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労働者自主福祉運動のすすめ(2)

2015年07月09日 | 労働者福祉
Q1 労働者自主福祉運動とは何ですか?



戦後、最初に「労働者福祉」を定義したのは、1960年に労働団体と労働者自主福祉団体により編集された『労働運動と福祉活動』であるとされています。
その中で「労働者福祉」とは「企業の枠を超え、労働者の組織と資金で運営を行っている自主的な事業運動」と規定しています。
これは、労働組合等によりに設立されてきた生活協同組合、労働金庫、全労済など、共助組織である事業団体およびその活動を意味するもので、「労働者福祉」と「労働者自主福祉」は同じ意味で使っています。

一方、運動団体である中央労福協(当時は「労働福祉中央協議会)」は、1962年、労働者自主福祉事業を労働運動の一環として統一して位置づけるため「労働者福祉の概念」を提起しました。
ここでは、「労働者福祉運動」を(1)政府に対する社会保障充実の取り組み、(2)企業内福祉要求、そして(3)労働者自主福祉団体による事業を含むものとして定義しました。
いわば、「労働者福祉運動」は、すべての労働者を対象とした年金等の社会保障制度要求行動とともに、労働者自主福祉事業の取り組みを含む広い概念としてとらえています。
この提起は、12年の議論を経て1974年に確認された、「労働者福祉運動の基本理念と労福協のあり方」に引き継がれました。

日本女子大学名誉教授の高木郁郎氏は、「労働者福祉」を人々の「幸福追求権」(憲法第13条)から言及し、「福祉の対象者としての労働者と、福祉の主体としての労働者の両面を兼ね備えなくてはならない。この両面を備えてこそ、個々の労働者が幸福を追求するための社会的な支援システムとしての実態を形成する」としています。
つまり、「労働者福祉運動」とは、個々の労働者が日常的に幸福を追求することができるような福祉の体制(労働者のための福祉)を労働者自身が関与して(労働者による福祉)つくり上げていく運動でなくてはならないとしています。


私たちは、「労働者福祉運動」と「労働者自主福祉運動」を同義とし、働く者の「安心・共生の福祉社会」にむけて取り組む「労働者による」「労働者のため」の運動ととらえます。
しかし、これらの多様な諸課題を労働組合、労働者自主福祉団体だけで担うことはできません。
課題によっては、制度の充実を政府、自治体に求めるもの、労働組合が使用者に求めるもの、労働者自主福祉事業がそのニーズに対応すること、協同組合間の協同、NPOなど連帯組織と連携して行うこと、民間企業およびそのCSRに期待するもの、など複線型の手法で解決をめざさなくてはなりません。

そのためには、多様な団体とネットワークを作り、労働者の主体的取り組みの中で、労働者の「福祉」イコール幸せの実現に取り組んでいくことが労働者自主福祉運動と考えます。
このため、私たちは労働組合と労働者自主福祉事業団体の連携を強化し、それぞれの持つ特性、役割を発揮するとともに、多様な市民団体とのネットワークを進め、労働者自主福祉運動を進めています。