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久保美緒のブログ

日々思うこと、感じること、考えること

2018年最後の仕事 おしまい! 

2018-12-31 | ピアノ
2018年12月31日(月)

本年最後の仕事。
今年は、暮れに誰も大きく体調を崩さなかったので、比較的落ち着いて取り組めました。

しかし、年々如何にして手を抜くかに情熱を燃やしつつある中での取り組みでしたので、出来ばえは例年とさほど変わらず、、。

そして、こうして写真にしてみると、つくる人間の性格がよく表れているなあと、我ながら苦笑い^_^;









2018年は、私にとっては 山あり谷あり起伏の激しい一年で、大変なこともたくさんありましたが、今思えば、これまでにない新しい世界の扉を開いていただいた、そんな出逢いが多かった幸せな年だったようにも思います。

自分は、何者でもない ということに立ち返ることができたことが、一番の収穫だったといえるかもしれません。

色々な人たちの助けあってこその毎日、本当にありがとうございました。



こうしている間にも、師走のどさくさに紛れて(というかいつもですけどね)、卑怯としかいいようのない手法で、国民を馬鹿にした様々なことをやってのけていくこの国の政治には、相変らず憤りを覚えます。
個人的な忙しさだけに身も心も奪われてしまわないよう、2019年もアンテナフル回転で、自分にできることを一つずつ積み重ねていこうと思います。



多くの天災が起きた一年でした。
落ち着いて年越しをできない境遇におられる方もたくさんいらっしゃると思いますが、皆様の心に少しでも希望の灯が届きますように。


どうぞよいお年をお迎えください。














モスクワ回想録

2018-12-24 | ピアノ
2018年12月24日(月・祝)

もう一ヶ月前のことになりますが、モスクワ音楽院の先生が主になって20年続けてきておられる国際音楽フェスティバル<日本の心>に招待され、ラフマニノフホールで演奏させていただく機会に恵まれました。

1年以上前からロシア側との様々な交渉を重ね、何度も断念しかけたこともあり、実現されたときには、本当に信じられない思いでした。

私たちの想像も遠く及ばないような忙しい中を、誠心誠意対応してくださったモスクワ音楽院のカラトゥイギナ先生他 現地でお世話になったみなさま、最初の段階から様々なご意見をいただき、たくさんの作曲と編曲をしてくださった作曲家 前田智子先生、何をするにも煩雑な手続きを要する国の体制に理解を持ってくださり、常に迅速に対応してくださった尺八 田嶋直士先生、ヴァイオリン 河村典子先生、コントラバス 白土文雄先生、、そして多くの仕事を抱えながら、ロシアとの間に入って、難しい内容の通訳と交渉を根気よく続け、現地では困難と思える諸々の手続きを一人で担ってくれた夫(彼がいなければ今回のこのコンサートは実現できなかったことと思います)に、心より感謝申し上げます。


まずは成田空港。
人と楽器がみんな無事に出国するのに、想定以上の時間とエネルギーを労しました。
大変ですね、弦楽器って。ピアノでよかった と思いました(笑)



なんとかシェレメチヴォ空港着。
税関審査に、ハードケース預け、ミニバスへの積み込み等々 まだまだ高いハードルが残っておりました。



それでも無事にホテルへチェックイン、美味しいロシア料理に身体の内側が懐かしさでいっぱいになり、とても癒されました。



翌朝、モスクワ音楽院にて練習開始。













練習の合間に観光。






夜は、比較的最近できたというレストランにて。
美味しい食事に、奥深いお話、疲れを忘れられるひとときでした。




翌日も音楽院で練習したあとは、いよいよホールでのリハ。
歴史を感じる、いい会場でした。
気持ちよい響きです。楽器もとても弾きやすかったです。

前田智子作曲 あわひ


前田智子作曲 鷺娘














音づくりにすべてを捧げる職人たち とでも言いますでしょうか。
未熟な私はともかくとして、先生方の、音楽にすべてを捧げる姿勢には本当にいつも崇高な気持ちにさせていただけます。




いよいよ夜の本番 へ向かうところ。
ライトアップされた音楽院。
寒い国で見るこういう灯りには、なんだか救われるような気分になります。



楽屋入口。




会場の様子。



日本とは違い、みなさん日本の文化・音楽に大変興味を持ってお越しくださっているのがよくわかりました。




尺八古典曲「虚空」 



前田智子作曲「五劫」



前田智子作曲「あわひ」












前田智子作曲「風 より」






前田智子作曲「鷺娘」




終演後



作曲家も登場して全員で








夫、息子も一緒に。
長時間、よくがんばったね、4歳くん。



打ち上げ。もの凄く疲れていましたが、美味しいウォッカが体を優しくあたためてくれました。



私にとっては夢のような時間。
最後には、カラトゥイギナ先生から
「前田さんの作品は奥行きがあり、心に沁みました。演奏家もすばらしく、本当にいいチームですね」
という嬉しいお言葉もいただき、月が凍るような寒さもどこかへ吹き飛ぶようでした。



スイスへ向かう河村先生と、オランダ経由で帰られる田嶋先生とは翌早朝お別れし、夜の便で出国する残りのメンバーで観光。
ボリショイ劇場。実に10年ぶり。



こんな間近でゆっくり鑑賞できるのも、ロシアの美術館ならでは。
何を感じているのかな。





日本を離れていたのは、ほんの数日間でしたが、それでも外から見る日本は、色々な問題を抱えているなあと感じました。

子供への寛容さは諸外国に見習わなければならないと思います。

日本語の通じる日本で息子と出かけるより、異国の地で息子と出かける方が、はるかに過ごしやすかったですから。




余計なものにとらわれず、大切なことだけを素朴にシンプルに大切にしていく。

余計なものが多すぎるこの国では、ついつい自分の方向性を見失いそうになることもありますが、今回のロシアでの先生方との貴重な時間は、そんな私に、道なき道をしっかり浮かび上がらせて提示していただいたように感じます。



人と自然と繋がりながらも、独り ただ黙々とその道を進んでいく 





それは本当に幸せなことです。















 




小さな愉しみ

2018-12-14 | ピアノ
2019年12月13日(木)

最近読んだ本。

・「不実な美女か貞淑な醜女か」米原万里
・「暗夜行路」志賀直哉
・「本人の人々」南伸坊
・「ロシアは今日も荒れ模様」米原万里
・「ヒトのオスは飼わないの?」米原万里
・「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」米原万里
・「言葉を育てる」米原万里
・「愛の法則」米原万里
・「謎の耳づまり病を自分で治す本」萩野仁志
・「生命の意味論」多田富雄
・「できそこないの男たち」福岡伸一
・「遺伝子はダメなあなたを愛してる」福岡伸一
・「空中ブランコ」奥田英朗
・「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ


こうやって今年の秋を振り返ってみると、ゆっくり本屋さんめぐりもままならない日常の中で、たまたま夫の本棚から拝借した米原さんの本にしばらくはまり(はまり過ぎ?そういえば米原さん特集をしていたユリイカのバックナンバーも取り寄せて読んだな 笑)、あとは、その本の中で出会った作品へ吸い込まれるようにして辿り着いているなァという印象。  

どれも私の中ではなかなかのヒット作品、と感じましたが、久しぶりに読んだ長編小説「わたしを離さないで」には特に心揺さぶられました。どーん というのではなく、音もなく静かに でも、とてつもなく巨大な黒い影を伴って という感じです。いろいろと考えさせられました。

いつだったか、20年近く前になるかもしれませんが、「ダンサー イン ザ ダーク」という、これはズドーン!と魂を揺さぶられる作品でしたが、映画を観たときの心の動きを思い起こさせるものがありました。



自室には既に、読みたいと思って選んだ本たちがアマゾンからお目見え。続々と積み上げられ中です。
本当は本屋さんでの偶然の出会いが好きなのですが、、そうも言ってられない毎日ですから、今は仕方ありません。便利さの力も借りて、、、。
1日1冊 とは なかなかいきませんが、次にどんな作品に出会えるか、今の私の小さな愉しみです。









久しぶりのモスクワ!

2018-10-28 | ピアノ
2018年10月27日(土)

大阪も、ようやく秋の空気になってきました。
と思っていたら、来週はもう11月ですね。


11月19日のモスクワ公演もいよいよです。
わくわくどきどき、、、!

チラシが出来上がったようです。



今年は、日本とロシアの交流年ということで、様々なご縁がつながり、第20回 国際音楽フェスティバルの中の一つの公演に出演させていただくことになりました。

<日本の心>に軸を置いて20年間続けられてきた音楽祭ですが、今回のテーマは「悟りへの道、永遠なるもの ー 日本人作曲家の作品に宿る仏教的・儒教的思想」となりました。


「第20回 国際音楽フェスティバル ー日本の心ー」
日時:2018年11月19日(月)19:00開演
会場:モスクワ音楽院内ラフマニノフホール

コンサート前半は、洋楽と邦楽の垣根を越えたすばらしい作品を数多く生み出されている前田智子先生の作品を尺八:田嶋直士先生、ヴァイオリン:河村典子先生、コントラバス:白土文雄先生、ピアノ:久保美緒でお届けいたします。宇宙、永遠、人間、自然、人間の業と無常観を描き出すプログラムです。

後半は、つい先日急逝なさった松下功さんの作品によるプログラムです。




話は少し飛びますが、今を遡ること15年? 大学院時代の研究テーマをラフマニノフにしたことで、在学中の2年間はロシアのことしか頭になかったような日々を過ごしていました。

彼の生まれ故郷をどうしても訪れたくて、夏休みを利用して一人ペテルブルクへ。

彼が少年時代を過ごしたという小さなアパートに泊まって感激のあまり一人涙し、信者でもないのにカザン大聖堂に一日に何回も足を運んだり、さらには長距離バスに乗ってノブゴロドに赴き、息も白くなる9月下旬の夕暮れ時、彼が幼少時に通ったであろう教会の鐘の音をベンチに座って録音したり、この川で遊んだりしたのかなぁなんて勝手な妄想を抱きながら、冷たい川にそっと手を入れてみたり、、、

その翌年、運良くモスクワ音楽院のマスタークラスに参加できることになったのですが、そのとき通訳として同行していた人が、まさか将来自分の夫になるなんてその時は夢にも思わず、、、笑


ロシアに住んでいたわけでもないのに、どういうわけだか、何かとご縁があり、ホッと懐かしい想いを抱かせてくれる国です。


なんて色々書いていると、だんだんと昔のロシア熱が復活してきて、もうすでにかなり興奮気味です。



そんなこんなで、様々な準備を日々積み重ね、日常の仕事、家事、育児をこなし (ていると自分では思っている)、私の頭の中は東京の路線図と大阪の路線図を重ね合わせたような状態。
心身ともに弱っているところを樹木希林さんの言葉に救ってもらいながら、とにかくポジティブに!と自分の脳に言い聞かせているところではありますが、この日を楽しみに、本当に楽しみに大切に迎えたいと思います。











掌~大切なものは手の中に

2018-09-10 | ピアノ
2018年9月10日(月)

もうはや2018年も残すところあと4ヶ月となりました。
度重なる天災をはじめとして、今年は地球全体が何だかざわざわもごもごと動いていますね。
一人でも多くの方が一日も早く日常を取り戻せますように、、、。


我が家でも地震の大きな揺れや迫りくる台風の恐怖、そこに存在していて当たり前だったはずの水道や電気の停止、洗濯機・クーラー・冷蔵庫・パソコンと次々に家電が故障していく状況に加えて、この夏は息子が2度も体調を崩し、続いて私も珍しく内科にかかり大嫌いな抗生物質のお世話になるという事態に至りました。

特に、不気味な音と共に巻き起こる強い”風”がこんなにも人の心を不安にするとは、この歳になるまで想像がつきませんでした。


そんな中ではありましたが、何とか今夏も音楽だけに身も心も捧げる(捧げきれたかは?ですが、、)幸せな4日間を過ごすことができました。有難いことです。


時は移ろい、月日の流れと共にそれぞれの置かれている状況も変化し、また人の力の及ばない様々なエネルギーの働きもあり、これからは他力本願ではなく、それぞれに自身の課題と向き合い、日々独り黙々と時を重ねていく、いつかまた再会が叶うことを愉しみにしながらも、そんな覚悟が必要なのかなと、ふと思いました。

そして、音楽に関係あることもないことも全てにおいて日常を丁寧に生きるということが、いかに大切であるかということをまた思い出させていただいた気がします。



生命誌研究者の中村桂子さんの言葉に「生の充実とは思い通りにならないものを手塩にかけて育む。時間を飛ばすのではなく、紡ぐこと。自分も生きものの一つという原点を見据えるためにも農業を学べ」とあるそうです。

中村さんの言葉を紹介しておられたその記事にもありましたが、扉を閉めるとき、ものを置く時、掃除をするとき等々、日常には手を使うことが非常に多いですが、その動作の最後まで優しく手を添える。何でもないそんな仕草がある風景の中で子供たちが育っていくわけです。

ひとつのフレーズの終わりをどう弾くか、次に登場する音楽がどういうものなのかを想定して終わりを大切にする、そのことが次の音楽へと繋がっていく。 

今、目の前で起きていることに集中し、その時間を大切にすることが次の時間を育んでいくという意味で、農業も日常生活も音楽もみんな同じなんだなと自分の中で何となく一つの線となってつながりました。
(つながりましたが、これがまた簡単そうでなかなか難しいのですよね、特に大人にとっては、、、。)


子供に対して親らしいことは何もできていないことになんとなく後ろめたさを感じることもあるのですが、でも私が私らしく生きるその姿を見せることが、唯一私にできることなのかなと、漠然とではありますが大切に持っていたその考え方を、これからも持ち続けていいのかなと、少し勇気をもらえた気がします。


とはいえ、まずはどうしょうもないこの大雑把な行動を直すべく、扉を静かに閉めたり、静かに片付けを行える様、嘘偽りのない心で意識を持って取り組めるよう、改めて心がけるところから始めようと思います。






わたしの不在中に建設されたそうです。
一階がコンビニで、二階がスシローだそうです(笑)




おじいちゃんと。
息子にとっては無条件に安心できる存在なのでしょうね。
不思議です。







4年前はこういう関係だったのですから、早いものです。





父もずいぶん歳をとったなと、色々心配ごとは後を絶ちませんが、できるだけ長く健康で生きていてくれたらと思います。




今日は、47歳という若さで他界した母の19回目の命日です。

私も今年40歳を迎え、47歳という年齢にかなり近づいてきたことによって、これまでよりは母の胸中を具体的に想像できるようになってきたように思います。



親子間の関係というのは、死後も変化し続けるのだなぁということをふと思いました。