要となる智を継ぐもの

株式投資についてつらつらと書くブログ(走り書き)。誤字脱字計算間違い多数。補正・修正は読み手側でしてください。

解散価値が必要になる時。

2011-01-22 22:31:29 | 投資日記
解散価値が必要になる時っていうのは、会社が解散する時なんですが、果たしてくるのだろうか?多分来ない気がする。
それよりも、用途用途に応じて的確に必要な指標を作り出し、財務諸表から引出して展開できる方が重要。

例えばちょっと前の中堅マンションデベの倒産劇。あそこで必要だった指標は解散価格ではなく、棚卸資産の下落にどれだけ耐えられるかどうかの耐久性を測る指標だとか、売残りによる資金繰りの悪化にどれだけ耐えられるかどうかの指標だとか、その他の資産で流動性が高く容易に返済に充てられるだとか、そう言うピンポイントの指標の方が重要だったのではないかと思う。勿論、解散価値も大事だけど。


バリュー投資の落とし穴

2011-01-22 21:23:20 | 投資日記
バリュー投資の落とし穴、それはリターンを市場の自浄効果に委ねている点。

産業資本市場にせよ、金融資本市場にせよ、バリュー投資はこれらがしっかり競争原理を機能させて自浄させる事を前提にした投資であると言える。資本は主に二つの市場を循環する。循環する中で研磨され平準化されていく。河原の石ころみたいにまるくなり皆同じような形になる。水量にもまれて角が取れて特徴が無くなる。資本にも同じ事が言える。ただ、逆に言えばこれが働かなければ駄目だと言う事。そして働かない事も結構ある。

例えば最近の金融市場の例で言えば、過去2-3年間、バリュー系指標は意味をなさなかった、と言うか、むしろ劣っていたし、過去10年間を通してみても、割高企業は引き続き割高であり、割安企業も引き続き割安であった。(※下記はPBRを3位に分けてその後のリターンを追跡したもの、第2位とのベンチマークで第1位と第3位を表示している。)



確かに、全体としてスプレッドは縮小する傾向にあるが、やはり実際の調整にはかなりの時間がかかる。

あ、でもこれは金融市場マターと言うよりも産業資本マターの部分が大きいかもしれない。要するに、利益率はそんなに簡単に変わらず、高い利益率を出す企業は引き続き高い利益を出している、と言う事が言えるかもしれない。その逆もしかり。前のエントリーで提示した図を参照頂きたい。高収益企業の次の5年の“利益の平均値”はやはり一般企業のそれと比べて高くなるし。後、産業資本市場で言えば、死亡する資本と言う物もあるのを忘れてはいけない。割安株であるのはそのリスクを内包している可能性が高い。例えば直近の中堅マンションデベの死亡劇。あれはバリュー株と言えばバリュー株だがバリュー株では無い。

まぁ、いずれにせよ、調整の波は穏やかで時折、逆を行く。さらに長期的にもその逆行が継続する可能性もある。そしてその間に死亡する企業も出てくる可能性がある。もしかしたら戦争で市場どころでは無くなっているかもしれない…いずれにせよ、これらをいかに耐え、逃げ、マネージするかがバリュー投資家の腕の見せ所なのかもしれない。


※因みに産業資本=一般企業の帳簿に載っている資本の事。“価値”に近い。
※因みに金融資本=流通市場における一般企業の株券の売買に使われる資本の事。“価格”に近い。

売上があるのであれば黒字化は達成可能。

2011-01-22 18:50:20 | 投資日記
どんなに糞みたいな会社でも売上が立っているのであれば利益を生む余地はある。売上営業利益率10%はどこでも可能。売上の分(付加価値分)、客から必要とされているのであるのだから。後は社内の問題。人を切るなり合理化するなりすればよみがえる可能性は高い。

例えば、企業が赤字と言うのは家計簿が火の車の状態。生活保護を受けない程度の収入があるのであれば支出を削れば貯蓄は出来る。

…見たいな事をアメーバ経営(京セラ会長の著書)で読んだ気がする。ふと思い出した。


バリュー投資は二重の競争原理を糧にする。

2011-01-22 18:45:50 | 投資日記
市場原理を追い風にするのがバリュー投資。競争原理が働いた市場にある資本は原則として“平等”に評価される。即ち、資本当たりの利益率は収斂する。

収斂すると言う事は、高収益の資本は低収益になり、逆に低収益の資本は高収益になり、平均利益率に収束すると言う事。だからこそバリュー投資が儲かる。金融市場でも産業資本市場(実経済)でもそう。二重の競争原理をその超過リターンの糧とする。

投資家と経営者。

2011-01-22 18:35:55 | 投資日記
PERを意識しない投資家は利益率をみない経営者と同じであり、PBRを意識しない投資家は自社、買収先の資産価値を知らない経営者と同じ。成長率ばかりみる投資家は、売上市場主義の経営者と同じ。

ルックスルーから見るポートフォリオ構成に関して

2011-01-22 17:53:10 | 投資日記
同じ投資額でもリンクする産業資本は量、価値共に全く違う。

ちょっと面白い例として、割高銘柄で構成されたポートフォリオを組んでみた。んで、その内情をグラフにしてみた。それがこれ。



投資先としては高PBR高PER銘柄。主としてIT系をメインに7社で構成。

まず見て頂きたいのはグラフの右側。順調に利益が積み増されている。ルックスルー利益の成長率はここ5年間で3倍にもなった。素晴らしいの一言。これに付きます。しかしながら、成長率は遁減。70%の成長率が今では30%程度に。今後も下がりつづけていくでしょう。

さて、次に見て頂きたいのはグラフの左側。1050万と言う投資額に対して紐付く資本の額は115万円。売上も100万程度、利益に至っては30万円。こんな消費税にも満たない利益が年率30%で成長したとしてもたかが知れているわけです。しかもその利益成長はどんどん落ちていく。行きつく利益額はせいぜい50万程度でしょう。

1000万に対して50万は大して悪くありません。PERで言えば20倍程度なので、まぁ株価が落ちても利益率が変わらなければ50%程度の下落で踏みとどまるでしょう。しかし、利益率が落ちたらどうなるでしょうか?売上100万に対して税引後利益で30万と言う事は、売上営業利益は60%と言う事になります。正直、ドル箱です。ドル箱には競争相手が群がり持続的に牙城を切崩す為に資本が投入され、新たなトレンドや技術も矛先を向けます。事実、こう言うドル箱事業は新興ビジネスに多いです。次の新興ビジネスの餌食の対象になるかもしれません。そうしたらアウトですね。って、これは勝手な私の解釈ですが…。因みに利益もやっぱり年を経るごとに落ちます。こんな感じです。高収益で踏みとどまれるのは大体15%で残りの85%は転げ落ちます。その転げ落ち先も幅広く、過半数以上は10%以下の利益率になります(※過去5年間の統計、税引後営業利益ベース)。



利益率が無くなった時に株価下落の防御壁になるのは資本です。その資本は投資額の10分の1しかない。いざという時本当に死んでしまいます。さらに投資額1000万、年間利益50万であれば回収するのに20年かかります。もうその頃にはドル箱もないでしょう。その頃には、この銘柄群も未来の低PBR低PERになっている可能性があります。


逆に割安銘柄でポートフォリオを固めた場合はどうでしょうか。一例として同額の投下資本を低PER低PBR銘柄に投下し作ったものがこれです。



投下資本にリンクする産業資本は2000万超、利益は300万程度、利益率こそ成長は無いものの安定しています。とはいえ、やっぱりROEが高いのでこれもかなりの確率で減益となるでしょうが、それでもボチボチの利益は期待できます。


このように、同じ投資額でも投資先によっては歴然の差が生まれます。どちらに賭けるかは投資家の判断次第です。が、各投資家はそれぞれ目標とするリターンを持っていると思います。その目標リターンと現状のポートフォリオから得られるリターンのギャップを認識し、そのギャップが如何にして埋められるかを考え、その妥当性を考えるのは非常に有意義な事だと思います。

未来に投資の利益を確定させるのであれば、その株を誰かに売らなければなりません。では、買手が妥当に買い取ってくれるには企業がどんな状態である必要があるのか、どんなPBRどんなPERならば、買手が付くのかをもっと考えるべきではないかと思います。決して楽観視してはいけません。高PBRならば並のPBRに補正して考えなければなりません、PERにしても同じです。ROEだって同じです。成長率も低下します。人間と同じです。いつまでも成長期の企業なんていません。全てが変わった時に付く価格はいくらなのか、どうある必要があるのか、それをもっと考える必要が…って道がそれたのでここらへんにします。


あ、でも、割高株の中には本物のスターもいるかもしれません。