こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

目暗ケ原(めくらがはる)ものがたり 巻きの2

2006年04月23日 | 仏教

 

潮音院縁起

 

~目暗ヶ原ものがたり~

 突然、濃い霧の中に何かが動いたように感じました。

と同時に、シュッ!と風を切りながら一本の矢がとんできました。

 光盛は、琵琶法師をとっさに引き寄せ身をかがめ、

瞬時に周囲を見渡しました。

 その身構えといい、物腰といい、とてもただ者ではありません。

 

 「ワァ~!!」

 霧の中から声を張り上げながら、何者か現れました。

 「何者じゃー!名を名乗れい!!」

 それは、日頃からこのあたりにたむろして、旅人から金品を奪い取る

盗賊の一団でした。

 光盛は、頭陀袋の底にしまっておいた短刀を片手に持ち、

襲いかかる盗賊に応戦します。 予想だにしなかった光盛の強い応戦に、

驚いた一団は、一斉に引き上げ始めました。

  

 盗賊が逃げた後、あたりはもとの静けさを取り戻し、

そしてすっかり日も暮れてしまいました。

 光盛は、歩くのも困難なほど足に矢傷を負っています。

「お坊ぉ~、お坊ぉ~!おったら、返事をなされえ~。」

返事がありません。

あわてて琵琶法師を探しますが、あたりはすっかり暗くなるし、

とうとう探し出すことがかないません。

 「矢で射られでもしたのだろうか・・・。お坊ぉ!」

 光盛は、仕方なくひとりで高原を下り、里の人々に助けを求めました。

 

                                      つづく

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