鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

229 待春の茶画詩

2022-01-20 12:54:00 | 日記

今の隠者は冬深く質素な書院に籠って、去年買い溜めた古書を読み耽りながら春を待っている。


ここ数日は厳しい冷込みが続き洗濯や買い物も手抜きとなりがちだが、何とか日々楽しみを見つけながらやって行きたい。



(黄瀬戸茶碗 琳派漆絵皿 江戸時代 青磁小壺 李朝時代)

暦は大寒となったが散歩がてらの探梅や、早くも春の彩りをあしらった茶菓子が楽しい。

小振りの餅菓子を光琳梅の漆絵皿に並べて紅白梅の意匠にしてみた。

花入の玉椿と合わせて春を待ちわびる茶だ。

私は糖質制限なので菓子は眼で楽しむしか無く(家人が食べる)、そのせいで書画との取り合せや菓子皿などの見た目に凝り出した。

よって茶菓子ならぬ茶画詩となる。


文机の前に古画を掛け、画中の夢幻界に入ってコーヒータイムだ。



(梅花書屋 岡島徹州 大正〜昭和初期)

清澄な月光の中に文人の理想の棲家を描いていて、実に隠者好みの世界だ。

この画には大正時代風に和洋折衷で珈琲と洋菓子にしよう。

洋菓子より和菓子の方が季節季節の美しさは遥かに上だが、残念な事に行きつけの和菓子屋が閉店してしまってコンビニの洋菓子を買ってきた。

最近はコンビニの菓子と言えども味は上等で、家人には結構評判が良い。


陽の照り返しのある場所の梅はもう咲き出した。



寒梅は日本家屋の軒端に良く似合う。

桜は洋館でも似合うが、梅は和の伝統美の中で咲かせたい。

寒中三友(松竹梅)の庭で待春の詩句歌でも案ずるのが、日本の文人のあるべき暮しだろう。


ーーー夕東風の吹き来る方に月浮び 梅の書屋は文士の故園ーーー


©️甲士三郎


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