報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

顧客情報流出と景気

2005年11月21日 22時00分47秒 | ■時事・評論
ワコール、ECサイトの顧客情報4,757名分が流出~カード情報も含まれる
 ワコールは19日、同社が運営するECサイトの顧客情報4,757名分が流出したことを明らかにした。うち1,899名分はクレジットカード情報が含まれていた。18日までにクレジットカードの不正使用が10件報告されているが、金銭的な被害は発生していないという。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/11/21/9926.html

カード社会の今日、こうした事件が頻発している。
普段、聞き流してしまいがちなニュースだが、実は、今回クレジットカードを不正使用された10件の中に、僕の知り合いが含まれていた。

ワコールのニュースが流れる二日前、知人のクレジットカードが使用不能になった。カード会社に問い合わせると、同一場所で一日に数十回もカードが使用されたため利用を停止した、ということだった。

カードは本人が持っているので、カード情報が流出したことは間違いない。いったいどこから漏れたのか。スパイウェアでパソコンに不正侵入されたのか。さっぱりわからない。数十回も使用されたということは、被害金額はいったいいくらになるのか。まったく青天の霹靂である。本人にとっては、こんなに不安なことはない。こちらも気が気ではなかった。

そして、19日にワコールの顧客情報流出のニュースが流れた。ワコールは、地元京都の優良企業なので、ちょっと驚きだった。しかし、そのときは、まさかそのワコールの流出事件が、知人の被害と関係があるなどとは夢にも思わなかった。ニュースで見たワコールの事件だったと知って、二重に驚きだった。

顧客情報流出による不正使用なので、本人が損害を被ることはなかった。流出元が判明したことで、本人も回りの我々も一応一安心した。しかし、流出した個人情報は元にはもどらない。その精神的苦痛と不安は他人には推し量れない。カード社会の中で、顧客情報を管理する企業の責任は非常に重いと感じる。

こうした不正アクセスによる顧客情報の流出は防ぐことができないのだろうか。セキュリティというのは、そんなに簡単に破られるものなのだろうか。そんなに脆いものだとしたら、もっと事件が頻発してもおかしくはない。

こうした方面には門外漢なのだが、これを機に少し調べてみたい気もする。セキュリティというのは、破られてしまうものなのか、それとも、破られる側に何らかの落ち度があるのか。いまのところ、僕には何とも言えないのだが、ワコールについて、こんな記事を見つけた。

ワコール、個人情報保護ガイドラインに違反
下着メーカーのワコールが、1986年から2004年初期の間にわたり、同社の商品を贈り物として受け取った受取人の個人情報を、カタログ送付の目的で、依頼主や本人に無断で個人情報データベースに登録していたことが明らかとなった。ワコールの行為は、同社が加盟している日本通信販売協会の個人情報保護ガイドライン(1998年制定)に違反する。
http://www.privacyexchange.org/japan/japanese/nf0407.html#pds1

ワコールは、顧客情報管理という点で”前科”があったと言えなくもない。こうしたワコールの認識不足の体質が今回の不正アクセスを生む、情報管理やセキュリティ対策の甘さにつながったのかもしれない。

カード社会というのは、情報を管理する側と顧客との信頼関係の上に成り立っている。信頼というのは非常に脆いものだ。こうした事件が頻発すれば、全体の信用が失われることにもなりかねない。消費者に不安が広がれば、経済全体に影響がおよぶことにもなる。情報を管理する企業に、そこまでの認識があるだろうか。

僕は、かねてから書籍販売のアマゾンで本を購入したいと思っているのだが、いまだに決意できない。パソコンの画面にパスワードを打ち込む勇気がないのだ。結局、書店に足を運んで、まとめ買いをしている。

すぐれた商品を作ることも大切だが、消費者に安心を提供できなければ、これからはモノは売れないのではないだろうか。そんなことを考えさせられた事件である。