要となる智を継ぐもの

株式投資についてつらつらと書くブログ(走り書き)。誤字脱字計算間違い多数。補正・修正は読み手側でしてください。

バリュー投資の落とし穴

2011-01-22 21:23:20 | 投資日記
バリュー投資の落とし穴、それはリターンを市場の自浄効果に委ねている点。

産業資本市場にせよ、金融資本市場にせよ、バリュー投資はこれらがしっかり競争原理を機能させて自浄させる事を前提にした投資であると言える。資本は主に二つの市場を循環する。循環する中で研磨され平準化されていく。河原の石ころみたいにまるくなり皆同じような形になる。水量にもまれて角が取れて特徴が無くなる。資本にも同じ事が言える。ただ、逆に言えばこれが働かなければ駄目だと言う事。そして働かない事も結構ある。

例えば最近の金融市場の例で言えば、過去2-3年間、バリュー系指標は意味をなさなかった、と言うか、むしろ劣っていたし、過去10年間を通してみても、割高企業は引き続き割高であり、割安企業も引き続き割安であった。(※下記はPBRを3位に分けてその後のリターンを追跡したもの、第2位とのベンチマークで第1位と第3位を表示している。)



確かに、全体としてスプレッドは縮小する傾向にあるが、やはり実際の調整にはかなりの時間がかかる。

あ、でもこれは金融市場マターと言うよりも産業資本マターの部分が大きいかもしれない。要するに、利益率はそんなに簡単に変わらず、高い利益率を出す企業は引き続き高い利益を出している、と言う事が言えるかもしれない。その逆もしかり。前のエントリーで提示した図を参照頂きたい。高収益企業の次の5年の“利益の平均値”はやはり一般企業のそれと比べて高くなるし。後、産業資本市場で言えば、死亡する資本と言う物もあるのを忘れてはいけない。割安株であるのはそのリスクを内包している可能性が高い。例えば直近の中堅マンションデベの死亡劇。あれはバリュー株と言えばバリュー株だがバリュー株では無い。

まぁ、いずれにせよ、調整の波は穏やかで時折、逆を行く。さらに長期的にもその逆行が継続する可能性もある。そしてその間に死亡する企業も出てくる可能性がある。もしかしたら戦争で市場どころでは無くなっているかもしれない…いずれにせよ、これらをいかに耐え、逃げ、マネージするかがバリュー投資家の腕の見せ所なのかもしれない。


※因みに産業資本=一般企業の帳簿に載っている資本の事。“価値”に近い。
※因みに金融資本=流通市場における一般企業の株券の売買に使われる資本の事。“価格”に近い。
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