鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

96 創聖の茶事

2019-07-04 14:00:08 | 日記
今回はこれまで何度か扱って意義があまり伝わらなかった、脱俗の為の茶事儀式を補完したい。
物質的な茶飯とは別の、聖なる儀式としての飲食(おんじき)の儀式を考えてみよう。


(守護天像 室町時代、古唐津徳利 古志野筒茶碗 古織部水差 江戸時代)
雑事俗事に塗れた人生の中に少しでも崇高で荘厳な時間を取り戻したいなら、先ずは折々のティータイムを思索のための儀式にグレードアップしてみるのが良い。
上級隠者になれば路傍の花、鳥の声、木々の風光等を契機に瞬時に夢幻界へと移転できるが、初学のうちはそれなりの道具立と儀式があった方がやり易い。
茶種は珈琲紅茶煎茶烏龍茶どれでも良いので、卓上盆上にそれなりに選んだ茶器と花や書画や御神体などを飾れば、そこに小さくとも離俗清浄な結界が生じる筈だ。
茶の淹れ方は基本さえ守れば煩雑な作法は不要だが、所作に品位と厳粛さが伴うような自分なりの術式が確立できれば重畳。
ゆっくり手間をかけて茶の清香滋味を喫っしつつ、全ての俗心を滅却して行こう。


(女官俑 唐時代、青手九谷 盃 小皿 急須 江戸〜明治初期)
飾られた四季の花実などからは、故郷の山河や遥かな大自然に想いを飛ばせる。
異国の古器などを用いれば、それが作られた時代や古人達の歴史を遡れる。
又は茶器に描かれた花鳥山水画の神仙境に入り込み、暫しを画中世界に遊ぶのも良い。
こんな感じで想いを深めて行けば、いつかは己れの楽園に至る事が出来る。
哲学が行き詰まり宗教が信頼性を失った現代では、各々が独力で己れの心に楽園を築くしかないだろう。

西洋神にもお供え。

(アテナ アポロン ディオニュソスのイコノグラム 古代ギリシャ時代)
先日の宴でアポロンとディオニュソスが案の定喧嘩し出したので、仲裁役にアテナを中央に据えた。

©️甲士三郎