綾辻行人さんの『深泥丘奇談』を読みました。
本格ミステリ作家の主人公が生まれ育った深泥丘を、舞台にした怪奇譚です。
主に、ストレスがたまった主人公が通う、深泥丘病院に関わる短編集ですが、
次々とおぞましい体験をしているはずの彼は、そのことを次の話では忘れているのです。
それは、本人が心のバランスを保つために無意識に行っていることなのか、
人外の者・・・いやこの土地自体が忘れさせているのか・・・。
毎回起こる奇妙でまがまがしく不可思議な出来事に、寒気を覚え、
人の常識を破壊された気分にもなりました。
岸田秀先生のおっしゃる共同幻想を破壊されたとでも言えばいいのでしょうか?
とても面白かったです。