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景気指標からみえた“気がかり”

2013年12月19日 | 経済
毎週月曜日の日経新聞朝刊には「景気指標」が掲載されています。
アベノミクスの経済政策がどのようなかたちで私たちの実生活に反映されているかを数字によって確認できます。
それをみてどのように解釈するかは人それぞれですが、時々「景気指標」を眺めて、自分なりの解釈をしてみることも頭のトレーニングになります。
またここには日経経済部なりの分析もありますので大いに勉強させられます。

今週は「円安でも弱含む輸出のなぜ」というタイトルでした。
円安なのに、日本の輸出が弱含んでいるのはなぜか?
円相場は昨年12月時点より2割程度の円安で推移しているが、輸出数量の足踏みは1年経過してもなお続いており、貿易赤字も毎月1兆円を超えています。
その原因を二つあげています。
ひとつは、円安で高まった価格競争力を埋められないほど産業の競争力が低下しているということ。
もうひとつは、日本の製造業の海外生産シフトと現地化が進み、日本からの輸出が増えにくくなったということ、です。
そしてそれなのに企業利益が好調なのは、国内の売上高が減っても、経営のグローバル化の果実として海外現地法人からの配当が加わることで「減収増益」になりやすいということも解説しています。


これらはデーターから読み取れる事実です。
ここから先はデーターをみて、私なりに感ずる“気がかり”です。

まずは「国内総生産」、俗にいうGDPで国内で産み出された付加価値の総額です。
実質成長率の推移をみると、1~3月4.5%、4~6月3.6%、7~9月1.1%で、減速傾向にあります。

「設備投資」、これは企業の投資意欲を示します。
1~3月▲5.2%、4~6月1.4%、7~9月2.3%で若干上向いていますが、営業利益の1~3月2.4%、4~6月11.1%、7~9月25.2%と比べると企業の消極的姿勢がわかります。

個人消費を「消費支出」でみてみると、5月▲1.6%、6月▲0.4%、7月0.1%、8月▲1.6%、9月3.7%、10月0.9%といずれも弱含みで、依然として家計の財布のひもは緩んでいません。

アベノミクスが目指すデフレ脱却はどうかを「企業物価指数」と「消費者物価指数」でみてみます。
いずれも前年比でみると、「企業物価指数」は5月0.6%、6月1.2%、7月2.2%、8月2.3%、9月2.2%、10月2.5%と、卸売物価は一応日銀目標の物価上昇2%を達成しています。
「消費者物価指数」はとみれば、5月0.0%、6月0.4%、7月0.7%、8月0.8%、9月0.7%、10月0.9%と安定していますが、逆にいえば企業が物価上昇分を価格転嫁できない現れでもあります。

円安の影響は「輸入物価指数」に明確に現れます。
5月14.1%、6月13.6%、7月18.7%、8月17.1%、9月17.8%、10月16.6%と輸入品の価格は高騰しています。

極端に増えているのは日銀が発行しているお札、それは「マネタリーベース」でみてとれます。
前年比でどのくらいお札の量が増えているのか、5月31.6%、6月36.0%、7月38.0%、8月42.0%、9月46.1%、10月45.8%、11月52.5%とお札の印刷だけは大盤振る舞いです。

そしていよいよ来年4月から消費税が増税となります。
景気が悪かろうがよかろうが増税は決定されています。
私の“気がかり”はますます大きくなってしまいました。