倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

行令和6年能登半島地震 =「生命線」の よもやの破断=

2024-01-22 | 日記

よりによって元日に発生してしまった「令和6年能登半島地震」は、各地各所に甚大かつ複合的な被害を及ぼしており、当該エリアは非常に厳しい状況に陥っています。

昨日のブログでも触れましたが、被災地では 避難所・福祉避難所の運営そのものが大変な状況に陥っていますが、その主要因となっているのが 人々の社会生活における生命線でもある「上下水道」の機能不全であると言われています。

このうち「下水道」については 1/17付の記事で触れたとおり(下水道が)自然流下を原理としている中で、地殻隆起や土中の流動化現象等により下水道の機能不全に陥っています。

一方、主に飲料水を供給する「上水道」については ポンプ等で人為的に「圧」をかけることで配給(配水)でき、このことから 土中の状況に関わらずいずれ復旧するハズだったのですが…。

さきの報道で、能登半島地震で震度6強を観測し断水が続く石川県輪島市で 主要な上水道管のうち、耐震性能を持つとされる「耐震管(水道管)」もが〝破断(抜け落ち)〟していたことが分かったとのことなのです。

で…この事実は、被災地はもとより(私も含め)多くの関係者に衝撃をもって伝えられることになったのでした。

 

 

 

これまでも触れているとおり、地震発生から約3週間余が経過し 被災状況が徐々に明らかになる中、これまでは 震度7の揺れでも決定的なダメージは無いと思われていた耐震管が「破断(抜け落ち)」という最悪のダメージを受けていることが伝えられています。

 

 

 

業界紙等の情報によると、最大震度7を観測した能登エリアでは 水道管路の抜けや破断・浄水場の機能停止などの被害が多数確認されているとのこと。

このことについて専門家は「地震動が極めて強かったことから 道路の陥没・隆起や斜面崩壊など地盤(地中)災害が多発、この状況に陥ると(地盤被害が深刻だと)管路を耐震化していても 管路自体の損傷や継ぎ目の抜け落ちなどを防ぎきれない恐れがある」と指摘しています。

例えば、震源地に近い輪島市では 管路に多数の被害が生じました。河川から水を送る導水管などの損傷により 2つの主要浄水場へ原水が届かなくなり、加えて 道路陥没に伴い輪島浄水場と配水池とをつなぐ管路が約300mに亘(わた)り被害が生じたそうです。

 

 

 

 

上水道管については、従来型の「非耐震管」では多くの被害が生じていることはもとより、管路の継ぎ手に〝抜け出し防止機能〟を持つ「耐震管(初期型)」でも、想定の中では震度7でも破断しないハズだったにも関わらず 今回の地震では(破断の)被害に至ってしまいました(一方で、優れた耐食塗装を施した最新型の耐震管や、周辺の地盤の性状を勘案して耐震性があると評価する「耐震適合管」では被害が確認されていないそうです)。

 

 

 

能登エリアで地震被害が大きかった自治体では、水道管や浄水施設が被害を受け、およそ5万世帯で断水が続いており、このうち石川県では 上水道の(仮)復旧は2月末から4月過ぎまで期間を要することが伝えられています。

 

 

 

 

前述のとおり、今回の能登半島地震での「耐震管」の破断(抜け落ち)の発生(事実)は 関係者にとっても大きなダメージとなっているとのこと。

これまで大丈夫とされてきた耐震管が決して万全ではないことが示されたことから、関係者は水道の耐震化について見直しを迫られることになりそうです。

各自治体においては、計画的に管路の更新(耐震化)を行なっていますが、今後 さらなる改良が求められる事になるのでしょうか。

但し、今回の地震が いわばレアケースの面が多いことから、これで直ちに再考を ということにはならないと思いますが〝耐震管絶対説〟には安住できないことになったことは間違いなさそうであります。

 

なお 上水道管の破断や漏水等のチェック作業は、箇所 々 において漏水音などを耳で拾う「音聴調査」によって行なわれ、非常に時間と根気の要される作業となっています。

 

 

 

 

今 被災地には全国の水道局職員が応援に駆けつけていることが伝えられていますが、確実な作業の中で それでも一日も早い水道復旧を果たしていただきたいと期待するばかりです。

 

いずれにしても、(冒頭に述懐のとおり)人々の生活に欠かせないインフラである上下水道。これが復旧しないことには そこから先には進めないところであります。

今の被災の復旧と、新たに見つかった課題への取り組みが焦眉の課題となっています。

対策と新たな課題との厳しいせめぎ合いが続く被災地であります。

 

 

 


令和6年能登半島地震 =震災弱者への対応の難しさ=

2024-01-22 | 日記

よりによって元日に起きてしまった「令和6年能登半島地震」は、日を追うごとに新たな また改めての課題(問題)の数々を 私たちの喉元に突きつけることとなっています。

私たちは、それら課題(問題)に触れるたびに思慮・思考を迫られるところですが、これらは一朝一夕に解決できるものでも無いことから 現地(被災地)の方々と思いを一(いつ)にする中で、やはり悩みを深めるところであります。

この日もまた、新たな課題(問題)を認識させらることになっています。

 

◇いわゆる「災害弱者」たる被災者の方々への対応の遅れ

20日の報道で、被災地における「福祉避難所」の開設が 想定の2割に止(とど)まっている実態が明らかになり、障がい者や高齢者など いわゆる「災害弱者」の方々への支援が、実質 滞(とどこお)ってしまっていることに慚愧(ざんき)の念を深めるところです。

 

 

 
 
 
報道によると、地震被害の大きい石川県内の7市町で 障がい者や高齢者ら配慮が必要な人たちを災害時に受け入れる「福祉避難所」の開設が、想定の2割に止(とど)まっていることが 20日の共同通信による集計で分かったとのこと。
開設する予定だった福祉施設そのものが損壊・断水しているほか、施設の職員自身も被災・避難を余儀なくされ人手が無いなど、設備と人との〝ダブルの不足〟が生じているのが主要因です。
このことについては 1/15付に本ブログでも触れていますが、私自身 昨今の社会状況(情勢)をみたときに、かかる「福祉避難所」の役割は非常に大きくなっていると認識する中で 現下の能登エリアの現状については非常に憂慮の念を深めている一人です。
 
「福祉避難所」とは、災害時において 障がい者・高齢者 さらに乳幼児や妊産婦等の要配慮者のうち、一般の避難所では生活が困難と判断される方々が安心・安全に避難生活が出来るよう、必要に応じて開設される避難所です。
各自治体においては、域内の福祉施設等を福祉避難所として指定し イザというときにはそこへ避難していただくこととなっています。いわゆる「二次避難」のシミレーションです。
 
 
 
 
 
[参考]長野市の福祉避難所について
       ↓
 

福祉避難所

長野市

 

 

 
 
現下の避難のシミレーションにおいては、被災された方々は 一旦近在の避難所に避難していただき、そこで 保健師などの関係者の判断により「福祉避難所」へ移動していただくこと(二次避難)になっています。
私は この〝二重手続き〟自体がいかがなものかと思っているところではありますが、それを別にしても いま現在の能登エリアにおける避難所の状況は〝受け皿自体が2割しか稼働していない〟とのこと…これでは災害弱者への適切な支援が充足されることは至難であり、現地の窮状はいかばかりかと思うところです。
 
一方で、支援の対象となる いわゆる災害弱者の方々においても、避難についての課題を抱えておられることが伝えられています。
現在 主たる被災地となっている石川県においては、被災者に対し 近在で被災に無い場所の宿泊施設等へ一時的に移っていただく「二次避難」を促していますが、それに応じる被災者が全体の2割程度しか無いとのこと。
そこには、住み慣れた場所を たとえ一時的でも離れたくないとの情緒や、家財の管理(盗難)の心配 また仕事やペット問題などの抜き差しならない要件があるとのことですが、他方 これは心療内科的な視点で「リロケーションダメージ」への懸念(心配)があるそうです。
 
「リロケーションダメージ」とは、急激な環境変化に適応できずに 心身に不調をきたす状態のことです。
高齢者においては 慣れ親しんだ田舎暮らしから施設などの異環境に移ることで、それが認知症やうつ病の引き金となってしまう。
また 障がい者においては(異環境に移ることで)パニック障害や自傷行為など、デリケートな日常生活に大きな支障を来(きた)してしまうことになることがあるそうなのです。
現場の中継では、障がい者の方々が行き場を失ない 壊れ傾いた状態の施設に留まっている様子が伝えられ、心を痛めたところでありました。
(ただ このことについては、二次避難所の損壊とは別に 障がい者さんらの他への適応にそもそもの課題があることも また現状ですが)
 
 

 
 
 
 
 
このように、今回の「令和6年能登半島地震」においては 最も手を差し伸べるべき「震災弱者」に対する支援が、その大義と裏はらに遅滞していることがクローズアップされることになっています。
そのうえで今回の震災は 今までの災害とまた違った難儀さを有していること、社会インフラの破断により避難生活も長期化の様相となっていることから、前掲の災害弱者支援は 今後なお一層顕著になってくることが憂慮されます。
 
また 他々方、特に福祉人材の不足に鑑み 周辺自治体の福祉職員を派遣する動きがありますが、ただでさえ慢性的に不足する人員を動かすことは 派遣する域内の人材不足を招くことにもなり、そこに抜本的な問題も感じさせられています。
こういう〝イザというとき〟に、わが国の介護・福祉の悪しき(慢性的な不足)状況を再認識せざるを得ないところです。
 
 
・・・・・・。
これまでも触れているとおり、災害からは避難できたものの その後の状況によっては「災害関連死」に陥る人たちが出ることが憂慮されています。
そんな中「福祉避難所」の未達状態は、今後の被災者支援の行方にとって大きな不安材料でありましょう。
このままの推移のうちに 支援を受ける人も支援する人も〝共倒れ〟にならぬよう、自治体任せで無く 所管省(厚労省)の早期のテコ入れが求められるところです。