倉野立人のブログです。

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令和6年能登半島地震 =地殻隆起・液状化がもたらす通信遮断や下水問題=

2024-01-17 | 日記

よりによって元日に発生した「令和6年能登半島地震」は、時間経過と共に 人的・物的ともに様々な被害の状況が伝えられてきており、私たちは一様に胸を痛めています。

被害(被災)状況については 報道等でご案内のとおり、家屋の倒壊・土砂崩れ・津波による建屋破壊など いわば目に見える被害はもとより、時間経過が進むうちに 目には見えないものの私たちの社会生活に欠かせない社会インフラの被害が 厄介な「難題」として被災者の前に横たわっており、多くの被災者の(避難)生活にとって 不自由に輪をかける状態になっていることが伝えられています。

その(難題の)代表格が「通信インフラ障害」と「下水道の途絶」ではないか と。

このことについては報道各局も 被災地の深刻な問題として取り上げています。そして それらの被害は、今回の能登半島地震の 悪しけき特徴として挙げられています。

 

 

 

 

ご案内のとおり 今回の「令和6年能登半島地震」は、日本海に面した(突き出た)半島の全域を揺るがす地震となりました。それ(地震)は、建屋の崩壊など いわゆる地表面における多大な被害をもたらすことはもとより、地下(地中)における地殻の大規模な変動により 数メートルに及ぶ隆起が起きるなど、これまでの地震を凌駕する悪しき自然現象に見舞われています。

 

 

 

さらに、主に沿岸部のエリアでは 土地の基礎部分が砂地であり、そこに大量の流体(水)が混入・攪拌(かくはん)されることにより「流動化現象」が発生、土中がうねり ありとあらゆるものが傾き崩れるような「大規模かつ難儀な被害」を及ぼしています。

 

 

 

 

そして、これら「隆起」と「流動化現象」が、被災エリアの生活に欠かせない 通信インフラと下水インフラに大きなダメージを与えていることが伝えられ、見ているこちらまでも頭を抱えたくなる事態となっているのです。

従前には本ブログでも触れましたが 奥能登をはじめとする〝孤立地域〟では、テレビはもとより インターネットなどの通信網が途絶し、物資だけではなく 情報面でも孤立を極めていることが伝えられています。

ムラの識者のIさんに訊くと「これは通信業界で定石の知識だが、基地局が被災等で機能しなくなると、その基地局範囲のインフラ(スマホやネット)は使えなくなってしまう」とのことです。

この(災害の)場合は、電波を受信する場所の基地局の電源が切れたりアンテナが破損したりすると通信インフラは不通に。

とりわけ 土砂崩れ等で孤立した地域は、修理の機器材や人員の投入が難しい状況にあることから 直ちに復旧するのは容易ではないだろう とのことです。

 

 

 

 

この状況に際し、後の報道によると 大手通信社(NTTドコモ・KDDI/AU)は6日から共同で、船舶上に携帯電話基地局の設備を設置した「船上基地局」の運用を開始しているとのことです。

「海底ケーブル敷設船」に携帯電話基地局の設備を設置し、衛星アンテナで受信した電波を船上から発信することで 陸路が絶たれていることから復旧が困難な石川県輪島市の一部沿岸エリアの復旧を図っているとのこと。

 

 

 

 

ただこれも、船上基地局から電波の届く範囲は数キロと限られていいることから 直ちに全域の(通信インフラの)解消というワケにはゆかないようですが、いずれにしても業界も人智を尽くして通信インフラの回復を図っていることが伝えられています。

で…逆にいえば、既存(地上)の基地局が損壊されると 一気に情報社会から取り残されてしまう〝現実〟を見せられた感、私たち〝スマホ依存社会〟の者たちにとっては、何というか生命線を断たれてしまうかの 影響(被害)の大きさを実感させられるところです。

万が一、自分たちの暮らすエリアで そんなこと(通信インフラ途絶)になった日には、さまざまな面で深刻な状況に陥ることは自明であり、それだけに 今まさに〝情報孤立〟に陥っている被災者の方々の不安な心情を思うとき、真に同情に堪えないところです。

 

 

他方、これも代え難く 社会生活に重要不可欠な社会インフラ「下水道」についても、能登半島の被災地の窮状はいかばかりかと こちらも強い同情を禁じ得ないところです。

ご案内のとおり 下水道については、排泄物を流すためには「自然傾斜」が不可欠です。

これ(傾斜)が無かったりすると 排泄物が詰まるなどして流下が儘(まま)ならなくなり、その時点で 公共下水道は使うことができなくなってしまいます。

 

 

 

 

ところが、今の被災地の状況はどうでしょう。

前述のとおり、地盤隆起や液状化現象により 土中はぐちゃぐちゃの状態になっており、下水道の自然傾斜どころか 水平すら保てない状況になっていることでしょう。

 

 

 

 

今回の「令和6年能登半島地震」は、被害状況によっては その量や質ともに、過去の大きな自然災害をも上回る被害ではないかと言われ始めています。

通信や下水道の途絶、この全く別モノの社会インフラの障害は 今後の被災地にとって、ボクシングのボディーブローのように 時間をかけて悪しけくダメージを蓄積させ、被災地(者)を更に困窮に追い込む要因となることが憂慮されています。

関係者・関係機関においては、あらゆる知見を集めて被災者に注力し 一日も早いインフラ回復が成されるよう願うばかりです。

 

 

ところで、さきのニュースで 自衛隊が海外の軍と共同で「降下訓練」を実施したことが報じられ、このことについて識者Iさんと認識を共有しました。

この訓練は、陸上自衛隊第一空挺隊が 上空の飛行機からパラシュート降下したり、双発ヘリにジープなど車両を吊り下げ降下させるもので 自衛隊の年頭行事となっているそうです。

このニュースに触れたとき、私とIさんは「これって…」と顔を見合わせました。

 

 

 

 

これこそ 奥能登で孤立を極める被災地上空に展開し、精鋭の自衛隊員や ジープのみならずユンボなどの掘削機械を吊り下げて降ろし、たとえ道路が寸断されていても「空路」で機器材と人員を投下し、直ちに救援・復旧作業に当たれたんじゃないか。

既に自衛隊員は投入されており「それはそれ これはこれ」との〝別モノ〟ではあろうと思いますが、彼ら(空挺隊)の晴れ姿を映し出す映像を見るにつけ この精鋭たる能力を被災地支援に活かせないものかと 歯がみした二人だったのでした。