報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

ヨルダンのホテル爆破は、天井に仕掛けられた爆弾か

2005年11月18日 20時12分15秒 | ■対テロ戦争とは
11月9日にヨルダンのアンマンで発生した爆弾事件は、すでに「自爆テロ」として広く報じられている。
そして、世界はそのように認識している。
しかし、事件の発生した9日に、ロイターは次のように報じていたことがわかった。

ヨルダンのホテル爆破は天井の爆弾
アンマン - 水曜に、ヨルダンの首都アンマンのラディソン・ホテルで起こった爆発は、屋根裏に設置された爆弾によって引き起こされた、と現場の警官はロイターに語った」
http://www.msnbc.msn.com/id/9980123/

”The Truth Seeker”というサイトは、このロイター電とともに、二枚の画像を掲載している。一枚目は、アンマンのラディソン・ホテルのもの。確かに、天井がひどく破壊されている。ただ、床で爆発が発生しても、ビルの天井は破壊される。ビルの天井というのは、非常に軽くて強度の低い材質で作られている。しかも、簡単に吊ってあるだけなのだ。床で大きな爆発が起これば、天井はことごとく破壊されて当然である。しかし、この画像を見る限り、体に巻きつけた分量の爆薬で破壊されたにしては、ダメージが大きすぎるように思う。

http://www.thetruthseeker.co.uk/article.asp?ID=3813

二枚目の画像は、アンマンのハヤット・ホテルでの爆発現場である。こちらの方は、ダメージが小さい。体に爆薬を巻いた自爆テロなら、本来、この程度の破壊だろう。しかし、こちらは別の不自然な点がある。天井の破壊からすると犯人は、壁に近いところに立っていなければならない。しかし、白い壁にほとんどダメージがない。しかも、自爆した犯人の血しぶきがまったくない。これは、到底ありえないことだ。

http://www.thetruthseeker.co.uk/article.asp?ID=3813

次の画像は、僕が今年の5月にアフガニスタンのカブールで撮影したものだ。外国人が利用するインターネット・カフェ内で爆発が起こった。僕も利用していた店である。事件発生時に店にいた外国人の証言では、店に入ってきた男が奥のトイレに入り、しばらくして出てきた瞬間、爆発が起こった、ということだ。つまり、この現場は間違いなく「自爆テロ」が発生した痕だ。高級ホテルと街のネット・カフェを比べるのは、妥当ではないかもしれないが参考になる点は多い。

店の天井は、あらかた吹き飛んでいる。自爆テロが屋内で起これば、天井がダメージを受けることがわかる。それから、爆破位置の壁の化粧板も吹き飛んで、下地のモルタルが剥き出しになっている。爆破位置の壁が損傷を受けるのは当然のことである。そして、重要なのは、人間の体の70%は水分で構成されているということだ。自分の体を爆発させれば、多量の赤い血と肉が飛び散ることになる。トイレのタイルには、血しぶきが飛んでいる。店の壁には、もっと飛び散っていたと思われるが、化粧板がなくなっているので確認はできない。それでも、壁のベニア板や天井から垂れ下がる板にも血痕が見られた。これが「自爆」の現場だ。



ではもう一度、最初の画像に戻ってみる。
一枚目の画像は、「自爆テロ」が行われたにしては、あまりにも天井のダメージが大きすぎる。もし、「逮捕」された女性が巻いていたものと同じ爆弾だとすると、到底あり得ない破壊規模だ。いくら高性能爆薬であったとしても、人間の体に巻きつける分量には限りがある。
二枚目の画像には、白い壁に一滴の血しぶきも見当たらない。爆発には方向性があるとしても、まったく破壊も血痕もないというのは、あり得ない。自爆犯が本当に、血も涙もない人間だったら別だが。

ロイター電と画像から見る限り、ヨルダンでの爆弾事件は、「自爆」ではなく、あらかじめホテルの天井に爆弾が仕掛けられていたと考えるに十分な根拠を提供している。

つまり、爆破事件の発生した9日に、ロイターは、すばやく事件の真相を報じていたのだ。
しかしこれは、報じてはいけない報だった。
当のロイターのサイト内には、いまはこの記事が見当たらない。
冒頭に掲載した記事は、MSNがロイター電として伝えたものだ。