久保美緒のブログ

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モスクワ回想録

2018-12-24 | ピアノ
2018年12月24日(月・祝)

もう一ヶ月前のことになりますが、モスクワ音楽院の先生が主になって20年続けてきておられる国際音楽フェスティバル<日本の心>に招待され、ラフマニノフホールで演奏させていただく機会に恵まれました。

1年以上前からロシア側との様々な交渉を重ね、何度も断念しかけたこともあり、実現されたときには、本当に信じられない思いでした。

私たちの想像も遠く及ばないような忙しい中を、誠心誠意対応してくださったモスクワ音楽院のカラトゥイギナ先生他 現地でお世話になったみなさま、最初の段階から様々なご意見をいただき、たくさんの作曲と編曲をしてくださった作曲家 前田智子先生、何をするにも煩雑な手続きを要する国の体制に理解を持ってくださり、常に迅速に対応してくださった尺八 田嶋直士先生、ヴァイオリン 河村典子先生、コントラバス 白土文雄先生、、そして多くの仕事を抱えながら、ロシアとの間に入って、難しい内容の通訳と交渉を根気よく続け、現地では困難と思える諸々の手続きを一人で担ってくれた夫(彼がいなければ今回のこのコンサートは実現できなかったことと思います)に、心より感謝申し上げます。


まずは成田空港。
人と楽器がみんな無事に出国するのに、想定以上の時間とエネルギーを労しました。
大変ですね、弦楽器って。ピアノでよかった と思いました(笑)



なんとかシェレメチヴォ空港着。
税関審査に、ハードケース預け、ミニバスへの積み込み等々 まだまだ高いハードルが残っておりました。



それでも無事にホテルへチェックイン、美味しいロシア料理に身体の内側が懐かしさでいっぱいになり、とても癒されました。



翌朝、モスクワ音楽院にて練習開始。













練習の合間に観光。






夜は、比較的最近できたというレストランにて。
美味しい食事に、奥深いお話、疲れを忘れられるひとときでした。




翌日も音楽院で練習したあとは、いよいよホールでのリハ。
歴史を感じる、いい会場でした。
気持ちよい響きです。楽器もとても弾きやすかったです。

前田智子作曲 あわひ


前田智子作曲 鷺娘














音づくりにすべてを捧げる職人たち とでも言いますでしょうか。
未熟な私はともかくとして、先生方の、音楽にすべてを捧げる姿勢には本当にいつも崇高な気持ちにさせていただけます。




いよいよ夜の本番 へ向かうところ。
ライトアップされた音楽院。
寒い国で見るこういう灯りには、なんだか救われるような気分になります。



楽屋入口。




会場の様子。



日本とは違い、みなさん日本の文化・音楽に大変興味を持ってお越しくださっているのがよくわかりました。




尺八古典曲「虚空」 



前田智子作曲「五劫」



前田智子作曲「あわひ」












前田智子作曲「風 より」






前田智子作曲「鷺娘」




終演後



作曲家も登場して全員で








夫、息子も一緒に。
長時間、よくがんばったね、4歳くん。



打ち上げ。もの凄く疲れていましたが、美味しいウォッカが体を優しくあたためてくれました。



私にとっては夢のような時間。
最後には、カラトゥイギナ先生から
「前田さんの作品は奥行きがあり、心に沁みました。演奏家もすばらしく、本当にいいチームですね」
という嬉しいお言葉もいただき、月が凍るような寒さもどこかへ吹き飛ぶようでした。



スイスへ向かう河村先生と、オランダ経由で帰られる田嶋先生とは翌早朝お別れし、夜の便で出国する残りのメンバーで観光。
ボリショイ劇場。実に10年ぶり。



こんな間近でゆっくり鑑賞できるのも、ロシアの美術館ならでは。
何を感じているのかな。





日本を離れていたのは、ほんの数日間でしたが、それでも外から見る日本は、色々な問題を抱えているなあと感じました。

子供への寛容さは諸外国に見習わなければならないと思います。

日本語の通じる日本で息子と出かけるより、異国の地で息子と出かける方が、はるかに過ごしやすかったですから。




余計なものにとらわれず、大切なことだけを素朴にシンプルに大切にしていく。

余計なものが多すぎるこの国では、ついつい自分の方向性を見失いそうになることもありますが、今回のロシアでの先生方との貴重な時間は、そんな私に、道なき道をしっかり浮かび上がらせて提示していただいたように感じます。



人と自然と繋がりながらも、独り ただ黙々とその道を進んでいく 





それは本当に幸せなことです。















 



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