こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『恭一郎と七人の叔母』小路幸也

2016-06-19 19:22:21 | 読書感想
更家恭一郎は、素封家の長女・志乃子の長男として生まれたが、出生前に父が事故で他界していたため、実家で七人の叔母に囲まれて育った。

これは、恭一郎が長じて語った、とてもバラエティに富んだ個性を持った叔母たちについての話である。

八人姉妹ともなると、その育つ社会環境も大きく違いますし、それに元からの性格や容姿なども重なって、何とも面白いエピソードが明かされていきました。
話の聞き手の正体も、面白いですよ。
あと、恭一郎もその聞き手も、ある意味嫌な奴かも(笑)
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『食堂つばめ7 記憶の水』矢崎存美

2016-06-18 19:29:25 | 読書感想
生と死の狭間にある街に存在する食堂つばめ。
そこでは、死にかけている人に生きる気力を取り戻してもらうために、飲食物を提供している。
そんな中、柳井秀晴だけが生きたままこの世界に出入りし、店の主ノエさんの美味しい食事を満喫している。

今回の秀晴は、ある有名な歌手がやって来たことで、ノエさんの記憶を取り戻すことを考え始めます。
もちろん他にも、食べたい物を思いつけない少年や、満足する人生を歩んで思い残すことの無さそうな小説家もやってきて、彼らの生還に力を尽くすことや、食べ応えのあるサンドウィッチや自分で作るハンバーグ、イタリア風プディングのカタラーナが、夢みたいに美味しそうなのは、変わりありません。

ただ、あとがきにあるように、8巻に向けてノエさんの記憶が大事になってくるようです。
いったん、とあるように一時的なものだとは思うのですが、終わるのは寂しいですね。
でもきっと、素敵な形で戻ってきてくださると思いますので、楽しみに待っています。
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『還暦シェアハウス』泉麻人

2016-06-16 19:26:30 | 読書感想
50代も終わりになる松木利夫は、とあることから妻の奈保子と別居状態になり、サイクリングでたまたま迷い込んだ<鈴木街道>で見つけた55歳以上の人向けの<シェアハウス R55>で暮らすことにした。

オーナーのマダム甘粕によると、回春も目的らしいが、今のところ男しか住んでいない。

この年代の男性が抱える問題や悩みなどが散りばめられ、同時に、彼らの青春時代の時事風俗が語られていきます。
ま、それはいいのですが、最後にはツチノコ探しまで始めてしまい、あきれて笑うしかありませんでした。

私は、いまいち共感が持てなかったのですが、この世代の男性には共感できるのかもしれません。
私は、苦笑するにとどめておきましょう。
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『キッチン戦争』樋口直哉

2016-06-15 19:25:50 | 読書感想
滝沢葉月の祖父は、日本がまだフレンチについて右も左もわからない時代に、世界的な料理コンクールで優勝した滝沢征爾である。

葉月も料理が好きでホテルでコックとして働いた後、レストラン『cachette』のオーナー山岸にスカウトされて働いている。

ある日、葉月あてに料理コンクールの書類選考に合格したという見に覚えのない封書が届いた。
実は、オーナーとコック仲間の細川が内緒で送っていたらしい。
シェフの荒木は、反対している。

果たして葉月は、コンクールに参加することでどう変わるのか?

まあ確かに、料理は競争じゃありません。でも、競うことで技術が上がる面もあります。
私としては、葉月のこの選択はいかにも彼女らしく好感が持てました。

最後に、表紙のイラスト。
あんなに髪を振り回すのはいただけませんね。料理に毛が入ります。
あんなことをするのなら、髪をまとめてお団子にしてほしいです。
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『アリアドニの遁走曲』コニー・ウィリス&シンシア・フェリス

2016-06-12 19:32:54 | 読書感想
マイケル・ジャクソンの百五十回目の誕生日のニュースが流れる未来。

カナダの西の端ヴァンクーヴァー島のヴィクトリアで、主人公のアリアドニは暮らしている。
本来なら、十六歳ながらも科学者の一員として一人前に働いていたはずなのに、今は赤ん坊のおむつ替えとチビどもの世話をしている。

それもこれも、両親が戦争の激化を心配して疎開させたからだった。
ただ最近、毎週のように来ていた父親からの手紙が途絶え、月一回だった母親からの手紙の文面も、どこかごまかしのありそうな雰囲気を漂わせていた。
そこでアリアドニは、真実を確かめるべく疎開先を脱走し、故郷へと向かった。

そこで待っていた過酷な状況とは?

十代が主人公のものとしたは、かなりハードな結末かな?とも思ったのですが、ハイティーンなら何とか受け止められるでしょうか?

それにしても、そんな未来で王制があるの?とか、ファッションや名前がギリシャ風なのはなぜ?とか、疑問はあるのですが、少女科学者の冒険譚なんて滅多にありませんから、心躍らせながら読ませていただきました。

十年ちょっと前に、ウィリスさんはこんな十代向けの素敵な物語を書いていらしたのですね。
再版希望します。
あと、相棒のフェリスさんのその後も気になっています。これは、検索しかないでしょう。

この作品、かなり面白いので図書館か古本屋でお探しください。
お勧めです。
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