない。911報道を振り返って、CNNの記者は「自国が攻撃されている時に、公正な報道などできない」と言い切った。戦時下では、政府に迎合した誤った報道をしてもいいということらしい。まさに「大本営発表」の世界だ。メディアというのは、結局のところそういうものなのだ。平時には、公正中立、不偏不党などと言っているが、お家の大事となれば、そういう建前はかなぐり捨てて、権力の従者になる。それが、世界のメディアの本質だ。

イラク報道で良質の報道を続けていたアル・ジャジーラのバクダッド支局には、米軍機により誘導爆弾が投下された。一人の特派員が命を落とした。BBCは国営放送でありながら、英国政府のイラク参戦へのまやかしを暴いた。その結果、英国政府にその信念を叩き潰された。アル・ジャジーラとBBCは健闘したと思う。しかし、既製メディアには、やはり限界がある。国家から、独立した中立で不可侵なメディアはない。国営であれ、民営であれ、国家の呪縛からは逃れられない。英国は、ほとんどアメリカの「属国」状態であり、その英国の国営放送局がアメリカのイラク政策を阻害するような報道は許されない、ということだ。

日本はどうだろうか。「大量破壊兵器」の存在を確信したとしてイラク派兵を強行し、またアメリカ政府の「年次改革要望書」を忠実に実行している小泉首相や竹中大臣は、アメリカ政府の「パペット」でしかない。日本のメディアも、そんなことは当然知っている。同時に、この二人に逆らうことは、アメリカに逆らうことであることも理解している。つまり、アル・ジャジーラとBBCと同じ運命が待っているということだ。しかし、アル・ジャジーラとBBCは、刀折れ矢尽きるまで戦った。日本のメディアは戦う努力もせず、さっさと権力に迎合した。

メディアの誘導に乗らないことが、懸命な人生を生きる第一歩だろう。