鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

161 秋麗の茶話

2020-10-01 13:38:00 | 日記

台風が去った後は急に涼しくなって、秋麗の日が続いている。

彼岸花が例年より1週間ほど遅れて、鎌倉の野辺では今が花盛りだ。

ようやく温かい飲物が欲しい時期となり、日々の茶の度にもぼーっと思索に耽りたいところだ。


今日は一段と爽やかな日和なので、午前のお茶は秋風の野に出てキンバリーのカラーバリエーションを並べ、花の彩と競い合わせる趣向にしてみた。

写真は例の古式カメラを使用。


(ファイアーキング キンバリーマグ 1960年代 アメリカ)

お茶はキャラメルフレーバーのミルクティーを保温ポットに入れて来た。

我が楽園の花精達が喜びそうな香りのお茶だ。

100年前のレンズの発色が隠者を夢幻界に誘ってくれる。


夕方は障子明りで岩波のイギリス詩集をぱらぱら眺めながら、和洋折衷の珈琲タイムだ。


(炉均窯ポット 清朝時代 青萩マグ 山根清元作)

曼珠沙華を取ってきて古伊賀の花入に投入れ、英国ビンテージ物のシャドウボックスを飾る。

和洋折衷の洋は諸国ある中、やはりイギリス調の物が重みがあって良い。

ワーズワースらの湖水地方でのスローライフは、若い頃の隠者の憧れだった。

ファンタジーゲーム好きの家人と、そんな話しが弾む。


夕食後は山栗の枝が手に入ったので、栗の和菓子にカフェラテを抹茶碗で。


(鳴海織部、黒織部茶碗 江戸時代)

栗の枝が花入にうまく収まらなかったので卓上に置くだけとなったが、秋の野趣は十分感じられよう。


秋の夜長は思索に耽るのに最も良い時で、また句歌の苦吟の時間さえ楽しくて夜更かししてしまう。

窓外では虫の声が幾重にも重なり、1日を共に遊んだ花の精達も満足して野に帰る。

私も今日の句歌と写真を仕上げてPCを閉じよう。

ーーー虫の音は無辺の闇に染み渡り ひと筋仄か曼珠沙華道ーーー


©️甲士三郎


最新の画像もっと見る