クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

お寺で関宿城本丸の建物を見ることができる?

2014年08月08日 | 城・館の部屋
城跡に足を運ぶと、現在に残る堀や土塁、石垣を目にすることがある。
ただ、天守閣や整備された城跡を除き、
往古から残っている建物を見るのは難しい。

城跡に佇み、一体ここにどんな建物があったのだろうと思う。
現存する建物がないわけではない。
ただ、それは江戸期に建設されたものがほとんどだ。

実相寺(千葉県野田市)の境内にある客殿は、
関宿城本丸の一部と言われている。
建造は宝暦6年(1709)で、むろん江戸期だ。
千葉県内で本丸の建物が現存するのは、この実相寺だけだという。

城からお寺へ移築されたのは明治4年のこと。
いまとなっては貴重な「資料」である。
かつて城内に威風堂々と建っていたのだろう。

ちなみに、簗田氏が関宿城主だった戦国時代の建物は現存していない。
もしかすると材料の一部として使われ、
現在まで伝わっているものがあるかもしれないが、
管見によると見たことも聞いたこともない。

なお、実相寺は元は水海にあったのだが、
簗田氏が関宿に入った際に関宿へ移されたという。
また、同寺は江戸中期以降に関宿城主だった久世氏の菩提寺であった。
代々信仰が寄せられ、手厚く保護されてきたのだろう。
そんな実相寺に残る関宿城本丸の建物には、
いまでも城主たちの志と魂が、脈々と生きているのかもしれない。


実相寺の山門(千葉県野田市)
最初の写真は客殿


鐘楼堂
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