こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『オケ老人!』荒木源

2022-10-08 20:29:36 | 読書感想
 
梅が岡高校数学教諭、中島明彦が休日に何気なく入って聴いたアマチュアオーケストラ。
大学時代からバイオリンをやっていた彼は、感動のあまり入団を決心し、梅が岡交響楽団に申し込みをした。

あっさり入れる事となった練習初日。
練習場所にいたのは、チューニングもままならない高齢者ばかり。
実は先日中島が感動したアマオケは、梅が岡フィルハーモニーだったのだ。

間違いでしたとも言えず、なりゆきでコンサートマスター兼指揮者まで勤めるようになったのだが。色々と指導してもメンバーは一向に上手くならず、並行してフィルハーモニーの団員になっても、団員同士の足の引っ張り合いに疲れ病に倒れる。
さらに中島の心に追い打ちをかけるように、才能のある若者のちょっとした指導で交響楽団の方も見違えるほど技術向上し、どちらに対しても自信を無くした彼は、音楽を辞める決心をする。

2008年出版のこの作品。
この時代って、高齢者が活躍する物語が多かったような気がします。
もちろん、そうだとしても高齢者のアマチュアオーケストラという題材も面白く、そこに飛び込んだ青年の成長と恋愛模様があり、しっかりオチもあるところが一層楽しめました。
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『僕が君の名前を呼ぶから』乙野四方字

2022-10-06 20:16:49 | 読書感想
 
 
 
今度、映画化されるという『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』のヒロイン、栞のもう一つの人生が描かれています。

この世界での栞は、両親の離婚の危機の際に、誰かの声を聴く事となります。
その後も、中学2年の夏休みに内海進矢という青年に出会います。

今回の栞は、どのような人生を歩むのか?
もう、本当にようやく、ようやく(涙)・・・って気持ちになりました。

この物語は作者ご本人が地元、大分を舞台になさっていますので、住んだことがあったり現在住まわれている方も「ここで、この出来事が・・・」と感慨深いのではないかと思います。

せっかくなので、今後も大分SFも描かれては?と思ったりもしましたが、余計なお世話ですよね(^^;)
勢いで言わせていただくと、逆に47都道府県SFを描かれるのは?とか、無茶を書いてみたりもして。
・・・はい、取材が大変ですね?取り下げます。

悪ふざけはともかく(半分本気)前述の2作品と共に、お勧めの恋愛SF小説です。
梶尾真治さんでは、時間SFと恋愛は相性がいいとかいう話もありますが、パラレルワールドSFとも相性が良いようですね(^_^)
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『フェルマーの最終定理』サイモン・シン

2022-10-03 20:22:06 | 読書感想
9月23日の、サイエンスカフェのあとで借りてきた本です。

このお話の後に、司書の方が図書館の蔵書からいくつか科学の本を紹介くださいまして、以前から知ってはいた本ながら、私の能力では90%分からないだろうと腰が引けていたこの本を借りてきたのです。
 

あれ?分かるかも?面白い?
翻訳者の青木さんがあとがきで仰っていましたが、私も出だしで「これは、自然科学に携わる方々は、むっとなさるだろうなあ」と思っていましたが、あにはからんや、訳者ご自身がムッとなさっていて笑ってしまいました。

どういうところなのかは、ぜひ、読んでいただくとして。
この本はなるべく平易な文章で書かれていますので、とても読みやすいです。

また、数学の歴史がざっと描かれてもいますので、そういう方向で楽しむのもいいかもしれません。

それに、この定理の証明の一助になった「谷山₌志村予想」について、イギリス人の著者がきちんと日本人の名を正式名称として取り上げて下さっている事と、歴史上の女性科学者をちゃんと評価なさっているところが素晴らしいと思いました。

もう少し早く、気後れせずに手に取っていれば良かったと思うのと同時に、読むきっかけを下さった司書さんと、そこに導いてくださった今回のイベントと企画なさったスタッフの皆様に感謝しています。

ありがとうございます。楽しかったです。
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『となりのハト』柴田佳秀

2022-10-01 20:03:40 | 読書感想
 
スズメと同じ・・・いや、それ以上に身近にいすぎて、時には害鳥扱いされてしまう鳥、ハト。
そんな存在だからこそ、本になっていると気になって手に取ったわけですが、これが面白い!

羽毛が抜けやすかったり、首を振って歩いているように見える理由などから始まり、日本だけでなく世界に住む様々なハトの生態を紹介して下さっています。

まず世界に目を向けると何と!川端裕人さんが本で書いておられたドードーと遺伝的に近縁である事が分かったミノバトについても触れられており、こちらも人に乱獲されて数を減らしているようです。
何でも砂肝の中にある石を磨くと宝石のような価値があるらしいのですが、過去には人の食のために絶滅しているリョコウバトもいたりして、人間って迷惑ですよねえ?

日本人も鳥にではありませんが、未だに鰻に執着がありすぎるのも考えものだと思うので、外国ばかりを非難できなかったりします。
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