クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

塾の“夏期講習”は夏の風物詩? ―はにゅう詩情―

2014年08月19日 | 民俗の部屋
夏休みの過ごし方の一つとして「塾」があった。
受験生の頃、通っていた塾では夏期講習があって、
ぼくにとってはハードスケジュールだった記憶がある。
学校の授業よりも机に向かってなければならないのだ。
勉強というより、修行に近かった気がする。

夏期講習だけの参加の同級生がいた。
普段はその塾に通ってはおらず、夏期講習だけ申し込んだという。
同じクラスでも部活でもなく、
ほとんど接点のない同級生と言葉が交わせるようになったのは、
夏期講習ならではだったと言える。

自然、他校の同級生とも面識ができる。
塾が一緒でなければ、出会うことはなかったであろう人たちだ。
学校の勉強が好きでも得意でもなかったぼくは、
塾の効用はそんなところにあったと思う。

夏期講習は、朝早くから夕方までみっちりお勉強である。
実質10日間くらいのスケジュールだったろうか。
具体的な日数は覚えていないが、
感覚としてはまるまる夏休みに講習へ行っていた気がする。

ささやかな楽しみと言えば、
塾が終わったあとに同級生たちと買い食いをすることくらいだ。
当時は近くにコンビニがあって、
そこがたまり場のようになっていた。
フロート、ポテト、アイスなどと、疲れた頭に糖分を流し込んだものである。

夏期講習はいまや風物詩の一つに数えられるかもしれない。
全ての人に当てはまるわけではないが、
書店へ行くと夏期講習の案内が並んでいるのを見掛ける。
学校でも講習があって、全く勉強しなくて過ごせるわけではない。
完全に自由よりは、ある程度の縛りがあった方が
夏休みに張りがあったと思う。

受験生にとっては、張りも何もないだろう。
学生が終わっても、試験勉強に追われる大人はたくさんいる。

ぼくが行っていた塾はいまもあって、歴史を刻んでいる。
今年も夏期講習はあったのだろう。
塾との接点はとんとなく、
専任講師になったという先生はいまでもいるのだろうか。

不思議なもので、当時講師に来ていた大学生が職場の先輩になっていたりする。
顔を合わせる同級生もいる。
塾の延長線上につながる縁がある。
あの夏、塾の窓から見上げた入道雲は、
いまも消えずに空高く昇っているのかもしれない。
コメント
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