大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

労働者自主福祉運動のすすめ(5)

2015年07月16日 | 労働者福祉


福澤諭吉は慶應義塾の創設者で啓蒙思想家、教育者として知られた人です。
その福沢諭吉と労働組合との直接的関係はありませんが、福沢諭吉は1894年米国ユニテリアン教会のマッコレー牧師らを支援し、東京三田にユニテリアン教会・惟一館を建設します。
このユニテリアン教会・惟一館で鈴木文治は1912年「友愛会」を設立します。
鈴木文治は友愛会を創立したとき、ユニテリアン教会職員であり、マッコレー牧師の秘書でした。
高野房太郎も片山潜も渡米し労働運動を学ぶだけでなく、その思想的背景としてキリスト教の影響を大きく受けていました。
ユニテリアン教会は、キリスト教プロテスタントの主要な一派ですが、その思想はカトリックとは大きく異なります。
あくまでも「神を合理的に理解する」という“理神論”者たちのグループで、「イエスキリストの生き方と言葉を極めて素晴らしいものとして崇め尊重」しています。
これらのことを考えるとどんな運動にもしっかりとした哲学なり思想が必要です。
福沢諭吉とユニテリアンとの関係についても興味深いものがありますが、それはまた後日調べてみたいと思います。

創立当初の友愛会は共済組合的な性格をもつものでした。
その後、賀川豊彦らも加わり大きく発展していき、1921年松岡駒吉により友愛会は「日本労働総同盟」と改められます。
労働運動も先鋭化して争議も多発したり、組織が分裂を繰り返したりしますが、戦争の拡大とともに激しい弾圧を受けて1940年解散します。
そしてそのまま敗戦の1945年を待つことになります。