報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

信頼に値する政党なし

2005年10月31日 20時25分48秒 | ■時事・評論
この間の選挙とその後の民主党の党首選などを通じて、民主党という政党の姿がはっきりした。結局、自民党の代わりに政権を取って、自民党と変わらない従米路線を歩み、米国政府の寵愛を受けたいというだけだ。民主党は、自民党の党外派閥といっていいだろう。あるいは、外様自民とでもいうべきか。

民主党は一日もはやく自民党に全面的に降伏し、自民党に吸収されたほうが国民の為にもわかりやすい。
共産党や社民党に厳しく迫りたい。いつまで勘違いをしているのか。何度選挙を繰り返しても大衆の支持を広げられないあなたたちこそ、自民党を助けているのだ。国民の為を思うなら潔く消滅してしまえ。心配はいらない。その後に必ず国民の幅広い支持を得る真の野党が生まれるはずだ。その時こそこの国の政治が活性化される時だ。政治的盛り上がりがこの国に生まれる時だ。
10月24日天木直人のHP「参院神奈川補選に見るこの国の政治の惨状」より


かつての野党第一党社会党も、蓋を開けてみれば、ニセ野党だった。日本に議会制民主主義があるかのように装うための、ダミー政党だったと言える。それが国民にバレたために、分解整理された。民主党と名前を変えてからは、自民党に代わって保守党として政権を取ることしか考えていない。旧社会党の本質が変化したのではなく、もともと自民党の衛星政党だったのだ。結局のところ、日本に本当の野党はない。すべて、自民党の衛星政党にすぎないと言える。自民党がなければ、宇宙のかなたに飛んでしまうのだ。

天木氏の言うように、共産党や社民党の存在は自民党を助けていると言える。冷戦が終了し、世界のほとんどの共産国が消滅した今、いったいいつまで「共産主義」の看板をかかげているのだろうか。それでは、国民の支持を得られるはずがない。翻って言えば、国民の支持を得なくてもいいということだ。ヘタに勢力を拡大すれば、かえってバッシングされ共産党は消滅する。共産党は単に日本の政界で生き残ることだけを目的として「共産党」を続けているのだろう。共産党は勢力を拡大できないのではなく、その気がないのだ。

共産党や社民党も、まったく国民不在の政党だが、自民党には票を入れたくない有権者の票で生き残っているわけだ。両党はそれを良く理解している。ただし両党が生き残れるのは、野党としての本来の機能を”果たさない”ことが絶対条件だ。国会での追求が常に中途半端で甘いのはこのためだ。確かにそんな政党は消えてなくなったほうが国民のためだ。

野党議員としての役目をきちんと果たすとどうなるかは、辻元清美議員(社民党)の例が如実に物語っている。政界から葬り去られるのだ。もちろん、秘書給与詐取という行為自体は責められなければならない。しかし国会議員でホコリのでない者はまずいないだろう。必要があれば元総理でも橋本龍太郎氏のように葬り去られる。こうした意味でも、全議員は完全に飼いならされている。なぜ辻本議員が”ルール”を逸脱したかは本人に訊くしかない。

結局のところ、強い与党の存在が、やる気のない野党の生存を約束している。自民党が弱体化し、連立政権を取らざるを得なくなったとき社会党は消滅した。その轍を踏まえて、民主党(新社会党)は保守党に変身したわけだ。また、一定の票田を自在にコントロールできる公明党は自民党と一体化した。他の政党は、いままでどおり、やる気のない野党でいることによって生存を約束される。すべての政党は、自民党の引力のおかげでくるくる回って生き延びているのだ。日本の議会制民主主義というのは形だけの幻想にすぎない。

もちろん、議員個々人には志も高く、信念を持った方々がいることは十分承知している。しかし、こうした政治のメカニズムの中で、個人の志は掻き消され霧消していく。

日本に信頼にたる政治政党などない、というのが結論だ。
次の選挙ではどうするべきか、ほとほと迷っている。
それまでに信頼に足る政党が現れる可能性は非常に低い。
共産党が一度大勝して従米保守党に変身してみるとか、エジプトのように投票率が20%に落ちるとか、なにか劇的な変化があれば別だが、どちらも日本ではあり得ないだろう。

劇的なものがない以上、諦めずコツコツ歩むしかない。

空前のゴマスリ政治

2005年10月29日 21時46分33秒 | ■時事・評論
28日、自民党党紀委員会は反対派50人の処分を決定した。
除名処分の10名をはじめ、離党勧告処分や戒告処分、党員資格停止などさまざまだ。

元造反議員のほとんどは、先の国会で「郵政民営化」法案に賛成票を投じた。自己保身のために有権者の意思を裏切ったと言っていいだろう。”民意”などというのは言い訳に過ぎない。先の選挙は「郵政民営化」の是非を問う選挙だったはずだ。造反議員に票を投じた有権者は、当然、「郵政民営化」法案に反対してくれる議員として票を投じた。にもかかわれず、有権者に断りもなく、一転して賛成に転向するというのは有権者への裏切りと言ってさしつかえない。

議席数で小泉自民が圧勝したからといって、それに従うのが”民意”の反映ということにはならない。何をもって”民意”とするかという定義もない。そもそも、得票数を見れば、ほぼ互角だったのだ。”民意”は「郵政民営化」、賛成、反対真っ二つに分かれたのだ。それを、勝手に”民意”は「郵政民営化」賛成と解釈することはできないはずだ。何をどう取り繕っても、有権者への裏切り行為を正当化することはできない。

離党届を出した議員諸氏は、ことごとく将来自民党への「復党」を望んでいる。自民党への「復党」を望んでいる議員が、今後、小泉首相の政策に反対するなどもはやありえない。離党届とは、小泉首相への忠誠心の踏み絵と言っていい。おそらく、これから元造反議員は、猛烈な小泉賛美と忠誠合戦を繰り広げるだろう。この合戦で高得点をあげたものが復党が叶うことになる。

離党した元造反議員と小泉チルドレンとの間でも、忠誠合戦となるだろう。なぜなら、彼らは、次の選挙でもライバル同士になるのだから。より忠君を示し、気に入られた者が、次の選挙で優遇される。そのとき小泉氏が首相でなかったとしても、影響力は保持しているだろう。特に、背水の陣の離党議員は必死だ。小泉チルドレンは暢気に構えていると足をすくわれることになるだろう。ただ、有権者にとっては、どちらもまったく魅力のない存在だが。

小泉首相は単なる礼賛や忠誠だけを望んでいるわけではないだろう。そういう下僕的行為は誰にでもできるし、明確な差も生まれない。絶対君主への忠誠とは、実体を伴わなければ意味がない。つまり、君主の権力をより強化するためのアイデアや具体的行動だ。それを提言し、実行できる者がポイントを稼ぐことになる。

この、離党議員と小泉チルドレンの忠誠合戦に、ポスト小泉候補の4氏が別の忠誠合戦を繰り広げる。
立花隆氏がこんな風に書いている。

(後継者を一人に絞らないのは)はっきり1人にしぼったりしたら、そのとたんに、政界の政治力学は、早々とその人を中心に動くようになってしまって、小泉首相がレイムダック状態におちいることが必定だからだ。

それよりも、政権中枢に総裁候補を置いておいて、忠誠を競わせるようにすれば、自分の政権が安定すること請け合いである。

過去の歴史から拾えば、佐藤栄作長期政権の末期に、福田赳夫と田中角栄を両翼において、次期政権禅譲のにおいをプンプンさせることで、どちらにも忠誠心を最大限に発揮させ、自分の政権を最後まで安定に保ったのが見事な例となる。次の長期政権となった中曽根康弘もまた同じ戦略を使った。竹下登と安倍晋太郎の2人の総裁候補に次期政権をちらつかせて、忠誠心を競わせ、自分の政権を安定に保った。

(立花隆のメディアソシオ ポリティックスより抜粋)

小泉首相は、背水の陣の元造反議員とタナボタの小泉チルドレンを競わせる一方、後継候補4人にも忠誠を競わせる。小泉首相は、圧倒的多数を獲得したあとは、この多数の忠誠の質を高めたいのだろう。それによって、小泉独裁が今後ますます強化されることは間違いない。日本の政治は、かつてないほどの、国民不在の無思慮なゴマスリ政治になってしまうのかもしれない。

小泉首相は来年9月の任期で辞めると匂わせているが、ゴマスリの極みと言えば、それをさせないことである。後継候補、離党議員、小泉チルドレンあげての続投要請になるにだろう。要するに、自ら望んで続投するのではなく、乞われるから仕方なく続投するのだという状況になる。

圧倒的な権力を現に持っている者が自分からその権力を手放すようなことをするかといえば、しないというのが、あらゆる権力の歴史が教えるところである。
(立花隆のメディアソシオ ポリティックス)

絶対的存在として、できるだけ長期間君臨したいというのが権力者の心理だ。来年の任期で辞めると匂わしているのは、まわりから続投を言わせたいからだ。ましてや、小泉首相は歴代首相の中で最も大きな権力を握った男なのだ。自ら権力を手放すなどありえない。ただ、状況が不利になれば、いつでも言葉どおり辞めることもできる。

当分は、うんざりするような出来事の連続になるのだろう。

命を賭しても、ものを書けるか

2005年10月27日 16時31分09秒 | ■時事・評論
2003年に駐レバノン特命全権大使を勤めていた天木直人氏は、著作『さらば小泉純一郎!』の中で、外交官から見た小泉首相の従米外交の姿勢を徹底的に批判している。結局のところ、誰が見ても小泉首相は、自己保身のためにブッシュ大統領に気に入られようとしている従米主義者にしか見えないということだろう。「総理をこれ以上野放しにしていては、日本は世界の笑いものになってしまう」と元外交官の天木氏は述べている。

天木氏は、レバノン公使であった2003年に、イラク戦争に反対する公電を日本に送り、小泉首相の対米追従外交を批判した。そのため、外務省から「勇退」をせまられることになった。実質的に外務省を「解雇処分」となったのだ。「勇退」後に書いた『さらば外務省!』は22万部を売るベストセラーとなった。以来、講演などに忙しい日々を送っている。『さらば小泉純一郎!』は第二段である。

天木氏の二作目『さらば小泉純一郎!』で、ある代議士の殺害事件のことを知った。
2002年10月25日、石井紘基議員(民主党)は、自宅を出て迎えの車に乗ろうとしたところを暴漢に襲われ、刃物で刺され殺害された。明らかに暗殺である。犯人は逮捕されが、犯行の動機や背景については明らかになっていない。一審、二審とも無期懲役。現在、最高裁へ上告中である。

故・石井代議士には、『日本が自滅する日』『官僚天国日本破産』など多くの著作がある。

小泉首相が進めている構造改革で本当に日本は再生できるのか。7年も前から構造改革の必要性を直言してきた衆議院議員である著者が調べあげた事実を基に検証すると――。日本の「経済」は極端にいえば、国と地方と合せて、国民の税金と貯金、年金、保険積立金など350兆円を上から流し込んで消費しているだけのものだ。つまり、市場特有の拡大再生産機能によって生み出される果実はないに等しい。“市場”が死亡状態となり、借金が借金を呼ぶ財政破綻構造に陥っている。積もり積もったほんとうの借金額は1000兆円を超えている。日本再生の鍵は国家体制を官制経済から市場経済に移行させることである――。小泉首相は構造改革を経済政策や金融政策と混同していると批判し、著者渾身の真の構造改革のための25のプログラムを提示する。日本を破産させる利権システムの全貌を踏まえた提言には、著者の日本再生への思いがこもっている。
Amazon.co.jp、『日本が自滅する日』レビューより

日本の代議士の中にも、故・石井紘基氏のような信念の人がいたのだ。国民のために、政府の本当の姿を明らかにし、不正腐敗を暴き、為政者に諫言することが有権者の代表の大きな使命だ。

それに比べて、「造反」したかと思うと、選挙で当選した途端、手のひらを返して「郵政民営化」法案に賛成するような議員諸氏もいる。自己保身のために簡単に有権者を裏切る元「造反」議員が、国民の利益のために行動することはないだろう。次の選挙では、こぞって落選するに違いない。そんなことも彼らはわからないのだろうか。有権者よりも小泉純一朗氏の方が怖いと思ったら大きな間違いだ。

石井紘基氏の著作はすぐにでも読みたいと思い、京都の大型書店に行ったのだが、一冊もなかった。ネットで調べてみると、ほとんどが絶版になっていた。なんとか手に入れて読みたい。命を賭して書かれた本を読まずにはいられない。

巨大な利権構造を暴き、真実を明らかにする著作物を書くということは、生涯を死の危険とともに暮らすとういことだ。本当の勇気、信念がなければできることではない。そうした人はそんなにはいない。紛争地で写真を撮るのとはわけが違う。

天木直人のホームページ
http://amaki.cc/

故・石井こうき氏HP
http://www014.upp.so-net.ne.jp/ISHIIKOKI/index.htm

故・石井こうき事件の真相究明プロジェクト
http://homepage1.nifty.com/kito/ishii/

来年5月、自衛隊イラク撤退?

2005年10月26日 06時40分05秒 | ■時事・評論
中京テレビ ニュースプラス1より抜粋
英・豪軍がイラク撤退なら日本も残留困難
2005-10-22
サマワで治安維持を担当しているイギリス軍とオーストラリア軍は来年5月にも撤退するとみられている。
これに関連しアーミテージ前副長官は「もしイギリス軍とオーストラリア軍がサマワから撤退するとしたら、日本だけが残ることはとても困難だろう」「アメリカはイラク復興に協力を求めてはいるが、これまでの日本の貢献には、すでに十分感謝していると思う」と述べ、日本が同じタイミングで撤退するとしても、アメリカは一定の理解を示すだろうとの見方を明らかにした。


このアーミテージ発言の深層とは何だろうか。
オーストラリア軍とイギリス軍が撤退した後、自衛隊がサマワに残るとしたら、自衛隊が攻撃の対象になる可能性も高くなる。もし、自衛隊に犠牲者が出れば、小泉首相の政治生命も危うくなる。失脚しないまでも、小泉首相の支持率が下がれば、米国にとっても得策ではない。何といっても、アメリカの政策を忠実に実行してくれる得がたき存在なのであるから。

前回述べたが、日本の憲法「改正」はアメリカの安全保障政策にとって重要課題になっている。選挙で”圧勝”した小泉自民は、いまや何でもできる。ここで、自衛隊がサマワで犠牲者を出せば、憲法「改正」も頓挫するだろう。アーミテージ前国務副長官は、それを懸念しているのではないだろうか。

だいたい、自衛隊がイラクにいてもアメリカの役に立っているわけではない。イラク復興にとってもどれだけの貢献をしているかははなはだ疑問だ。そこにいるだけ、というのが実情だろう。自衛隊派兵は、憲法「改正」への布石であり、小泉首相に対するアメリカへの忠誠心の踏み絵にすぎない。

アーミテージ氏としては、ひとまず日本に憲法を無視させ、武装した自衛隊を長期間戦闘地域へ送り込むことに成功した。アメリカにとっては大きな前進というところだろう。これで、第一段階は終了し、第二段階として憲法を「改正」させる。最終的には、自衛隊を戦闘地域での戦闘任務にもあたらせたいのであろう。いま、いたずらに自衛隊をサマワで危険にさらしては、元も子もなくなってしまう。小泉首相の肩の荷を降ろして、憲法「改正」に専念させたいのではないだろうか。

アーミテージ氏は「日本は主権国家であって、アメリカから指導を受けるものではない」とも発言しているが、見え透いたリップサービスと言うしかない。

アーミテージ報告と憲法「改正」

2005年10月24日 21時13分49秒 | ■時事・評論
リチャード・L・アーミテージ(前米国務副長官)は、2000年10月に「アーミテージ報告」というものを共同執筆している。

「アーミテージ報告」は、対日戦略の提言というべきものだが、ブッシュ政権は、ほぼこの報告書に沿った対日政策を執った。そして小泉首相による、イラクへの自衛隊派遣や憲法「改正」への動きは、この「アーミテージ報告」に則ったものだと言える。

これは、『ワシントンの右よりの軍事専門家たちが、新たに発足するブッシュ政権で高い地位を得ることが狙いの「報告」であった』(チャルマーズ・ジョンソン『帝国アメリカと日本』)。実際、共同執筆者のアーミテージ氏は第一次ブッシュ政権で国務副長官となり、ポール・ウォルフォウィッツ氏は国防副長官となった。ウォルフォウィッツ氏は今年ブッシュ大統領の推薦で世界銀行総裁になった。

「アーミテージ報告」は日本の政治、安全保障、沖縄、諜報、経済協力、外交について分析し、アメリカの執るべき対日政策を述べている。表現はやわらかいが、アメリカの望む日本の姿が描かれていると言っていいだろう。

「日本のリスク回避型政治が日本経済の変革を阻害してきたように、アメリカ政府から明確な方向付けがないことも損失をもたらしてきた。」
「アメリカが、日本との関係において指導力を、つまり、傲慢になることなしに卓越性を発揮することができるなら、両国は過去50年間培ってきた協力関係の潜在力を全面的に実現することができるようになろう。」


「アーミテージ報告」は全編、こうした婉曲表現を用いて記述されているため、これをどう解釈するかは意見の分かれるところだろう。また、「本報告で表明または示唆された意見、結論、勧告は、著者たちのもの」と謳っている以上、ブッシュ政権がこの報告に則って対日政策をしていると言い切ることもできない。しかし、国務副長官となったアーミテージ氏が、日本に対して絶大な影響力を持ち、「アーミテージ報告」を具現化しようとしていることは間違いない。

2004年7月に、アーミテージ国務副長官(当時)は、国連安保理事会常任理事国入りを求める小泉首相の発言に対応して、「憲法9条の存在が日米同盟関係の妨げの一つになっている」「国連安保理常任理事国は、国際的利益のために軍事力を展開しなければならない。それができないならば常任委理事国入りは難しい」とも述べている。
http://www.kenpou-media.jp/modules/news/article.php?storyid=89

「アーミテージ報告」の中でも、
「日本が集団的自衛権を禁止していることは、同盟間の協力にとって制約となっている。この禁止事項を取り払うことで、より密接で、より効果的な安全保障協力が可能になろう。」
と記述されている。婉曲的に日本の憲法第9条の廃止を提言している。

さらに同報告では、
「両パートナー国は、旧式の訓練のやりかたの踏襲ではなく、実戦なみの訓練に時間と努力を注ぐべきである。また、国際的テロや国境を越えた犯罪活動などの新たな問題や長年にわたる潜在的脅威に対応するにあたっての相互支援のあり方、平和維持・平和構築活動における協力のあり方を定義すべきである。 」
とも述べている。

アメリカ政府は、日本における米軍を再編縮小し、その分、自衛隊をより実戦に対応できる軍隊に訓練し直し、アメリカ政府のコントロール化に置こうと考えているのだろう。そして、英国のようにアメリカの戦争の一員となり、戦うことを望んでいるに違いない。実際、「われわれは、アメリカとイギリスのあいだの特別な関係を、米日同盟のモデルと考えている。」という記述もある。それはとりもなおさず、アメリカ政府が日本政府をコントロールできることが前提となることは言うまでもない。

2000年に「アーミテージ報告」が行われ、2001年に小泉政権が誕生したことは単なる偶然なのだろうか。「年次改革要望書」や「アーミテージ報告」を見る限り、アメリカ政府は日本を好きなように操れる国とみているように思える。そして実際その通りにしてきた。憲法「改正」が行われれば、日本はイギリスのようにアメリカの戦争に駆り出されることは間違いない。そして、何の罪もない人々を傷つけることになるだろう。われわれはそれをただ見ているだけしかできないのだろうか。

いま、勢いに乗っているように見える小泉首相も、いずれは失速して堕ちるだろう。それが、いつかとまでは言えないが、このような露骨な反国民的行為が、現代日本でいつまでも通用するとは、到底思えない。ただ、小泉首相の後ろには、同じく改憲論者の前原民主党代表が控えている。単なる、政権交代は何の意味も持たないだろう。

2001年1月、沖縄県議会は、沖縄からアメリカ海兵隊の撤退を求める決議案を全会一致で採択した。稲嶺知事をはじめ、沖縄県の自民党幹部までが賛同した。全会一致は沖縄県議会史上はじめてのことだ。
「東京とワシントンは沖縄の行政府と立法府に金でつれる操り人形を配しておけばいいと考えていたが、出口の見えない苦境におかれた沖縄の人々の思いが、そんなたくらみに勝ったのだ。」
とチャルマーズ・ジョンソン氏は述べている(『帝国アメリカと日本』集英社新書)。

ひとりひとりの思いこそが国を動かすのであり、それを認識することが大切だろう。

アーミテージ報告(米国防大学国家戦略研究所(INSS)特別報告書)
http://www.hyogo-kokyoso.com/infobox/messages/155.shtml

日本のために命を賭ける外国特派員

2005年10月22日 00時02分48秒 | ■時事・評論
前回、フォーブス誌の特派員ベンジャミン・フルフォード氏の著作から引用させてもらったが、このフルフォード氏はすでに日本について何冊もの著作がある。まだ『泥棒国家の完成』しか読んでいなのだが、すべて読んでみたい。前二作の方が評判はいいようだが、この本もけっこうな内容である。命がけでものを書いている人はそうはいない。

この本の最後の章は、『私が殺されれば本はベストセラーになる?』というタイトルで締めくくられている。この章で氏は、「ただ、怖いのは、怖い。しかし、臆病になっていては、問題は解決しません。私も直接脅かしを受けたことがあります。カマボコにするとか言われました。」とさらりと述べている。

『それから、私の本の担当者はヤクザより非情です。私が書きすぎて殺されたらどうすると聞くと、「その方がいい」と言うんですね。なぜなら、その本は間違いなくベストセラーになるからです。(笑い)』

ユーモラスに書かれているが、決して冗談ではない。これらの言葉の中に著者の強い決意を感じる。実際、僕は著書を読みながら、「こんなことを書いて、よく生きているなあ」と本気で思った。そういう本はそうそうあるものではない。カレル・ヴァン・ウォルフレン氏の『日本権力構造の謎』以来だ。

フルフォード氏やウォルフレン氏が書くものは、本来、日本人が書かなければならないものだ。それを、外国人特派員が命を賭しても書くというのは、まったく主客逆転である。しかし、なぜ彼らはそうしなければならなかったのだろうか。それは、日本のジャーナリストは知っていても絶対書かないからだ。日本人が書かないから、彼らが書くしかなかったのだ。我が国のジャーナリズムの頽廃と臆病を如実に物語っている。

「日本のマスコミは責任を果たしていない」とフルフォード氏は断じている。「私と同じように思っていた日本の記者も、あるところまで行くと、結局潰される。書かなくなるんです。」

日本のマスメディアは、記者クラブというギルドによって特権を享受し、競争もなく、絶対安全なぬるま湯の中で権力に迎合している。それをまったく疑問にも思わなくなっている。そんな彼らが「真実」に対して命を賭けるなど、あり得ないことだ。外国人特派員の方が日本人のために、命を賭して日本の矛盾を突ている。日本のジャーナリスト(と呼んでいいのか?)は、恥を知るべきだ。大衆紙の方がよほど忌憚なく堂々と政府を批判している。

<フルフォード氏が分析する小泉改革とは>

フルフォード氏は、小泉改革についても言及している。小泉首相の「道路公団改革」「年金改革」「三位一体改革」について、小泉改革というのは「実現させてはいけない”見せかけ”のシナリオだった」、「大増税計画の方が本当のシナリオ」と述べている。

『国家が収入 income を増やす方法は、国民から税金を取れるだけ取るか、金を貸してくれる外国から借金をするしかないのだ。現在の日本は、このうちの「税金を取る」方法を強化できるだけ強化しているのである。それを、小泉は「改革」”reform"と称しているにすぎない。国債も形を変えた税金にほかならないのだ』

つまり、旧来の利権構造は、実はまったく手が付けられていない。それどころか、強化されている。小泉改革とは、改革に見せかけた旧体制の強化にほかならない。一時、メディアは、道路公団や社会保険庁の不正や腐敗をあぶり出しているかのような報道をしていたが、これは単に、改革が進んでいるという印象を与えるためのダミー報道にすぎない。単発のザコのようなネタでしかなく、本質的な腐敗のと利権の構造には一切触れていない。

また、フルフォード氏は、『いま小泉がやっていることは、ほぼアメリカが失敗したことの模倣 imitate にすぎない』『彼の政策を「構造改革」と呼ぶこと自体がおかしいのである』と述べている。

まさしく、その通りである。しかし、日本のメディアは小泉首相を「改革者」と持ち上げることしか能がない。「郵政民営化」法案が成立したあと、絶賛する記事しか載っていないようだ。僕は新聞を取っていないし、読む気にもならない。森田実氏のサイトでこの間の新聞の内容を知り、さもありなんと思った。日本のメディアは、日本人の生活を奈落へと導く共犯者というしかない。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02216.HTML

フルフォード氏は、日本の政治経済のもっと深い闇に焦点をあてているのだが、ここでは触れない。フルフォード氏は、その著書で日本たたきをしたいわけではない。日本と日本人に対する深い愛情なくしてこういうものは書けない。だからこそ、命を賭けられるのだと思う。氏の祖父は、戦前の排日移民法にただひとり反対したカナダの国会議員だそうである。

日本のメディアには、ぜひフルフォード氏の言葉を受け止めてほしいと思う。本来、あなたたちメディアがしなければならない仕事を、外国人特派員が命を賭けて代行しているのだから。

日本から撤退する海外メディアと神舟6号

2005年10月19日 20時53分28秒 | ■時事・評論
ここ数年で、海外のメディアが続々と東京から撤退しているらしい。世界のメディアに占める日本のニュースの割合も、ここ数年で著しく低下しているようだ。フォーブス誌の日本特派員ベンジャミン・フルフォード氏が著書の中でそう書いている。フォーブス本社からも、日本以外のアジア経済の記事を多く要求されるようになっているとも述べている。

あくまで、ニュースも商品でしかない。商品価値のないものは誰も扱わない。別に、海外のメディアが日本からいなくなったところで、とりたてて問題ではない。しかし、それが意味するところは大きい。海外のメディアが東京から撤退するということは、日本発のニュースに重みがなくなったということだ。別の言い方をすれば、世界における日本そのものの重みがなくなったということだ。

海外メディアは東京から撤退して、本国に帰るのではなく、アジアの別の国へ移動しているらしい。どこかといえば、中国だ。なぜかといえば、日本よりダイナミックに変化しているからだ。

ここ数年を見ても、日本の経済成長率はアジアで最低である。だいたい1%台だ。それに比べて、韓国やマレーシア、シンガポール、フィリピンは4~5%台。タイとベトナムは5~7%。そして、中国は8%台だ。経済成長率という数字を絶対視するわけではないが、指標にはなる。日本の「失われた10年」を尻目に、アジア経済は着実に活性化している。

これからますます活力を持ち、成長していく中国経済は世界経済にも大きな影響を与えることになるだろう。外国メディアの移動は、アジアの経済的変化の流れに沿っているわけだ。その中国の躍進を象徴するのが宇宙開発だろう。

17日、中国の有人宇宙船神舟6号は宇宙飛行士二人を乗せ、5日間軌道上をまわり、無事帰還した。有人飛行はこれで2度目だ。中国の技術力と技術開発力の高さ、品質の安定性、そしてマンパワーの充実を如実に物語っている。いまだに人工衛星の打ち上げでさえ安定性と信頼性を欠いている日本とは対照的だ。

しかし、宇宙開発は富を生むわけではない。なぜ中国はいま宇宙開発をするのだろうか。もちろん、軍事目的という要素も考えられるが、それはオマケだと思う。中国の宇宙開発とは、世界の信頼を買うということなのではないだろうか。

中国は、市場経済を取り入れ、海外の投資を呼び込み、めざましい経済成長をしているとはいえ、中国経済の成長が本物かどうか危ぶむ声は多い。単なるバブルにすぎないとも言われている。また、中国は共産党一党独裁の国だ。共産主義へのアレルギーはまだまだ濃く社会の中に根強い。そうした疑心暗鬼やアレルギーを一気に払拭するには、相当な荒療治が必要だ。その答えが、有人宇宙飛行であり、月面着陸計画なのだろう。中国は国際社会に対して、安定した新しい中国をアピールしたい。もはや頭の固い古い中国ではない、と。そういう意味で「神舟効果」は絶大だと思う。言葉や数字よりも、はるかに説得力があるのではないだろうか。

かつての米ソの宇宙開発競争も、大国同士のプロパガンダ以外の何ものでもなかった。人工衛星の打ち上げには、軍事的意味があるが、月面着陸には軍事的経済的メリットなど何もない。月面着陸で、先を越されたソ連は、あっさり月面着陸計画を反故にした。最初に、行かなければ意味がないのだ。つまり大国としてのメンツの問題だ。アポロ計画のあと、アメリカが欠陥シャトルを打ち上げ続けたのも、宇宙開発先進国としての見栄とメンツでしかない。ロシアが、宇宙のゴミ寸前のミールを軌道上に維持し続けたのも、元超大国の見栄だ。しかし、その見栄やメンツは国益でもあるのだ。宇宙開発をやめれば、国際社会から、国力はなくなったとみなされる。

中国の場合、たとえ二番煎じでも、月面に降り立つ価値がある。中国人が月面に降り立つとなればその注目度は絶大だろう。もう30年ばかり、人類は月へ行っていない。僕はアポロの月面着陸の中継をリアルタイムで見た世代だが、中国の宇宙船が月面に着陸するとしたら、アポロのときと同じくらい興奮すると思う。ブッシュ大統領が、ほとんど無意味と言える火星有人探査計画をぶち上げたのは、中国の向こうをはった大国の見栄に違いない。ここは、見栄を切らざるを得ないのだ。たとえ計画倒れでも。

いまの中国政府は、いつ何をすべきかを的確に判断し、それを確実に実行する大胆な決断力を持っているように思う。つまり、見栄を切れるだけの国力と度量を持っているということだ。今の世界で、そうしたダイナミズムを持った国は他にないだろう。中国はその存在価値を増し、国際社会での地位を上げていくことは間違いないだろう。海外のメディアが日本から中国へ移っていくというのは理の当然だ。

では、中国に注目する海外メディアは、いまの日本をどう見ているのだろうか。さきのベンジャミン・フルフォード氏は、
「いまだに規制緩和と民営化を叫び続け、改革の入り口にさえ到達していない小泉は、時代遅れ anachronism もはなはだしい。」
と、一蹴している。

神舟6号の地球帰還の日に、小泉首相が靖国神社へ参拝したのは偶然なのか、それとも意図的なのか。もし、靖国参拝がなければ、神舟6号の帰還は、日本のメディアでもトップで報じられたはずだ。しかし、靖国参拝によって、抱き合わせの補完的報道になった。首相の胸のうちは計りかねるが、選挙で大勝し、「郵政民営化」法案を成立させ、有頂天の首相にとって、頭上の宇宙船がこころよいものでなかったことは確かだろう。

海外メディアが、再び日本に帰ってくる日はくるのだろうか。

パキスタン地震2

2005年10月17日 17時40分57秒 | ●パキスタン地震


震源地付近を中心に、地図を拡大してみて、パキスタンのイスラマバードとインドのスリナガルがかなり近くに位置することに、いまさらながらに気がついた。どちらも訪れたことのある都市なのだが、こんなに近いとは思わなかった。また、かつて歩いたのは震源地から北東のナンガパルバット山周辺の集落。

震源地付近のムザファラバードは、どちらの都市からもそう遠くは離れていない。かつては、両地域をつなぐ中継都市だったに違いない。地図で見る限り、インド側からの方が被災地へのアクセスがいいのではないかとも思える。インドのスリナガルは整った大きな町であるし、被災者の収容も問題ないだろう。もし、インドからのアクセスが許可されれば、どれだけの被災者が救助できるだろうか。すぐ近くで大勢の人々が苦しんでいるというのに、何もできないカシミールの人々こそ、もどかしい思いをしているのではないだろうか。「カシミール紛争」が被災者の苦痛を拡大している。

パキスタン地震

2005年10月15日 03時11分15秒 | ●パキスタン地震
パキスタン地震の犠牲者の数が日増しに増加している。たった一回の地震でここまでの犠牲者が出るとは。今後も、増え続けるのだろう。予測不能な地球の営みだが、スマトラ沖地震といい、あまりの犠牲者の多さに愕然としてしまう。最終的には、4万人とも5万人とも予想されているが、被災者は全体で250万人。これだけの人が、これから厳しい冬を迎えなければならない。高峰の連なるパキスタン北部の寒さは非常に厳しい。

かつて、真冬にパキスタンの山奥を訪れたことがあるので、冬の厳しさを実感している。標高が高く、潅木もほとんど生えていないので、凍てつく風を遮るものがない。今回の震源地よりもさらに北部の山岳地帯へ入ったのだが、ニュース映像で見る限り、今回の被災地も、かなりの山岳地のように見える。おそらくかつて訪れた山間の集落と状況はそれほど変わらないだろう。山間部の生活は普段でも非常に不便で、物資も乏しかった。食料備蓄など当然ないはずだ。

急峻な山岳部から都市へのアクセスは平常時でも非常に困難だった。道路は切り立った崖っぷちに沿って造られている。岩盤は見るからに脆い。実際、巨大な落石に道路が塞がれ、ダイナマイトで爆破するまで何時間もかかったことがあった。対面からきたジープの客とこちら側のジープの客が総出で、落石を崖下に転がした。最後に残ったジープ大の巨石二つをダイナマイトで爆破した。パキスタンの山岳部の脆い山肌が、巨大な地震に遭えばどうなるかは想像に難くない。

山奥の集落の家屋も非常に不安定だった。四方に石を積み上げただけで建物を作ってしまう。あとは石の隙間を泥で埋めるだけだ。驚異的なバランス技術だが、柱もなければ、筋交いもない。地面が少し揺れればひとたまりもないだろう。

インド政府は、インド側のカシミールからならアクセスできると言っているが、パキスタン政府が拒絶している。国境地帯には、軍事拠点やゲリラキャンプがあるためらしい。ならば、そうした地域には援助国の軍隊も近づけないかもしれない。天災に、人災が加わり、さらに悲惨な事態をまねくのではないのだろうか。

食料も、燃料も、医薬品もなく、孤立したまま外と連絡が取れない集落はかなりの数に登るのではないのだろうか。そうした集落すべてに手が回るのかどうか、とても不安だ。

借金で戦争をするアメリカ

2005年10月12日 03時52分12秒 | ■時事・評論


イラク関連の外電を翻訳されているブログで、9月18日にクリントン前大統領が行った演説を掲載されていたので紹介しておきたい。元アメリカ大統領の発言としては画期的と言えるかも知れない。


"What Americans need to understand is that ... every single day of the year, our government goes into the market and borrows money from other countries to finance Iraq, Afghanistan, Katrina, and our tax cuts," he said.

 「どうかアメリカ国民に理解してほしい。一年中一日も欠かさず、米国政府は市場に参加して他国から借金をし、その金をイラクやアフガニスタン、カトリーナ、そして米国民の減税にあてているのだ」

 "We depend on Japan, China, the United Kingdom, Saudi Arabia, and Korea primarily to basically loan us money every day of the year to cover my tax cut and these conflicts and Katrina. I don't think it makes any sense."

 「米国の減税や戦費、そしてカトリーナ復興の費用はほとんど、日本や中国、イギリス、サウジアラビア、韓国から毎日かりてくる借金に頼っている。わたしにはこれがまともなことだとは思えない」

引用:ブログ「 a beach girl in occupied Japan」さんより。


通貨の持つ支配力3』で述べたが、アメリカ政府は赤字政策をとることによって他国に戦費を払わせることに成功した。赤字政策をつづけている限り、放っておいても借金ができる。クリントン前大統領が言うように、イラク戦争やアフガニスタン戦争、そして米国民への減税までもが、他国からの借金で賄うことができる。


イラク戦争の戦費自体は現在2000億ドルほどだが、イラク戦争・アフガニスタン戦争にかかるコストは戦費だけではない。最終的には3兆ドルに達するとアメリカのメディアは見積もっていると、立花隆氏は紹介している。
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050822_trillion/

近い将来にこれほど莫大なコストに達する戦争をあっさり遂行できるのも、そのコストをすべて他国が支払うからだ。このような歪んだ構造がある限り、世界平和など夢のまた夢でしかない。すべては構造的な問題だ。IMFも世界銀行もWTOも、この構造の中に組み込まれている。この「構造」そのものを根底から造り替えることなくして、戦争も、飢餓も、貧困も解決することはない。

クリントン前大統領も、ユーゴを爆撃し、アフガニスタンを爆撃した。しかし、少なくともアメリカの本質的な問題に言及した大統領経験者は他にはいないだろう。そう言う意味では今後の発言には大いに注目したい。

原文
Clinton launches withering attack on Bush on Iraq, Katrina, budget :AFP9月18日

※写真は、本文とは関係ありません。
 2002年5月、東ティモール主権回復(独立)式典でのクリントン前大統領。

日本を管理下に置きたいIMF

2005年10月08日 19時05分14秒 | ■時事・評論
日本は、IMFや世界銀行への拠出金額がアメリカについで第二番目である。IMFへは総額1330億ドル、世界銀行へは1530億ドル拠出している(2003年時点)。IMFの副専務理事は日本人であり、日本人職員も約30名いる。しかし、日本がIMF内で主導的立場にあるというわけではない。

それどころか、IMFはかつて日本の経済行政をその管理下に置こうとした事がある。バブルが崩壊し、邦銀が多額の不良債権をかかえ、日本経済が低迷していた90年代、アメリカ財務省は再三にわたって不良債権処理の加速化を要求している。しかし、一向に進まない日本の不良債権処理に業を煮やしたアメリカ政府は、日本をIMFの管理化に置こうとした。

2001年9月、柳沢伯夫金融相(当時)は、IMFが日本政府に要求していた邦銀への「特別審査」を受け入れる意向を表明した。IMFの直接管理下には入らなかったものの、日本の金融行政はIMFの”監視下”に入ることになった。
http://72.14.203.104/search?q=cache:ggzLEngZNNwJ:www.weeklypost.com/jp/010921jp/news/news_2.html+%EF%BC%A9%EF%BC%AD%EF%BC%A6%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E9%82%A6%E9%8A%80%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%AF%A9%E6%9F%BB&hl=ja

2002年10月には、竹中平蔵金融相(当時)は「竹中プラン」を発表する。これは、邦銀の不良債権処理の加速化を促す内容となっている。強引な不良債権処理の過程で、多くの中小企業が倒産したと非難が集中した。また不良債権処理に失敗し、破綻したりそな銀行は公的資金を注入され実質的に”国有化”された。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-05-30/01_02.html
http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2003_06_04/content.html

2003年9月、IMFは邦銀への「金融特別査察報告」を発表。その中で「竹中プラン」を支持、賞賛している。日本の金融界には、IMF報告はあまりにも米国に都合が良いのではないのかと危機感が広がった。
http://gendai.net/woman/contents.asp?c=031&id=1199
また、「竹中プログラムは、日本経済をクラッシュさせて、IMFによる第2の占領統治を企んでいるのではないか」と渡辺喜美議員は発言している。
http://www.nasu-net.or.jp/~yoshimi/2002/daisannomiti.html

こうした経緯から竹中平蔵大臣は、アメリカの忠実な僕と揶揄されて久しい。

<ネバダレポート>

2002年2月の国会予算委員会で、五十嵐文彦議員(衆院、民主)は「ネバダレポート」について言及している。これは、IMFに近い筋がまとめたものであるとし、もし日本がIMFの管理下に入れば、この「ネバダレポート」が実施されるのではないかと発言している。しかし、言及しただけで深くは追求していない。
http://f47.aaa.livedoor.jp/~gijutsu/nevada3.html

その「ネバダレポート」の内容とは。

1.公務員の総数、給料は三〇%以上カット、及びボーナスは例外なくすべてカット。
2.公務員の退職金は一切認めない、一〇〇%カット。
3.年金は一律三〇%カット。
4.国債の利払いは五年から十年間停止。
5.消費税を二〇%に引き上げる。
6.課税最低限を引き下げ、年収百万円以上から徴税を行う。
7.資産税を導入し、不動産に対しては公示価格の五%を課税。
債券、社債については五から一五%の課税。
8.預金については一律ペイオフを実施し、第二段階として、預金を三〇%から四〇%カットする。

なんともすさまじい内容である。
こういうものがIMFによって2001年にまとめられていた。もちろん、IMFは日本を管理下に置き、本気で実施するつもりであったに違いない。日本に対する「構造調整プログラム」と言ってもいいかもしれない。

しかし、IMFは、2002年に竹中大臣がまとめた「竹中プラン」と、それによって日本経済にもたらされた結果にたいへん満足したようだ。その後、竹中平蔵氏は郵政民営化担当相になるが、IMFは「郵政民営化法案」も歓迎するコメントを出している。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20050809mh08.htm

小泉首相と竹中大臣の政策というのは、アメリカの「年次改革要望書」やIMFの「ネバダレポート」の意向を体現しようとしていると言っていいのではないか。もはや、国会に反対者はほとんどいなくなり「独裁」状態の小泉政権。彼らは日本を一体どうしたいのか。日本人を、アメリカや多国籍企業、国際金融資本のために奉仕するだけの働きアリにしたいのか。

エギジビション写真

2005年10月08日 04時41分06秒 | 写真:アフガニスタン
エギジビション写真 : カブール

Yann Arthus Bertrandの空撮写真に見入る人々。
シャリナウ・パークを一周する道にぐるりと展示されている。
大勢の市民が一枚一枚丁寧に見入っていた。
長らく外の世界のことを知る機会のなかった人々は、
ベルトランの写真をどのように見ているのだろうか。

ジャマイカ 楽園の真実

2005年10月03日 03時49分50秒 | ■時事・評論


昨日、いただきましたコメントで、『ジャマイカ 楽園の真実』というドキュメンタリー映画のことを思い出しました。この数日間ここで書いてきたことのすべてが、ジャマイカを舞台に、レゲエ音楽と共に盛り込まれているはずです。原題は『LIFE & DEBT』。

以前にも、ご覧になった方からコメントをいただき、ぜひ観たいと思っていたのですが、残念ながら関西では、冬まで待たなければならないようです。したがって、僕もまだ観ておりません。

関東方面の方で、ご興味のある方はぜひどうぞ。

オフィシャル・サイト
http://www.uplink.co.jp/jamaica/

上映館:渋谷UPLINK
40席ほどのマイクロシアターだそうです。
スケジュール表をお確かめのうえ行ってください。
(40席なので、せっかく行っても観れないこともあるかも・・・)
http://www.uplink.co.jp/factory/

コメントをいただいた「姐さんの旦那」さんのブログです。
映画の感想を読めます。
http://anesan.cocolog-nifty.com/hidarimukehidari/2005/08/post_eafc.html