クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

ナスやキュウリの馬に乗って夏が帰る? ―はにゅう詩情―

2014年08月17日 | 民俗の部屋
道ばたに立てられたナスやキュウリで作った馬を見ると、
お盆が終わったことを実感する。

お盆が過ぎれば、夏休みも後半。
全力で遊ぶか、宿題に追われるか、
それとも勉学と遊びをバランス良く過ごすかは、
その人の性格によるのだろう。

先祖や新仏の霊を迎えたのならば、また送り出さなければならない。
ずっとそのまま家にいるわけではない。
送り出すのは8月15日や16日が多いが、決まっているわけではない。
8月の終わり前後に送るところもあるが、
それは仕事の関係でもあるようだ。

ナスやキュウリで馬を作り、道ばたに置く。
先祖たちはそれに乗って帰るという。
家によっては、墓地へ持っていって埋めたり、川に流したりする。
盆棚に飾ったものを墓地で燃やす家もあるが、
これは時代と共に難しくなっているかもしれない。

先祖たちを送った翌日は休みとされ、ボンガラ、オサイニチなどと言った。
就いた仕事にもよるだろうが、
農業を営む家が多かった時代は、
この日は女性ものんびり休んでいたらしい。
とは言っても、落ち着かなかったかもしれないが……

お盆は一つの境界で、この期間を過ぎると秋の気配が強くなっていく気がする。
むろん、暑いは続いているのだが、
早いところだと稲刈りが始まっているし、
カブトムシの姿も見掛けなくなっていく。
ナスやキュウリの馬で去っていくのは先祖たちの霊だけでなく、
夏も一緒なのかもしれない。
コメント (1)
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