こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『レッドゾーン』夏川草介

2022-10-12 20:53:46 | 読書感想
 
長野県の片田舎にある病床数二百床弱の『信濃山病院』

二年前の二月三日。
横浜港にあの大型クルーズ船が着岸した日には、この病院の人々も、まだまだ対岸の火事気分だった。
それが二月十六日には、院長の決断により該当患者を受け入れる事になるとは、思いもしなかった。
院長の決定に真っ向から反対したのは、肝臓専門の内科医、日進。
確かに彼の反論は、真っ当なものだった。

初めの頃は、内科部長の三笠が一人の患者を直接診察するだけだった。
しかし間もなく病院内にコロナ診療チームとして、消化器内科の敷島と、何と!日進も選ばれてしまった。
それからもコロナ陽性患者は増え続け、それなのに周囲の病院は大病院も診療所も診療拒否。
状況はひっ迫しているのに、それらの病院は未だに他人事気分。
医療に携わらない人々と、状況の把握の仕方があまり変わらなかった。

その上、一般の人々の医療関係者への忌避感はひどく、かと言って同じ立場だったらと思うと理解も出来て、やるせない思いにとらわれるのだった。

最初に書いた通り、物語はクルーズ船着岸から始まり今年の五月までコロナ最前線で対応してきた人々、その家族との関係と思いや、ご近所の方々と一般患者との関係性なども描かれています。

私自身は福祉関係の為、まだ対岸の火事に近いものがありそうなのですが、それでも同じ法人内ではピリピリした感覚を感じていました。
この作品を読む事によって、いくらかでもその感覚の原因は、少しはありますが理解出来ました。

正直、物語の医師を始め関係者に「やーめた!」と言われても、非難出来る程、一般の人々がまともな行動が出来ていたとは思えないんですよね?
現在の現実世界でも人というものは弱いから、どうしても自分が楽な方向に考えて行動してしまうので、科学的にはおかしい行動をなさっている方々も多いなあと考えています。
それでも強制出来るものでもないので、こちらが気をつけて行動するしかないのでしょう。
逆に、私の方でもおかしいところはあるのかもしれません。

早い沈静化を願いつつ、感想になっていないのかもしれませんが、この文章を終わらせたいと思います。
コメント
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