よりによって元日に発生してしまった「令和6年能登半島地震」は、各地各所に甚大かつ複合的な被害を及ぼしており、当該エリアは非常に厳しい状況に陥っています。
昨日のブログでも触れましたが、被災地では 避難所・福祉避難所の運営そのものが大変な状況に陥っていますが、その主要因となっているのが 人々の社会生活における生命線でもある「上下水道」の機能不全であると言われています。
このうち「下水道」については 1/17付の記事で触れたとおり(下水道が)自然流下を原理としている中で、地殻隆起や土中の流動化現象等により下水道の機能不全に陥っています。
一方、主に飲料水を供給する「上水道」については ポンプ等で人為的に「圧」をかけることで配給(配水)でき、このことから 土中の状況に関わらずいずれ復旧するハズだったのですが…。
さきの報道で、能登半島地震で震度6強を観測し断水が続く石川県輪島市で 主要な上水道管のうち、耐震性能を持つとされる「耐震管(水道管)」もが〝破断(抜け落ち)〟していたことが分かったとのことなのです。
で…この事実は、被災地はもとより(私も含め)多くの関係者に衝撃をもって伝えられることになったのでした。
これまでも触れているとおり、地震発生から約3週間余が経過し 被災状況が徐々に明らかになる中、これまでは 震度7の揺れでも決定的なダメージは無いと思われていた耐震管が「破断(抜け落ち)」という最悪のダメージを受けていることが伝えられています。
業界紙等の情報によると、最大震度7を観測した能登エリアでは 水道管路の抜けや破断・浄水場の機能停止などの被害が多数確認されているとのこと。
このことについて専門家は「地震動が極めて強かったことから 道路の陥没・隆起や斜面崩壊など地盤(地中)災害が多発、この状況に陥ると(地盤被害が深刻だと)管路を耐震化していても 管路自体の損傷や継ぎ目の抜け落ちなどを防ぎきれない恐れがある」と指摘しています。
例えば、震源地に近い輪島市では 管路に多数の被害が生じました。河川から水を送る導水管などの損傷により 2つの主要浄水場へ原水が届かなくなり、加えて 道路陥没に伴い輪島浄水場と配水池とをつなぐ管路が約300mに亘(わた)り被害が生じたそうです。
上水道管については、従来型の「非耐震管」では多くの被害が生じていることはもとより、管路の継ぎ手に〝抜け出し防止機能〟を持つ「耐震管(初期型)」でも、想定の中では震度7でも破断しないハズだったにも関わらず 今回の地震では(破断の)被害に至ってしまいました(一方で、優れた耐食塗装を施した最新型の耐震管や、周辺の地盤の性状を勘案して耐震性があると評価する「耐震適合管」では被害が確認されていないそうです)。
能登エリアで地震被害が大きかった自治体では、水道管や浄水施設が被害を受け、およそ5万世帯で断水が続いており、このうち石川県では 上水道の(仮)復旧は2月末から4月過ぎまで期間を要することが伝えられています。
前述のとおり、今回の能登半島地震での「耐震管」の破断(抜け落ち)の発生(事実)は 関係者にとっても大きなダメージとなっているとのこと。
これまで大丈夫とされてきた耐震管が決して万全ではないことが示されたことから、関係者は水道の耐震化について見直しを迫られることになりそうです。
各自治体においては、計画的に管路の更新(耐震化)を行なっていますが、今後 さらなる改良が求められる事になるのでしょうか。
但し、今回の地震が いわばレアケースの面が多いことから、これで直ちに再考を ということにはならないと思いますが〝耐震管絶対説〟には安住できないことになったことは間違いなさそうであります。
なお 上水道管の破断や漏水等のチェック作業は、箇所 々 において漏水音などを耳で拾う「音聴調査」によって行なわれ、非常に時間と根気の要される作業となっています。
今 被災地には全国の水道局職員が応援に駆けつけていることが伝えられていますが、確実な作業の中で それでも一日も早い水道復旧を果たしていただきたいと期待するばかりです。
いずれにしても、(冒頭に述懐のとおり)人々の生活に欠かせないインフラである上下水道。これが復旧しないことには そこから先には進めないところであります。
今の被災の復旧と、新たに見つかった課題への取り組みが焦眉の課題となっています。
対策と新たな課題との厳しいせめぎ合いが続く被災地であります。