こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『甘夏とオリオン』増山実

2020-10-17 19:39:01 | 読書感想
 
小学校の校長だった父親が厳しく、はしゃぐことさえ鋭い目線で押さえつけられていた過去を持つ恵美は、アホになりたかった。

ふとした事でやったバイトの祝儀三千円で入った寄席で聴いた落語の中に、憧れた「突き抜けたアホたち」がいると知り、トリの噺家のとびきり素敵なアホに惚れ、その桂夏之助に弟子入りした。

本来、夏之助は女性の弟子は取らないと言っていたため、兄弟子の一人・若夏は、甘夏こと恵美に、つらく当たる。
もう一人の兄弟子の小夏も、落語は男が演じやすいように作られているので、女が演るには難しいと語る。
そう言われながらも修業に励んでいた時に、師匠が失跡する。
三人の弟子は、どう感じ、どう動いたか?

夏之助師匠は、本当に突発的にいなくなったので、弟子たちは捨てられたように感じたのも無理はないと思います。
そんな中で、師匠が帰ってきやすいような会を催したりと、読んでいて涙ぐみそうな努力をする三人。
複雑な想いがあるでしょうね。
主人公は甘夏ですが、弟子三人の成長物語でしょう。
そして結末には、切なくも温かい気持ちにさせられました。
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