倉野立人のブログです。

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令和6年能登半島地震 避難所に見た〝違和感〟

2024-01-21 | 日記

よりによって元日に起きてしまった「令和6年能登半島地震」は、発災から20日余りが経過し、未だ被害の全容が明らかにならないまま 被災者の方々は不自由な避難生活を余儀なくされています。

とりわけ、住む処(ところ)を失なってしまった被災者については 域内の学校施設等の体育館等に着の身着のままに身を寄せ 日々を凌(しの)いでおられることが報じられ、見ているこちらまで心が痛むところであります。

 

そんな中 数日前から私は、避難所の様子を映す映像を見るにつけ ある違和感を禁じ得ませんでした。

そらくは域内の学校の体育館と覚(おぼ)しき避難所。そこには多くの被災住民の方々が身を寄せておられます。

で、その映像を見るにつけ、感じられる違和感は…。

 

 

 

被災者の方々の布団の殆(ほとん)どが、床に直(じか)に敷かれており、いわゆる〝雑魚寝状態〟となっているのです。

こちらの画像も同じ。各スペースの敷布団は、床に直に敷かれています。

 

 

 

 

これらを見て、私は思いました「なぜ段ボールベッドが設置されていないんだろう?」

「段ボールベッド」は、過去の大災害の教訓から 地域の避難所に常備されるようになっている簡易ベッドです。

軽量かつ収納が容易で 見た目より丈夫で寝心地も(床に直より)悪くない段ボールベッドは、避難所におけるマストアイテムとしてクローズアップされており、最近の災害においては 避難所設営と同時に設置されるべき必需的存在となっています。

 

 

 

段ボールベッドの設置により、床から数十センチの高さが確保でき、それは いわゆる〝底冷え〟の軽減・また 床から舞い上がる埃(ほこり)の吸い込み軽減・さらには 主に高齢者の〝起き上がり〟が容易にできるなどの様々なメリットがあることから、とりわけ高齢者には早速の支給(設営)が求められるところです。

 

ところが 能登の避難所の映像を見る限り、現時点で 段ボールベッドが普及している様子が見られない…これはおかしいと思わざるを得ないところでありました。

と 思っていたら、その後のニュースで この件についての〝後手対応〟が報じられることとなり、歯がみさせられることとなったのでありました。

どうやら、被災地の自治体と業界団体との連絡が滞ってしまったようなのです。

 

 

 

 

報道によると、被災地となった石川県は 災害時に段ボールベッドを提供してもらう協定を、名古屋市の業界団体と結んでいたとのことです。

ところが実際には、輪島市や珠洲市(すずし)など 被害の大きい6市町の指定避難所248か所に対し、発生から1週間が経(た)っても この団体から段ボールベッドが供給されていませんでした。

このことについて業界団体は「石川県の依頼で発送する取り決めだが、連絡が無かった。」とのことで、それについて石川県は「段ボールベッドの手配は 国に依頼した。」とのこと。

その後、最近になって国から業界団体に要請があり 発送の運びとなっているそうです。

このチグハクな対応は、いったい誰のせい とすればいいのでしょうか。

業界団体は、県の指示待ちで動かず(百歩譲って動けなかった)・県は国に投げた(頼んだ)のでそっちの裁量で手配してくれ・で、国は国で 忘れていたのか手が回らなかったのか…。

いずれにしても、泣かされたのは 一番に手が差し伸べられるべき被災者の方々でありました。

 

このことについて、その〝タライ回し感〟に絶望すると同時に、そもそも自治体で備蓄していなかったのか疑問を抱かされたところです。

災害が起きてから名古屋市の業者に依頼?途中のインフラ(陸路)が途絶していたらどうする?空路?業者が避難所の住所ごとに配送?それとも県庁に届いてから避難所に仕分け?

順調に依頼がされたとしても、時間的ロスは少なくないところでありましょう。

「段ボールベッド」については 少なくとも地域ごとに適当数が備蓄されているべきであり、被災者全員とまではゆかないまでも、せめて高齢者などの社会的弱者には 避難所入りと同時に供給されるような体制ができていなければならないでしょう。

長野市においては、市内に遍在する「災害備蓄庫」に それぞれ段ボールベッドが備蓄されており 石川県のような後手にはならないことになっていますが、そもそも〝地震多発エリア〟とされる能登半島の自治体が こんなことになっているとは…見通し(予測)が甘かったとの誹(そし)りは免れないところでありましょう。

 

まだまだ、これからも続く 厳しい避難生活。

そのうえで 従前も触れましたが、被災後1~3ヶ月のうちには「災害関連死」が急増する悪しきパターンが懸念されることになっています。

各避難所には、一日も早く段ボールベッドが届けられ せめて〝雑魚寝〟から改善が為(な)されるよう願うばかりです。

 

このように、各避難所の模様(状況)は 対岸の火事ならぬ「他山の石」としなければなりません。

課題が見える分、全ての者が自分事と捉えることが期されています。