令和6年が明けたばかりの列島・能登半島を大地震が襲い、その翌日には成田空港で不測の航空機事故が発生するなど、波乱・多難な幕開けとなってしまいました。
一方で、私たちが忘れてはならない というより、とてもじゃないが捨ておけないのが 永田町の国会を牛耳る自民党議員が所属する「派閥」における いわゆる〝裏金問題〟です。
自民党の各派閥が政治資金を集めるためにパーティを開くためにパーティー券を売りさばいた際、予(あらかじ)め議員ごとに課せられていた〝ノルマ〟を上回った分は「キックバック」と称して 議員の懐(ふところ)に還流させていたものです。
あたしゃ この「キックバック」を聞いた瞬間には、サッカーの技かなんかと思ったくらいです。
で、この「キックバック」ですが、本来なら政治資金収支報告書に記載すればよかった(合法だった)ものを、派閥の指示で不記載にして〝裏金〟としたものです。
さらに言えば、この収支報告書の不記載は 厳密に言えば違法で、罰則が伴うことから 摘発されれば「公民権停止」もあり得る 重いもの(行為)なのです。
さらに さらに言えば この〝裏金〟議員の懐に入った瞬間に、それは所得税法上「雑所得」となり これを確定申告していなければ〝脱税〟になってしまうのです。
こんな二悪も三悪もある行為は、国民とすれば「まあイイや。」ではとても済ますことはできませんよね。
ところが 現実には〝雲散霧消〟の様相となっています。
多額に裏金をせしめた一部議員は告発されたものの、多くの議員連中は 通り一辺倒の記者会見を開いて 一部の支持者に説明ならぬ言い訳をし、その後の修正申告で一丁あがり…後はお咎(とが)め無しの雰囲気となっています。
こんな〝言い訳逃げ切り戦法〟が許されるハズもありません。
そして迎えた第208回国会(常会)です。
論戦の場を議員の主戦場たる国会の場に据え、かかる〝裏金問題〟について激しいやり取りが展開しています。
〝A級戦犯〟たる 総理以下の自民党議員は防戦一方、責める野党は ここぞとばかりに一挙火勢の攻撃(口撃)を展開しています。
そんな 丁々発止(ちょうちょうはっし)を見ている私ですが、一方で この論戦が、時間切れ未了のまま打ち止めになってしまうんじゃないかと憂慮の念を抱くようになってきました。
今国会においては、異例ともいえる「政府四演説の前での予算委員会による集中審議」を経て「本会議」での代表質問でのやり取り、これはこれで相応(ふさわ)しいと思うのですが、どうにも議論が〝水のかけ合い〟だけで、深まっていないんじゃないか。
国民の前に晒(さら)される 本会議や予算委員会も大事だけれど、この際は本腰を据えて かかる根深い「政治とカネ」の問題を検証・議論し、膿を出し切ったうえで次へと進むべきではないかと思ったところでした。
すると…あたかもそれに呼応するように1月31日の信濃毎日新聞の「社説」に、私の意を体してくれたような論説が載り、大いに賛同したところです。
社説のタイトルは『裏金問題と国会改革の議論を「特別委員会」で』というものです。
記事は先ず、29日の衆参予算委員会と30日の本会議(施政方針演説)で、岸田首相は陳謝し 裏金事件で国民の信頼を損ねた責任を重く受け止め「私自身が先頭に立って改革を実行する」と改めて強調したものの、具体策に触れると歯切れが悪いことを指摘しています。
そのうえで「自民党政治刷新本部は中間報告で「派閥から脱却し、本来の政策集団に生まれ変わらなければならない」と謳(うた)ったものの、予算委員会では肝心なのは事件の全容解明だ と、野党から党内調査を迫られ、それに対し首相は「聞き取り調査を進める」と約束したけれど 対象範囲や実施時期は答えず、自民党の「刷新本部」が最終報告をまとめる期限についても明言を避けている。」と指摘しています。
また「政治資金規正法の改定」についても、会計責任者の違反に議員本人も責任を負う「連座制」の導入について首相は「真摯(しんし)に議論したい」と応じるに止(とど)まっている としています。
政党から政治家個人に渡り、使途公開の義務がない「政策活動費」でも同様。不透明な政治資金の代名詞であり 他党が使途公開や廃止を求めても、首相は「政治活動の自由そのものに関わる」と逃げを打っていると断じています。
さらに「これは、全議員の聞き取り調査や政策活動費の見直しに踏み込めば“派閥解消”で揺らぐ党内事情がさらに悪化しかねないことから、政権保持に固執する首相の本音がにじむ。」としたうえで、来週から来年度予算案の審議が始まることを踏まえ「このまま推移すれば 議論が混在し、かえって国民には分かりづらくなる」と懸念を示していました。
私も全く同意。この未だ不透明な点、そのうえで (私を含む)多くの国民が とてもじゃないが納得していない中、かかる不透明な点 一つひとつを掘り下げ・解明し・不適切な行為に及んだ議員の処遇(処罰)を定め・そのうえで 今後このようなことの無いように法整備の土台づくりを行なうべきでありましょう。
そのうえで 同紙の論説員は「与野党間に 政治改革に向けた「特別委員会」を設けてはどうか」と提唱しています。
企業・団体献金、政党交付金、調査研究広報滞在費(旧文通費)、政治資金収支報告書の公開方法など改変すべき課題は多々あることを踏まえ「政治資金規正法に抜け穴を残し 政治とカネの問題を引き起こしてきた責任は国会にある」ことを自覚したうえで、公開のうえでの審議・外部識者らの意見導入視野に、各党が掲げる〝最も厳しい規制〟を軸に改革案を練ってほしい。」と述べておりました。
私自身も、このまま 語気だけを強め、表面的な殴り合いだけで幕引きをするのではなく いわゆる地に足を着けた議論を行なうためにも「特別委員会」を設置し、未詳・未解決な問題を深く掘り下げてゆくことこそが 国民の求めるところではないかと思うところです。
従前のブログ記事でも触れていますが、高度成長期の頃と異なり 社会経済状況は厳しさを増し、今までのように「良(いい)わ いいわ」で済まされない状況に至っています。
そのうえで、国民自身がクレバー(賢者)となっていることから(現に 今回の裏金問題の指摘(告発)も、民間(人)の大学教授の手によるものでしたよね)、それら賢者を前に このまま逃げ切りというワケにはゆかない。
「あんまり国民を舐(な)めない方がイイよ。」そう思っているのは、私だけではないハズです。